日中の眠気以外にもこんな症状があらわれる

 日中の強い眠気以外のほかにも、ナルコレプシーには特徴的な以下のような症状があります。

症状名 説明
主症状 日中の強い眠気と睡眠発作 突然、強い眠気におそわれ眠り込んでしまう
副症状 情動脱力発作 興奮したときなどに体の力が抜ける
入眠時幻覚 眠りばなに鮮明なおそろしい夢をみる
睡眠麻痺 幻覚にともなう金縛り状態
その他 自動症 眠気のあるとき、行動を覚えていない
夜間の熟睡困難 睡眠サイクルの乱れにより熟睡できない
頭重、頭痛、複視 複視とは物が二つに見えること
          注)この表の「説明」の欄はHP作成担当者が追加したものです。
<解説>
 日中の強い眠気だけではナルコレプシーとは確定診断されません。ナルコレプシーと確定診断される基準としては、次の2つがあげられます。

A.日中反復する居眠りが、ほぼ毎日、3ヶ月以上持続する。

B.強い感情の動き(笑い、得意、怒り、驚き)などで起こる姿勢筋の両側性の突然の緊張喪失発作(情動脱力発作) の存在(Aと共存するものであれば、既往にあったことが臨床的に確認されるだけでよい)。


 注意して欲しいのは、ただ耐えがたい日中の眠気だけではナルコレプシーと診断できないことです。過度の眠気を引き起こす睡眠障害にはナルコレプシーのほかにも、真性過眠症、反復性過眠症、特発性過眠症、覚醒不全症候群、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害などさまざまなものがあります。くわしくは、日本睡眠学会のホームページをご覧いただけると理解しやすいでしょう。
日本睡眠学会 http://jssr.jp/

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情動脱力発作

 昼間の眠気のつぎに特徴的な症状が、「情動脱力発作」です。情動というのは、喜怒哀楽のことですが、そういう感情が強くおこったときに、体の姿勢を保つ筋肉の緊張が抜けてしまうというものです。

 「情動でも特に、楽しくて興奮する、おかしくて大笑いするなど、陽性の情動にともなっておこりやすいのです。瞬間的な脱力で、ちょっと体が沈む、首がガクンと沈むなどごく短時間のものですが、人によっては笑っている間、ずっと続くというケースもあります。またまれには、その状態をとめようと焦れば焦るほどまた発作が繰り返され、重積状態になって、二十〜三十分も持続することがあります。」(本多氏)

 「脱力発作の出現頻度は一日に数回から、一週間に数回など、膝がガクガクする程度から、地面にくずれるように倒れるケースもあります。倒れてしまうほど発作の強い人はそう多くはいませんが、その場に立っていられなくなる、物が食べられなくなる、手にもっているものを落とす、などがよく起こります。また発作時には、顔面筋や発語筋にも脱力がおこり、そのために言語が不明瞭になります。」(菱川氏)

 「この情動脱力発作は非常に大事な症状で、これがないといくら眠くても別の疾患だと、わたしは考えています。」(本多氏)

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入眠時幻覚

 他にもナルコレプシーに頻繁におこる症状がいくつかあります。一番多くおこるのが「入眠時幻覚」で、これは寝入りばなにひどく鮮やかで怖い夢をみるものです。

「これは70〜80%の患者さんにみられ、特にこの病気が始まってからの数年間によく起こります。寝入りばな、自分ではまだ部屋のたたずまいなど分かっているくらいの、半分寝たようなときに、非常に鮮明な夢というか幻覚をみます。誰かが、鍵がかかっているはずの玄関のドアを開けて階段をミシミシとあがって、部屋の中に入ってきてそこにいるとか、体の上にのしかかってくる、熊のような動物に食いつかれるとか、刀で切られる、触れられるなどといった生々しい現実感をともなった幻覚、幻聴、幻触が起こります。あるいは、自分がスーパーマンのように空を飛ぶ、窓から出て行くといった浮遊感覚が起こることもあります。」(本多氏)

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睡眠まひ

 入眠時幻覚にしばしば一致して、「睡眠麻痺」という症状が起こります。寝入りばな、覚醒と睡眠の移行期に急に体に力が入らない、声が出ない、起き上がろうとしても体が動かない、身動きできないという、いわゆる金縛り体験です。これも、発病の初期によく起こります。

「ときには、呼吸が困難な感じもおこり、そのまま死んでしまうのではないか不安におそわれたりします。単独で起こってくるときもありますが、多くは幻覚やおそろしい夢をともないます。怖いから、逃げ出そうとしても手足が動かない、助けも呼べないという状態です。」(菱川氏)

 また、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺はいずれも、覚醒状態からすぐにレム睡眠に移るという、ナルコレプシー特有の睡眠リズムにともなって起こるものです。このため、この三つの症状は、レム睡眠関連症状とよばれることもあります。

<解説>
 私の場合、布団に入り眠ろうとするとすぐに、呼吸が止まったような息苦しさがあらわれます。同時に死神が頭の上に浮いているといった恐怖のともなう夢を見ました。夢といっても、現実感のある生々しいものです。今年で、治療をはじめてから約7年になりますが、現在は睡眠麻痺は起きていません。

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自動症(自動症様行動)

 自動症は、普段半分くらい眠いとき、自分では眠いという自覚がないのだけれど、後でやったことを覚えていないということが起こるものです。知らないうちに歩いていた、買い物をしていた、食べていたなどということが起こります。

<解説>
 自動症と呼んでいいのか分かりませんが、私の場合、単調な作業をしているときや非常に眠気が強いとき、意識は眠っているが体が動いていることがよくあります。例えば、もうろうとしながら食事をしたり、頭は眠っているのに勝手にクチだけが会話をしていた等です。現在は、薬物治療をはじめて約7年になりますが、十分に睡眠をとり意識のはっきりしている日などはおきません。

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夜の熟睡困難

 夜に鮮明な夢をみるために、熟睡感が得られません。
夢を見ている間はレム睡眠といわれる、脳の眠りが浅く、全身の筋肉の緊張が非常に低下している状態にあるます。レム(REM)とはRapid Eye Movement(眼球急速運動)の頭文字をとったものです。レム睡眠中には、特徴的な急速な眼球の動きが見られます。このとき、大脳は覚醒時に近い状態にあります。これに対してノンレム睡眠というのは、レム睡眠以外の睡眠で、おもに脳が休息をとっていると考えられています。ナルコレプシーではこのレム睡眠が不規則で頻繁におこります。
<解説>
 私も夜に頻繁に現実感のある夢をみました。寝言がひどく、臭いや肌触り、味覚などがともなった夢すらあり、それが一晩中つづくので、全く熟睡感は得られませんでした。ですが、7年間くすりを飲みつづけた結果、現在ではかなり熟睡できるようになりました。視覚的にかなりの鮮明な夢をみるために、芸術的なインスピレーションに役立つの場合もあるのではないでしょうか。阿佐田哲也などはナルコレプシーの鮮明な夢から小説の題材を得ていたのかも知れません。

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次は、『睡眠リズムが乱れる理由はまだ不明』
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