************************************************************  「なすや」ニッポンページ Ver.1.0  "exotic.htm" ************************************************************ 「なすや」エキゾチック・ヂャパン

エキゾチック・ヂャパン


 はい、「エキゾチック・ヂャパン」へようこそ。
 ここは他とちょいと毛並みが違いまして、
「海外から見た怪しげな『ニッポン』」
つまり映画やゲームの紹介ではなく、個人的な興味(悪く言えばヘンな物好き)で
「そこで日本文化(であると力説される)がいかに紹介されているか」を紹介するページです。
 おっと、ネタはなす・ごーやーの限られた情報収集力の範囲内に限るので、そこん所だけお含み置きを。


仁義なきニンジャ −極道最終戦争−

 香港パチモンニンジャムービーの1本。相変わらず穴埋め用のニンジャ話と本筋とが
絡む気配を見せずに展開するが、この映画には他のパチモンニンジャムービーと違う点が
一つある。
 タイトルで気づいた人もいるかもしれないが、この映画最大の特徴は、ニンジャアクションを
足す前の元々の映画が香港製ヤクザ・ムービーである所。
 つまり一粒で2度おいしい(というかうんざりできる)映画なのである。

 一時期流行した海外製のヤクザ・ムービーは、早い話それまでのギャングやら何やらをそのまんま
(これまたパチモノ臭い)ヤクザに置き換えただけのお手軽映画で、後でストーリーを思い出そうと
しても不可能なほどの内容の無さと、ぼんやり見てるとヤクザなんだか中国マフィアなんだか
訳が分からなくなる程間違った任侠世界と、赤ペンキと作りの悪いシリコン製人体パーツが
飛び交うだけのアクションシーンと、冷えて固まった使い古しのラードのような味わいのお色気が
ごちゃまぜになったゲップの出そうな作りの物がほとんどである。

 これを香港が作るのだからそのパチモノさ加減は想像を絶する訳で、日本の農園風景として
出てくるのはその辺の中国の片田舎。下駄は木製のサンダルになり、リアカーに積む野菜の
ダンボールには(こっそり)広東語が書かれており、炊飯器からでっかいスプーンで飯をよそい
、 テレビでも置きそうな場所にどっかりと仏壇が置かれている。
 主人公となるのは殺し屋の夫婦。しかも途中で夫はムショ入りし、出てきたと思ったら
誘拐された息子を助けに行って相手の雑魚の腕やら指やら首やらをさんざん切り落とすが
あっさり返り討ちに会ってこれまた首ちょんぱされておしまい。息子は糖尿病を患っており、
インシュリンの注射をしなかったために誘拐先で発作を起こして死んじまう。結局残った
顔のくどい奥さんが、昔の仕事仲間のこれまた顔のくどいねーちゃんを誘い復讐に燃える訳である。
 そして敵の若親分とダイスで一騎打ち・・・となるのだが、クライマックスでもないくせに
ここが一番の見所。何と壷を振って丁か半か、というのではなく、手のひらサイズの巨大な
金色のサイコロをおもむろに持ち出して、ビリヤード台の上で角で立ててちょいと手首をひねれば、
ぷよんぷよんぷよんぷよん・・・と妙な効果音と共にこまのように回り始め、止まって出た目が
でかい方の勝ち・・・というルール。賭ける物が無い奥さんは自分の手足をナイフでぶっ刺しながら
試合を続ける訳だが、どう考えてもこの回し方もとい振り方では決まった目しか出ないんじゃないか、
と昔テーブルトークRPGで散々チンチロやってた私は思ったりした。



オーバーキル 極道最終戦争

 そしてこれが問題の海外製ヤクザ・ムービーだ。舞台はLAのリトル・トーキョー。
 どうやらリトル・トーキョーはいつ行っても端午の節句で七夕でお祭りらしく、町のあちこちには
ヤマザキの柏餅を買うと付いてくるようなミニ鯉のぼりや学校の工作で作ったような七夕飾りや
ビアガーデンのようなちょうちんがぶら下っている。
 道では場末の安スナックに生息していそうなパーマと化粧に着崩れた和服のおばちゃんが団扇を片手に
良く分からない踊りで練り歩く。
 看板にチャンポンとかラーメンとか書いてある店は実は寿司屋(その割に厨房の衛生に不安が残る)
だったり、日本から来たヤクザ(と力説しているが効果はない)の親分さんは場末のビアホールの
ような風呂で「ぬるくちゃ入れない」「もう少し熱いほうがいい」とハリウッド弁で会話しているし、
日本から来た(と力説しているがこれまた効果はない)刑事の方がナンボか凶悪な面構えだったりする。
 しかし極めつけは銃弾に倒れた奴を「ひどいことされたなあ」とハリウッド弁で呟く怪しげな治療師に
連れて行くのだが、水晶の付いた棒(怪しげなブルークリスタルロッドみたいな形)でなぞる、という
どこの治療法だか皆目見当の付かない物を日本から来た凶悪な面構えの刑事は「日本の伝統的な治療法」
と力説するのである(が効果はない)。
 ツッコめば切りが無い、スルメのような味わいの一本である。



東京スパイ大作戦

 ‘50年頃の(タイトル通り)スパイ映画。当然白黒。
 日中戦争と太平洋戦争を仕掛けた悪の首相の陰謀を正義感にあふれたアメリカ人の
新聞記者が暴く・・・という筋だが、何しろ「日本=東洋のナチスドイツ」程度の
知識しかなかったご時世からそんなに離れていない時代ゆえ、映画の中に現れる
日本文化は全て中国文化や西洋文化と混同されるか、単にヘンなだけか、その2点に
集約される。戦前の日本の正確な描写をしている部分なぞ望んでも見る事が叶わない
状態である。

 ちなみに手元に資料が無いのと本筋に関係が無いのでちょろっと流すだけにするが、
第2次大戦中のアメコミは敵となる悪党もドイツや日本だったりする。
 しかも日本人はKKK張りの白装束に身を包んで「善良なアメリカ市民」を拷問している。
どこの日本人だこいつら?

 さて本筋に戻る。
 とりあえず映画が始まってすぐのポスターの文句がこれ。

「局遊漫本日全
 旅のき附内案
 すまし致を行」

 「全日本漫遊局」・・・時代遅れの英和辞書(アメリカ製)を使って書きましたーってな味が
いきなり口一杯に広がる言葉・・・
 お次は障子張りの銭湯。日本人は留置所のをマシにしたようなプール(にしか見えない)で
芋の子を洗う状態、主人公は個人用丸プール(にしか見えない)で鼻歌混じりで身体を洗う。
 その後鏡の前でネクタイを直す主人公に詰め寄るが、特高らしき日本人もきちんと靴履きのまま
板の間に上がって来ている。ああおいしい。
 劇中の日本語もお察しの通り「ハリウッド弁」。
「Millerハ、コンバン、ナガタマル、デカケマス!」
「ショーデスカ・・・」
 日本庭園にはカンムリツル(アフリカ原産・・・)が遊び、日本人の間諜はバーのカウンター席で
熱燗をやり、道行く人はどでかい提灯を竿の先に付けて闇を照らす。

 そして物語はのろのろとクライマックスを迎える。
 アメリカ侵略の計画書が明るみに出たため、バロン・タナカはトージョーとヤマモトが見守る中、
何やら派手な仏壇・・・と言うか雛飾りの前でハラキリをして果てる。
 やはりバンザイ・アタックやハラキリをしない「日本人」は、連中にとってはケチャップと
マスタードの無いホットドッグのような物なのだろうね。




魔界SFX軍団 死霊のニンジャ

 香港のやたらに素晴らしいニンジャムービー。
 もうニンジャが昼日中に赤かったり黒かったりするわ、香港にニンジャの骨が埋まっているわ、
そもそも「ダイアモンド・ニンジャ」のボスが思い切りヒゲの白人なのが期待に違わずトホホである。
 筋もかなりキている。ブラック・ニンジャが先祖の骨の埋まっている土地に住む一家を追い出すべく、
ゴースト・ニンジャに呪わせて様々な怪奇現象を引き起こすのと、それとほとんど無関係に
ダイアモンド・ニンジャが仲間と妻の復讐のためにブラック・ニンジャの手下を惨殺して回るのとが
平行して展開する・・・と言えば聞こえはいいが、話が噛み合う気配を見せないまま終っちまうのである。
 何でこうなるかは見ているうちに分かる。
 要するにちょっとエロが入った幽霊物にニンジャアクションを足し、台詞を吹き替えでごまかし、
むりやりニンジャ映画としてデッチ上げた結果こうなった、とまあいかにも香港らしい話である。
 BGMを「キン肉マン」や「マクロス」からパチってるのもしょうがなさを倍加させていて良い。
 しかし気になるのは、この手のデッチ上げニンジャムービーが監督も配給も別で(ウソ臭いが)
複数存在している事である。
 香港製ヤクザ映画とニンジャ、香港版「野望の王国」とニンジャ・・・
 紹介はまたの機会に。



007は2度死ぬ

 あまりにも有名なシリーズの、あまりにも変なニッポンに満ちた作品。
 特撮は東宝が担当しているせいで「宇宙大戦争」なノリだし、30年ほど前の銀座は出てくるし、
時代を感じさせるが別にヘンではない。最初だけは。
 いきなり100年は昔の中国風人力車が銀座で客引きをするのには不意打ちを食らった感がある。
 もちろん「怪しげな日本語」「怪しげな日本文化」もきちんと盛り込まれており、ニンジャ部隊は
熊本城で居合い抜きや柔道の練習なんかしているし、風呂では濃い顔のねーちゃんが背中を流してくれるし、
何と言っても圧巻なのは秘密警察のボス(丹波哲郎)の移動オフィスが丸の内線にある(!)事だろう。
 あと、あのド濃い顔のショーン・コネリーが聞き取り不可能な日本語を話すのを見て、これを日本人と
信じて疑わないバカはどこの日本にいるのだろうか。ぜひニッポンの人たちに聞いてみたい。



 
ニンジャ−修羅の章−

 かの日本が生んだ世界のニンジャ・スター、ショー・コスギ主演の映画。シリーズ2作目。
 のっけから金閣寺を出しておいて「Tokyo,Japan」とかいう筆描きもどきのテロップを
添えてみたり、その後出てくるやたらにでかい和・中折衷様式の邸宅と着付けのなっていない着物が
「これは必ず何かやってくれる」という期待を嫌が上にも強くしてくれる。
 その後舞台はアメリカに移るので、「異常なニッポン」はこれで打ち止めだが、その後で出てくる
道場の怪しさやニンジャ・アクションの何かが違う動きがその穴を補完してくれる。
 ちなみにケイン・コスギも子役で登場。「カクレンジャー」を見た後だと時代を感じさせるねえ。



ニンジャ−転生の章−

 ショー・コスギ主演のニンジャ映画、そのシリーズ3作目は輪を掛けてヘン。
 何しろ最初に出てくるブラック・ニンジャは怪しげなニンジャアクションでばったばったと
人を殺しまくる。しかもその後パツキンのアメリカ女性に乗り移って自分を殺した警官に復讐すべく
更にばったばったと人を殺しまくる。
 既に人間としての域を越えた「ニンジャ」はまさにハイテク・ジャパン産の悪霊妖怪である。
 他にも「アメリカにある少林寺は門が鳥居で入り口が障子」「ブラック・ニンジャのナイハン・カチは
結構日本語がヘタだ」「撒菱(まきびし)は投げて目潰しに使用」などと怪しさ(だけ)なら
他の追随を許さない。



ベルリン忠臣蔵

 原題が「サムライの夏」なのに、そして舞台はハンブルグなのに、こんな邦題が付いたのはなぜか。
 それはヒーローが大石内蔵助を名乗り、大石家の末裔を破滅に導いたドイツ人に復讐するからだ!
 もちろんのっけから「見るからにヨーロッパの平野を歩くサムライに『Japan 1703』の
スーパーを入れる」という暴挙で「忠臣蔵=雪の吉良邸」という日本人のイメージをぶっ壊してくれるし、
日本で生まれ育ったはずのヒーローが書く漢字は小学生の習字レベルだし、ヒーローの私室も
「向こうの連中が足りない資料から考えた日本らしさ」たっぷりで日本人の目にはショッカーの
秘密基地とあんまり変わらないし、どうもサムライとニンジャを混同している節はあるし、それ以上に
ニンジャはサイコキネシスやパイロキネシスを使えるらしいし・・・と枚挙に暇なし。
 文句無しにおすすめの一品なんですが、気になるのは配給先がそういうギャップを楽しむ事を目的として
この映画を紹介している所。やってる側は至って真面目な推理物として作っているのに・・・かあいそう。
 でも「ワターシワオーイシクラァノスクェダ、オマエオ、シイテ、イ、ルゥゾ、ニンジャ!」を聞けば
そんな思いも一気に吹き飛ぶぞ。



シャドー・ウォーリアー!

 一部で有名な「間違ったニッポンでDoom」。
 どの位間違っているかというと、「日本のビルは木造」「壁のポスターは全てアニメ」
「労働力は苦力(クーリー)」「主人公のロー・ワンはどう見てもマッチョのホー・チ・ミン」
「ニンジャとはチョンマゲを結ったオークの事」といった程度。
 ただこれはこれで大した事ではない。問題は他の部分にある。
 何とゲーム途中に水浴中の(下手な)アニメ絵の女性が違和感たっぷりに出てくるのだ!(殺せます)
 つまり、否定する気も無いけれど、「日本のゲーム=アニメ絵」でなければならないのだね、連中は。
 脳天気虐殺ゲームとしてのブラックな笑いと、意識的にそうしたとしか思えないカルチャーギャップは、
まさに「バーチャル『ニンジャ−転生の章』」と呼ぶにぴったり。
(というよりコンセプトはその辺にあったのか?)
 製作者側は「リアルな日本を忠実に再現した」と堂々と言った、という話を最後として、この項おしまい。


HARAKIRI

 パソコンゲーム=PC88(SR以降)、という遠い昔のシミュレーション。
 基本テーマは「戦国武将の天下統一」なのだが、その戦国時代が始まるいきさつが恐ろしい。
 Cha−No−Yuで使うShogunのChawanをAsanoが割ってしまい、そのため
AsanoはSeppukuを命じられるが、これに怒った家臣がShogunを暗殺!
 既に何かが間違っている気がするが、話はそこに留まらない。
 天下統一を狙うのは古今東西の強者ばかり。源頼朝と義経の兄弟喧嘩もできるし、因縁の対決・
甲斐の武田信玄VS越後の上杉謙信もばっちり再現。エクストリームを求める向きには「三船徳川」や
「忍者大名S・小杉」まで用意されているので安心だ!
 そして突如襲来する第3勢力、ペリー率いる黒船とフビライ率いる元!
 一揆に台風に地震に恥に耐え兼ねた家臣のハラキリと秘術を尽くした忍者(=諜報)戦!
 もうなんでもいいからとにかく詰め込んどけ、ってな態度で盛り込まれた怪しげな日本テイスト!
 でもこんな話より何が凄いかって、最初からそういうセンを狙って作られた、という事と・・・
 このゲームの製作・販売が(株)ゲームアーツ、だという点だ!
 あの「ガングリフォン」の会社だぞ!・・・サターンに移植してくれないかなあ。
 


「なすや」御品書きに戻る