はじめまして。文面の内容からしますと総合建設業者ではなく専門建設業者とみうけました。
何故、こう言う書き出しをしたかと言いますと、専門業者であれば工事が長期には成らないだろうと判断したからです。（長期とは１年を超えるか超えないかで判断しました）
yasufumiさんの会社では、工事完成基準を採用されていると推測します。
よって、始めは、工事完成基準で話を進めていきます。
工事完成基準の定義は⇒工事が完成し、その引渡しが完了した日に工事収益（売上）を計上
するという事ですね。（通常の商店なら商品を販売した日と言う事です）
上記の例は工事の途中に請求書を出していると思いますので、ここでは仕訳の必要はありません。
決算を向かえても（工事が完成するまで）何の処理もしません。
但し、下請けへの(yasuhumiさんの会社から見た下請け）支払い等も出来形（＝出来高と解釈して話します）で、なされているはずです。
この場合は仕訳が必要になります。
（未成工事支出金） ｘｘｘ （現 金） ｘｘｘ
１２月３１日決算になりました。
貸借対照表上は工事収益（売上）が計上されるまで（工事が完成するまで）このまま
未成工事支出金（資産）として繰り越されます。
元請業者からは１回も入金がないと言う前提で話をしましたが、１２月３１日までに１回でも
入金があれば途中で次のような仕訳がなされています。
（現 金） ｘｘｘ （未成工事受入金） ｘｘｘ
回収する側も同じく、ここで決算を向かえた（１２月３１日）になった。
未成工事受入金（負債）として繰り越されます。
ｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘｘ
今までは、工事完成基準で話をしてきましたが、工事進行基準だと処理が異なってきます。
それでは、工事進行基準とは⇒決算を向かえたときに、工事の進行程度を見積り、適正な工事
進行率によって工事収益（売上）の一部を当期に計上しようと言う事です。
極端な言い方をしますと、この工事は完成するまで３年かかるとします。（工事金額３億円）
１年目は全体の約３０％出来ました。
それなら、今年は９,０００万円売上にしときましょう。（３億円ｘ３０％）という事です。
ですが、この９,０００万円は本当にこれで良いのかと、言うのは３年経ってみないとわからないのです。それで、工事の進行程度を見積り、適正な工事進行率によって・・となるわけです。
ならば、３年経ってから３億円いっぺんに売上しましょう。間違いもないし、これが工事完成
基準なのです。
工事完成基準は、全ての収益・費用が出揃ってから損益計算しましょうということです。
正しい決算が出来ました。万万歳です。？ 何か？おかしいですよね。
会社としては、１年目（売上 ０）、２年目（売上 ０）、３年目（売上 ３億円）
会社は１年で終わる訳ではありません。会社は継続して行く事を前提に皆さんが（yosihumiさんも車輪の１つです）仕事をしているのです。
そこで、正しい期間損益計算が必要になってくるのです。
１年目（9,000万円） ２年目（1億5,000万円） ３年目（6,000万円）などと
工事の進行度合いに応じて工事収益（売上）を計上しましょうとなった訳です。
こちらの方が合理的ではありませんか。ここに工事進行基準の考えが出てくるのです。
工事進行基準を例をまじえて追っていきましょう。
(１)工事請負金額 ￥１０,０００,０００
実際１０００万円の工事が３年もかかる訳ではありませんが、計算の都合上そうしました。
(２)工事期間３年
(３)各年度毎の工事原価の発生額と、各年度末に見積もった完成までに掛かるだろうと
推定される原価の見積り額（実行予算書等より工種毎推定でしょうか）
年度毎の工事原価の実際発生額 翌年以降完成までに予想される工事原価
の見積り額
１年目 ￥１,４００,０００ ￥５,６００,０００
２年目 ￥４,３００,０００ ￥１,８００,０００
３年目 ￥２,３００,０００ ￥０（３年で完成の為翌年はなし）
(４)工事が予定通り３年で完成し、引渡しも完了した。
(５)工事請負金額￥１０,０００,０００の内、出来高に応じて施主さんより入金あり。
１年目（１回目） 工事着手金（着手前）￥２,５００,０００
２年目（２回目） 出来高払い(７０％) ￥４,５００,０００
３年目 入金なし
４年目（３回目） 竣工検査完了後残額 ￥３,０００,０００
※３回目の回収は４年目とする（竣工検査は３年度末⇔集金は４年目）
[��]１年目＝１回目とする
�〇楴腓気鵑茲蠑�切手回収
（現 金）２,５００,０００ (未成工事受入金)２,５００,０００
��工事原価の実際発生額（下請け支払い・材料代支払い・賃金給料支払いなど）
(未成工事支出金)１,４００,０００ (外注費・材料等)１,４００,０００
��１年目の決算を向かえる
(未成工事受入金）２,０００,０００ (工 事 収 益)２,０００,０００
(工 事 原 価) １,４００,０００ (未成工事支出金)１,４００,０００
工事収益（売上）の計上の仕方⇒回収(２５０万円）なのに売上（２００万円）の理由
★工事原価の進捗度（進行度）に応じて収益を計上する。★
１年目原価(実際発生) ￥１,４００,０００
完成までの見積原価 ￥１,４００,０００＋￥５,６００,０００
１年目原価を総原価から見た割合￥１４０万÷￥７００万＝０．２(＝２０％）
工事収益 ￥１０,０００,０００×０．２＝￥２,０００,０００
未成工事受入金[負債]勘定残高￥５００,０００は２年目へ繰越される。
[��]２年目＝２回目とする
�〇楴腓気鵑茲蠑�切手回収
(現 金) ４,５００,０００ (未成工事受入金) ４,５００,０００
��工事原価の実際発生額
(未成工事支出金) ４,３００,０００ （外注費・材料等) ４,３００,０００
��２年目の決算を向かえる
(未成工事受入金）５,０００,０００ (工 事 収 益) ５,６００,０００
( 工事未収入金 ) ６００,０００
(工 事 原 価) ４,３００,０００ (未成工事支出金) ４,３００,０００
未成工事受入金の￥５００万は１年目の繰越金￥５０万と２年目にもらった￥４５０万
２年目の工事収益の計上の仕方
★１年目と同じように工事原価の進行度に応じて計上する。
1年目＋２年目の原価(実際発生額) ￥１,４００,０００＋￥４,３００,０００
＝￥５,７００,０００
完成までの見積原価 ￥５,７００,０００＋￥１,８００,０００＝￥７,５００,０００
１年目＋２年目の原価を総原価からみた割合￥５７０万÷￥７５０万＝０．７６(＝７６％)
工事収益 ￥１０,０００,０００×０．７６＝￥７,６００,０００
この￥７６０万は１年目と２年目の工事収益(売上)の合計額になります。
依って、２年目の工事収益は￥７６０万−￥２００万＝￥５６０万となります。
１１行上に、工事未収入金￥６０万ありますが工事収益（売上）に対して施主さん
より回収した額が少なかったという事です。
[��]３年目＝・・回目とする
�〇楴腓気鵑茲蟆鷦�⇒０ 仕訳なし
��工事原価の実際発生額
(未成工事支出金) ２,３００,０００ (外注費・材料費等) ２,３００,０００
�９�事完成引渡し（竣工検査完了）＝施主さんより完了証明あり
( 工事未収入金 ) ２,４００,０００ (工 事 収 益) ２,４００,０００
(工 事 原 価) ２,３００,０００ (未成工事支出金) ２,３００,０００
３年目（工事完了＝実際の引渡し年月）の工事収益
★ 工事請負金額−今まで工事収益（売上）を計上した額
￥１,０００万−（￥２００万＋￥５６０万）＝￥２４０万
工事原価の計上はその年[当該年度]に実際発生した額をそのまま計上する。
[��]４年目＝未回収分の回収処理（３回目）
�〇楴腓気鵑茲蟾�事代金の、残金をもらった。
(現 金) ３,０００,０００ (工事未収入金) ３,０００,０００
最後に、yasufumiさんからお問い合わせの件、工事進行基準で処理しますと
�仝祇繕伴圓慇禅畚馗鷭�(１１月ｘｘ日の仕訳）
( 工事未収入金 ) ｘｘｘ (工 事 収 益) ｘｘｘ
但し、費用・収益対応の原則からしまして、この請求に対する原価の計上が必要です。
(工 事 原 価) ｘｘｘ (未成工事支出金) ｘｘｘ
�� １２月３１日決算をむかえた。
仕訳 （必要なし）⇔ 何故なら１１月ｘｘ日に工事収益（売上）計上済み
�� ２月ｘｘ日
（現 金) ｘｘｘ （工事未収入金) ｘｘｘ
出来形で請求書を提出されているということは、まだ、工事は終わっていないと思いますので、工事完成基準で処理されたら如何でしょうか。要するに請求書を出した時点では、何も処理しなくてもよろしいかとかんがえます。が？
あえて、処理方法を考えますと、割賦販売等で行われている対照勘定法が有りますが、建設業においては殆ど実施されていません。
企業会計原則で認められているのは、工事完成基準と工事進行基準の２通りです。
建設業の勘定科目は通常の製造業と違い独特の科目ですので下に記しておきます。
製 造 業 建 設 業 同種企業における類似科目
（売 掛 金） （工事未収入金） [完成工事未収入金]
（仕 掛 品） （未成工事支出金） [半成工事支出金]
（前 受 金） （未成工事受入金） [未成工事前受金]
（売 上） （工 事 収 益） [完成工事高・工事収入]
（売 上 原 価） （工 事 原 価） [完成工事原価]
こまごまと書いてしまいました。かえってわかりずらくなったかも知れません。ね！！
ご参考までに。一生懸命にやっておられる姿が目に浮かびます。
[2002/01/31 14:42:38]