『なるこ』第30号 (平成25年5月)

2014.4.5 初掲載





3001 巻頭言                                    理事長  白倉 昌夫

3002 ご注意 車の運転等には、くれぐれも気を付けましょう!!       事務局

3003 報告 お知らせ  田宮由道元事務長ご逝去               事務局

3004 編集 ナルコレプシーにおける脂肪酸代謝 〜L-カルニチン補充の効果 カルニチン補充の効果 〜
東京都医学総合研究所 睡眠研究プロジェクト リー ダ  本多 真
筆 記  桑原 正孝

3005 報告 神奈川中学校の先生のアンケート集約                川岸 聰子

3006 報告 「道路交通法」と「関連する刑法」改正について            河野 通久

3007 報告 なるこ会の「春の園遊会」開催される                 町田 誠、一色 啓司

3008 報告 田宮 由道さんを偲んで                        川岸 聰子

3009 報告 博多懇話会実施報告                          桑原 正孝

3010 報告 「春・秋の睡眠の日」&「公開市民講座」について          河野 通久

3011 報告 PhRMA(フアーマ)インフォメーション.セッションに参加して   一色 啓司



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3001 巻頭言                                    理事長  白倉 昌夫

 最近 は円安、株価の上昇景気回復などで日本中が沸きたっています。
さて、会員の皆様は如何お過ごしでょうか。
本年も会の活動に関しては、認定NPO法人として恥じない活動をしていると自負しております。
理事役員は
  @ 昨年実施した神奈川中学校の先生アンケート集約
  A 「道路交通法」と関連する刑改正について
  B なるこ会の「春園遊」開催
その他にも目次欄に記載しておりますが、理事役員は日々忙いなか睡眠関連セミナーや勉強会など出席、参加し皆様に役立つ情報を提供すよう行動しております。

 これまでは 「なるこだより」や機関紙「なるこ」の通信による情報と一年に1回の総会で会員の声を伺っておりました。
今後は会員同士が直接会い交流する目的で、今年は第一回目の代々木公園昼食(ハイキング・お酒を飲みながら)5時間以上参加者とゲームしながら楽しみました。参加者皆が一つの輪になり、意義ある一日でした。今後も続けようと思っておます。年2回も検討しております。

 今回の機関紙は体験談の投稿が少なく掲載していませんが、次号は沢山掲載ができるように機関紙「なるこ」が意義あ冊子よう、 会員の皆様方はに機関紙「なるこ」が意義ある冊子となるよう体験談の投稿をお願い申し上げます。


3002 ご注意 車の運転等には、くれぐれも気を付けましょう!!       事務局

 現在、国会にて「道路交通法及び刑法の一部改正」について審議が行われています。(罰則の強化)(平成25年6月7日成立)
これは、相次ぐ痛ましい事故を契機にして、もっと刑罰を重くしても良いのではないか との声に応え、法改正に到ったもので、内容については本誌でも大きく取り上げていますのでご高覧下さい。

 また、こういった痛ましい事故のニュースがあると、
   *この運転者は「ナルコレプシーに違いない」とか
   *なるこ会は、「ナルコ患者にどういう指導をしているのか」
と言った、電話・メールが激増します。 

 このことは、ナルコレプシーという病名が、「かなり知られて来た」と思えば嬉しくもありますが、「認識違いもええ加減にしてくれ」と腹も立ちます。
患者と言うからには診断を受け、治療もされている筈です。そして適正な治療を受けているなら、症状は8割程度は抑えられている筈です。 本当に恐いのは、症状はあるのに診断も治療も受けていないナルコレプシー等の潜在患者で、そのため我々は早期診断・治療を呼びかけて来ましたし、現在も続けています。

とは言っても、我々は患者であり、決して100%健常とは言えません。そのため、車の運転に関しては「特により一層の注意」が必要です。
 ・「ちょっとそこまで」は、健康のためにも歩き、車は使用しない。
 ・規則正しい生活を送る。運転前には「仮眠」をとる。
 ・平素飲んでいる薬より、「覚醒作用の強い薬」を服用する
 ・「薬を飲んでるから大丈夫」と薬に頼り過ぎない。
 ・「もう薬を飲まなくても大丈夫」と薬を馬鹿にしない。
 ・「アブナイと感じたら」あるいは「時間を決めて」小休止をとる。等々

ご自分なりの工夫で、事故を起こさない様、貰わない様、気を付けましょう!!


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3003 お知らせ  田宮由道元事務長ご逝去               事務局

 永年、当会の運営・活動にご尽力頂いた元事務長 田宮 由道 様が、本4月14日心筋梗塞のため急逝されました。
 役員間で手分けし、お通夜・告別式に列席すると共に「当会名の弔電及び生花」を手配させて頂きました。
「90歳までは頑張る」と言って居られたが、残念ながら4カ月足りなかった由。
 田宮様は、闘病生活をしたわけでは無いせいか、いつもと変わらぬ穏やかなお顔で、本当に眠って居られるようでした。
生前のご尽力に対し深甚の敬意と感謝を捧げると共にご冥福を心より祈念申し上げます。


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3004 編集 ナルコレプシーにおける脂肪酸代謝 〜L-カルニチン補充の効果 カルニチン補充の効果 〜
                            東京都医学総合研究所 睡眠研究プロジェクト リー ダ  本多 真
                                                        筆 記  桑原 正孝



 30人のナルコレプシーの患者にサプリメントのカルニチンを使ってもらいその効果について研究を行った。28人が研究を完了した。その結果について紹介する。


1.研究の背景
 これまでの講演会でも紹介したように、ナルコレプシー患者と健常者との全ゲノム遺伝子の解析を行ったところ、ナルコレプシーでは、22番染色体のCPT1B及びCHKBという遺伝子の近くにあるSNP(Single Nucleotide Polymorphisms一塩基多型 :標準的な塩基配列と比べて1塩基だけが変異している部分) rs5770917が関連していることがわかった。リスクである遺伝子多型をもつとCPT1の酵素活性が低下することがわかっている。
 摂取された脂質(脂肪)は、消化されて脂肪酸(とグリセリン)になり細胞内にあるミトコンドリアによってアセチルCoAに代謝され、さらに細胞活動に必要なエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が作られる。
 長鎖脂肪酸CoAはそのままの形ではミトコンドリアに入ることができないが、CPT1と結合してアシルカルニチンとなりミトコンドリア内に取り込まれる。ナルコレプシー患者ではこのアシルカルニチンが異常に低い人が多い。

なぜ、アシルカルニチンが異常に低くなるのかについては3つの可能性が考えられる。
  (1)材料としてのカルニチンが足りない。
    総カルニチンが少なかった7人のうち3人はアシルカルニチンが低かった
  (2)アシルCoA(アシルコエンザイムA)が何らかの理由で、エネルギー産生のために燃焼されにくい。
    ナルコレプシーでは肥満傾向があるが、これはエネルギー需要の高いときでも脂肪酸化の効率が低いためかもしれない。
  (3)CPT1酵素の活性度が低い
    考えやすい説だが、実際には機能低下を示すCPT1B遺伝子型を持つことと、アシルカルニチンのレベル低下は直接関連しない。

 (1)(3)の可能性について検証するため、ダイエット用サプリメントとして市販されCPT1の機能を高めることが知られるカルニチンがナルコレプシーの症状に効果あるか否かを確認する研究を行った。

2.対象者と方法
2.1 対象者
 外来通院治療中のナルコレプシー患者、男性15名平均年齢44.2歳 女性13名平均年齢37.8歳。眠気度はJESS(日本版エップワース眠気尺度)12.7でやや高い。BMI(Body Mass Index 身長からみた体重の割合を示す体格指数。体重kgを身長mの二乗で割った数。日本の正常値上限は25)の平均値は26.1でやや肥満気味。

2.2 方法
 L-カルニチン及びプラセボ(外観はカルニチンとそっくりの偽薬)の経口服用、各8週間 計16週間。どちらを飲んでいるか本人は分からない。
 ナルコレプシーの薬は従来通り使用。

2.3 評価尺度
 睡眠表(居眠り時間、居眠り回数など)、JESS、SF-36(Short-Form 36-Item Health Survey 自己記入式36項目健康状態調査票。国際的に広く使われているQOLの尺度)の一部、BMI、血液データ

3.結果
3.1 眠気に対する効果
 (1) 睡眠表を基に日中の総居眠り時間を集計した。計画的・意図的な眠りを除いた居眠りの総時間は、プラセボに比較しカルニチンを
    服用した場合では有意に少なくなっている。(58分⇒49分)
 (2) 一日あたりの居眠りの回数もカルニチンを服用した方が少なくなっている。
 (3) 眠気尺度JESSの差はほとんどない。
    但し詳しく検討すると日中の居眠り時間とJESS(眠気)は高い相関性がみられた。居眠り時間の結果と眠気尺度の結果が
    異なる理由は、JESSでは過去を振り返ってある期間の眠気を大まかに評価するのに対して、総居眠り時間は毎日の記録を
    基に計算するのでより正確に実際の眠気の状況を評価でできるデータであるためと考えられる。
 (4)情動脱力発作及び入眠時幻覚については、すでに治療中でもともと発生回数が少なく有意さを見いだすことは難しい。
 (5)健康関連のQOLでは、活力は、向上している。精神健康はほぼ差はない。



3.2 L-カルニチンの代謝指標への効果
 (1) 血清中のアシルカルニチン、総カルニチン、遊離カルニチン(アシル基と結合していない)はカルニチンの服用により増加して
   おりカルニチンがうまく使用されていることを示している。
 (2) 中性脂肪については、低下しており、脂肪酸消費が進んでいる。
 (3) BMIと血清中の総コレステロールはほとんど差が無い。試験を6ヶ月あるいは1年という長期間継続しないと差が出ないと
   考えられる。
4.まとめ
  L-カルニチンは、ナルコレプシーの眠気を和らげるのに効果があり治療に利用できる。
 今後症例数を増やし長期間の観察を行って有効性および安全性の確認が必要である。
 またカルニチンが眠気などに有効であるメカニズムを明らかにすること、およびカルニチンが良く効く人(有効群)を同定できる
 ようにすることも重要である。

5.L-カルニチンの有効性
L-カルニチンについては、良く効く人(有効群)と効かない人(無効群)がある。良く効く人は(有意差はないが)、次のような傾向があった。
  ・女性の方が多い。
  ・年齢は若いほうが効く
  ・眠気が強い人ほど良く効く。 
  ・肥満とは関連しない。
良く効く人では、有意差はないがJESS(眠気)がやや改善される傾向がある。また、活力と精神健康面では明らかに改善があり、普段元気のない人やうつ傾向の人にも役立つ。

6.質疑応答
Q1.カルニチンの効果は食べ合わせと関係するか
A1.カルニチンは元々食肉に多く含まれており食べ物との相互作用の問題は無いと考えられる。菜食主義の人では不足する可能性はある。植物を主食とするアジア人種には効果があるかもしれない。

Q2.ネットでカルニチンについて調べると、ナルコレプシーが対象ではないが、ビタミンC,B6などと一緒にとるとより効果があると書いてあった。ナルコレプシーについても効き目が増すか。
A2.今回は調べていないので分からない。ビタミン剤は体の様々な機能を良くするので可能性は否定できない。カルニチンの効果は覚醒作用のある薬ほどの効果はない。なお、従来飲んでいる薬はそのまま継続して服用してもらった。

Q3.カルニチンの服用量はどのくらいか
A3.今回は一日510mg錠を使用した。1g以上使用したら効果が増えるというわけではないとされる。少量でも有効かもしれないが、一定量以上使った方が効果がわかりやすいかもしれない。

Q4.カルニチン摂取のタイミングはいつがよいか。
A4.今回は朝1錠、寝る前2錠で調査した。いつが良いかの検討はしていない。他の食べ物がある時に吸収が悪いということはないのでいつでも良いだろう。

Q5.親がナルコレプシーの場合子どもに100人に1人の確率で発症するとのことであったが、孫、ひ孫等にも同じ比率か。
A5.同じ確率で薄まる。

Q6.ナルコレプシーでは中性脂肪が高いのか。
A6.中性脂肪は平均して高めであるが個人差が非常に大きい。元々CPT1Bによって脂肪酸を燃焼する機能が悪いと考えられる。そもそもCPT1の機能に限らずナルコレプシー患者では基礎代謝が低いという報告もある。

Q7.ナルコレプシーは糖尿病になりやすいか。
A7.今回の症例で血糖値について調査したが糖尿病の人はいなかった。かつてナルコレプシーでは糖尿病になる確率が高いと報告されたがBMIを合わせると差がないとされた。糖尿病は直接ナルコレプシー自体の病気と関連するのではなく、肥満傾向に伴って二次的に糖尿病になりやすいのであろう。

Q8.カルニチンは脂肪酸の一種か。
A8.カルニチンは長鎖の脂肪酸にくっついてアシルカルニチンをつくる材料となるアミノ酸の一種ある。アシルカルニチンがミトコンドリア内に入るとカルニチンが取り外されてミトコンドリア外に運ばれ再利用される。

Q9.ナルコレプシーで白血球の数は減るのか
A9.白血球が増減することはない。

註:L-カルニチンの"L-"は、化学的構造異性体のL-(左旋回)で反対のD-(右旋回)もある。L-カルニチンは生体内で脂質の代謝に重要な役割を果たしているが、D-カルニチンにはそうした機能はないと考えられている。


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3005 報告 神奈川中学校の先生のアンケート集約               川岸 聰子

 10月6日付け発行の「なるこ会便り」で、ご報告した通り下記内容の「神奈川県の全公私立中学校への啓発活動」を実行しました。 神奈川県内の全公私立中学校475校(公立416校、私立59校)の保健担当も先生宛に
 *「過眠症が疑われる生徒には睡眠障害専門外来のある病院への受診を勧めて下さい」言う4ページの手紙と
 *「ナルコレプシーはこんな病気」のパンフレット10部
「過眠症やナルコレプシーと言う病気をご存知ですか」のアンケート
及び切手付の返信用封筒を送付しました。
また、全教育委員会(33)に事後承諾をお願いする文書を送付しました。
このアンケートを集約しましたので、生の数字及び内容を報告します。

回収アンケート数 77通(10/22回収分まで)  回収率:16.2%
(不記入及び複数回答の箇所あり)

1.「ナルコレプシーはこんな病気」のパンフレット送付は必要ですか?
  イ.必要(部数を記入して下さい) 8通 
    ・全職員に配布したい ・希望する保護者に配布したい
  ロ.不要  64通 
    ・今の処間に合っている ・職員室で回覧する

2.「今回のお願い」は役に立ちましたか?
  イ.役に立ったか  77通 
  ロ.余計なことだ   0

3.「過眠症」についてはご存知でしたか?
  イ.今回初めて知った   22通
  ロ.以前から知っていた  55通
    *それは何からですか?
    ・新聞 10  ・TV 14  ・雑誌 10  ・医学書  ・以前疑いのある子に接した ・保護者
    ・大学の講義 ・忘れた  ・職業上 ・研修会 ・友人が罹患 ・教員の勉強会 ・ネット情報
    ・色々なメディア ・治療中の生徒がいる ・人づてに聞いた

4.「ナルコレプシー」についてはご存知でしたか?
  イ.今回初めて知った    23通 
  ロ.以前から知っていた   52通
   *それは何からですか?
    ・新聞 7  ・TV 15  ・雑誌  12  ・医学書  ・職場にいる ・研修会 ・職業上
    ・大学の講義 ・保健専門誌  ・色々なメデイア ・同僚が検査中 ・保護者 ・教員の勉強会
    ・生徒に疑いの子がいて受診を勧めた ・何かの記事で読んだ

5.「睡眠時無呼吸症候群」についてはご存知でしたか?
  イ.今回初めて知った     0
  ロ.以前から知っていた   77通
   *それは何からですか?
    ・新聞 22  ・TV 42  ・雑誌 20  ・保健専門誌 ・職場にもいる ・職業上 ・研修会
    ・大学の講義 ・医学書 ・同僚が検査中 ・夫が治療中

6.今回のお願いに対し、ご自由にお考えをお書き下さい。
(1) この度は有難うございました、総合学習・保健室等で活用させて頂きます。
(2) 同僚の1人が睡眠時無呼吸症で治療しています。別の同僚は、仕事ぶりを観察しているとナルコレプシーが疑われた為、
  本人と管理職と相談し、専門医に受診して貰いました。
  今回送って頂いて、11歳頃から発症年齢が上がっている事が判り、今後の指導に役立てたいと思います。
(3) 睡眠時無呼吸症についての情報が欲しい。(成人にとても多いと認識しています)
(4) 病期であると言う理解を広めて行くことが大切と思います。
  以前看護師をしていた時。患者さんがいましたので理解している積りです。
(5) 貴重な情報を頂き有難うございました。
(6) 活動頑張って下さい。
(7) 生徒の中にナルコレプシーの症状の人がいるかも知れないという感覚で、これからの指導に生かして行きたいと思います。
  又、今回の資料で少し理解を深める事が出来ました。今後の活動と発展を祈ります。
(8) 気力もない、責任感がない、規則正しい生活が送れていない生徒が、もし病気であることが判れば本人も保護者も楽になるし、
   治療が出来るなら更に嬉しいことと思いますので、知識の習得は重要と思います。
(8) 判り易い資料なので、保健室資料として使用します。
(10) 本人から困っているとの申し出がないと、ナカナカ病院受診は勧めにくい。
(11) 本校に睡眠障害の男子生徒1人いるので、とても参考になりました。
   その生徒はナルコレプシーとは診断されていませんが、何時でも何処でも眠ってしまい、精神科の医師から覚醒剤(?)を処方されています。
   何かの折に、保護者にこのパンフレットを渡してみようと思います。
(12) 学校文化は、頑張ること、気合で何とかなる・・・と思われがちなので、病気や障害のために「どうにもならないこと」を理解する
   側面を訴え続けることが役割と思っています。
   学校での理解が進み、少しでも当事者が楽しく過ごせるよう願っています。
(13) ナルコレプシーを知らない多くの先生方は、サボリだと思ってしまうようです。
   今回、パンフレットを頂き、周知できるためとても助かりました。
(14) ナルコレプシーの生徒に出会ったことはまだ有りません。
   しかし、突然90分眠ってしまう生徒に対応したことがあり、3つの病院を回って、結局「思春期だから」とのことで
   治療集結してしまったケースです。
   まだまだ、私たちの知らない病気があるのだと思います。
   そのため情報提供は有難いです。
(15) 今回の案内は、職員に広く知識として提供することに役立ちました。
   マダマダ、認知度が低い病気だと思うので、良い機会になりました。
(16) 有難うございました。パンフレットは保健室、職員室に設置しておきます。
   専門外来の病院を提示して頂き、症例があった場合に助かります。
   保健室は情報が重要です。
(17) 参考になりました。HPが書いてあったので助かりました。
(18) テレビ、ゲーム、ケータイ、PC、メール等、睡眠を妨げているものが世の中に溢れています。
   本校の生徒も良質な睡眠が取れている子は多くないと思います。
   居眠りを、ただ「だらけている」よ言う視点だけで捉えていたら、本当に困っているケースを見過ごすことになると言うことが判りました。
(19) 思春期の子供を正しく診断できる病院が少ないのが残念です。今回、その病院が近くに有ることが判り良かったです。
(20)「あれ?」と思う子が数人いたので、参考になりました。
   「薬のせいで〜」と言っている子もいますが、ちょっとこちらの心配もあるナと感じる処も有り。気を付けて見て行きたいと思いました。
(21) 現在対象となる生徒はいませんが、今後心配な生徒が出た時の (以前に、症状を持った生徒がいた) 対応について大変参考になりました。
   パンフレット、有難うございました。活用させて頂きます。
(22) 情報を頂き、病気についてかなり理解出来たので、今後学校現場においても活用して行きたいと考えています。
(23) この病気を受診できる専門病院が判って有難かった。
(24) 症状のある生徒の学年の教員に配布させて頂きました。
(25) 中学生は生理的に、生活的に昼間も眠い時期だと思います。
   それと、疾患とを見分ける方法について知りたいです。
(26) 中学生の場合、授業毎に担当者が変るので授業中居眠りをしていたとしても「私の授業で良く居眠りをする生徒」として扱われ経過して行きます。
   本校の該当生徒の場合は、高校1年生の時に保護者と担任との面接の中で話題となり「友達の家に遊びに行っても、
   いきなりパタンと眠ってしまい起きない」との保護者の話を聞いて、担任が「それは少し変だ」と感じ、専門医の診断を受けることになりました。
   診断が出た後でも、個人情報としての保護者を考慮した関わり方になるので、学校での観察は難しいと思います。
   保健室宛に送って頂いた資料の最後にある「睡眠記録用紙」は、むしろパンフレットに乗せた方が全ての人の参考になるのではないかと思います。
   パンフレットを○秘扱いで10〜20部送って下さい。
(27) 全教員の参考資料として配布します。(パンフ追加55部希望)
(28) 居眠りをしてしまう生徒のことは教員から良く聞きます。ナルコレプシーのことも考え、そのような生徒に接して行きたいと思います。
   困った時もパンフレット請求や相談が出来ると思うと助かります。(パンフ追加10部)
(29) 情報としてとても参考になりました。病名は知っていましたが、このような患者会があることは知りませんでした。
   生徒から相談があった際には、個別に対応して行きたいと思います。
   大変ありがとうございました。(パンフ追加60部希望)
(30) 以前の学校に該当する生徒が1人いました。今の学校にも困っている生徒が1人います。パンフレットは大変助かりました。
   又、近くに専門医がいることを知らなかったので、有難く思います。(パンフ追加30部希望)
(31) 是非教員に配布したいと思います。気になる生徒がいれば保健室に声をかけて頂こうと思います。(パンフ追加80部希望)
(32) 専門医を紹介して頂いたのが良かったです。
(33) 資料を送付頂いたのは有難かったです。該当するような生徒がいれば、過眠症の可能性を念頭に置いて対応し、
   受診を勧めることも考えたいと思います。

今後の対応について事務局の考え
 今回東京都内全中学校の先生方に対し実施した啓発活動に続く、第2弾として神奈川県下の全中学校を取り上げ実施しました。
 (東京都の場合は.WAMの助成時事業として実施しましたが、今回は助成の対象に該当に入らず、止むなく当会の自己資金で実施したものです。)
  先生方の反応は今一歩という結果でしたが、アンケート(回収率:16.2%)を見る限り真面目に見て頂いている先生方も少なからず居られることから、今後も資金と相談しながら継続して行きたいと考えています。
3月、矢継ぎ早にTVでナルコレプシーを取り上げて貰いましたが、TVは一過性であるだけにそれだけに頼るわけにも行かず、本件のような地道な努力も必要と考えるからです。
(ご参考)日本TV放映:「世界まる見え・・」3/22
     大阪読売TV制作日本TV放映:「ミヤネ屋・・」3/22
     読売新聞夕刊:「なるこ会」の紹介記事 12/7
 以上

最近TV出演、教育図書出版で有名な教育評論家「尾木ママ(尾木直樹氏)」によれば
 *現在の小中学校の先生方は、教育程度の低下、イジメ、体罰、報告事項の多さ、モンスターペアレントへの
  対応問題等でかなり多忙であり、生徒を充分見る余裕がない実態も知って欲しい。(まじめな先生も多い)
 *世界的に見ると、日本の先生1人当たりの担当生徒数は30人強であり、教育先進国では20人程度であることと
  比較すると多いと言える。
  同時に日本の先生方の年収も公務員・大企業社員と比較し相当低い。
  先生方の「うつ病」の発生率も高いとのこと。
 (我々が、子供の頃は40人、50人のクラスが当たり前のようしたが。日本が悪くなっているのではなく、他国が
  教育を見直し注力が進んだ結果、追い越されたと言うべきか? 時代は変っているようです)
 *当然、国家に予算における教育予算も相対的に低くなっている。
 *いつの間にか、現代の日本は「教育貧困国」になり下がったと言えるそうです。

 以上


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3006 報告 「道路交通法」と「関連する刑法」改正について        河野 通久

 今年、2013(平成25)年3月29日朝、ついに「道路交通法改正案の国会提出」が閣議決定され、同日現在開会中の第183回国会に「道路交通法の一部を改正する法律案」として提出されました。
 続いて4月12日朝の閣議で、刑法の一部を取りだして「悪質運転による事故の厳罰化及び病気の影響による交通事故を初めて処罰の対象とする」ことを盛り込んだ「新法案の国会提出」が閣議決定されました。
 この法案は「自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」と称しますが、同日付けで今国会に提出されました。

 この道路交通法改正及び刑法の改正の動きは、昨年から本格化していたもので、自動車の使用が不可欠になっている現在、我々にとっても、直接大きな影響を与えるため、当会としては最重要問題として取り組んで来ました。
 途中経過及び問題点、その取り組みについては、昨年10月及び今年3月発行の「なるこ便り」でご報告の通りですが、閣議決定を踏まえて直近の課題と経緯を、改めてご報告します。(重複部分もありますが。ご容赦ください。)

 まず予備知識として、「法律の原案作成から法律の公布」までの流れを見てみましょう。
(内閣法制局)。
1.法律案の原案作成
  ・内閣の提出する法律案の原案の作成は、それを所管する各省庁において行われます。
   省庁は、所管行政の遂行上決定された、新法律の制定・既存の法律の改正・廃止の方針が決定されると、
   第一次案を作成します。 
  ・この第一次案を基に、関係省庁との意見調整が行われ、更に審議会に対する諮問又は公聴会における意見調整等を必要とす
   る場合は、それらの手続きを済ませます。
  その上で、法律案提出の見通しがつくと法文化の作業を行い原案が出来上がります。

2.内閣法制局による審査
  ・内閣が提出する法律案については、閣議に付される前に全て法制局による審査が行われます。
   従って、閣議講義案は全て内閣法制局により予備審査を経たものになります。この審査は、法律的・立法内容の
   あらゆる角度から検討されることになっています。
  ・予備審査が終了すると、主任国務大臣から内閣総理大臣に国会提出について閣議講義の手続きを行うことになります。
   具体的には、閣議講義案は内閣官房が受け付け、内閣法制局に送付され、同法制局が最終的な審査を行い、必要があれば
   修正に上、内閣官房に戻されます。

3.国会提出のための閣議決定
 ・閣議講義された法律案は、異議なく閣議決定されると、内閣総理大臣から国会(衆議院又は参議院)に提出されます。
 (その事務は内閣官房が行う)
  閣議には、毎週火・金曜日の午前中に開かれる定例閣議と、必要時に開かれる臨時閣議があり、更に内閣参事官が閣議書
  を持ち回って各閣僚の署名を集める持ち回り閣議があります。
  閣議案件には、一般案件(国政に関する基本的事項で内閣の意思決定)国会提出案件(法律案、予算案等、承認を求めて
  発議すべきもの、質問に対する答弁書等)、法律・条約の公布、政令の決定などがあります。
  内閣の意思決定としては、閣議決定と閣議了解があり、閣議決定が最上位となっています。両方とも非公開で、代わりに
  閣議終了後記者会見を開き、透明化を図っています。(閣僚懇談会は、全閣僚への徹底化を図る手段です)

4.国会における審議
 ・内閣提出の法律案が衆議院又は参議院に提出されると、原則として、その提出を受けた議院の議長は、これを適当な委員会に付託します。
 ・委員会における審議は、国務大臣の提案理由説明から始まり審査に入り、質疑・討論が終結すると、委員長が問題を宣告し、表決に付します。
 ・委員会における法律案の審議が終了するとその審議は本会議に移行します。
 ・内閣提出の法律案が、衆議院又は参議院のいずれか先に提出された議院において前記諸手続きを経て可決されると、その法律案は
  他の議院に送付され、送付を受けた議院においても同様の手続きが行われます。

5.法律の成立
 ・法律案は、憲法に特別な定めがある場合を除き、衆参両議院で可決された時、法律となり、後議院の議長から内閣を経由して奏上されます。

6.法律の公布
 ・法律は、5.の奏上された日から30日以内に交布されねばならず、公布に当っては官報に掲載されることによって行われます。
 (官報では、公布された法律について、一般の理解に資するため「法令のあらまし」が掲載されます)
 ・法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用するようになることを「施行」と言い、公布された法律が何時から施行されるかは、
  通常「附則」で定められています。                   以上ご参考まで。
以下、本件の経緯と当会の考え方及び対応を時系列的に記述します。


1.道路交通法の改正について
 警察庁では、高齢者運転・無免許運転・自転車運転・危険走行等、多方面から検討されて来たものですが、我々に直接関係がある、一定の病気に係る規制に特化して記述することとします。
 2011年春、鹿沼市でクレーン車が通学途上の生徒の群れに突っ込み6名の死者を出す事故の発生、及び2012年春に同様のてんかん発作に伴う交通事故の発生とをきっかけとして、被害者団体から30万名の署名と共に「現行の道路交通法では生ぬるいため、厳罰化に改正すべき」との要望が出され、警察庁にて有識者会議が組織され、議論に拍車がかかりました。
 「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者会議検討委員会」(略:有識者会議)が設立され、2012年6月10日に第1回」会議が招集され、以後回数が重ねられ、同年9月19日には「第5回有識者会議」が開催されました。

この会議に合わせ、この問題に関連する学会、患者会等に警察庁交通局から意見を求めて来ました。いわゆるヒアリングで、主な項目は次の通りです。
 ・運転免許の取得や更新に際して、一定の症状等に関する申告を正しく行わなかった者に対する罰則について
 ・一定の病気等を理由に免許を取り消された者が、病状の回復に免許を再取得する場合の負担軽減{試験の一部免除、
  免許の効力停止期間の上限{6ケ月}の延長等}に関する規定を整備することについて
 ・一定の病気等に該当する者が運転免許を有する場合における自己申告以外の把握方法について{例.医師等からの通報}
 ・一定の病気等の疑いがある場合に、臨時適性検査の結果が判明する迄暫定的に免許の効力を停止する等の規定を整備することについて
当会としては、「本件は全ての会員に直接関係するもの」だけに、・病名ではなく重症度で判断すべきこと
  (ナルコと診断され治療中の患者は、病気の自覚があり、治療により症状は8割方改善されている為、健常人より事故率は少ない。
  本当に怖いのは未受診・未治療の方々であり、その方々が圧倒的に多いことである。)
 ・ナルコを診断・治療出来る専門医療機関は昔と比べると増えて来たとは言え、大都市と地方間には大きな差がある。
この2点を念頭に置き、回答書を作成提出しました。

 また、当会としては、今後も最重要案件として注意深くその進展を見守り、必要に応じ患者団体とも意見交換し、関連学会にも支援をお願いして行くこととしました。
 続いて10月25日、有識者会議から「一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方に関する提言」が出され、これについての説明を聞くと共に当方の主張を述べるため役員一同で警察庁に出向きました。

なるこ会として運転免許制度の在り方にに関する主張を述べに警察庁に出向いた
「有識者会議の提言」の要旨は、次の通りです。
 ●一定の症状を有する者を的確に把握するための方策
  *症状等の虚偽申告に対する罰則の整備について
   結論:運転に支障を及ぼす症状について虚偽申告した者に対する罰則の整備が必要である。(感銘力による抑止効果を期待する)
   一方で(差別の助長の抑止、いたずらに処罰対象が広がらない工夫)が必要との意見あり。
 ●自己申告以外の把握方法について
  *結論:交通事故を起こす危険性が高いと認められる患者について医師がその判断により任意に届け出る仕組みが必要である。
   ○一方で、医師に届け出を義務付けた場合
   ・医師と患者の信頼関係による患者の診察拒否や医師離れによる潜在化
   ・診断が容易でない事から、対象となる病気の患者の診療を医師が忌避
   ・本来免許の取得が可能な者まで過剰に届け出等の恐れがあることから、届け出を任意にとどめ、法体系も含む環境を
    整えることが適当との意見あり。
   ○また、任意規定にした場合、実効性を担保等の為、医師団体等によるガイドラインが必要であるとの意見あり。

  一定の症状を申告行い易い環境の整備方策について
   *結論:病気等を理由に免許を取り消された者が再取得する場合には試験の一部を免除するなどの負担軽減を図るべきである。

  症状が判明するまでの間の運転免許の取り扱いについて
   *結論:一定の症状を呈する病気等に該当する疑いが客観的事実により認められる場合には免許の効力を暫定的に停止すべきである。
  その他
  ・物損事故を含む交通事故情報のデータベース化が必要である。
  ・申請時・更改時の診断書提出義務の導入は不適当である。

  制度運用上の改善事項
  ・家族からの相談を促進するための積極的働き掛け、
  ・関係する団体への協力要請、
  ・運用基準の合理的見直しに向けた専門家との継続的協議が必要である。
当会としては、
 ナルコレプシーは、異常な眠気に襲われることが主症状であるが、現在では治療法が確立され、殆ど症状は抑えられていること、
 及び本当に怖いのは本人は異常を感じながらも、診断も治療も受けてない潜在患者であること、
 その為、当会はこんな病気がある事を知って貰い早く専門医にかかる様病院の紹介もしていることを強調しました。
 その意味で。医師の届け出制などは重篤なケースを除き論外であることも強調し、先方も良く理解できたとの発言までありました。
 なお、潜在患者が多い理由は、診断治療出来る医療機関がなかったこと、精神・神経科と言えば行きずらく思う人も多いことも補足しました。
 しかし、残念ながら前述の通り本年3/29「道交法改正法案国会提出」が閣議決定され、同日、衆議院に上程されました。
内容は、次に述べる刑法とほぼ同様となっています。
 
2.刑法一部改正及び関連新法について
 飲酒等悪質な運転による事故の厳罰化を検討していた法制審議会(法務大臣の諮問機関)
刑事法部会にて上記提言も含めて刑法改正が検討され、本年1月16日に事務局試案
(96号諮問に対する「要綱案」と同一)が公表されました。
法務局としては現在開会中の第183回通常国会に法案として上程し法律化したい意向と聞いております。
この事務局試案の概略は既に新聞等にも掲載されているので、ご存知の方も多く蛇足になるかもしれませんが、概略を下記します。

事務局試案では、次の4つの項目が挙げられています。
第1項.逆走や通行禁止道路を走行中の事故を危険運転致死傷罪に追加。
第3項.危険運転致死傷罪の適用を免れる「逃げ得」を防ぐため、新たな罰則 (懲役12年上限)を追加。
第4項.無免許はそれ自体としては事故の直接の原因とは言えないとの判断から、危険運転致死傷罪の要件には加えないが、
    道交法の無免許運転(懲役1年以下)より重い罰則を上乗せできるを追加。
上記1,3,4項については特に異論はありませんが、問題は第2項です。 

第2項.(全文)アルコール若しくは薬物の影響により、又は自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある病気として
   政令の定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障がある状態で、自動車を運転し、よってその
   アルコール若しくは薬物又は病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下
   の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処するものとすることを新設。

 これは従来の、上限罰が懲役20年の危険運転致死傷罪と上限罰が懲役7年の自動車運転過失致死傷罪との間に
*「中間の罪」(上限罰を死亡事故が懲役15年、傷害事故12年)を新設するもので、中間罪の対象となるのは、飲酒や薬物摂取の影響や病気により
「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」で起こした事故であります。
 更に自動車運転に支障を及ぼす恐れがある病気についての例として統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害 が挙げられています。
 「病気による交通事故」を刑罰の対象とするのは初めてとなります。

 当会は、警察庁のヒアリングで病名を挙げての罰則は不適切であることを主張し、充分ご理解を頂いたものと考えていただけにショックを感じました。何時ナルコレプシーという病名が政令で入って来てもおかしくないからです。 
(個人的には、若干遺族会及び30万人の署名に引きずられた感がします。)
この試案に対し「日本精神神経学会」と「全日本精神保健福祉会連絡会」他多くの関連学会及び患者会から、特定の病名を挙げての罰則の対象とすることは不適切であり、慎重な審議をお願いする旨の要望書が出ています。

冒頭に書いた通り、
 道交法改定については、3/29「道路交通法の一部を改正する法律案」として刑法改定については、4/12「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」として閣議決定され、両法案とも衆議院に上程されました。
今後、委員会審議を経て、国会議員による国会審議となります。

 現在、最大の問題となっている「一定の症状を呈する運転免許制の在り方」をめぐり、日本精神神経学会(法委員会)、日本うつ病学会、日本睡眠学会、日本不整脈学会、日本老年精神医学会、日本てんかん協会、日本糖尿病協会、日本脳卒中協会、全国精神保健福祉会連合会等の学会と患者会が一緒になって国会議員やマスコミを動かすべく、署名活動と5/11予定の「緊急シンポジウム」の開催が予定されています。 当会も可能な限り、参画して行きたいと考えています。

 本件がどう展開するか予断を許しませんが、個人的には、「重度の眠気を呈する睡眠障害」「正常な運転に支障がある恐れがある状態」、とは具体的に何を意味し、誰が判断するのか、どう証明するのか? 
「自己申告」は具体的にどうするのか?等、多くの問題を抱えています。
「危険運転致死傷罪」を作ったが、刑罰が重く成立要件が厳しいため、適用したケースも少なく、有名無実の形になっているのではという声が多いため、無理やり中間罪を作り、適用し易くしたのでは?とさえ思えます。
 また、「ガイドライン」については、医師の守秘義務は別としても、医師・患者間の信頼関係を損なうことは治療上の大問題であり看過し得ない。
そのため何らかの付帯条件を付ける必要があると思われます。
 更に、睡眠時無呼吸症候群のように歯科(口腔外科)が扱う場合もある等を含め色々な問題があり、簡単に作成できるとは思えませんが、十分注視視して行きたいと考えています。

以上

余談
 法制審の動きが判りにくいので、以下を補足してみました。興味をお持ちの方は、ご一読下さい。
2012.9.7の法制審議会第167回会議において「自動車運転による死傷事犯の事案に即した対処をするための罰則整備に関する諮問96号」が採択され、2013.3.15 の法制審議会第169回会議においてこの審議が行われました。

以下、ご参考までに、刑事法(自動車運転に係る死傷事犯関係)部会長である西田氏の説明の概略を議事録より転載します。
 
 「96号諮問は、自動車運転による死傷事犯の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするための罰則の整備を早急に行う必要があると思われるので、その要綱を示されたいと言うものでした。第167法制審会議でこの諮問については、まず部会において調査・審議すべき旨が決定され、これを受けて部会においては2012年10月2日より2013年2月13日までの間、計7回の調査・審議を行いました。また、当初から具体的な要綱案を示して調査・審議を行うのではなく、10/25〜26の2日間で13の被害者団体の方々からヒアリングを行い4つの検討項目に集約しました。
第1は、危険運転致死傷罪に新たな危険運転行為を追加すること。
第2は、危険運転行為と同等とまでは言えないが、危険性や悪質性の高い運転行為により、人を死傷させた場合について自動車運転過失致死傷罪より重い法定刑とする罰則を追加すること。
第3に、道路交通法の救護義務違反の罪を犯してでも、現行法上の危険運転致死傷罪を免れようとする者が生じ易くなるという、いわゆる「逃げ得」の状況が生じ得ることに対処するため、事後逃走をした場合は従来より重い処罰を可能とする規定を設けること。
第4に、無免許運転で人を死傷させた場合について、従来より重い処罰を可能とする規定を設けること。
 そして、法整備に向けてより具体的な論議を行って行くこととし、まず事務当局において作成した「事務局試案」をたたき台として論議を行い、その論議を踏まえて作成されたものが配布されている「要綱案」であります。
 
議事録では、以上の西田部会長の説明後、
 各項目について簡単な説明(省略)の後、質疑があり(殆どなし)、
 その後表決に移り、賛成委員14名、反対委員1名で、要綱案は原案の通り
 採択されたことが宣言され、会議終了後法務大臣に答申することが確定したとあります。
96号諮問の説明とは別に西田部会長の「病気を対象にした理由」についての説明だけ追記します。
 「病気の影響」による場合については、病気は予期せずに突然発作が起きる場合もあり、病気にかかった者が、正常な運転が困難なことを認識しながら運転することは考えにくいので、この場合に、当該状態を認識しながら運転することを捉えて危険運転致死傷罪の構成要件とすることは無理であるが、他方、発作により意識喪失に陥る恐れがあり、それを認識しながら運転を継続すると言うケースは有り得る。
 そのような行為は、危険運転行為と同程度とは言えないとしても危険・悪質であることから、病気の影響による類型についても、要綱案の規定の対象とすることが相当であるとの意見が多数を占めました。
 また、アルコール又は薬物は、通常、被疑者・被告人の意思により摂取するものであるのに対し、病気に罹患することは意志に基づくものでないという点で違いがあることから、「アルコール又は薬物の影響」による場合と、「病気の影響」による場合とを分けて規定すべきであるとのご意見を踏まえ、政令で定める部分があることも考慮して、それぞれに分けて規定した次第です。

 以上


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3007 報告 なるこ会の「春の園遊会」開催される                 町田 誠、一色 啓司




 なるこ会会員の親睦を深めようと、かねてより企画していた春の園遊会が、2013年4月13日(土)に東京の代々木公園で開催されました。ここは東京で3番目に広く花と芝生と噴水がある緑豊かな公園です。
 当日は天候に恵まれて小春日和な心もワクワクする日でした。会員20名が参加し、顧問の本多 真医師を交えて楽しいひと時を過ごしました。  新調した「なるこ会」の旗の下に、「よろしくジャンケン」で出席者全員とのご対面あいさつをして盛り上がったところで、青空のしたで広げた豪華なお弁当に舌ずつみを打ちました。アルコールも程よく廻って、各種のゲームに夢中になりながら時のたつのも忘れてしまいました。  その後、あらためて自己紹介をしながら、日頃の悩みや体験談を披露をしたり、本多先生を交えてナルコレプシーの悩み相談をしたりして有意義な時を過ごし、おしゃべりに花咲かせながら相互交流を深め、楽しい時が持てました。

 この経験を活かして、更に楽しい有意義な園遊会にしていきたいと願っています。会員の皆様、次回(時期未定)も奮って参加してくださいますようお願いします。











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3008 報告 田宮 由道さんを偲んで                 川岸 聡子

 田宮さんの訃報をお聞きしたのは、4月15日 奥様からのお電話でした。
余りに突然のことで、お悔やみを申し上げるべきかどうかも分かりませんでした。
お亡くなりになったのは14日、前日13日迄はお散歩に出かけたり、散髪をされたりとお元気だったそうです。
享年89歳でいらっしゃいました。

 あれから1カ月、田宮さんとの色々なことを思い出す時、いかにも田宮さんらしく颯爽と逝っておしまいになったものと、悔しくもあり、ある種の線棒さえ感じます。
もう少し回りの人に人々に心配をかけ、お見舞い位はさせて下さっても良かったのではと、私は今も愚痴っています。

 私が、晴和病院の故本多裕先生にお世話になって10年ほどした頃、当時「なるこ会」の会計をしておられた中島さんから、「年を取ったので、この仕事を引き受けて!」と言われた時、私は誰かがしなければならない仕事だと思い、中島さんに長年のご苦労を感謝しつつお引き受けしました。
その時の会長が現理事長の白倉さん、ホームページ関係を桑原さん、そして会の運営の殆どを田宮さんと清水さんが行って居られました。
その後、清水さんが体調を崩されたため、その仕事を田宮さんと私とが引き継ぎました。
{私は、事務的な仕事のみでしたが。}

 田宮さんの当時のお仕事は多岐にわたり、それはそれはご多忙だったに違いありません。
それなのに、田宮さんは前面に出ることを好まず、着実に仕事をこなして居られるお姿には、教えられるものが多くありました。
 特に多忙だったのは。「なるこ会」が任意団体からNPO(非営利活動法人)への移行の手続きをした時でした。この時の公文書作成には、それを行う専門家がいる程ですから、その煩雑さは大変だったに違いありません。
それを淡々と進められたのには、側で拝見していた私には脅威であり、そのスマートさに驚かされたものです。
「NPO法人なるこ会」の基礎を作られたことが、後に「認定NPO法人への昇格」(現副理事長。河野さんによって)につながって行きます。 田宮さんが、なるこ会の仕事を通じて、至らない私にお付き合いして下さったことに改めて感謝申し上げる次第です。

 また、この会の他にも、油絵の会、ソシアルダンスの会、陶芸の会等々tでも、中心的役割を果たして居られたと言うこともお聞きしています。 東京生まれで山の手育ち、背筋をぴん伸ばした颯爽としたお姿及びその快活なご様子は、正にダンデイな万年青年でした。

 そう言えば、ある年の「総会兼パーテイー」(昔は年に1回12月に総会とクリスマスパーテイ−を、随時ハイキングやピクニックを開催していた)の際、一度だけダンスのお相手をさせて頂いたことがあります。
 学生時代ダンスサークルに入っていましたが数十年以上も前に止めていた私は、ついて行くことがやっとで、傍で見て下さっていた本多先生の暖かい笑顔に冷や汗ものでした。

 田宮さんは、色々なことに幅広く前向きに且つ全力であたって、生きることを楽しんで居られたような気がします。
 思い出は尽きませんが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。


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3009 報告 博多懇話会実施報告            桑原 正孝

 当会としては2度目となる懇話会を8月26日(日) 福岡市博多区において開催しました。出席者は九州各地から家族4組を含む14名に山口県宇部市から駆けつけて頂いた土屋智先生、理事会から河野、桑原を加え総勢17名でした。
 昼食を挟み午後5時過ぎまで借りた会議室の時間いっぱいを使い切りました。
出席した皆さんは同じナルコレプシーの人と話すのは初めてであり、お互いの経験や情報に熱心に耳を傾けていました。
話題としては症状による影響、薬の副作用、対処法、運転免許、就職など多岐にわたりました。
 自分の症状や薬の効き方がうまくいっているのかどうか不安を持っておられる人も少なくなく、そのような不安に対しては土屋先生が適切にアドバイスを与えてくださりかなりの方が納得されたようでした。
ナルコレプシーのように専門医・医療機関が少ない分野ではセカンドオピニオンのより必要性を感じました。
 本懇話会にはNHK福岡放送局から光武ディレクターとカメラマン2名が最初から最後まで取材をしてくれていました。
取材内容は9月12日の「熱烈発信!福岡 NOW」という報道番組で放映されました。本来ニュース番組でしたので時間は短かったのですが、患者へのインタビューや地元の医師の取組もあり充実した内容でした。
なお、11月26日の全国放送「おはよう 日本」でも放送されました。
今後も運営資金と相談しながら、このような各地における懇話会を継続していきたいと考えております。

 以上

追記:
 後日、光武デイレクターより、「今回の経験を生かし、"睡眠障害"としてまとまった形の啓発番組の作成を、上司と交渉中」との連絡がありました。 実現することを期待している次第です。


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3010 報告 「春・秋の睡眠の日」&「公開市民講座」について                河野 通久

 掲題については、「なるこ会便り」でご紹介しておりますが、再度「睡眠の日の概略」と東京にて開催の「公開市民講座の概要」を抄本転載して概略をご紹介します。 
 皆様もご多忙とは存じますが、次回最寄りの会場で開催される「公開市民講座」に参加されることをお勧めします。

 「春の睡眠の日」は3月18日です。この日は世界睡眠医学会が「世界睡眠の日(ワールド・スリープ・デイ)と定めている日で、欧米では一般の人にも知られて来ています。「秋の睡眠の日」は9月3日で「グッスリの語呂合わせ」で日本独自に決められました。
 また、両日の前後1週間を睡眠週間と称し、その期間内に「睡眠健康推進機構」を初め、各機関・団体主催により各地で公開市民講座やシンポジウムが開催されます。いずれも、「人生の1/3を占める睡眠及び睡眠障害についてよく知り、考えましょう」がテーマです。

 平成25年春の「睡眠健康推進機構」主催の公開市民講座は次の6会場で開催され、全会場の参加者への配布資料に当会のパンフレットを入れて頂きました。
    東京都、福島市、竜ヶ崎市、竜ヶ崎市、大阪市、松山市 
以下、東京にて開催の「平成24年度.秋の睡眠の日市民公開講座」と「平成26年度.春の睡眠の日市民公開講座」の抄録を転載します。

■■平成24年度・秋の睡眠の日 公開市民講座in東京(H24.9.2)■■

◆健康な眠りについて 白川修一郎(公益財団法人東京都医学総合研究所) 

 睡眠の障害や不足の状態が長く続くと、高血圧や心筋梗塞などのリスクの上昇や免疫機能の低下が生じ、肥満や2型糖尿病の発生リスクも高くなります。又、注意が散漫となり事故を起こす危険性も高くなります。免疫や学習機能の低下、自己評価の悪化、ストレスの蓄積、認知機能の低下、気分の悪化等も知られています。
 これは、眠気の脳(こころ)と身体の健康の維持や病気の予防と密接に関係しているからです。健康な眠りは、百薬にも勝って、人間の生命を維持する重要な役割を果たしています。健康な眠りには、量も質も大切なものです。
 健康に最も良い睡眠時間は、大多数の人で7時間前後です。それも夜に集中している方が良いようです。
睡眠は、体のリズム(生体時計)ともリンクしていて、昼行性の動物である人間は、夜に眠るよう遺伝的にプログラムがセットされているからです。
「スムーズに寝つき、眠った後は殆ど目覚めず、さわやかに目覚め、リフレッシュ感がある」、このような睡眠が良質な睡眠です。
食を含む規則的な睡眠・生活習慣、日中の規則的な生活、適度な運動、寝室や寝具などの睡眠環境への配慮等が、健康な眠りへの条件です。
自分の睡眠に満足していない方は、このようなすぐに始められることから実行してみましょう。
 「一日は就寝から始まる」と考えて下さい。健康な眠りは、翌日の生活を楽しく充実したものにする働きがあるからです。

◆不眠症について  遠藤拓郎(医療法人社団スリープクリニック)

 今回の市民公開講座では、7,500名の睡眠障害の患者さんを診察した経験から生まれた、最新の不眠治療を公開します。
不眠症には、「実際に睡眠の質が悪いタイプの不眠症」と「眠ってしまえば睡眠の質は良いけれど、不眠に対する恐怖感で寝付けないタイプの不眠症」とがあります。
 後者の不眠恐怖不眠症患者さんに対して、「何時に眠りましたか」、「目をつぶってから何分で眠れましたか」と診察のたびに質問しますと、患者さんは不眠を強く意識するようになってしまい、最終的には寝室に行くのも怖くなり目が醒めてしまいます。

 このような時に役立つのが睡眠計です。私は、高性能の万歩計のような睡眠計を使っており、これは腰に着けるだけで自動的に睡眠状態を記録してくれます。不眠症患者さんが来院された際には、患者さんと一緒に睡眠計を見ながら、「昨晩は6分で寝ついているね」、「4時間ぐらい眠っているから今日は大丈夫」と説明し、安堵感を与えるようにしています。
 最近では、腕時計やスマートフオンに睡眠計がついているものや、目覚まし時計に睡眠計がついているもの、寝具の下に敷くシート型睡眠計等があります。最新の睡眠外来では、睡眠計を使った不眠症治療がトレンドになっています。睡眠計を使った生活指導のみで不眠症が治る場合もあります。

◆睡眠覚醒リズムの問題について 田ケ谷浩邦(北里大学医療衛生学部健康科)

 地球上の殆どすべての生物は体内時計を持ち、約24時間のリズム(慨日リズム)を作り出しています。体内時計によって、地球の自転に伴う24時間の環境変化を予測して、時間帯ごとに身体の状態や行動の準備をしているのです。
 睡眠と覚醒は、体内時計が作り出す慨日リズムと睡眠不足の程度によって影響を受けています。データつまり、睡眠は2つの仕組みでコントロールされていて、1つは夜になると眠るという仕組み、もう1つは起きている間に使って疲れた脳を休ませようとする仕組みです。ですから、脳が疲れていない日でも、普通に眠る時間になれば人は眠ることが出来るわけですし、逆に、徹夜して疲れたので朝から眠ろうとしてもぐっすりとは眠れないということが起こるわけです。
 そして、夜間勤務に就いたり、海外旅行などで時差のある地域に急速に移動したりすることで、睡眠覚醒リズムと必要とされる生活スケジュールが一致しなくなると、目覚めていなければならない時間帯に目覚めることが出来ず、眠らなければ時間帯に眠れなくなるなどの問題が生じます。  しかし、覚醒リズムの問題は体内時計だけでなく、様々な原因によっても起こります。今回の市民公開講座では、これらの原因と対処方について、また規則正しい生活について言われていることの内、どこまでが科学的裏付けがあるのかについても解説します。





◆睡眠時無呼吸症について 菊池 哲(医療法人社団秋桜会コスモス矯正歯科)

 歯科医院で、いびきや睡眠時無呼吸症の治療ができることをご存知ですか? 睡眠時無呼吸の治療法としては、医科医院では、まずCPAP(シーパップ)治療を行います。シーパップ治療とは、睡眠時に鼻マスクをつけて、そこへ空気を送って気道を広げる機器です。この治療法は、機器を使うことが出来る方に有効ですが、大掛かりであることが難点です。
 歯科での治療法は、マウスピースを作り、それをつけて寝るだけです。この装置(正式には口腔内装置と呼びます)によって、下顎を前に出した位置に矯正させます。この状態で眠ることで、のどの奥の気道が広がり、いびきや無呼吸がなくなる効果があります。シーパップに比べると小さい装置ですので、持ち運びにも便利で旅行にも持って行けますし、歯科医院で比較的簡単に作ることができます。
 さらに最近では、歯科医院で睡眠時無呼吸症の予防ができるのではないかと、期待されています。睡眠時無呼吸症の名付け親でもあるスタンフオード大学のギルミノ教授が、子供の矯正歯科治療により睡眠時無呼吸症が改善する可能性があることを報告しています。当日はこれらのことを中心にお話しする予定ですので楽しみにして下さい。

■■平成25年度・春の睡眠の日 公開市民講座in東京(H25.3.16)■■
   (「女性のための、女性講師による講演」が今回の特徴となりました。)

◆睡眠健康推進機構長賞受賞と記念講演    菱川 泰夫(秋田大学 名誉教授)

 本年、睡眠健康推進機構では、機構長賞を制定されました、賞には2種類あり、
   @これまで長年にわたって睡眠研究に携わって来られ、数々の業績を残された方を表彰するものと、
   Aこれから新しい研究を推進しようという若手研究者に贈られる研究助成の為の賞です。
この@の賞に菱川先生が選ばれ、賞の受賞と記念講演(省略)が行われました。

 同先生は日本のナルコレプシー研究では、故本多裕先生と並ぶ先駆者であり数々の発見を発表され世界的にも名前を知られた先生です。また、日本睡眠学会の立ち上げの際にもご尽力されたとお聞きしています。
 数年前から体調を崩され車いす生活をされているとお聞きしていましたが、両手に杖をつき、介添えを従えながらも自力で歩かれており、お声にも張りがあり、お元気そうな様子でした。
 当会の会員にもなって頂き、裕先生ご逝去の際には弔意文を頂いた{会誌に掲載}関係もあり、控室に押しかけ20分程お話しできましたが、記憶力も鮮明で「なるこ会ももっと頑張るよう!」と逆に激励された次第です。

◆睡眠と健康―よく眠りよく生きるー    大川 匡子(滋賀医科大学睡眠学講座)

 最近の我が国の睡眠の実態について調べた様々な調査から、「眠りたいのに睡眠時間が取れない人」と「眠ろうとして床についても眠れない人」だ増加していることがわかっています。
 男女別、年齢別に睡眠時間を調べた調査によると、どの年齢層でも女性の方が少ない傾向にあります。これは、女性の方が身支度に時間がかかること、パートナーである男性の家事・育児・介護参加が少なく、女性の負担が大きいことが要因と考えられます。最も睡眠時間が少ないのは40歳代女性です。6時間の睡眠を確保できない女性が40歳代では、40%もいるという調査報告もあります。自分自身の仕事を持っている上に、自分以外の家族の用事にも手を取られ、睡眠時間を削って目いっぱい頑張っている姿が目に浮かびます。

 1日24時間という限られた時間のスケジュールを組む際、仕事や遊びを優先し、通勤(通学)時間、食事時間、と埋めて行くと、最後に残るのは睡眠時間という方が多いのではないのでしょうか。日常生活で最初に削られてしまう睡眠時間ですが、睡眠は私達の健康維持に大切な役割を果たしています。
睡眠の状態は、大きくレム睡眠とノンレム睡眠の2つのタイプに分かれます。レム睡眠時は、大脳は活発に働いて夢を見ていることが多いのですが、体は休んだ状態です。ノンレム睡眠時は大脳が休んだ状態です。  大脳は、見る、聞く、感じると言った知覚情報を処理する、考える、文字を書く、会話する、などの高度な働きをしているため、24時間365日、連続運転していてはオーバーワークとなります。そこで、大脳を休ませるために鳥類や哺乳類は眠るようになったと言われています。
 つまり、睡眠には「体を休める」という働きと「大脳を休息させる」という2つの働きがあるのです。また、夜の睡眠中、子どもの骨や筋肉の成長の欠かせない成長ホルモンが大量に分泌されます。子どもほど多くはありませんが、大人も夜の睡眠中に分泌され、免疫機能、代謝機能の増強、身体の疲労回復に役立っています。
 眠り方の基本は「昼はしっかりと起きて活動し、夜もしっかりと眠る」ということです。

・女性ホルモンと睡眠
  女性の性周期をコントロールするホルモン「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」は、月経、妊娠、出産、更年期等、女性のライフイベントにおいて切り離せないホルモンです。女性にとって大切なこのホルモンは、また、女性の"睡眠の質"を低下させる原因の1つでもあるのです。特に、更年期の睡眠障害は、ホルモン療法で改善されることもあるようです。のぼせやほてりと共に睡眠障害がひどくなったと思われたら、一度婦人科に受診されることをお勧めします。

◆女性に特有な睡眠障害  香坂 雅子(特定医療法人朋友会 石金病院)

1.女性の睡眠の特徴
  近年の24時間型社会の浸透は多くの日本人の睡眠の剥奪を招いていますが、中でも女性における睡眠時間の不足は欧米に比べて際立っています。NHKの5年ごとに行われる国民生活時間調査を見ると、40歳から60歳代の女性では男性に比べて睡眠時間が少なくなっていることが分かります。2010年の調査では、40歳代の女性の睡眠時間が最も短くなっていました。
 また、女性は性ホルモンと共に、睡眠が変化することも知られています。加齢に加えて、性ホルモンの変化など、ライフサイクルから睡眠の問題をとらえる必要があります。そこで、健康な女性では、月経周期と共にどのように睡眠が変化するのか、また、眠りの男女差についても概観したいと思います。
 
2.睡眠障害
  不眠は加齢と共に増加して来ますが、その中で女性に特有な睡眠障害として、更年期症状による不眠があります。火照りや発汗に伴い夜間に頻回に覚醒するもので更年期の定義としては「閉経の前後5年間」をさします。
 その他に「むずむず脚症候群」による不眠があります。日本での有病率は1〜4%と言われ、女性で多く認められています。夕方から夜にかけて脚の違和感のためにじっとしていることができなくなりますが、特に夜間床に入るとその違和感が強まり、入眠が妨げられます。不眠で外来受診される方の中には,よくお話を聞くと実は不眠症ではなく、この疾患であることがあります。妊婦での報告も多く、妊娠に伴い鉄分や血清フエリチンが低下し、二次性に発症するのではないかと考えられています。多くは、出産と共に症状は軽減します。
 また、心理社会的要因による不眠もあります。育児に伴う場合や配偶者による影響、親の介護など各年代によって睡眠の妨げられ方が異なりますが、不眠の重要な要因です。

 ついで、日中の眠気を伴う疾患として「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」があげられます。この疾患は男性に多いと考えられていますが、最近は女性においても注目されるようになって来ました。
 閉経後にイビキ、あるいは日中の居眠りの形で発症することがあります。欧米の疫学調査では「イビキと日中の眠気の関連」が指摘され、呼吸障害とは別にいびきは中高年者の日中の眠気と関連する、あるいは男性より眠気を訴える割合が高いとされています。
女性では不眠のために睡眠薬を服用することが多く、SASが顕在化することがありますので注意が必要です。
一方、女性ではほとんど認められない疾患もあります。「レム睡眠行動障害」と言って、60歳代以降の男性に多いのですが、夜中に大声を上げたり、腕を振り回したり、走り出してしまうもので、夢の内容と一致した行動をしてしまう睡眠障害です。特に、隣にいる妻を泥棒だと勘違いして殴ってしまう方もいます。
 女性に少ない理由は明らかではありません。

3.快適睡眠の確保
  ここでは、更年期女性にみられる睡眠障害の改善策として検討した「光療法」について  ご紹介し、光環境の整備が重要であることを強調したいと思います。




女性が圧倒的に多かった公開市民講座でした。上は、講師の先生方です。


◆睡眠障害の薬に頼らない治療法  駒田 陽子(東京医科大学睡眠学講座)

 皆様の睡眠は、ご満足のいくものでしょうか?
 近年、「睡眠」や「眠気」に関して、テレビ番組や新聞、雑誌、ウエブサイトで特集が組まれ、様々な情報や雑学が溢れています。このことは、眠りの重要性が認識され、日常生活で「睡眠学」の知識が必要とされていることを示していると思います。一方で、満足な眠りをなかなか得られない現代人の状況を表しているとも言えそうです。
 子供の頃は自然に眠くなり、ぐっすりと眠り、昼間は元気に遊んでいました。いつの頃からか悩みごとで寝つけない夜が増えたり、朝起きても熟睡できていたかわからないような気持ちになったり、昼間もなんとなく調子が悪い、、眠いと言った不満が出てくるようになりました。
 「若いころのように、ぐっすりたっぷり眠りたい」、「眠りは、体にとって大切な休息だから。8時間以上睡眠を確保したい」、あるいは「眠っている間は何もしてない状態だから、人生で無駄な時間だ。出来るだけ睡眠時間を短くして活動したい」というのは、理にかなった考えでしょうか。  眠りというのは、生命を維持していくためになくてはならない時間です。ですので、自分の意思で睡眠をコントロールすることは出来ません。私達は、不十分な睡眠で活動し続けることは不可能ですし、反対に、無理に眠ろうとしても眠れるわけではありません。眠りは、体内時計や睡眠中枢のメカニズムに従って、その質や量、タイミングが決定されているからです。

 眠るためにお薬を飲んでいらっしゃる方も少なくないと思います。「睡眠薬に任せて眠ればいいわ」と、お薬に頼り切ってしまうことも、「睡眠薬は一度飲んでしまうと、止められなくなりそうだから絶対服用したくない」と、眠りに不満を抱えたままで過ごすことも、どちらも適切な考え方ではありません。
今日は、薬に頼らないで、睡眠を改善するためのコツをお伝えします。眠りを良くするために、日常生活の中で取り組めることがいくつかあります。
今日お話しするポイントは、
  @体のリズムを整えましょう、
  A昼間の活動を見直してみませんか、
  B眠る前はリラックスしましょう、
  C眠りの環境を整えましょう、
です。是非1つでも、生活の中に取り入れて、習慣にして下さい。皆様の眠りが、ご満足のいくものになる筈です。

◆女性の脳と男性の脳    田中 冨美子 (田中クリニック横浜公園)
     ―性差医学からみて、男女共同参画社会形成はなぜ必要かー

 2000年初頭にアメリカから日本に入って来た性差医学の概念は、初めて、「性差」という言葉が、生物学的性(セックス)と、社会的・文化的性(ジェンダー)の両者に関係することを示しました。これによって、疾患の罹患率や症状における性差には、セックス依存性のものと、ジェンダー依存性のものがあることが認識されるようになりました。
 例えば、セックス依存性の疾患には、生殖器系の疾患を除き、身体のつくりや性ホルモンの違いに関係するものが挙げられます。とくに女性での閉経によるエストロジェン欠乏を原因とする関節疾患/リウマチ、骨折・転倒、認知症が重要です。

 ジェンダー依存性の疾患は、男性が社会を、女性が家庭を、という性別役割意識に支配される社会/分化と深く関っています。日本人の三大死因、がん、心臓病、脳卒中は全て男性の方が罹り易く、死にやすい。つまり過酷な社会生活と関係しているジェンダー依存性の疾患であることが注目されます。
但し、これらの疾患への罹患率の性差には、閉経前の女性はエストロジェンによって護られているという因子があることは見逃せません。
 女性のセックス依存性の疾患は不健康寿命を導くとは言え、男性のジェンダー依存性の疾患のため、日本人の平均寿命の性差は現在7年にもなっています。
 平均寿命の男女差は、男女共同参画が進んだ北欧社会では約4年です。この北欧での寿命の性差の短縮は、とくに男性の思考/行動を支配する脳に変化がもたらされた結果と私は考えています。
従って、「男女共同参画社会形成が必要」と私が考える理由は、脳の性差の解消があります。疾患だけではなく、脳の構造と機能にも性差があり、私はこの性差にもセックスとジェンダーという特徴があることを主張して来ました。
 簡単に言いますと、セックスは本能/情動の調節、体温調節、生殖機能などの調節、そして睡眠‐覚醒の調節を行う(古い脳)、ジェンダーは認知機能、思考と意思の形成、行動発現、本能/情動行動の調節に当る(新しい脳)にあります。
 古い脳のセックスは出生前に生得的に形成されますが、新しい脳は出生後に環境刺激に対応して形成されます。
現在の日本人の新しい脳には性差がありますが、この性差は性別役割意識を基盤とする社会/文化によって形成されるジェンダーであると言えます。家庭や社会での私達の思考/行動はこのジェンダーの表出であり、したがって、先の男性のジェンダー依存性疾患もその帰結と言えます。
新しい脳の性差は、社会/文化に性別役割意識がなくなり、男女共同参画社会となれば消失するはずで、北欧では思考/行動だけでなく、数学能力という知的能力の性差も消失しています。
 男女共同参画社会形成には、女性の社会への参加促進は勿論のこと、男性の家庭への参加の促進も必要です。女性の側から見れば、これによってのみ女性の健康の維持が計れるでしょう。
 本日のテーマである睡眠の質と量にも改善があることが期待されます。
私は更年期の女性を対象にクリニックを経営していますが、入眠障害の多さ、睡眠時間の少なさには大変驚いています。
一方で、男性が育児などに時間を割くことが寿命の延長につながることは、先に述べた北欧の実態だけでなく、サルなどの研究で知られています。
これがうまく行かないと、女性が社会に進出することにより、女性の死因にこれまで男性に多かった疾患が増えて来る、それによって女性の寿命の短縮がある可能性があります。

 以上

事務局より
 平成22年4月1日、厚労省(医務局・国立病院課)の所管法人として6つの独立行政法人(研究センター)ができました。
   1.国立がん研究センター   2. 国立循環器病研究センター  3.国立精神神経医療研究センター
   4.国立国際医療センター   5.国立成育医療研究センター   6.国立長寿医療研究センター
   この内、B、が我々患者には最も身近なものですが、これは、昭和61年に設立された「国立精神・神経センター」を改組したものです。
また、現「公益財団法人 精神・神経科学振興財団」は、「国立精神・神経センター」設立に伴い平成3年に誕生した「財団法人 精神・神経科学振興財団」が平成24年に公益財団法人として認可されたものです。
 さらに、「睡眠健康推進機構」は、平成23年に「日本睡眠学会」の支援のもとで、睡眠に関する正しい知識の普及啓発のために同財団内に組織されたものです。

{余談}
 現厚労省は2011(平成13)年1月の中央省庁再編により、厚生省と労働省を廃止・統合して誕生したものです。
その任務は「国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展を発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の働く環境の整備及び職業の確保を図ること」他と記定し、それを達成するため医療・健康・福祉・年金や労働・雇用を所管すると定めています。
この膨大な業務は111項目に列記され、それを10の内部局が担当しています。また、内容が広範かつ専門性を必要とするため、所管法人として19の独立行政法人(上記6センターを含む)、11特別民間法人他があります。 

 以上


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3011 報告 PhRMA(フアーマ)インフォメーション.セッションに参加して     一色 啓司

 2012年12月3日13:00〜17:00 東京駅八重洲カンファレンスセンターにて、掲題セッションが開催されました。(26団体,37名が参加)
当会から、河野副理事長、町田理事と共に初めての私.一色の3名が出席しました。
今回のセッションは3部構成となっており、
1部は、独立行政法人国立成句医療研究センター研究所.成育政策科学研究部部長 森 臨太郎氏による
    「英国医療における患者一般参画の実際」についての講演
2部は、2つの事例紹介とディスカッション
  @ドラッグラグ解消への患者参画の在り方とその取り組み」
     眞島 善幸氏(NPO法人日本バンキャンジャパン理事)
     村上 紀子氏(NPO法人PAHの会 代表)
  A「ワクチン承認を目指し、患者団体が取り組むべき活動とは?」
     高畑 紀一氏(Action for Children 代表)
     中井 麻里氏(ムコネット Twinkle Days 理事)
     アドバイザー  森 臨太郎氏
     フアシリテイター 桜井 なおみ氏(NPO法人HOPE プロジェクトリーダー)
3部は、大阪会場とのネットワーキング とが予定されました。

内容の概略、及び私が受けた印象は、次の通りです。
1部「英国医療における患者一般参画の実際」
  森先生は、英国で小児科医としての豊富な経験・実績をお持ちで、更に英国立母子保健共同研究所にて、NICE(ナイス:英国国立医療技術評価機構: National Institute for Health and Expelience)診療ガイドライン作成に携わったという貴重な経験をされた方とのことです。
 その先生から「揺り篭から墓場まで」と俗によく言われているイギリスの医療制度について詳しくお話し頂き、それに対し日本の医療制度はどういう状況かということを分かり易くお話し頂きました。(ここでは内容は省略します。)
 ただ、英国では医療費は原則無料で、医療にかかる財源は税金で賄われるのに対し、日本では社会保険という形で公的な機関が支配する保健で医療費の大半が賄われると言う形の違いはあっても、公費で賄われている実態はあまり変わらない。
皆さん(セッション参加者)には、納税者としての権利として、もっと公的機関に異見を言ってほしい。言うべきである。と話されたのが印象的でした。
 英国をはじめ外国では、皆さんが結構意見を言われるそうで、私自身ショックを受けました。なるこ会でも、「もっと意見を言うべき時は意見すると言う活動をしなければ」と思いました。

2部は、今セッション参加団体の内、4団体の代表者の方から2つの事例の紹介があり、それについて全員でディスカッションする形でありました。
@ドラッグラグのテーマについて、
 眞島氏は「すい臓がんの患者会」、村上氏は「肺高血圧症の患者交流会」で、いずれも海外で既に使用され実勢の有る薬剤が日本国内で使用可能になるのにいかに手間取っているかについて話されました。
 厚労省の承認を得るのにどれだけの時間がかかるかは、我々も良く知っていますが副作用を恐れ治験に時間をかける厚労省の体質を責めるだけでなく、海外の治験実績を活用する方法や、薬剤には大なり小なり必ず副作用があると言う患者サイドの薬剤に対する理解の問題もある等、難しいがやらねばならないテーマと思いました。

Aワクチンのテーマについて
 高畑氏は「細菌性髄炎」、中井氏は「ムコ多糖症」 お二人とも子供さんがこれらの病気にかかった事から活動をされているとのことで「すぐにでもそれぞれのワクチンが日本でも承認されることを願う姿勢」が印象的でした。
 ナルコレプシーの治療にも薬剤なしでは考えられないので、(ワクチンではありませんが)なるこ会でも真剣に考える必要があると共に、こういった他の患者団体とも交流が図れるといいなと、少し思いました。

3部は、大阪会場とネットで繋ぎ討論する予定でしたが、回線の調子が悪く、第2部の延長線となりました。

 以上


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