こんにちは、MIKEBOWさん
ご理解いただけるように説明できるかわかりませんが。
１．１００％子会社
１００％子会社も合併も経済的効果は似ています。若干の差として思いつくのは、以下の
ようなことでしょうか。どれも合併でもできないことはありませんが、子会社として分離
しておけば「事実上やりやすい」という程度の差があります。
まず、本体と子会社を会計的にクリアに分けておきたい場合があります。１つの会社にし
ても内部的にきちんと分けておけば良いわけですが、子会社にしておけば自動的にきちん
と分かれます。会社の１事業部門を売り払おうと思っても、実際的には結構めんどうです
が、子会社なら最初から分離されていますし、株を譲渡すれば良いのでスピーディです。
また、親会社と子会社が違う会社であることは、親会社の企業文化と子会社の企業文化を
事実上融合させないことにもつながります。親会社と全く異なる事業を子会社が営んでい
る場合、融合させない方が良い場合があります。例えば、人事政策・給与政策などの企業
管理システムや、商品ライン・企業イメージなどの対顧客戦略などが挙げられるでしょう。
親会社が戦略的に行わないことにしている、他社へのＯＥＭ供給などの外販も、子会社な
らやりやすいです。
さらに、法的に、分離しないとできない事業もあります。たとえば銀行は兼業が制限され
ており、本体でぜんぜん別の事業を営むことができないのですが、親会社が別事業を営む
ことは必ずしも禁止されていません。
最後に、合併の場合、被合併会社の旧株主は合併会社の株主として残りますが、これを良
しとしない場合、いったん１００％子会社にすることもあります。
２．営業譲渡
営業というのは、事業部や支店などの事業のカタマリをイメージしていただければ良いと
思います。事業というのは、ある事業目的に沿って、いろいろな財産（土地とか建物とか
ヒトとか、さまざまな権利や義務、知識など）をカタマリとして運用していくモノです。
これらの構成要素をばらばらに売ったり買ったりすることもできますが、カタマリである
ことに（きちんと組織されていることに）大きい意味があるのです。
例えば、ある製品を作る事業をゼロから立ち上げるには、そのための工場を作ったり、そ
こで働く経験を持ったヒトを集めたり、仕入先を開拓したり、販売先を探したり、という
ように、大変です。営業を買ってしまえば、わりに簡単にその事業を始めることができま
す。
営業譲渡というのは、こういう意味の「営業」を売り買いすることを意味します。他方、
合併と申しますのは、複数の会社が契約して１つの会社になってしまうことです。合併は
商法に従い、特別の手続きや条件を満たさなくてはなりませんが、その代わり、特別のメ
リットがあります。メリットのなかでも大きいのは２つです。
イ）合併する会社の一部が解散と同時に消滅する
（めんどうな清算手続きは不要）
ロ）解散会社の権利義務はすべて一括して当然に存続会社に移行する
（いちいち移転のための手続きをしなくていい）
そして、解散会社の株主は存続会社の株主になります。
営業譲渡の場合は、譲渡した企業は当然には解散しません。一部の営業を譲渡して、残り
の事業を継続する場合もあります。また、営業譲渡の場合、譲渡のための手続きをしなく
てはならないぶん面倒ですが、他方で、全部ではなくて「どれを譲渡するのか」を選ぶこ
とができます。
社名変更は、営業を買い受けた会社がそれにより事業の範囲が広がって、社名が実態を表
さなくなったので、変更する場合や、買い受けた営業にくっついていた名前も一緒に譲り
受けて、その名前に付随するいろいろな効果を活かすために、これを使う場合などがあり
ます。営業譲渡＋社名の変更ですね。
思いつくのはこのあたりです。
[2001/09/02 10:50:16]