ミニ4駆を分析する(その2)

ミニ4駆が曲線コースを走れるわけ

ミニ4駆はそれ自体では、ステアリング機構を持っていませんから、そのまま走行させれば、まっすぐにしか進みません。これはまさに、昔のモーターライズのカーモデルそのものです。異なる所と言えば、4輪が駆動される点と猛スピードが出ることだけです。こんな、直進しかしないものなのに、コースで走らせると、オーバルや8の字のコースを自在に走っています。これは、ミニ4駆のバンパーに相当するところに、ローラーが取り付けられていて、コースとコースを区切っている壁にこのローラーを接触させ、壁をガイドにして曲がるようになっているからです。車を前進させる力のベクトルはまっすぐ前方に変わりはありませんから、右に曲がるときにはボディーの左側を浮き上がらせる力が働いているはずです。つまり、右側の前輪、後輪は路面の左右方向に対しては滑りながら前進力を発生し、左側の前・後輪は路面から離れ前進力は発生しません。代わりに左側のローラーが壁の上を車輪のようにころがって車を右に曲がらせる役目を果たしているのです。ゆっくり走行したのでは、車体を浮き上がらせるほどの力は発生しませんが、とにかく目で追いかけることができないほどのスピードで走行するので、こんな芸当が可能なのでしょう。

模型とコースはセット

つまり、ミニ4駆は、模型単独で楽しむものではなく、あのコースとセットではじめて楽しめる代物なのです。スタートさせたら、後はなるようにしかならない宿命を持っています。壁と車の組み合わせで決まる相性のようなものを、試行錯誤で探る楽しみのようです。こういう表現だと、まだかっこいいのですが、言い換えれば、前進するスピードを落とさずに、いかにあの壁から飛び出さないようにカーブで浮き上がる力を押さえられるかという楽しみなのです。ですから、日頃から走り慣れているコースならばかなり特性もわかり、うまく走らせることができるのですが、レース大会のように、あらかじめ多くの練習ができない場合には、ある想定で調整するしかありません。勘や経験だけでスピードを競っても、落胆が多き過ぎはしないかと心配になってしまいます。少なくとも、私はとてもこのような時間をこの遊びにかける気にはなれません。やはり、その道のエキスパートがいるのでしょうから、おまかせすることにしたいと思います。

イベント企画がカギ

メーカーはメーカーで、各地でイベントを企画してレースに参加してもらわなければ、模型キットを売ることができません。「田宮模型の仕事」という本の中にも、その辺の話が出ています。最近、青島文化教材社から、「テクニ4駆」という、ミニ4駆と類似の模型が売り出されるようになりましたが、青島は田宮と同じように全国展開でイベントを企画していくつもりなのでしょうか。模型そのものは遜色なくても、この遊びはコースと車の両方がセットなので、対抗するのは、難しいのではないでしょうか。(大きなお世話ですが。)家庭用の小型のコースセットも売り出されているようですが、やはり小規模なコースではすぐ飽きてしまいます。その昔、スロット・レーシング・カーが流行した頃にも家庭用のコースセットが売り出されていましたが、同様のコンセプトだったのだと思います。それ以外にも類似品を出そうという他メーカーの動きもあるようで、田宮だけに儲けさせたくない気持ちは分かりますが、何となく情けない気がします。

チューンナップと称して

ミニ4駆は、短時間で組み立てられ、非常に単純な仕組みのカーモデルです。ところが、いざまともに走らせようとすれば、コースの特性にあわせて、試行錯誤を要求されます。メーカーは、いろいろなグレードアップ・パーツを売り出して、チューンナップと称してあおっていますが、本当に効果があるのでしょうか。このグレードアップ・パーツも、田宮以外のメーカーが売り出しているものもあり、店によってはかなり豊富にそろっています。パーツをいろいろ付けると、はじめの模型キットの値段より、オプションの値段の方が上回ってしまいます。私は、このようなパーツの中に、自分のオリジナル工作に使えるものがないかと、ときどき見ているのですが、全くと言っていいほど、ありません。あのパーツの何分の1でもいいから、汎用に使えるパーツを売り出してくれたら、工作に役立つのになあと、溜息が出てしまいます。

 

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