画像提供:田淵 禎之氏

オートマチック戦車シリーズの大型戦車としてM41、61式、スターリン3型を投入していた頃、低価格商品にこのSタンクを加えていました。大型戦車と同様弾丸を発射することができるこの小型戦車は、やはり低年齢層にターゲットを合わせた物だったようです。箱の説明では、電池、モーター不要、つまり手動で押しながら前進させると、弾丸が発射されるといるギミックが付いているのです。当時、砲塔のないこの斬新なデザインの戦車模型を製品にしたのは、やはり日本ホビーが最初でした。私は日本ホビーのファンであり、新製品がでるのを首を長くして待っていたひとりなのですが、とうとう本来のスケールでの近代戦車は製品化されることはありませんでした。このSタンクだけがシリーズ化されることなく存在したのです。

ところで、このボックスアートの右下のサインを見ると、はっきりと I.Sekiguchi(関口猪一郎画伯)が読みとれます。日本ホビーの製品の中で特異な内容であるとともに、ボックスアートの制作者名が明確である点が貴重な逸品であることにまちがいありません。