みなさんは、他の戦車模型でこのように縦長のボックスアートをご覧になったことがありますか。斬新な構図とパットン将軍の肖像が描かれたこの箱を見て、私はこどものころ、ひどく感激したものです。パットン将軍といえば、「パットン大戦車軍団」という映画に登場するパットン将軍ですが、私はボックスアートの肖像を先に見ていましたから、随分違うなーと感じました。映画のパットン将軍はスマートできびきびしていて、しかもハンサムです。この肖像の方は、結構年輩の感じですよね。それから、私はパットン将軍とM48A2パットン戦車の知識はこのボックスアートからスタートしていますから、映画に登場するシャーマン戦車とパットン将軍はどうもつながりません。ちなみに、ウォーカーブルドッグのニックネームで呼ばれるM41も当のウォーカー将軍は搭乗したことはないのです。

さて、当時1/20スケールのM48A2パットンの模型としては、ニチモのビッグパットンが製品化されていました。ある人が、どちらかがコピーしたのではないかと疑っていましたが、両者をよく比較すると、別物であることがわかります。特にマンモス戦車シリーズはご多分に漏れずシャーシはすべて共通です。したがって、日本ホビーのこの模型は車体上部とシャーシの関係がすこしミスマッチです。特にキャタピラの幅というか車輪の幅がうすくこのボックスアートのように、フェンダーいっぱいにキャタピラがしめているのではなく、多少内輪になっています。つまり、幅がフェンダーより狭くなっています。ただ、車体前面の曲面を表現するためにシャーシの前面に曲面の別部品をカバーして、それらしく見せかけています。一方、ニチモのビッグパットンのシャーシが正確かというと、必ずしも正確ではなく、単1電池が縦置きにできるほど深さがあり、やはりあの曲面の底板は表現されていません。現代の技術水準のものとは、比較できない欠点を持ち合わせていることは確かです。古き良き時代の大型モデルです。

マンモス戦車シリーズはその後、M24やセンチュリオンも計画されていたのですが、実際は製品化されませんでした。ちらしを見てまだかまだかと待ちわびたものです。

(画像提供:松井康真氏)