圧縮記帳は補助金を受け入れた期の税負担を繰り延べるために行われます。
話を簡単にするため以下のような具体例を設定します。
(1) 有形固定資産の取得価額 = 200万
(2) 国庫補助金受入額 = 100万
(3) 減価償却:残存価値を0とし、5年で償却する。(定額法)
(4) 減価償却費を控除する前の利益は5年間毎期100万とする。
(5) 法人税率は50%とする。
A. 圧縮記帳しない場合
(1年度P/L)
減価償却費控除前の利益 1,000,000
減価償却費 ▲ 400,000 ← 200万÷5年
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経常利益 600,000
国庫補助金受贈益 1,000,000
--------------
税引前当期利益 1,600,000
法人税等 ▲ 800,000
--------------
当期利益 800,000
(2〜5年度P/L)
減価償却費控除前の利益 1,000,000
減価償却費 ▲ 400,000
--------------
税引前当期利益 600,000
法人税等 ▲ 300,000
--------------
当期利益 300,000
B. 圧縮記帳する場合
(1年度P/L)
減価償却費控除前の利益 1,000,000
減価償却費 ▲ 200,000 ← (200万−100万)÷5年
--------------
経常利益 800,000
国庫補助金受贈益 1,000,000
圧縮損 ▲ 1,000,000
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税引前当期利益 800,000
法人税等 ▲ 400,000
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当期利益 400,000
(2〜5年度P/L)
減価償却費控除前の利益 1,000,000
減価償却費 ▲ 200,000
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税引前当期利益 800,000
法人税等 ▲ 400,000
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当期利益 400,000
C. 税額の比較
1年度 2年度 3年度 4年度 5年度
A. 圧縮記帳しない 80万 30万 30万 30万 30万
B. 圧縮記帳する 40万 40万 40万 40万 40万
以上のように圧縮記帳をしない場合、補助金を受け入れた期の税金額が
一時的に多くなる反面、2年〜5年度の税金額は圧縮記帳をした場合に
比べ、減価償却費が多い分税金額が少なくなっています。
せっかく補助金をもらって固定資産を取得したのに、その年に税金という形で
もっていかれる額が増えてしまっては補助をした意味が薄れます。
また、補助金はもう使って(支出して)しまったので手元になく、これで税金を
たくさんもっていかれたら資金ショートする危険性が高くなります。
減価償却期間中に支払う税額合計は変わりませんが、圧縮記帳をすることに
よって、支払う税額の年次の偏りが調整されることになります。
[2001/01/26 21:30:52]