記事タイトル:標準原価計算の基本 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: 孫堅   
標準原価計算をライブ本で勉強していたのですが全く分かりません。
どなたか助けていただけないでしょうか。

「製品標準原価と期間標準原価は必ず一致する」とあったのですが
意味が全く理解できません。

P38
「標準消費量と標準作業時間が(問1)とは異なることを受けて
数量差異と時間差異の計算が異なってきますが、その他は変わりません」
なんとなく分かりますが結局何を言いたいのですか。

「変動費、固定費の能率差異は、直接材料費差異の分析では数量差異、
直接労務費差異の分析では時間差異に理論的に対応する」
意味が全く理解できません。
[2001/11/05 12:15:58]

お名前: タカシ   
>「製品標準原価と期間標準原価は必ず一致する」とあったのですが
>意味が全く理解できません。

「製品標準原価」と「期間標準原価」の意味が必ずしもはっきりしませんので、的外れなこと
をいっている可能性がありますが。
標準原価計算では、製品の製造原価を計算するのに実際にかかった原価ではなく、標準原価を
用います。
原価はおおむね単価(率)×数量(時間)によって計算されますが、この両者の要素に標準の
値を利用するのが標準原価計算です。

具体的には、製品一個あたりの標準原価をあらかじめ決めておく訳です。
これに生産した製品の数量をかければ生産した製品の標準原価が算出される訳です。
このような計算は、期首仕掛品原価、期末仕掛品原価、完成品原価についても全く同様になさ
れます(実際は進捗率を加味して計算しますよね)。

これに対して実際原価計算では、期末仕掛品原価と完成品原価の計算は、一定の仮定(先入先
出法等)のもとに計算されました。
逆にいえば期末仕掛品の評価額(結果として完成品原価の額)は、このような仮定の相違によ
り異なることになります。
仕掛品勘定で考えてみるといいかもしれません。
このような関係は、製品の払出価額の計算においても同様です(製品勘定で考えるといいかも
しれません)。

ご質問の製品標準原価と期間標準原価が何をさすのかははっきりとわかりませんが、標準原価
計算では一個あたりの標準原価×数量という計算をします。
例えば、完成品の原価も
製品の完成数量×一個あたりの標準原価 → 製品標準原価(かな)
一期間の完成品の標準原価       → 期間標準原価(かな)
というようなことをいっているんじゃないでしょうか。
ようは同じですよね(的はずれの可能性大ですね)。


>「標準消費量と標準作業時間が(問1)とは異なることを受けて
>数量差異と時間差異の計算が異なってきますが、その他は変わりません」

これもはっきりとはわかりませんが、
実際原価計算でも原価差異が生ずることがありました。
材料の場合でいえば材料消費価格差異、賃金の場合でいえば賃率差異です。

賃金の場合を例にとれば、実際消費賃金の計算は 実際賃率×実際作業時間 です。
賃率差異は、この賃率部分に予定賃率を用いた場合に生じます。
賃率差異 = (予定賃率−実際賃率)×実際作業時間 です。

標準直接労務費は、
標準賃率×標準作業時間 です。
この標準賃率としては予定賃率がそのまま採用される場合もあります。
つまり、実際原価計算と標準原価計算との実質的な差異は数量(作業時間)の要素に標準の値
を使うか否かにあることになります。

両方を比べてみると、
(実際)予定賃率×実際作業時間
(標準)標準賃率×標準作業時間
     ↓
    予定賃率×標準作業時間
違うのは標準作業時間の部分です。

賃率差異の計算を比べてみると、
(実際)賃率差異 = (予定賃率−実際賃率)×実際作業時間 です。
(標準)賃率差異 = (標準賃率−実際賃率)×実際作業時間 です。
標準賃率には、予定賃率がそのまま採用される場合もある訳ですから、標準→予定って考えれ
ば全く同じですよね。

結局、標準原価計算での差異分析(直接労務費)で全く新しく生ずるのは、時間差異というこ
とになります。
賃率の考え方は実質的に同じ訳ですから、賃率にかかる差異の把握の仕方も同じ訳です。
違うのは時間差異だけです。

差異分析の図で考えてみると、四角をT字で区切った、右下の部分(時間差異)が標準原価計
算であらたに生ずる差異ということになります(なんとおおざっぱ)。

この考え方は、材料の場合でも基本的には変わりません。


>「変動費、固定費の能率差異は、直接材料費差異の分析では数量差異、
>直接労務費差異の分析では時間差異に理論的に対応する」

不利差異を前提にしますと、数量差異は、典型的には、作業効率が悪くて材料を余計に使う場
合に発生します。
時間差異も典型的には、作業効率が悪くて余計に作業時間がかかった場合に発生します。
つまり、両方とも効率(能率)の要素が関係する訳です。
ですからこれを能率差異と仮に称したとしても大きく間違えているという訳ではありません
(一般的にはそうは呼びませんが)。
ご質問の文章はこんなことをいっているのかもしれません。

算出方法を比べてみても、
時間差異 (標準直接作業時間−実際直接作業時間)×標準賃率
能率差異 (標準直接作業時間−実際直接作業時間)×標準配賦率

もうほとんどかわり無いですよね。
これは基本的な考え方に変わりがないためです。

すごく的はずれな気もしますが、まあ、ある程度はやむを得ません(そうなのか)。
わかりにくかったら(的はずれだったら)またいってくださいな。
[2001/11/05 23:28:58]

お名前: 孫堅   
タカシさん、ありがとうございました。
私の質問の言葉足らずな部分を推測して解説してくださったようですが、
私が期待していた以上の解説で的外れなんてことは全然ありません。
あまりに丁寧な解説で恐縮してしまうくらいでしたよ。

最初の質問は製品標準原価と期間標準原価を比較するのではなく、
実際と標準を比較すればよかったんですね!なるほど!

次の質問は
「この標準賃率としては予定賃率がそのまま採用される場合もあります」
の解説で霞が晴れました。すっきり!

最後の疑問は
「両方とも効率(能率)の要素が関係する訳です」
の解説と算出方法の比較ではっきりしました。納得!
[2001/11/12 18:12:12]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL


半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る