ウオーキング
06.10. 21
ウオーク(高尾に秋を探して)
はじめに
まだ高尾山の秋を見るには早そうだが、多少は秋の気配が
石仏の群れが出迎える <6号路>
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感じられるかもしれないと思い13日に出かけてみた。前の日より気温は低いと予想されていた、10時ごろ家を出たが少し涼しい、上に薄手のジャンパーを羽織った。
近くのモノレール駅から高幡不動駅に向う。車内には学生らしい姿が多い、左手のボックス席からシャカシャカとヘッドホンから洩れる音がする。目をやると左手に鏡を、右手にハサミのような小道具を使って目のあたりを工作している若い女がいた。
車内で目を背けたくなるようなときは目を瞑ればいいが、耳や鼻は自分で閉じてくれない。手でふさぐか、つまむしかない。容赦なく無防備な耳や鼻に騒音や香水のきつい臭いが侵略してくる。
きっと神様が人間を初めてつくった時は、静かな、爽やかな時代だったんだろう。なんて考えているうちに高幡不動駅に着いた。
京王線の高幡不動駅は改装工事中で、橋上駅に変わりつつある。北野駅で準特急に乗り継ぎ高尾山口駅には11時少し前に着いた。マップが記されたパンフレットを貰う。
駅前の広場にはリュックを背負った中高年が群れをなしてこれからのために準備している。広場の向うの案内川の川端に出てみる、上流の方は多少モヤっている。木々の葉っぱはそう思えば多少黄みを帯びている。
前回と別ルートを登るべく6号路-びわ滝のコースを取る。
ケーブルカー清滝駅の左側を通る、改札口の脇から車イスを押してホームに向う人がる。車イスの人でも高尾山へ登り自然を楽しめるようである。
びわ滝を通って
お堂の屋根には枯葉が <びわ滝>
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6号路に入って先を見るとちらほらと中高年の登山客がゆっくりゆっくりと歩を進めている。左手を流れる小川のせせらぎだけが耳に入る。あたりを見渡してもまだ黄ろい葉は見当たらない。
うーむ、静かな自然はいいものだ、それだけで満足してしまいそう。
薄暗さを感じるほど檜、杉などの高い木々に覆われた谷合の道を登る。高尾保養院という病院へ真っ直ぐ伸びる道の手前を斜め左に曲がると傾斜が幾分きつくなってきた。地蔵仏が横に数列並んで、登山客を迎えてくれる。紅い毛糸の帽子を被った大黒様はにこやかに笑っているようだ。
岩屋大師を過ぎ、さらにきつい上り坂の途中にびわ滝がある。このあたりの木々はまだ緑濃くお堂の屋根に舞った枯葉が唯一秋らしさを感じさせる。修験場らしく滝の近くには立ち入り出来ないようだ。かなり古い苔むした狛犬がお堂を護っている。
さて私はここから進行方向の右手の山道を行く。あとで分ったことだが左手の方へ進む道が6号路らしい。昨年秋、来たときも右の道をたどったようである。こちらのルートはマップには記載されていない。
びわ滝を過ぎると急に坂がきびしくなってきた。
右に左に曲がりながらしばらく登ったところで少し、平らな道の両側に石仏が数体、間隔をあけて立っていた、いや座していた。
ここでしばらく休息をとる。行く先をみると道の左右の木々の根があらわに剥き出し、登り道々はゴツゴツした石に覆われている。下から登ってきた男性がゆっくりとした歩調で消えていった。
倒木も自然のままの <自然研究路>
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ほとんど人が通っていないこの道をしばらく歩いていると上の方からにぎやかな声が聞こえてきた。おそらく1号路に沿ったサル園からの子供の声であろう。サル園には植物園も併設されている。雑草が生い茂った斜面を登れば植物園に行けそうなところである、今回は植物園はパスしておこう。
道は2号路に入っていた。ところどころ階段がつくられているが歩幅が合わず段を避けて脇を小刻みに登る。道端にアザミが咲いているがノアザミのように頭花が大きくない。マップに載っている写真のアズマヤマアザミらしい。道は狭い個所もあり足を滑らすと数メートル滑り落ちそうだ。
3号路を通って頂上へ
2号路は、表参道である1号路に串刺しにされたように小さな環状になっている。3号路はその合流点から尾根の南側の林を谷に沿ってほぼ水平に曲がりくねった細い道で、6号路と合流したあと環状5号路につながっている。4号路は3号路と反対に尾根の北側の斜面を、多少アップダウンを繰り返し環状の5号路に達している。
2号路から3号路へつながる道と表参道への分岐点で、どちらにしようか迷っていると上の方から私より年長と思われる男性がひとりで下ってきた。もう下山しているというその男性としばらくお話をする、男性は「3号路は道のりが長くて・・」とおっしゃる。よくここらを歩いているようだ。
私は3号路を歩いてみようと思っていたが、表参道のどの辺りに合流するのか確かめたくて大急ぎで駆け上がってみた。
葉っぱも色づきはじめた <山頂広場>
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ふたたび3号路に戻る、この道は南斜面にあるから、常緑樹が多い森で、暖かい地域に多いカシ類が多いそうである。4号路は冷温地に多いブナなどが見られるという。高尾山という一見狭いところでも生物はなかよく棲み分けをしているようだ。
白い花びらのヤマアジサイの葉っぱは虫のエジキとなったのだろうか小さな穴だらけである。狭い山道の脇に見られる草花や遠くに黄色みを帯びた木々はないか探しながらユッタリした気分で歩く。
やがて急な石段の上り坂が現れる、これを登りきると5号路にでた。5号路は山頂に続く環状路だ。12時50分、山頂着、万歩計は4620歩(3.5km)、こんなものかな。
ビジターセンター脇のお店で「とろろうどん」と泡般若を頂く。数年前までは「そば」と言ってたのだが、最近は「うどん」の方が消化がよさそうと思うようになってきた。
さきほど、小学生の群がにぎやかに下っていったあとの山頂広場には中高年のグループがポツリポツリといるだけだ。空は雲が多くなり富士山も見えないので仕方がない、4号路経由で日影沢の方へ下ろうと考える。
日影沢から旧甲州街道へ
山頂から小仏城山へ向うかなり急な石段を下る、この段々は一段が高く足が短い私にとってちょっと苦手である。環状の5号路に出て、4号路につながっている北側へ周る。途中に江川スギという国有林にであう。説明板には、江戸末期に伊豆韮山の代官、江川太郎左衛門が植えたと記されている。江川太郎左衛門といえば韮山の反射炉を造った人だったと思う。なぜここ高尾に植えたのだろう。樹齢128年(平成2年)、最も高い木は32mもあるという。
少し黄みが見える <旧甲州街道>
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4号路から日影沢に下る道は「いろはの森」と名づけられている。「いろはがるた」のように木々に名札が「(ゐ)・・・・」、「(ろ)・・・・」と貼り付けられている。
この道は沢への下り道だから傾斜が急である、ときには一歩一歩踏みしめて歩かねばならない。しかし途中のやや平らな場所には丸木を半分に割ってつくられたベンチが備えられていた。この道ではほとんど人と出くわすことがない。
ベンチで休息していると道の左右両側から水の流れる音が聞こえる。沢が近いようだ。
やがて日影沢林道へ下り立った、その林道を横断して狭い山道を下っていくと沢の水辺にでる。
沢を渡りぬかるんだ道を進むとふたたび先程の林道が現れる、ある団体のものらしい山荘や、丸木小屋の施設が見えてきた。どちらも無人のようである。
さらに林道を下っていく、1台の軽トラックが上って行った。どうやら往来は近いらしい、やがて少し大きな川を渡ると舗装した道に出た、旧甲州街道のようだ。日影沢のバス停が見えてきた。あとで地図を見るとこのあたりは高尾山頂の真北に当たる。
もう少し東の方、つまり高尾駅に近いところに出てくれるのではないかと期待していたが。ここから高尾駅までは3キロくらいありそうだ、そう、いつか着くだろうと思いながら黙々と歩く。
うん、やはり、秋はまだまだのようだ、初秋といったところだな。
それにしても高尾の自然、ガンクビソウ、ヤクシソウ、イヌショウマなど・・・、私にいろいろと教えてくれるものがまだたくさんある。