記事タイトル:全部原価計算と直接原価計算の違い 


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お名前: まさ   
全部原価計算と直接原価計算とでは営業利益に違いがありますが、何故違いがあるのかわかりやすくご説明ください。
[2001/10/28 15:24:43]

お名前: タカシ   
全部原価計算は、製品の製造に要した全ての原価要素で製造原価を計算します。
これに対して直接原価計算では、原価要素のうち変動費のみで製造原価を計算します。
直接原価計算というより「変動」原価計算という方が本当はわかりやすのかもしれません。
直接原価計算は、原価要素の一部のみで製造原価を計算するところから部分原価計算であると
もいえます。

直接原価計算では、変動費のみで製造原価を計算しますが、それでは固定費はどうなるのかと
いうと、いわゆる期間費用(その期の費用)として処理されます。
支払手数料なんかの費用項目と同じで、損益計算書上の費用にそのままなってしまう訳です。

全部原価計算と直接原価計算との違いは、結局、固定費の取扱いの違いとなってあらわれます。
このような取扱いの違いが営業利益に差異をもたらします。
直接原価計算では、固定費は費用(利益のマイナス項目)として処理されますが、全部原価計
算では、固定費も製造原価を構成します。

勘定で考えてみると、
【直接原価計算】
固定費            → 費用
【全部原価計算】
固定費 → 仕掛品 → 製品 → 売上原価(費用)
って感じでしょうか。

つまり、全部原価計算の場合でも、最終的には、固定費部分も売上原価という費用になること
は間違いない訳です。
ですから在庫(製品、仕掛品)が全く存在しない状態では、全部原価計算の利益も直接原価計
算の利益も全く等しくなります。

ただし、製造途中のもの(仕掛品)や未販売のもの(製品)がある場合には、こうなりません。
全部原価計算では、製造原価のうちの固定費部分は、仕掛品や製品という資産の形で翌期に繰
り越されることになります。
全部原価計算の場合には、固定費部分が製造原価に含まれ、この分、仕掛品や製品という資産
が大きくなっている訳です。
この部分は、もちろん売上原価という費用になっていません。
つまり、期末製品(仕掛品)に含まれる固定費の部分だけ全部原価計算の営業利益は小さくな
っているんです。

ですから、
直接原価計算の営業利益
−期末製品(仕掛品)に含まれる固定費
=全部原価計算の営業利益
という関係がなりたちます。
全部原価計算では、固定費部分について、金は支払ったけれど、費用にはならずに資産になっ
てしまっているので、この分の利益が少ない訳です。

翌期には、期首(前期末)の仕掛品が完成し、製品を販売すれば、仕掛品や製品という資産に
含まれていた固定費部分は、売上原価という費用(利益のマイナス項目)になります。
ですから期首製品(仕掛品)に含まれている固定費部分の影響は期末製品(仕掛品)の場合と
全く逆の関係にあることになります。

したがって、
直接原価計算の営業利益
−期末製品(仕掛品)に含まれる固定費
+期首製品(仕掛品)に含まれる固定費
=全部原価計算の営業利益
という関係がなりたつことになります。
これが固定費調整と呼ばれる考え方です。

直接原価計算はわかりにくいです。
だからいろいろな角度から考えたりしないとなかなかしっくりとはこないと思います。
特に言葉だけではつらいかもしれません。
下の方に「全部原価計算と直接原価計算の違い」というところで具体的な数字の例をあげたも
のを書いていますので、よろしかったら読んでみてください。

わかりにくかったらまたいってくださいね。
[2001/10/28 23:23:56]

お名前: まさ   
タカシさん、ご回答ありがとうございます。
何回も熟読しましたが、恥ずかしながらいまいちピンとこないのです。
どんどん深みにはまっているようです。
[2001/10/29 23:04:59]

お名前: タカシ   
売上原価そのものはピンときていますか?

売上原価は、商業の場合でいうと売った商品の買った値段(仕入原価)です。
製造業でいうと売った製品の製造原価です。

ちょっと製造業ではないですが、商業の例で考えてみます。
例えば、原価@100円(売価120円)の商品を3個仕入れます。

仕入300 現金等300

このうち2個が売れました。
現金等240 売上240

この場合の
売上原価は 300(購入総額)−100(在庫金額)=200
ですよね。
 
決算整理仕訳でいうと、
繰越商品100 仕入100 ですが、
          ↑
算式の−100というのはこれですよね。

商品を購入したときは仕入という費用をとりあえずたてますが、決算で費用になるのはここか
ら期末の商品を差し引いた売上原価なんです。
上の例でいうと
当期の仕入(300)−期末の商品棚卸高(100)=売上原価(200)
と計算されます。
費用(売上原価)になるのは、当期の仕入(300)ではなく、実際に売れた部分に対応する
売上原価(200)だけなんです。

つまり、商品の仕入300のうち 200は売上原価(費用)で100は繰越商品(資産)に
なっている訳です。

あるいは、
          −−−→ 200(売上原価という費用 → 損益計算書の売上原価)
300(仕入)−−| 
          −−−→ 100(繰越商品という資産 → 貸借対照表の商品)
と二又に分かれるって考えても同じです。

なにがいいたいのかっていうと仕入のうち売上原価にならなかったものは、資産(商品)にな
るってことです。

仕入のうちに資産になる部分があれば売上原価は少ない筈です。
売上原価が少なければその分利益は小さい筈ですよね。

製造業の場合にも基本的な関係は変わりありません。
直接原価計算では、全部費用になってしまう固定費が資産(製品等)として残ってしまえば、
その分、売上原価は小さくなり、利益は大きくなります。

できればもう少しヒントをいただけると説明もしやすいかもしれませんので、もうちょっとこ
こがわかりにくいとか、ピンとこないとかおっしゃっていただけないでしょうか。
ちょっとでいいんです。
[2001/10/29 23:56:31]

お名前: まさ   
タカシさん、度々のご回答ありがとうございます。

全部原価計算と直接原価計算の営業利益の違いは固定費の取扱が違う(全部は販売量で計上、直接はすべて(製造量?)で計上)ためというのは文章ではわかっているのですが、何故そうなのかが理解できでいないので、計算式上でもわかりにくい原因の一つではないかと・・・。
[2001/10/30 21:16:14]

お名前: タカシ   
ちょっと混乱するかもしれませんが、直接原価計算っていうのは、原価計算の方法というより
も製造原価を変動費のみで計算する「利益」計算の方式っていった方が正確なのかもしれませ
ん。
だからたぶん利益の計算方法の意味がしっくりこないと直接原価計算がしっくりくることはな
いんじゃないかと思います。

もちろん特定の問題に限っていえば、販売数量を基礎にある程度の解答を導くことはできます。
でも問題の出方がちょっとかわるとたぶん太刀打ちができないんじゃないかと思います。

利益 = 収益 − 費用
です。

売上に直接かかわる部分に限定すると、
(売上総)利益 = 売上高 − 売上原価
です。

結局、直接原価計算の場合も全部原価計算の場合も売上高は変わりません。
変わるのは、この売上原価の部分なんです。

この売上原価がかわれば、利益もかわる訳ですし。
この部分が資産(製品や仕掛品)になっている(売上原価が減っている)と利益は小さくなる
訳です。
ここがスタートだと思います。

ですから全部原価計算の(つまりごく普通の)売上原価の計算の意味がわかっていないと直接
原価計算はしっくりこないのではないかと思うんです。
問題を直接解くという限りでは、遠回りと感じられるかもしれませんが、結局は近道であると
思います。

直接原価計算はとてもわかりにくいんですが、がんばって固定費調整までこなせるようになる
と実はかえって楽になります。
連年の損益計算書の作成の問題でも検算がきくようになるんです。
たぶん売上原価がスタートです。
私の直前の売上原価の説明はしっくりきてますでしょうか?
[2001/10/31 00:11:03]

お名前: まさ   
タカシさん

とにかく頑張ってみます。
長々とお付き合いしてくださりありがとうございました。
[2001/10/31 23:17:47]

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