第89回の第5問について是非教えていただきたく、書き込みさせて頂きました。
よろしくお願いいたします。
<全部原価計算方式>
1.売上原価の計算で、
変動製造原価
固定製造原価
を計算する根拠として、なぜ販売個数の数値が使われているのでしょうか?
私は、「製造」なので、製品勘定の当月生産個数を使って計算してしまったのです。
2.問題文中「固定製造間接費の製品単位当たり(正常生産量1,000単位) 2,500円」
という記述があるのですが、特に( )の中の意味が分かりません。
私は、1,000個迄は、期間総額2,500,000円を使って、生産量が1,000個を越えると、
次の1,000個迄は、2,500円という意味だと最初思いました。
しかし、2,500円という半端な数字が出てくる訳ないと思い、
次に、1,000個を越えたら、越えた分だけ、1個につき2,500円かかるのだと
思いました。
後者が正解のようですが、そうなると、( )内の、「1,000単位」というのは
どういう意味なのでしょうか?
又、1,000個を切った場合には、その分固定費が還元される、というのも
「固定」費ではないのではないか?という疑問が沸いてきてしまいます。
(以上の場合は、最低●●円を越えている為、なんとなく理解できるのですが。)
これに対するご説明を教えていただければ幸いです。
3.原価差異の計算で、
第1期 @2,500円×1,000個(生産量)−2,500,000円= 0
第2期 @2,500円×1,200個(生産量)−2,500,000円= 500,000円(貸方)
第3期 @2,500円× 700個(生産量)−2,500,000円=△750,000円(借方)
とあり、操業度差異との解説から、前の数字が実際金額、後ろの数値(2,500,000円)
が予定金額だとわかり、損益計算書への記入でも、第2期は△500,000(余った)
とし、第3期は+750,000(余計にかかった)とすることが納得できるのですが、
そもそも「操業度差異」であることはどうして分かるのでしょうか?
<直接原価計算方式>
4.固定費の計算で、各期とも、固定費の合計額は、3,500,000円ですが、
この場合、2.の
「固定製造間接費の製品単位当たり(正常生産量1,000単位) 2,500円」
が全く考慮されていないのはどうしてなのでしょうか?
直接・全部原価形式の基本が分かっていないことが招いた質問であるとは
思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。
意味不明な個所も多々あると思われ、申し訳有りません。
[2001/10/07 11:57:54]
89回の5問ですが、難易度はとても高いと思います。
なんか93回の5問もそうですが、94回以前では、ちょっと異色(他の問題と違う)という気も
します(もしかして作問者が違うのかしらん)。
個人的には、出題自体をなかったことにしてくれるとあり難いのですが………(意味不明)。
【出題の意図】
質問にお答えする前にこのように連年での「全部原価計算」と「直接原価計算」との損益計算
書をなぜ作成させるのか?について触れておきます。
93回の5問も同様なのですが、基本的な製造に関する条件はいずれの年も変わりません。
変わるのは、製品の生産量と販売量です。
これらが変わることによって「全部原価計算」と「直接原価計算」の利益が変わるということ
がわかっているかどうかを試したい訳です。
「直接原価計算」では、製造固定費を製造原価に含めず、期間費用(その期の費用)として処
理します。
結局、「全部原価計算」と「直接原価計算」の利益とでは、「全部原価計算」での期末及び期
首の棚卸資産(製品等)に含まれる固定費部分が違いとなってあらわれる訳です。
生産量と販売量との違いは、製品の在庫(期末・期首)数量に影響しますよね。
【製造間接費に関する前提】
この問題でのすごく大きな前提としては、製造間接費が予定配賦(正常配賦)されています。
製造間接費を予定配賦する場合には、まず、予算期間(1年)での製造間接費の予算額を出し
ます。
この製造間接費の予算額は、一年間のごくあたりまえの(正常な)状況を想定して算出されま
す。
ちょっと小難しい言葉でいうと、正常操業度のもとで製造間接費の予算をたてる訳です。
問題の「製造固定費の製品単位当たり(正常生産量1,000単位)………2,500円」というのは、
(固定)製造間接費の予算に関する資料ということになります。
すぐ上の「固定製造間接費の期間総額」というのは、これは固定製造間接費の実際発生額と考
える以外にありません(一般管理費についても同様の「期間総額」との表現がとられています
が、これは実際発生額の意味ですもんね)。
この期間総額2,500,000円を正常生産量(基準操業度)で割ると製品単位当たりの固定製造間
接費2,500円と一致します。
つまり、
この問題では、「製造固定費の実際発生額」が「製造間接費予算額(固定費)」と同額である
という前提があるのです。
いいかえれば製造間接費が「予算」どおりに実際も発生したものとして3年分の損益計算書を
つくれ、というのがこの問題です。
なお、ここでの製造間接費予算額というのは、製造間接費の予定配賦額ではありません。
あくまでも正常な操業度(問題では正常生産量)のもとでの(公式法)変動予算による予算額
です。この予算額を基礎に配賦率が算出され、予定配賦額が計算される訳です。
前置きが長くなりましたが(これが前置きなのか)、
1、
一言でいうと売上原価は、売上げた製品の(売上げた製品に見合う)製造原価だからです。売
上げに見合う(対応する)製造原価といってもよいかもしれません。
売上原価は、製造業であれば、期首製品棚卸高+当期製品製造原価−期末製品棚卸高 です。
損益計算書上は、通常次のような形で示されます。
売上原価
期首製品棚卸高 ×××
+)当期製品製造原価 ××× ← ここを出すなら生産数量が基礎
合 計 ×××
−)期末製品棚卸高 ×××
差引(売上原価) ××× ← ここを出すなら販売数量が基礎
この問題では、売上原価が一本で算出されている訳です。
もちろん計算上、上のようにきちんと期首と期末も出す形であれば、当期製品製造原価は生産
数量を基礎に計算される筈です。
この関係(損益計算書の売上原価の内訳部分)は、製品勘定の記入内容と符合します(テキス
ト等で確認してくださいね)。
2.
前提部分でも触れましたが、この資料は(固定)製造間接費の予算額に関する資料です。
前提部分がわかると解決しているかもしれませんが、いきおいで全部いきます。
正常生産量1,000単位というのは、正常操業度(=基準操業度)を意味しています。
2,500円というのは、固定費(製造間接費)の配賦率です。
これは、あくまでも配賦率(生産量1単位当たりの配賦額)であって実際の発生額ではありま
せん。
固定製造間接費の実際発生額はいずれの期も2,500,000円ということになります。
3.
んっ。
これは前後が逆ですよ。
前が予定の数字で後が実際ですよね(製造間接費の配賦差異は予定(よ)から実際(じ)を引
いてその結果が+なら有利差異、△なら不利差異って感じでおさえている人が多いと思いま
す)。
この問題には、製造間接費の実際発生額と製造間接費の予算額とが同じであるという前提があ
りました。
この前提のもとでは予算差異はでません。
逆にいうと予算差異まで計算させることはしないように問題をつくってあるといった方がよい
かもしれません。
製造間接費配賦差異は予算差異と操業度差異からなりますので、結果としてこの製造間接費配
賦差異の中身は、その全額が操業度差異ということになります。
4.の補足
これも前提部分から明らかかと思いますが、ご指摘の3,500,000は予定配賦額ではなく、実際
発生額です(製造間接費の全体)。
ご指摘の実際額が予定配賦額です。
この問題はちょっと一筋縄ではいきません。
納得するには少し時間がかかるかもしれません。
直接原価計算の出題ではあるんですけど、製造間接費の予定配賦についての理解がないとつら
いんです。
でもぜひがんばってクリアして、何としても固定費調整までいって下さいね(ってまた言って
ますが)。
[2001/10/07 22:50:00]