記事タイトル:繰延積送諸掛 


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お名前: とめお   
みなさん助けてください。
残高資産表には、借方繰延積送諸掛90千、  借方 積送諸掛5、800千円とあります。
問題分に、
積送諸掛のうち、172千円は、受託者の引取費(当期積送品に対する全額)である。とあ
ます。
これは何を言いたいのでしょうか?
答えを見ると、172千円を当期積送品の金額で割って、期末積送品を掛けて繰延ています。
受託者の引取費だけを繰延てる意味がわかりません。

基本的な質問で、躊躇しましたが、どなたか教えてくださいませんか?
分かりにくければなんでも書きこんでください。
宜しくお願い致します。
[2001/07/02 22:54:18]

お名前: ぐれ    URL
こんにちは、とめおさん

委託販売の「積送諸掛費」には、大別して、

A積送時に生じた発送諸掛(受託者側から見ると引取費用)と、
B受託者が立て替えた諸掛及び受託者の受取手数料と、

が含まれる可能性があります。

A 発送諸掛

積送時に生じた発送諸掛は、

〔A−1〕積送品原価に算入して積送品勘定で処理する方法と、
〔A−2〕販売費として積送諸掛費勘定で処理する方法と、

があります。本問ではA−2の方法が採られていることがわかります。発送諸掛は原価算
入される場合があることからもわかるように、そのうちどの部分が、当期に実現した「売
上」という収益と対応するかが明確にわかるものと考えられています。そこで、売れた分
に対応する部分は当期の販売費とし、売れ残りに対応する部分は翌期以降の販売費にする
ため繰り延べていくのです。

ここで費目別原価計算を思い起こしてみれば、「引取費用」とは外部副費のことであり、
それは運賃、荷役費、保険料、関税等を指すことになると思われます。(外部副費のうち
買入手数料は積送しただけでは生じないでしょう)

このほかに内部副費が考えられますが、特段の指示がない場合は期間費用として処理する
のが一般的かと思われます。

B受託者の販売手数料

ここでも、

〔B−1〕委託者が受託者売上高で積送品売上高を計上する方法と、
〔B−2〕委託者の手取額で積送品売上高を計上する方法と、

があります。本問では、「引取費」以外に積送諸掛費があることから、おそらくB−1の
方法が採られているものと推察されます。

B−2の方法によれば受託者の販売手数料は売上から直接控除されますから、販売手数料
は明示的に表示されることはありません。他方、B−1の方法によれば、これが販売費と
して表示されることになります。

いずれにしても、販売手数料は販売した分について請求するのが一般的なので、当期に実
現した「売上」という収益と対応していますから、繰り延べることは少ないと思われます。
もちろん、まだ売れていない分の費用も請求されていることが問題文に指示されていれば、
やはり繰り延べていく必要があります。


以上のように、積送諸掛費勘定には複数の内容が含まれることがあること、特段の指示が
ない場合のそれぞれの性質と処理の方法、を知っているかどうか、を問う問題となってい
るのではないかと思われます。
[2001/07/03 09:16:44]

お名前: ぺこぽこ   
ぐれしゃん、凄いな〜惚れ惚れ。(*^-^*)

とめおさん、ちょいと便乗質問させて下さいまし。
販売手数料が積送諸掛とする場合と積送販売費にする場合ってのは残高試算表で判断するしかないのでしょうか?
[2001/07/03 10:15:46]

お名前: とめお   
ぐれさん書きこみありがとうございました。
ホントに惚れ惚れする解答ですね。あちこちで名前は拝見しますが、いつも興味深くみてます。
また何かありましたらお願い致します。
[2001/07/03 11:40:38]

お名前: ぐれ    URL
こんにちは、ぽこしゃん、とめおさん

照れるです。

「販売手数料を積送諸掛とする場合と積送販売費とする場合」の意味が微妙に取りにくい
のではありますが、一応、受託者が委託者から受け取る「販売手数料」ということでおは
なししたいと思います。

この販売手数料は、受託者が委託者のために積送品を売ってあげたことに対する報酬であ
り、委託者の側からすれば、その積送品を売るために必要だったコストです。ですから、
販売手数料は「積送品に関係する販売費」としての性格を持つと考えて良いでしょう。

そして、受託者は通常、販売完了した分についての販売手数料を請求しますから、売上と
きれいに対応しており、全額を当期の費用として良い(繰り延べない)ことは既におはな
ししたとおりです。

さて、これを会計的に表現する方法としては、「(売上高−売上原価)−販売費」の形に
するのが普通ですが、委託販売の場合、売上代金から常に差し引かれるという関係にある
こともあってか、「(売上高−販売費)−売上原価」と表現することがあるわけです。こ
れは(売上高−販売費)を「売上高」と(強引に)呼ぶ方法なわけです。

そして「(売上高−売上原価)−販売費」の形になっていれば、販売費が独立の科目になっ
ていますが、これを「積送諸掛(費)」と呼ぶか、「積送販売費」と呼ぶかは、特にきま
りはないのではないかと思います。わたしは寡聞にして「積送販売費」という勘定科目は
見たことがないのですが、合理的な名前であると思います。どういう名前であれ、P/L
上は販売費及び一般管理費のところに書きます。どちらを使っているのかという指示は、
おっしゃるように、試算表などで使われている科目名をみるしかないように思われます。

以下はちょっとご質問とは、ずれますが。

委託販売はこのように多様な処理の仕方があって、どれが原則と言うこともないため、問
題文から読みとるのがちょっちめんどうなのですが、こんなふうにチェックしてはどうで
しょうか。

→ 「繰延積送諸掛費」など積送関係の「繰延××」勘定があるか?

   → あれば、それは委託者が発送するための「発送諸掛」を含んでいる
    (受託者側が立て替えた費用をも繰り延べるなら問題文に明示の指示がある)

      → 積送諸掛費に発送諸掛だけでなく販売手数料を含んでいる場合、試算表
        からではわからないから、問題文に明示の指示がある
       (通例、「売上金額は受託者の売上金額を計上している」という表現)

→ 繰延××がなければ、販売費が並んでいるあたりに「積送××」勘定があるか?

   → あれば、それは受託者が委託者に請求する「販売諸掛」である
    (ということは発送諸掛は原価算入しているということであり、
     また、売上金額は受託者の売上金額を計上しているということでもある)

→ 「積送諸掛費」などの勘定が見あたらない

   → 発送諸掛は積送品の原価に算入しており、
     販売手数料などの諸掛は売上金額から控除している
    (「売上金額は委託者の手取額を計上している」)


思ったよりもバラエティは少ないのではないでしょうか。試算表からもかなりのことが読
みとれますし、重複して明示の指示がある場合も多いように思います。
[2001/07/04 00:01:18]

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