隠し剣弧影抄

藤沢周平


★★★★★★
 昭和51年〜53年にかけて発表された短編連作7篇を収録。
 各話は、それぞれ個性豊かな秘剣を伝えられた、剣の達人が織りなす人生ドラマです。小説中で必死に、本当にひたむきにそれぞれが信じる道を生きる人々の姿は真にリアルであり、現代人である我々も共感を得る部分は多いと思います。短編集ながらその背景は共通世界を成し、その緻密な設定が楽しみを増してくれました。
 あと、決まったページ数で毎回きっちり話をまとめ上げる構成力には驚きました。特に「暗殺剣虎ノ眼」の真の伝承者とか、「必死剣鳥刺し」の最の描写等は、思わず唸ってしまいました。
 各話40ページ弱であり、仕事から帰って一日一話読むには丁度いいボリュームでした。皆さんも、寝る前に読んでは如何でしょうか?

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1999/03/13更新

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