記事タイトル:貸倒償却(フランチャイズ契約) 


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お名前: ち-こ   
フランチャイズ契約から生じる本部側の取引は加盟店の不履行が予想された場合には貸倒償却は
できないと先輩から聞いたのですが、これは正しいでしょうか。

先輩いわく、貸倒償却をする場合、貸方に債権が計上していなければだめだと、この場合は差入
保証金として本部側はまず、計上し、加盟店側の不履行があった場合、その実費を差入保証金か
ら差し戻すとのことです。

どなたか教えてください。
[2001/08/15 10:13:38]

お名前: ぐれ    URL
こんにちは、ち-こさん

お書きになった文章からは、何が起こったのか、少し把握しづらいので、いくつかの例に
分けて考えてみたいと思います。まず、フランチャイズ契約においては、通常、最初に営
業保証金を受け入れていますから、フランチャイザー側では、以下のような処理を行って
いるのではないかと思います。預り保証金(受入保証金)はいずれ返還するので負債です。

(借)現金預金  ××× (貸)預り保証金 ×××


1.フランチャイジーに売り上げた原料の代金が回収できなくなった

フランチャイジーに原料を掛けで売り上げた際には、

(借)売掛金   ××× (貸)売上    ×××

としています。売掛金が回収できない事情が生じた場合、まずは受入保証金をその代金に
充当するでしょう。つまり、本来返還するはずだった債務をもって、売掛債権と相殺して
いることになります。いずれにしても、保証金を「充当」していますから、貸し倒れては
いないです。その分は回収できたことになります。

(借)受入保証金 ××× (貸)売掛金   ×××

それでも足りない部分があれば、これは貸倒損失となります。貸倒償却という科目を使う
こともあります。

(借)貸倒損失  ××× (貸)売掛金   ×××


2.ロヤルティの未収分が回収できなくなった

代金が回収できなくなったのと同じです。ロヤルティという収益を支払期限が到来するた
びに認識しているのであれば、たとえば、

(借)ロヤルティ未収金××× (貸)受入ロヤルティ ×××

などの処理を行っていることと思います。この未収金部分が上の売掛金に該当します。科
目名はよくわかりませんので、例にすぎません。ロヤルティ未収金も売掛金と同じく、営
業によって生じた金銭債権ですから、売掛金と同じように処理します。

他方、ロヤルティについて、実際に回収するまでは収益を認識していなかったのであれば、
ロヤルティ未収金のようなものを計上していないわけですから、まずは受入保証金をロヤ
ルティに充当します。

(借)受入保証金 ××× (貸)受入ロヤルティ ×××

それでも足りない部分については、そもそも収益たる受入ロヤルティを計上していないの
で、費用を計上する必要はありません。収益が発生しなかっただけのことです。


3.フランチャイジーの離脱により、損害賠償金が発生した

この場合は、貸方に損害賠償による収益を計上します。まずは受入保証金をこれに充当し、
不足の分は未収金として計上します。これも科目は仮設的なものです。

(借)受入保証金 ××× (貸)受入損害賠償金 ×××
   未収金   ×××


ここまで、受入保証金をほいほいと充当してきましたが、預かっている保証金を充当でき
る範囲については契約で定めているはずなので、それを超えて充当することはできません。
超える分は、フランチャイジーに返還しなくてはならないはずです。また、損害賠償金や
ロヤルティについても、これがいついかなる額で発生するのかは、契約に定められている
はずなので、これに従います。上で書いたことは、実際にこれらが発生したときには、こ
ういう感じで処理すればいかがでしょう、というほどのことです。念のため。
[2001/08/18 09:30:44]

お名前: ち-こ      
ぐれさん ご回答ありがとうございます.

フランチャイズへの売上代金およびロイヤリティの未収分の回収などの受入保証金の役目がよく
わかります.とくに仕訳を用いてのご説明が明解です.
フランチャイズの経理に関して明るい人が少ないのでぐれさんみたいな方がおられて
助かりました.
[2001/08/21 15:04:05]

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