5時間目の休み時間。
 滅多に通ったりしないクラブハウス前で、ばったり
と来栖川先輩に会った。
「よおっ」

「…………」
「え、なに? こんにちはって? おう、こんちわ。
こんなとこでなになってんの? まだ放課後じゃない
ぜ? えっ、ネコに餌やってたって? …ネコって、
この前のクソ…いや、黒ネコか。もしかして、部室で
飼ってんの? まあ、見つかんなきゃいいけどさ」
 そのとき。

『んにゃ〜〜〜〜〜〜〜ん』
 例の可愛くない黒ネコが現れた。
『んにゃ〜〜〜〜〜〜〜ん』
 可愛くないネコは先輩の足もとに近づくと、甘える
ように体をすり寄せた。
 すっかりなついてやがる。
 スリスリ…。
 なんとなく、ムカつく。

「けどさ、先輩」
「……」
「そうやってると、その黒ネコって、なんだか先輩の
使い魔って感じだよなあ、ははは」
 オレが冗談半分でそう言ったときだ。
 先輩の足もとで、可愛くない黒ネコが、まるで人間
のように、
 ――にやり
 と、笑ったのだ。
「…………」

 ――ははは、気のせいだよな。


 放課後

一緒に帰ろう