はじめまして。大学のレポートでしょうか(3級ではここまで聞かれないはずです)。
将来、企業の状況を変化させるかもしれない事象を「偶発事象」といいます。
その結果、儲かるかもしれませんし、損をするかもしれません。
このうち、発生するかもしれない費用・生じるかもしれない損失を
偶発費用・偶発損失といいます。
火事が起きるかもしれない、地震が起きるかもしれない、戦争が起きるかもしれない・・・
といった類も含まれますが、これらは費用・損失、債務が生じているとは言えません。
したがって、帳簿処理するのは妥当でなく、制度上も財務諸表に記載できません。
偶発費用・偶発損失のうち、将来発生する可能性のあるものは偶発債務を伴います。
偶発債務がある場合には、その発生の可能性が低い場合であっても、偶発債務の存在を
財務諸表に注記しなければなりません。
これは、偶発債務が企業の将来の財政状態・経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があるため、
その事実を開示しておくためです。
しかし裏を返せば、偶発債務はその発生の可能性が低い限り、財務諸表に負債として
記載することができないということになります。
すなわち、将来の支出要因たる負債ではないが、その負債になりうるものがこれだけあります
ということを利害関係者に脚注で開示するのです。(可能性としての費用・損失も開示される
ことになります。)
偶発債務のうち発生する可能性が高く、引当金の要件を満たす場合には、その偶発債務を
引当金として財務諸表に記載しなければなりません。制度会計上はそれぞれの法の規定に
よって違いがありますが、会計理論と企業会計原則上は、その計上が強制されます。
なお、債務として確定した場合は確定債務として負債の部に記載します。
「偶発債務の危険性」について、財務諸表による開示という面からのアプローチでしたが、
いかがでしたでしょうか。
(例)将来、訴えられて裁判が起きるかもしれない(やましいことはないとして)。
帳簿処理・・・不要(不可)
財務諸表・・・記載も注記もできません。
(例)損害賠償請求を受け、裁判になった。
帳簿処理・・・不要
財務諸表・・・注記:損害賠償請求○○円を受け、現在係争中である。
(例)損害賠償請求を受け、裁判になり、敗訴の色強い。
帳簿処理・・・損害補償損失引当金繰入/損害補償損失引当金
財務諸表・・・損益計算書、特別損失:損害補償損失引当金繰入額
貸借対照表、流動負債:損害補償損失引当金
[2001/07/08 01:15:12]