授業が終わった放課後の教室。
 オレは鞄を取って、校庭を見下ろせる窓辺の席から
立ち上がった。

 さて、これからどうしようか?

 家に帰る。

 今日はもう帰るか。


 なんとなく気が向いたので、ゲーセンにやってきた
オレは、すぐ目の前にあるバス停で、見知った後ろ姿
を見掛けた。
 うちの制服を着た、ちっこい女生徒。
 特徴的な耳の飾りは、間違いない、マルチだ。
 オレは近寄って声を掛けた。
「うっす、マルチ」
「あ、浩之さん、こんにちは!」
 振り返ったマルチは、笑顔で応えた。

「よっ、バス待ちか?」
「はい」
「今日はひとりか? 友達のほうはどうした?」
「セリオさんは、まだ来てないんです。…というより、
わたしが時間より早く来すぎちゃったんです。…あと
15分ほど待たなきゃいけないんです」
 マルチは時計を見ながら言った。
「ふーん」

 そうだな――。

 A、ゲーセンで遊ぼうか、と誘う。
 B、挨拶して別れる。