工作教室

ispGALで小型化した2CH戦車用アンプ

最近の回路設計では、PLD(Programable Logic Array)と呼ばれる、LSIを使うことが一般的になっています。PLDの中にはあらかじめ多数のAND,ORといったゲートやFLIP-FLOPといった基本素子が組み込まれています。利用者はプログラムによって論理回路を設計してこのLSIに書き込むだけで、内部で配線がされ、希望の回路ができあがるという、非常に便利なものです。PLDを使うメリットはとにかく、小型に出来ることです。当然プリント基板の配線も少なくて済みますから、実装も楽になり、配線ミスも減ります。また、回路をソフトウェア的に設計できますから、試作の手間が非常に少なくなります。もちろん、最終的にはプリント基板に実装して、動作確認が必要ですが、回路変更も個別ICを使用するよりはるかに簡単に行えます。その他、回路がLSIの中に入ってしまいますから、回路の内容は外側から見ることができず、回路をコピーされることが少なくなります。

左の図は、今回ispGALに組み込んだ回路を図にしたものです。回路の原理はDMD M-02とまったく同じです。個別ICで回路を構成したDMD M-02では、できるだけチップ数を減らすために、データセレクタを使いましたが、今回はチップ数を気にせず、論理通りに設計できました。これも、PLDのメリットです。水色の部分が1チップに収まっています。この回路をそのまま個別ICで製作すると7個のICが必要になります。

ispGALとは  PLDの一種で、ラティスセミコンダクタ社の製品です。ゲートの集積規模はあまり大きくないのですが、今回の回路程度でしたら、十分です。ispはIn System Programableの略で、プリント基板に取り付けてしまった後でも、部品をはずすことなく、電気的に回路を書き換えることができることを表しています。これは大変なメリットです。どうしても間違いはつきもので一度で正しい回路を作ることができないことが普通です。回路の変更の度にICを取り外していたのではパターンも痛みますし、手間もバカになりません。その点基板に取り付けたまま中身を書き換えられるのでとても便利です。今回使用したのはispGAL22V10という型番のICです。

左の画像に、DMD M−02(左)とM−02G(右)を示します。横幅は約5センチ、縦が約3.5センチと約1.5センチほど小さくなりました。左の基板中央のIC4個が、右側の基板中央のispGALに置き換えられました。今回もパワーMOSFETは同じものを使用しました。

プリントパターン図(PDFファイル)

左の画像はispGALに回路を書き込むライターです。パソコンのプリンタポートに接続して使用します。回路は論理式をエディターで記述し、アセンブラでアセンブルします。アセンブラの出力するファイルはJED形式のファイルです。これを、ISP形式に変換した後、プリンタポートから出力します。ライターは、書き込みプログラムによって制御され、ISPデータを書き込みます。

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