6.製品戦略

(1)実物に忠実であること。

模型は、実物に忠実であってほしいと望むのは、私たち模型マニアすべての願いです。つまり、完成した模型の外観ができるだけ実物に忠実であるほど、私たちの満足感は大きなものになります。まるで、実物を手に入れたような不思議な気持ちにさせてくれます。模型をあちらの方向から、こちらの方向から眺め回して、ひとり悦に入っている人の顔が思い浮かびます。世の中のスケールモデラーはすべて、この実物らしさを日々追求しています。中には、もともとのキットのままでは飽きたらず、より細部まで実物を再現するために、部品を自作して取り付けたり、市販のエッチングパーツを取り付けて、ディーテールアップしたりする人もいます。キットのままでは、見るからにプラスチックの感じがするので、塗装して少しでも実物らしさを追求したりもします。しかし、これらのすべての努力は、もとのキットのできが良くなければ、成り立ちません。前置きが長くなりましたが、この実物に忠実であることは、日本ホビーKKが非常に大切にしていたポイントです。いわば、第一の製品戦略が実物に忠実であることでした。

 この画像は、日本ホビーKKのカタログに載っていた一場面です。(資料提供:松井康真氏)販売店向けのカタログだったようで「精度にきびしいお客様に安心しておすすめ下さい。」と書かれています。余談になりますが、右上の自衛隊の方たちの写真の中央の隊員の足下が消えかけています。何となく「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出してしまいました。