記事タイトル:新株引受権付社債 


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お名前: ペス   
 平成11年12月1日 新株引受権の30%が権利行使され新株を発行した。なお、社債
は平成10年7月1日に新株引受権(分離型)額面総額60,000千円を次の要領で発行
したものである。
 発行価格:額面100円につき100円(社債部分の発行価格90円、新株引受権の価格
 10円)
 権利行使価格:1株(額面500円)1,000円(資本金への組入れ額は商法規定の最低
 限度額)
 新株引受権の付与:社債額面100円につき100円
 償還期間:5年 新株引受権の行使期限:平成15年3月31日
 利率:年3% 利払日:6月30日と12月31日の年2回
なお、前期は一括法で処理したが、当期末に区分法に変更し、前期の処理を修正する。

 (社債発行時)
   (現金預金)   54,000千円   (社債)   60,000千円
   (社債発行差金)  6,000千円
   (現金預金)    6,000千円   (新株引受権) 6,000千円
 という仕訳が、平成10年7月1日になり、そして平成11年12月1日に

 (新株引受権の行使)
   (社債)     18,000千円   (資本金)     9,000千円
                       (新株式払込剰余金)9,000千円
   (新株引受権)   1,800千円   (資本準備金)   1,800千円
 という仕訳になるというところまでわかるんですが、社債発行差金の償却のところが
わかりません。「前期の修正」というところと、前期の貸借対照表に社債発行差金がない
ところから社債発行差金を戻すんですが、そのときの仕訳がわからないのです。
加えてそれとは別に期中取引として「新株引受権行使による払込高 18,000千円」
というのもあって、「行使するのになんで現金払うんだ?」というところもわかりません。
[2001/06/02 21:14:46]

お名前: ぐれ   
こんにちは、ペスさん

まず後ろのご疑問についてですが、ひとことで申しますと、新株引
受権付社債とはそういうものなのです。区分法において明瞭にあら
われてまいりますように、新株引受権付社債はふたつの部分に分か
れます。

社債   =償還日に額面金額を返してもらう権利
      + 利息をもらう権利
新株引受権=権利行使価格により現金を払って新株を発行してもら
      うことができる権利

新株引受権を通称「ワラント」と申しまして、これだけを社債と分
離して売買することもあります。もともと、新株発行においては、
会社がタイミングと発行価格を決めますし、誰に対して発行するか
を決める権利も会社が持っています。

ワラントは、あらかじめ「いくらで発行するか」を決めた上で、ワ
ラントを持っているヒトは、「請求すれば必ず発行してもらえる」
という権利を持ち、タイミングも期間内であればワラントを持って
いるヒトが決めることができます。

そう言う意味で「権利」なのです。株価の動向を見ながら、うまい
タイミングを見計らって新株の発行を求めていくのです。社債の対
価として支払った部分は、あくまで社債の対価であり、新株を発行
するときの払込金にはなりません。したがって、おっしゃっている

》(新株引受権の行使)
》 (社債)     18,000千円   (資本金)     9,000千円
》                     (新株式払込剰余金)9,000千円
》 (新株引受権)   1,800千円   (資本準備金)   1,800千円

というのは正しくなく、以下のようになります。

 (新株引受権の行使)
  (現金)     18,000千円   (資本金)     9,000千円
    ̄ ̄                 (新株式払込剰余金)9,000千円
  (新株引受権)   1,800千円   (資本準備金)   1,800千円

なお、蛇足ですが、転換社債の場合は、社債そのものを消して、こ
れに対し払い込まれた金額を新株への払込金に充当します。ワラン
ト債はちょっと違うわけです。

   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎

さて、そこで前のご疑問ですが、お書きになった部分には、会計期
間が与えられていないため具体的な計算ができないので、考え方だ
けを書かせていただきたいと思います。

区分法によるならば、ワラント債の発行時にお書きになった仕訳が
なされるはずですが、一括法によっていたため、過年度においては
社債発行差金は認識されておらず、したがって償却もなされていま
せん。

〔発行時:一括法〕
(現金預金)   60,000千円 (社債)   60,000千円

〔決算時:一括法〕
仕訳なし

となっていたわけです。もし区分法であれば、以下のような仕訳が
なされていたはずです。

〔発行時:区分法〕
(現金預金)   54,000千円 (社債)   60,000千円
(社債発行差金)  6,000千円
(現金預金)    6,000千円 (新株引受権) 6,000千円

〔決算時:区分法〕
(社債発行差金償却)×××     (社債発行差金)×××

したがって、一括法から区分法にするためには、そのずれを埋めて
あげれば良いので、

(社債発行差金)     △△△  (新株引受権) 6,000千円
(過年度社債発行差金償却)×××

となります。この社債発行差金の額は6,000千円から償却済で
あるはずの×××を差し引いた額となります。

再び蛇足ですが、ワラント債所有者の権利行使によって、社債自体
は動きませんので、当期においては社債発行差金は動いていません。
つまりこの△△△は期首の社債発行差金の額になります。

転換社債ときちんと区別してお考えになると、わかりやすいのでは
ないかと存じます。
[2001/06/03 12:01:12]

お名前: ペス   
 ぐれさん、どうもありがとうございました。よくわかりました。確かに転換社債とごちゃ混ぜ
になっていたようです。
 ちなみに「新株引受権」がすべて行使されたときに借方に社債勘定がくるのでしょうか?
[2001/06/03 19:40:45]

お名前: ぐれ   
こんにちは、ペスさん

新株引受権は、社債とは別のモノとお考えになる方がよろしいかと
存じます。新株引受権は「いずれ資本準備金になるんだけど、いま
は未だなんです」という暫定的な「負債」として存在しております。
新株引受権が行使されますと、少しずつ資本準備金に振り替えられ、
行使され終わると新株引受権がなくなって、すべて資本準備金に含
まれることになります。

この間、社債はたんたんと社債として処理されていき、償還日になっ
てようやく借方に社債が来るわけです。社債は社債、ワラントはワラ
ント、ですね。

ちなみに新株引受権が行使されずに行使期限をすぎますと、

(借)新株引受権 (貸)新株引受権戻入れ益

というふうに利益になってしまいます。だから最初から資本準備金
にしてしまうことができないのです。


なお、これはあくまでもご参考なのですが、非常に特殊な例として、
新株引受権を行使したときに現金を払い込むのではなく、社債を代
用に宛てるという契約があることがあります。この場合は、おそら
くペスさんがお考えの方法に近い仕訳になると思います。しかし、
こうした特約のあるワラント債についての問題を見たことがありま
せんので、通常はこれまで述べたような方法で、社債と新株引受権
を別々にお考えになるのがよろしいかと存じます。
[2001/06/03 21:09:36]

お名前: ペス   
 ぐれさん、ありがとうございました。
[2001/06/03 22:57:32]

お名前: matoba   
新株引受権付社債の発行体の会計処理についてはよくお見かけするのですが
所有する側の処理について教えてください。
まず、新株引受権と社債とが明確に区分できていない発行条件の場合でも分離把握しなければ
ならないのでしょうか?
その場合どのように分けるのでしょうか?
区分処理した場合償却原価法の適用は行うのでしょうか?
[2002/01/26 22:15:16]

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