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お名前: ほほほのほ
キャッシュフローの計算やCVP分析の問題などで、
よく加重平均資本コスト率を求める問題が
ありますが、それについてふと疑問に思った事があります。
資本コスト、というからには支払利子や配当の事ですよね?
ということは当然、営業外もしくは利益処分としての現金の
流出(支払利息、配当金として)があるはずです。
ところが日商1級のどの過去問題を見ても資本コストに伴うキャッシュアウトを
考慮に入れていません。一方で資本コストがかかるといっておきながら、
何故この分の現金流出については考慮していないのでしょうか?
私の勘違いがあるのかもしれませんが、よろしくお願いします。
[2001/05/24 09:36:08]
お名前: いりのい
ほほほのほさんへ
にわかには信じられないかもしれませんが、考慮しているのです。
ポイントは3つあります。まず1つはキャッシュフローには支払利息等の現金流出額を
含めないことです。含めてしまうと、割引計算をするときに、支払利息の2重計算を
することになってしまいます。現時点で1000円の投資を行い、1年後に1100円のイン
フローがあるとします。この時、割引率が年利10%とすると、この投資案の正味現在価値は、
1100円÷(1+0.1)−1000円=0円
となります。さて、この投資案を実行する場合、現時点での投資額1000円を銀行から
借入れたとし、1年後に利息とともに返済するとします。利率は年利10%とします。
ここで、損益計算書を考えてみます。1年後に受け取るキャッシュインフローは売上高、
現時点での投資額はこの1年間の売上原価となると考えてみます。
損益計算書(下線は省略)
売 上 1100
売上原価 1000
支払利息 100
利 益 0
となります。さきほどの正味現在価値が0円ということは、損益計算書で支払利息
を差し引いた後の利益が0円ということと同じです。つまり、割引計算を行うと
ちゃんと利息も考慮していることになるのです。
ふたつめのポイントは、割引率として加重平均資本コストを使うことです。
ほほほのほさんの疑問にもあるように、支払利息やら配当金の支払いやらの
現金流出があるのは事実です。上のポイントでは、支払利息だけを説明しましたが、
支払配当金も含める必要があります。ただし、その場合、配当金の支払いは損益計
算書には計上されませんので、注意してください。ともかく、支払利息や支払配当
金のような、投資額の調達に関するコストをまとめて資本コストと言います(負債
のことを他人資本、資本のことを自己資本と呼ぶことと対応しています)。資本コ
ストを計算する際には、他人資本と自己資本とでは、要求されるコスト率が異なる
ので、加重平均したものを使います。これが加重平均資本コストです。
最後のポイントに入ります。ある投資案は実行するためには具体的な資金調達方法
を決めます。それでは、ある投資案の正味現在価値を計算する際に、特定の資金調
達方法を前提にした資本コストを割引率にするのかというと、そうではありません。
仮にそうしたとすると、同じ投資案であっても、資金調達方法の違いから資本コス
トが異なり、その結果正味現在価値が異なることになってしまいます。こうしたこ
とを防ぐために、違う投資案であっても同じ資本コストを使うのです。この資本コ
ストのことを全社的加重平均資本コストと言います。全社的加重平均資本コストを
使う際には、前提条件を必要とします。「当該投資案を実行しても全社的なリスク
には影響を与えない。」というのが前提条件です。これをきちんと理解するには、
財務論の学習が必要となります。日商1級では前提条件が満たされている場合だけ
が出題されているようですから、全社的ではない加重平均資本コストのことは考え
なくていいでしょう。実務では当然重大なポイントになります。
かなり高度な内容ですが、同でしょうか。わからないことがあればわからない個所
を指示してください。
[2001/05/26 00:34:05]
お名前: ほほほのほ
いりのいさん、非常によくわかりました。
丁寧に教えて下さってありがとうございます。
ただ、ご察しの通り、全社的加重平均資本コストを使う際の
前提条件についてはよくわかりませんでした。^^
「当該投資案を実行しても全社的なリスクには影響を与えない」
とありますが、では反対に、影響を与える場合、というのは
どのような場合なのでしょうか?
またお願いします。
[2001/05/28 13:28:27]
お名前: いりのい
ほほほのほさんへ
次のような場合を考えていただくとよいと思います。
ある会社の月間操業度は毎月ほぼ一定である。そこへ夏場だけよく売れる製品を開発した
ので、これに関する設備投資を行ってこの製品を市場に出すかどうかの意思決定に直面し
ている。
当然、この投資案を実行すると、月間操業度は一定でなくなり、夏場は高い操業度、それ
以外の季節は低い操業度ということになります。こうした季節変動の大きい会社は計画ど
おりに企業活動を行うのが困難となります。つまり、リスクが増すことになります。そう
すると、株主の期待利益率を表す自己資本のコスト率は高くなる。
おおむねこういう話です。分かってもらえましたか?
[2001/05/29 00:54:25]
お名前: ほほほのほ
確かに1級の試験には出そうにありませんね。
(出ても困る、、。^^)勉強になりました。
いりのいさん、ありがとうございました。
[2001/05/29 16:32:43]
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