岩波新書

諸葛孔明
三国志の英雄たち

立間祥介


★★★★★
 三国志を読んで誰もが憧れるのが諸葛孔明ではないでしょうか。三国志、私は高校時代に本ではなく横山光輝のマンガで読みました。吉川英治の「三国志」が原作となっているこの本は、漫画界でも歴史に残る名作だと思っています。当然私も知謀溢れ、忠誠心に厚いこの男に憧れずにはいられませんでした。
 今回読んだこの本は、三顧の礼以後彼の関わった事件を中心に実際の孔明がどのような人物であったかを、歴史資料を元に考察していきます。大まかな歴史的道筋はマンガで読んだ通りですし、これを読んで後、登場人物のイメージにも特に変化は無かったです。肝心の諸葛孔明ですが、彼の劉備への忠誠心に筋を通した生き方が示しているとおり、人徳という面では間違いなく蜀の国随一の人物だったのではないでしょうか。彼の死後も中国の人々が彼に対して抱いている尊敬の念もそれを示している事実だと思います。細かい実績を見ていくと、内政的手腕については本当にできる人だったようです。ただ、軍事的指導力はその気まじめさの為か、マンガほどの天才的な印象はありませんでした。奇策連発で敵を寄せ付けなかったイメージは、その後の孔明信仰が生み出した産物であり、小説の脚色であったかもしれません。まぁ遥か昔の歴史上の人物ですから、我々のイメージなんてそんなものでしょう・・・。いずれにしても、彼が私にとってのヒーローであることは今後も変わりありません。

見聞録へ戻る


ムランボ王国ホームへ

1999/08/16更新

SINCE 1999/08/16 K.Murumbo