書き込み欄へ
ヘルプ
お名前： 源太
ある社が時価会計導入に伴って発生した、有価証券の評価益を長期投資に計上したと新聞
にありましたが、評価益は特別収益にはならないのですか。
[2001/06/15 08:47:32]
お名前： ぐれ
ＵＲＬ
こんにちは、源太さん
【金融商品基準関連：９９回検定には適用はありません】
その記事を読んだわけではありませんが。評価益を認識する有価証券は、売買目的有価証
券とその他有価証券です。
− 売買目的有価証券の場合
評価益は営業外収益に計上
− その他有価証券の場合
評価益は資本の部に「その他有価証券評価差額金」として計上
長期投資に計上と書いてあるとすれば、それは「その他有価証券」をふくらませた部分を
指して言っているのだと思われます。
[2001/06/15 10:33:14]
お名前： 源太
ぐれサン有り難うございます。
なるほど、借方「資産：その他有価証券のふくらませた部分」
／貸方「資本の部：その他有価商品評価差額金」と言うことですか。
評価アップ部分は収益ではなく資本となるのですね。よく分かりました。
ただ、なぜ売買目的有価証券と投資有価証券を分けるのですか。
直接、簿記試験には関係ないのですが実務上知りたくて、すみません。
[2001/06/15 13:08:41]
お名前： 借金大魔王
会計規則の世界的標準（グローバルスタンダード）として時価会計があげられるのですが、
我が国でもそれを踏まえ、金融商品会計基準に時価会計を導入しました。
有価証券では
�〇�価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券・・・売買目的有価証券
�∨�期まで所有する意図をもって保有する債券および企業支配株式
・・・満期保有目的等有価証券
��上記以外の有価証券・・・・その他有価証券
以上を時価評価するに当たり、�，砲弔い討呂發箸發隼�価の変動で利益
（損失になることもある）を得るのが目的なので、時価法で評価し
その評価損益はＰ／Ｌに反映します。
�△里Δ繊∨�期まで所有する意図をもって保有する債券はインカムゲインが目的なので
償却原価法で評価し、その評価損益（アキュム・アモチ等）はＰ／Ｌに反映します。
企業支配株式は原則として、売却の意思がありませんので、取得原価となります。
（時価が１／２以下になった時の評価損は時価会計が導入される前からのものです。）
��は時価会計により時価でＢ／Ｓにのせるべきものですが、
時価による損益を意図していないものですので、評価損益をＰ／Ｌに反映させず、
資本の部で「評価差額金」を計上するのです。
法人税の規定とごっちゃになって、ラフな説明です。
「評価差額金」は細かく言えば税効果会計を考慮すべきものです。
[2001/06/15 13:47:38]
お名前： ぐれ
ＵＲＬ
こんにちは、源太さん
難しいご疑問で、納得いただけるようにご説明できるかどうかわかりませんが。
現行制度上、資産をいくらのものとしてＢ／Ｓに載せるか、について、原則として、その
資産を手に入れるときに払った額で載せましょうね、ということになっています（取得原
価主義）。なぜかと申しますと、
１）企業の外のヒトになんらかの支払いをしているわけですから、領収書もあるし、誰が
見ても、うそではないとわかります。客観的だし、チェックもできます。
２）評価益というものは、実際にお金が入ってくるわけではないです。ところが、利益を
立ててしまえば、やろうと思えば「配当」として株主に払うこともできます。会社の
財産をあてにして会社にお金を貸したりしていたヒトにとっては、晴天のへきれきな
事態にもなりかねません。
しかし、取得原価主義には問題もあります。
３）むかし取得した資産だったり、急激に価値が変動したりしているときには、企業の財
産の実態をあらわさないＢ／Ｓになります。一般のヒトにとってわかりにくいです。
４）その資産を売り払ったら、たまりにたまった時価との差（保有損失、保有利得）が一
度にどかんとあらわれてしまいます。
まとめますと、多くの資産については時価といっても誰もが納得するちゃんとした時価と
いうのは手に入りにくいし、おかねが実際に手に入っていないのに利益を計上して配当し
てしまうのもまずい。一般の人にとって会社の財産の状態がいまいちわかりにくいのは、
あきらめてもらい、むしろ会社債権者を守ろう。一般の人にはむしろＢ／ＳよりもＰ／Ｌ
の方が直近の成績を反映していて投資判断に役に立つだろうし、それでよかろう。だいた
い、長期間持っているつもりの資産を毎期毎期時価評価してもあまり意味がないじゃない
か、というような考え方が続いてきたわけです。ただ、保有損がどかんとあらわれるのも
困るので、低価基準を容認したり、強制評価減を行ってきたわけです。
これはそれなりに尊重すべき考え方であるわけですが、バブルの時代の資産価値の急増と
その崩壊後の資産価値の急激な下落時には、取得原価主義の問題がむしろ顕著にあらわれ、
これでいいのか、という議論がまきおこったのです。
そこでもう少し細かく資産を見ていこうじゃないか、ということになりまして、金融商品
の評価の方法が変更になったのも、その一環なわけです。ここでようやく源太さんのご疑
問にたどりつくことになります。ここでは、取得原価主義においては「がまんしてもらっ
ていた」一般のヒトの利益を重んじる考え方が前に出てきます。
一般のヒトと言いましたが、企業会計において一般のヒトを重んじるのは、この人たちが
投資家として参加するからです。つまり、投資家にいかに情報を提供するか、ということ
が大事だという考え方にたつことになります。Ｂ／Ｓだって、ちゃんとわかるようなモノ
にしてくれないと投資できないじゃないか、という投資家の声に答えようとしたのです。
第一に、評価が客観的に行われなければ投資家にとってもその情報はなんの意味もありま
せん。この点でも取得原価主義の方がベターであるのは変わらないです。しかし、有価証
券については、ちゃんとした市場もあるものが多く、客観的な評価が可能であろうという
ことになります（市場価格のない場合、たとえば株式であれば取得原価によることになっ
ています）。
第二に、売買目的有価証券なら、もともと売ったり買ったりしようとしているものですか
ら、これを時価で評価したときの損益は、売買目的有価証券をいずれ売り払ったときに生
じる損益とその性格がとても類似しています。だから、時価評価情報は、非常に有用な情
報なのです。さらに、今回ちょいと我慢してもらうことになった会社債権者ですが、売買
目的有価証券なら、もともと売ろうとしていたわけで、いざとなれば（つまりいますぐ倒
産なんてことになったら）売り払うのが当然でして、お金こそ手に入っていないものの、
ほとんどそれに近いものがあります。だから、評価益分を配当してもそれほど大きい問題
にはならないのです。
第三に、これに対し、その他有価証券は、そもそも目的からして多様で、一律に論じるの
は難しいです。しかし、時価評価が客観的に行われる限り、時価評価情報が、投資家にと
ってのプラスαの役に立つ情報であることは疑いないでしょう。ただ、その他有価証券の
なかには、業務提携のためにお互いの株を持ち合うように、持ち続けることそのものに意
味があるものも多々あります。すぐに売り払うわけにはいかないのです。会社債権者のこ
とを少し考えてあげると、評価益を配当するのはまずそうです。
また、この有価証券を保有するという「企業の決断」の成果は、事業全体がうまくいって
いるかどうか（あるいは関係する営業がうまくいっているかどうか）ということになりま
すが、その成果は既に営業利益までに反映されているはずです。時価評価による評価損益
は、もともとの決断とは関係なく、たまたま生じたという性格が強いのです。
このように、すぐに売り払うことには問題があることなどを勘案して、評価損益を当期の
損益に反映させないことにしました。時価評価しつつ、損益に影響させないと言うことは、
計算上、資産の増分が「そのまま」資本の増分になってしまうということです。それで、
評価差額を資本の部に計上することになったのです。その性格上、資本を構成するほかの
要素と異なることから、これを他の要素と区分して記載することにしています。わたしは
これをいわば会計上の技術として捉えています。
（もちろん、資本の本質から説明なさる方もいらっしゃると思います）
なお、評価益はこのように処理しつつ、評価損だけは営業外費用とする手続きも認められ
ましたが、これは従来からある低価基準（保守主義の考え方から認められてきました）を
残したものです。
というわけで長いわりには。。という説明になってしまいましたが、ご関心があれば、
「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」を読んでごらんになると、いろんな
ことが書いてあって楽しいかもしれませんです。
[2001/06/15 15:21:33]
お名前： 源太
借金大魔王さん、ぐれさん 懇切な回答有り難うございました。
お二人がおっしゃつた、
「��は時価会計により時価でＢ／Ｓにのせるべきものですが、
時価による損益を意図していないものですので、評価損益をＰ／Ｌに反映させず、
資本の部で「評価差額金」を計上するのです。」
「すぐに売り払うことには問題があることなどを勘案して、評価損益を当期の損益
に反映させないことにしました。
時価評価しつつ、損益に影響させないと言うことは、計算上、資産の増分が
「そのまま」資本の増分になってしまうということです。それで、評価差額を資本
の部に計上することになったのです。その性格上、資本を構成するほかの
要素と異なることから、これを他の要素と区分して記載することにしています。」
あたりをポイントに、プリントアウト読ましていただき理解したいと思います。
本当に有り難うございました。
[2001/06/15 17:16:33]
このテーマについての発言をどうぞ。
※半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る