工作教室

5.RE140を6V用に改造

現在一般的に使用されているラジコン装置の電源電圧は4.8V(6V)が一般的です。一方、一般に市販されているマブチモーターのRE140やFA130は1.5Vから3Vで使用するように作られています。これらのモーターに4.8V(6V)をかけると、勢いよく回りますが、無負荷状態でも1アンペア以上の電流が流れます。この状態ではノイズが激しく出て受信機の誤動作の原因になるばかりか、長時間これを続けると、ブラシに穴が空きいずれ壊れてしまいます。特にサーボアンプをマブチモーターに接続して使用するためには、どうしても巻き直しが必要です。サーボアンプのドライブトランジスタはマイクロモーターを前提にしていますから、そのまま接続すると発熱し、ひょっとしたら定格オーバーで壊す恐れがあります。そこで、マブチモーターを4.8V(6V)で使用できるように、巻き線を巻き直してみました。

田宮の1/16RCキングタイガーの砲塔旋回装置に使用されているRE140は7.2Vのバッテリーから電源を取るようにしているので、どうしているのか分解して調べましたが、やはり、通常市販されているRE140とは巻き線の太さや巻き数が異なっています。電流を計ってみると数100ミリアンペアしか流れません。このモーターを入手できればわざわざ巻き直しなど不要なのですが、自分で巻き直しができると何かと便利なのでぜひ方法を覚えてください。

モーターのプラスチックカバーをとめている爪を時計ドライバー等を用いて慎重に起こします。(2カ所)爪が起きたら、カバーをシャフトに平行に静かに引いてください。無理な力を加えるとブラシを曲げてしまい、後々接触不良の原因となりますから気をつけてください。

爪が適切に起こされていれば、カバーは簡単に開けられます。硬いようなら、もう一度爪の起こし方を確認してください。ここで、ブラシの様子や整流子(コミュテータ)の様子をよく観察して構造を記憶してください。組み立てる際、必要になります。

モーターの金属ケースから、回転子(ローター)を取り出します。前面のシャフトを押してやれば簡単に取り出せます。整流子にはグリスがついていますので指につけないように気をつけます。

取り出した回転子の整流子の部分にはブラシとの摩擦を押さえたり電気火花を押さえる目的で、接点用のグリスが塗られています。ドライバの先などで一時的に取り去ります。

取ったグリスは組立の時に使用しますので、適当な紙に塗り付け保存しておきます。

マブチモーターは3極モーターです。各極の巻き線を接続している整流子の電極をカッターを使って起こしてやります。うすく半田付けされていますが、カッターで簡単にはがせます。

現在巻かれている線をほどきます。

巻き直しには、0.12φのポリウレタン線を使用します。写真のように数キロ単位ボビンに巻いて売っています。

巻きはじめは絶縁皮膜をはがして整流子の極に巻き付け、右巻きに巻きます。巻き終わりは隣の整流子の極に軽く巻き、続けて巻きます。すべて同じ右巻きにしなければなりません。巻き数は各極170回です。できるだけ均等に巻かないとゆるんできますし、170回巻けなくなりますから、慎重に行ってください。

全部の極の線を巻き終わりましたら、絶縁皮膜をもう一度慎重に(線を切ってしまわないように)はがし、半田付けします。元通りに電極を折り曲げる形でとめたいところですが、折れてしまいそうなので、半田付けした方が無難です。なお、整流子を組み立てている枠はプラスチックですから、あまり熱をかけすぎないようにしてください。

これで、巻き直しは完了です。回転子を金属ケースにもどし、整流子に、保存しておいたグリスを塗ります。次にプラスチックのカバーを取り付けますが、2枚のブラシの間に整流子が挟まれるように静かに取り付けます。取り付けたら爪を曲げる前に1度電池をつないで、回るかどうか確認します。うまく回れば、爪を元通りに曲げて出来上がりです。

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