サーボモータの動作説明

受信機のデコーダで各チャンネルに分離された信号は、サーボアンプに入力されます。サーボアンプでは、まず入力信号によりモノマルチをトリがします。このモノマルチの時定数を決めるポテンショメータは、出力の駆動メカニズムに結合されており、現在の回転角度を検出するようになっています。言い換えれば、回転角度情報をモノマルチのポテンショメータにフィードバックするようになっています。さて、入力信号とモノマルチの出力は同時に比較器に入力されます。これら2つのパルスの極性は逆に設計されていて、比較器では、入力信号のパルス幅の方が長ければ正極性、モノマルチのパルス幅の方が長ければ、負極性の差分パルスが得られます。この差分パルスを駆動回路で平滑化しモーターを正方向または逆方向に駆動します。モーターは駆動メカニズム(減速ギア)を通じてトルク板を回転させ同時にポテンショメータを回転させます。ポテンショメータの動きは、先ほどの差分パルス幅が減少する方向になっていますから、入力信号とモノマルチのパルス幅が一致すると、モーターの回転は停止します。しかし、厳密にはモーターは駆動信号を停止してもわずかではありますが、慣性力で回り続けます。したがって、モーターが完全に停止したときには、停止する前の回転方向とは逆の方向の回転力を与える差分パルスが発生することになります。そこで、ふたたびモーターは回転し、何度か回転方向を変えるうちに、目標の位置に停止します。(制御では振動が収束すると言います。)この停止するまでの制御の感度を向上させるためには、差分パルス幅が短いときにも、モーターを電源電圧いっぱいに駆動できるように設計する必要があります。逆に、目標位置での停止までの時間を短くしたければ、短いパルスではモーターが駆動されないような設計にする必要があります。この二つの条件は相反する特性なので、兼ね合いが難しいところです。本来は制御ループを理論的に解析すべきなのですが、モーターと駆動系を等価回路に置き換えるのは簡単ではないので、私は行っていません。代わりに、次の点に注意してメカニズムを設計すれば、うまくいきます。アマチュアとしてはこの程度で良しとしましょう。

(1)モーターはできるだけ少ない電流で動くものを使用する。  

少ない電流で動くと言うことは、パルス的に駆動されても敏感に反応できるということです。

(2)モーターはできるだけイナーシャ(慣性力)が小さいものを使用する。 

イナーシャが小さければ目標位置付近で行き過ぎる量が少なくなります。また、ギアで減速する量を減らせるので、反応スピードを向上させられます。

(3)ギアのモジュール(歯の細かさ)を小さくする。 

ギアのモジュールが小さければポテンショメータの分解能を上げることになり、目標位置の検出を正確に出来ることになります。また、バックラッシュも少なくすることができるので、やはり目標位置検出が正確になります。ただし、モジュールを小さくするとギアの強度が落ちるので、材質を丈夫なものにする必要があり、また、限界もあります。

(4)モーター駆動トランジスタにパワーMOS−FETを使用する。

これは、必須条件ではありませんが、できればこの方がスイッチングスピードが速く、電源電圧いっぱいに駆動できるため、性能は向上します。