放課後。
 土曜だと言うのに、運の悪いことに今日は掃除当番
だったりする。
 しかも、今日の担当区域は広い1階廊下だ。
 ペタペタペタ…。
 端から端までモップ掛け。
 はい、終了!
 オレは教室へと戻った。
 あ〜あ、腹減った。

 さて、これからどうしようか?

 2階を歩く。

 よし、2階を歩くぞ。


 一年の廊下前で、両手にモップを持って掃除してる
女生徒を見掛けた。
 あの大きな耳の飾り。
 見間違うはずがない、メイドロボのマルチだ。
 一生懸命、床をゴシゴシやっている。
 オレは声を掛けた。
「よう、マルチ」
「あっ、浩之さん」
 オレの顔を見ると、マルチはぱっと顔をほころばせ
て、小走りに駆け寄ってきた。

「いま、お帰りですか?」
 にっこりと微笑んで言う。
「まあな。お前は、まだ掃除が終わんねーのか?」
「はい」
「ご苦労さん。ところで、その他のヤツらはどうした
んだ? 見当たらねーけど…」
「いません」
「いない?」
「はい。みなさんお忙しいそうで、先に帰られました」
 なんだよ。
 ロボットだからって、みんなに掃除を押しつけられ
ちまったのか。

 しょうがねーヤツだな。

 A、いっちょ、手伝ってやるか。
 B、ま、がんばれよ。