こんにちは、ち-こさん
どんなふうにご疑問なのかが、文章からは読みとれないので、まったく違うことを書いて
しまうかもしれませんが。
１．セールス・ミックス
普通の企業はいくつかの種類の製品を売っています。近い将来においてそれぞれの販売量
がどうなったら利益はどうなるか、を考えるのがＣＶＰ分析です。それぞれの種類の製品
の販売量を自由に変化させながら検討しても良いのですが、そうするといくつもの組み合
わせが存在するかもしれなくて、ちょっと頭の中でやるには複雑です。
そこで、製品がいくつかある場合に、製品の販売量を増やしたり減らしたりというあたま
のなかの実験をするに当たり、販売される各製品の構成割合（すなわちセールス・ミック
ス）が一定であるという仮定を置きます。
つまりＸ製品とＹ製品があれば、たとえばＸ：Ｙ＝３：２という組み合わせは変えないも
のとして考えるわけです。そしてＣＶＰ分析をするときには近い将来に予想される販売単
価について一定の予想値を使いますから、この比率は、販売個数の比率を使っても、売上
高の比率を使っても良いのですが、通例、売上高の割合を使います。
つまり、セールス・ミックス一定とは、たとえばＸ製品とＹ製品の売上高の割合がａ：ｂ
であると仮定してＣＶＰ分析を行う場合の、この仮定のことをいいます。
２．生産数量と販売数量
ＣＶＰ分析は、近い将来において、希望しているある利益を達成するためには、どれだけ
製品を販売すべきか、について考える分析です。ところでここで「ある利益」といってい
るのは、「会計上の利益ではない」のです。
たとえば、来期に１００個製品を作ったけど、１個も売れなかったとしましょう。簡単の
ため、販売費及び一般管理費は全く存在せず、また製造原価はすべて固定費としましょう
か。すると、売上高はゼロです。そして、製造原価は固定費なんですが、１個も売れてい
ないのですから、すべてが次の期に繰り越されていき、来期の売上原価はゼロです。です
から利益はゼロです。これが会計上の利益です。
たしかに利益はマイナスではないし、倉庫の製品という資産もあるのですが、こんなこと
を毎期毎期続けていったら、売れもしない製品がどんどん倉庫にたまるばかりで、企業は
倒産です。あたりまえですね。とりあえず固定費の分のお金を払わないといけないのに、
１円もふところに入ってこないのですから。
ＣＶＰ分析は「どのくらい売る努力をするのか」に関わる分析なので、こういう性質を持
つ会計上の利益を念頭に置くわけには行かないのです。それではどうするか、というと、
固定費はとにかくかかるのだから、売上高から引いてしまいます。そして、ＣＶＰ分析の
結果「これだけ売るぞ」と決めたら、それに近い個数を作るので、とりあえず販売分の変
動費も引きます。その結果残った利益を「利益」と考えて分析するのです。
作ったけど売らなかった若干の製品については、変動費を繰り延べますが、まあこれくら
いはＯＫでしょう、という発想です。
というわけで、売れた分に対応する売上高と変動費、そして固定費のすべて、これだけを
使って損益分岐点を求めるわけですから、「作った個数」は登場しないのです。そもそも
損益分岐点を求め、そこから無理のない生産量を決めようとしているので、生産量が独立
に決まってくるわけではないのです。
というあたりでいかがでしょう。
[2001/07/29 21:35:51]