#3  その日、レイには気にかかる事があった。  昨夜見た夢がまさに悪夢だった事。それが彼女を朝からずっと悩ませている。  いわゆる霊感のあるレイは時折予知夢を見る。特に奇妙な実体感を持つ夢を見たとき、それは未来の出来事を暗示している事が多い。  しかし、レイが気がかりなのは何も夢が実体的であったからではなく、むしろその夢が異常な物であったからであった。およそ形らしき物が何一つ無く、純粋な恐怖感で構成された夢は、これまで見た事もないほど異質で、そして恐ろしい物であった。 (…あの夢…何だったのかしら…) 「…って言ったんだよ。ね、レイちゃん?」  うさぎの声が取り留めの無い考えを中断する。 「な、何ようさぎぃ?」  慌てて言い返すレイ。 「聞いてなかったの?」 「…ちょっと考え事してただけよ!」 「へぇぇぇ…レイちゃんが、考え事ぉ?」  うさぎは馬鹿にしたような流し目でレイを見る。 「あんたみたいなバカと違って、あたしはいっつも考えてるのよっ!」  普段のやりとりにほっとしながらも、思わずむきになって反論してしまう。 「どーっせ男の人の事でしょ。」 「あんたと一緒にしないでよっ!」 「あ、あの、二人とも…」  おずおずと亜美が声を掛ける。 「ちびうさちゃんもいるんだから、その辺で…」 「いいのよ亜美ちゃん。」  レイが口を挟む。 「うさぎと亜美ちゃんが病気だって聞いて心配したけど…うさぎ、あんた病気が治っても相変わらずそのバカさ加減は治ってないみたいねぇ?」 「なっ…バカとは何よバカとはぁ!」  身を乗り出すうさぎ。 「あーら、相変わらずテストの点が悪いのはどこのどなたさん?」 「うーっ…」 「レイちゃん、その辺にしたら…」  更に亜美がたしなめて、レイはようやくこのごくくだらない口ゲンカをやめる気になった。 「…ま、亜美ちゃんがそう言うならやめるけど…そうだ、お茶でも入れてくるわね。」 「はーい!あたしレモンティー!お砂糖は二つでぇ…」  さっそく手を挙げて要求をまくしたてるうさぎ。 「はいはい分かったわよ…で、ちびうさちゃんは?」 「レイお姉ちゃん、ジュースでもいい?」  雑誌から顔を上げてちびうさが言う。 「もちろん。亜美ちゃんは?」 「私にもレモンティーを貰えるかしら?」 「いいわよ。じゃ、ちょっと待っててね。」  そう言って台所に向かいながら、レイはまた夢の事を考え始めていた。  夢の内容が余りに気になったので普段のように霊視を行ったが、炎の中には何も形を取って現れなかった。  こんな事は今までに無かった。少なくともあれほどの恐怖感のある夢なら何かの予知であるはずだが、今回はそれが予知であるのか否かもはっきりしない。 (それに…)  ティーポットに湯を注ぐと辺りに紅茶の香りが漂うが、いつもなら心を落ちつかせるはずの香りもレイの不安を抑えきれない。 (なぜかしら…うさぎ達が来てから嫌な予感がする…)  レモンを探そうとしてふと外を見たとき、何かが心の中で閃いた。 (そうだ!何か変だと思ったら、今日はおじいちゃんが来ていない!)  普段なら呼ばれなくても顔を出すレイの祖父がどこにも見当たらない。それどころか先ほどまで境内を掃いていたはずの雄一郎すらどこにもいない。 (まさかっ!)  レイは不安感に駆られて台所を飛び出し、自分の部屋に向かう。 「うさぎっ!亜美ちゃんっ!ちびうさちゃんっ!」  叫びながら廊下を走り、障子を開ける。 「あ、レイちゃん…」 「どうしたの?」  うさぎと亜美が怪訝そうに振り返る。  しかし、レイは二人が無事だった事に安心してはいなかった。その二人の姿が決して尋常な物とは言い難かった−胸元をはだけ、今まさにキスを終えたような格好でお互いに身をすり寄せている−のである。 「な…何してるのよっ!」 「何って…レズってるんだよ。」  うさぎに軽くキスをされながら、驚いて二の句が告げないレイを見つめて亜美が言う。 「変に考えなくてもいいのよ、レイちゃん…私達はごく自然な欲求を満たそうとしているだけなんだから…」 「そんなのっ…間違ってるわっ!」  レイが部屋へと足を踏み出すと、足元に絨毯とは違うどろどろとした感触があった。床が一面真っ黒な液体でおおわれている事に気付いた途端、その液体が盛り上がってレイの身体を包み込んだ。 「きゃあぁぁっ!」  抵抗しようとするがどうやっても液体から手足を抜く事が出来ない。液体は無数の触手のように身体に絡みつき、自らの中へとレイを取り込んでいく。 「なっ…何これっ…やだっ!やだやだぁ!」  ぬるっとした感触がレイの肌の上を滑る。液体がレイの服の隙間へと滑り込み、指一本動かせないほどに締め付ける。 「う…くぅっ…」  もがくレイの視界にうさぎと亜美の姿が入る。 「どうしてっ…助けて…くれないのっ!?」  苦しげに言うレイを二人はただぼんやりと見つめている。 「大丈夫だよレイちゃん…そんなに心配しなくても平気だよ…」  ぽつりと呟くうさぎ。 「なっ…馬鹿ぁ!何言ってるのよっ!これが大丈夫な訳無いでしょ!」  どうにか身を振りほどこうともがいていると、傍らに人の気配がする。 「あーあ、やっぱり引っ掛かったのね。」  声に振り返ろうとするが、長い髪に液体が絡み付いて思うように頭が動かない。 「レイお姉ちゃん、あたしのペットに乱暴しちゃ駄目じゃないの…」  声の主はレイの脇をすり抜け、目の前に来る。  赤というより紫に近い色をしたくせのある髪の毛を両側に分け、どこか兎の耳を思わせる形にまとめてある。未来の美貌を予感させる整った顔立ち。アルビノでしか持ち得ないはずの紅の瞳。 「ちっ…ちびうさちゃんっ!」  驚愕に目を見張るレイの言葉に、桜色の小さな唇が微かに笑みを形作る。瞳がすうっと細められ、獲物を追いつめた猫のような表情を生み出す。 「いずれこうしようと思ったんだけどね…でもいいや。こうなったら今すぐ始めましょ。」 「な…何を?」 「決まってるじゃない。」  顎で後ろに控えるうさぎと亜美を示し、 「この子達と同じように、レイお姉ちゃんもあたしのペットになるのよ。」 「冗談じゃないわよっ!そんな事出来るわけが…」  抗議するレイにちびうさが歩み寄る。 「簡単に出来るとは思ってないわよ。」  小さな手が振り上げられ、一瞬のうちにレイの左頬に飛んだ。 「うっ!」  レイの首が右に振られ、戻る。左頬に赤い跡がゆっくりと浮かび上がる。 「何するのよっ!」  切れた唇から細い血の筋が流れる。 「立場を考えなさいっ!」  ちびうさは返す手の平でレイの右頬を力強く叩く。 「うぐっ!」 「逆らえると思ってるのっ?!」  再度左頬へとちびうさの平手が飛ぶ。 「ひぐっ!」 「ペットに『なってもらう』んじゃないの。『させる』のよ。お姉ちゃんが何を言おうと…ねっ!」  言葉に合わせて平手が激しく叩きつけられる。  頬が深紅に染まる頃には、レイは子供のように泣きじゃくり始めていた。 「えぐっ…許してっ…ひっく…許し…てぇ…」 「やっと大人しくなったわね。じゃ、次に行きましょ。」  ちびうさは泣きじゃくるレイなど意に介さない様子で手を伸ばす。レイは次の責めを予測して身を震わせるが、彼女の考えに反してちびうさは指をレイに突きつけただけで手を止めた。途端にレイの身体を包む液体がぞわぞわと動きだし、その上に浮かぶ形になっていた衣服を身体から滑り落とす。 「い…嫌あぁっ!」  無益な抵抗を続けている間に、衣服は液体の中に飲み込まれてしまう。 「さあ、レイお姉ちゃん、裸を見せてね…」  ちびうさの指が黒い液体に包まれたレイの身体を正中線に沿って滑ると、その後から液体が裂けるように広がり、白い肌が徐々に剥き出しになる。 「やめてえぇっ!」  涙を散らして叫ぶレイを三組の好奇心に満ちた目が見つめる。  ちびうさが指を止めてレイから離れると、レイは膝まづいて背を反らしたような格好にされ、ちびうさの目の高さまで身体を持ち上げられる。 「ふうん…レイお姉ちゃんって結構グラマーなんだね。」  三人の視線がレイの肌の上を滑る。レイは恥ずかしさに身をよじるが身体を隠す役には立たず、むしろその動きを見せつけるような形になってしまう。  比較的細身だが、うさぎの身体に似てメリハリはある。胸の膨らみは小振りなものの形が良く、また腰の辺りのラインは思いの他成熟した物である。白い肌が黒い液体の中に浮く姿は、あたかも黒曜石の中から掘り出された大理石の彫像のような印象を与える。  ちびうさの手が無造作にレイの胸を握り、こね回すように動く。 「あっ!…いっ…痛いっ…」  苦痛に眉を歪めるのを気に止めず、ちびうさはしばらくの間力を込めて握りしめ、押し、引く。 「いっ…痛いっ!やめてっ!痛いぃっ!」  ちびうさの手が何かを探り当てたかのように動きを止める。 「へえ?痛いって言ってる割には立っちゃってるよ、ここ。」  言いながら胸の先端で少しづつ盛り上がってくる突起を突つく。 「違うっ…これは…」  言い返そうとする声を無視して、ちびうさはレイの足の間にしゃがみ込む。 「レイお姉ちゃんのって濃いんだね…ふふ…」  ちびうさの指がレイの陰りを掴み、二、三本をまとめて一気に引き抜く。 「ひっ!」  痛みに身体を震わせるレイの目の前に、今引き抜かれたばかりの艶やかな毛が突きつけられる。 「ずいぶん立派だけど、いつも自分で手入れしてるの?」 「も…もう…やめてぇぇっ!」  たまりかねたレイが絶叫する。 「騒ぐんじゃないのっ!」  ちびうさは太股の裏側の柔らかい部分をつねりあげる。 「ううっ!」  相次ぐ痛みにパニックを起こしかけるレイ。ちびうさの指が更にレイの柔らかくほころんだ花びらを探り当て、荒っぽく擦り立てる。 「こんなにして…レイお姉ちゃん、もしかしていじめられて感じたんじゃないの?」  レイの目の前で指を広げてみせると、その間にきらめく糸が紡ぎ出され、滴り落ちる。 「ちっ…違うわよっ!」 「ふうん…こんなにされて感じちゃうなんてねぇ…レイお姉ちゃんって淫乱だったんだね。」 「何の事よぉ…」 「だから、レイお姉ちゃんはあたしみたいな小さな女の子にいじめられて喜んでる変態なのよ!」 「違うぅっ…ううっ…違うのよぉ…」  本格的に泣き始め、レイはまともに言葉を発せられなくなる。 「ここもだいぶ使い込んであるみたいだけど…よっぽど寂しかったのね…そんなに欲しい?」  きつめの愛撫を再開しながらレイの耳元で囁くちびうさ。 「い…いやぁっ…欲しくない…っ…」 「あっそ。強情張るのもいい加減にしなさい。さもないと…」  しなやかな指がレイの身体の中で最も敏感な場所を探り当て、力任せにひねり上げる。 「ぎゃう!」  びくん、とレイの不自由な身体が跳ねる。 「…こういう事しちゃうから。でもね…」  ちびうさがゆっくりと足の間に顔を埋めると、レイは次の苦痛を待ち構えて身をすくめる。 「…もしも『私は盛りのついた淫らな雌犬です』って言えば、こんな事してあげる…」  小さな舌がつねった部分に触れ、優しく、ゆっくりと舐め上げていく。濃厚な、何とも知れない花の香りが漂い始める。レイは何の花か思いだそうとしたが、その考えは伝わってくる快感に中断された。 「あっ…ああんっ!…やだっ…やだぁんっ…」  一人ではまず味わえない感覚に敏感に反応し、レイの泣き声は少しづつ鼻に掛かった物に変わる。暖かく、柔らかく、湿った感触が滑る度に身体の中を電流が駆けめぐり、肌に小刻みな震えが走る。 (こんなのって…嘘よっ…)  レイはこんな状況で感じる事よりも、むしろこの状況を少しでも楽しもうとする自分を発見して驚いた。 「…どう、言う気になった?…」  ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めるちびうさ。 「…やだ…ぁっ…音を…立てないでぇ…」  呟きながら、レイは頭の芯がじわじわと痺れるような感覚に襲われ始めた。 「あ…やだ…駄目ぇっ!あたし…変になっちゃうっ…」  この声にちびうさは舌を止め、レイから離れる。 「えっ…あっ!待って!…止めないで…」  反射的にこう叫んでしまってからレイは愕然とした。自分がこんな言葉を、しかもこんな状況で言おうとは思いも寄らなかったのだ。 「だーめ。この続きはちゃんと『私は盛りのついた淫らな雌犬です』って言えなきゃしてあげないわよ。」  にべもなく言うと、ちびうさはその辺の床に座り込む。 「そんな事っ…」 「別に言えなくてもいいけどね。でも…早く言った方が身のためだと思うわよ。」  言われて、レイは身体のうずきが狂おしいほど高まってくるのに気付いた。普段持っているささやかな欲望を何十倍にも高め、そのまま身体中で感じとっているような、どこか飢えにも似た感覚が全身に満ちてくる。 「うっ…くうっ…」 「ほらほら、早くしないと…」  ちびうさがからかうように言うまでもなく、指数関数的に増大していくこの感覚を抑える事は出来なくなっている。レイは焦りと恐怖を感じ、頭の中が一瞬真っ白になる。 「いっ…言いますっ!だから…」 「『だから』?…言ったら続きをしてあげるのよ。まずは言ってもらわないと。それとも何を言うか忘れちゃったの?」 「違うっ!…」 「じゃ、早く言えば?」  一見無邪気そうに、しかし目に邪悪な光をたたえて笑むちびうさ。レイは屈辱感をこらえながら、重い口を徐々に開き、言葉を紡ぎ出す。 「わ…私…は…」  舌が膨れ上がり、喉に張り付くような感覚に唾を飲み込む。 「私は…」  思い切って言葉を吐き出してしまおうと息を継ぎ、 「…盛りのついた…淫ら…な…雌…犬…ですっ…」  言ってしまった途端、肩の荷が降りたような解放感が心に染み渡る。何故かなどと思う暇もなく、レイは続く言葉を口にしていた。 「どうか…御主人様のお好きなように…私を…辱しめて下さいっ…」  奇妙な既視観が心に浮かぶのと同時に、レイは自分の心が叫ぶ声に耐えられなくなった。 「お願いっ!私を犯してっ!めちゃくちゃにしてっ!お願いぃっ!」 「はい、よくできました。」  小さく拍手してからちびうさが立ち上がる。 「教えてない事まで言うなんて…レイ、お前はやっぱりその気があるのね…」  呼び捨てにされる事も、見下される事も、今のレイにとっては快感だった。不自由な首を動かして頷き、頬を恥じらいの色に染める。 「お…お願い…早くぅ…」 「ここじゃ何だから場所を代えましょ。お前もそれらしい格好になりたいでしょ?」  ちびうさの目が細められるのと同時に、レイを支えていた液体が床と一体化し、弾みでレイの身体は元の姿勢のままで床に放り出される。手足を動かして立とうとしてもそのままなのに気付いて見ると、足には液体と同じ色の幅広なラバーベルトが巻かれ、ちょうど正座をしている時の形で固定されている。両手は後ろに回されていて見えないが、感触からすると肘から先が一つの袋のような物で包まれているようだ。 「さあ、早く犬の格好になるのよ。」  ちびうさの声に、レイは身をよじって膝まずく格好になる。 「ふふ…」  ちびうさは爪先でレイの顎を持ち上げて、その泣きはらした顔を見る。 「本当におりこうさんね、お前は…素直なペットって好きよ…」  足に力を込め、小さな身体からは信じられないような力で顎を蹴り上げる。 「うっ!」  横倒しになるレイの柔らかな腹に、再度振られたちびうさの爪先がめり込む。 「ぐうっ!」  激痛に息を詰め、必死に吐き気をこらえるレイの口の中に爪先がねじ込まれる。舌が自然に動き出し、靴下に包まれたちびうさの足をいとおしげに舐め回す。 (あたし…こんな事されてるのに…)  痛みと闘いながらも、レイは責められる事に満足し、そして次の責めを期待している。 「いつもこうだといいんだけどね…」  口から足を抜き、もう一度腹を蹴ってから、ちびうさはレイの豊かな黒髪を掴み、もがくのを気にせずに部屋から引っ張り出す。いつの間にか服を脱いで控えていたうさぎと亜美が障子を開ける。  どこか白々しい昼の光に満ちた縁側を半ば引きずられ、半ば膝で歩く形で進んでいく。時々廊下の滑らかな板と汗でぬめった肌が擦れて、ひきつるような小さな痛みが肌に走る。両脇では首にリボンを巻いて四つん這いになったうさぎと亜美が歩みを合わせる。 疑う事や考える事を止めてしまった時のような無時間の時間が過ぎていく。 「さ、ついたわよ。」  どこをどう通ったのか、いつの間にか広い板の間に出ていた。 (ここ…どこ?…お社だったら一度外に出るはずだし…こんな部屋無かったはず…)  自分の家にあるはずの無い部屋に戸惑うレイの頭を髪を引っ張って、ちびうさが耳元に口を寄せる。 「レイ…ここはお前のためにあたしが作ってあげた部屋よ…素敵でしょう?」  周囲を見回すと、見慣れない、しかしその用途ははっきりとしている物体が幾つも転がっている。乗馬用の鞭、幾本もの鎖。拘束具と覚しき革製品の数々。そして、その使用法すらはっきりしない物までが揃った拷問器具の数々。 「こ…ここは…」 「レイちゃん、心配しなくてもいいよ。」  うさぎが膝まづき、レイの顔をのぞき込む。 「そうよ、これをすぐに使う訳じゃないから…」  亜美も同じようにしてレイの前に座り、汗で額に貼り付いた髪を掻き上げる。 「さあ、うさぎ、亜美、レイを好きなだけ可愛がってあげなさい…」  背もたれと肘掛けのついた大きな椅子に飛び乗ってくつろぐちびうさ。 「レイちゃん、少しの間目を閉じていてもらえないかしら?」  亜美の言葉に従ってレイが目を閉じると、薄いゴムのような物で目隠しされる感触があった。 「な…何す…むぐっ…」  恐怖に叫ぼうとするレイの口に固いボール状の物が押し込まれ、頭の後ろで紐が結ばれる。 「さ、これでよしっと。」  うさぎのはしゃぐ声が、逆に何をされるか分からない恐怖感を増長する。 「ごめんなさい、でもこうすればレイちゃんの感覚が鋭くなると思って…」 「うっ!ううっ!」  何かを言おうとしても言葉にならない。一番に頼りになる視覚をふさがれたために外で何が起こっているのかを憶測する手段は極端に制限される。しかし、亜美の言う通りに感覚が鋭くなり、身体が知らず知らずのうちに緊張する。うさぎと亜美の舌と覚しき、暖かく湿った感触が肌を滑るだけで背筋にぞくぞくと寒気が走る。 「う…っ…ふうっ…くふっ…」  ままならない口から押し殺された声が漏れる。うさぎと亜美の呼吸が徐々に荒く、そして小刻みな物に変わる。 「すっごおい…レイちゃん…あたし…もう…」  うさぎのため息と共に、強い花の香りが鼻先をよぎる。 「うさぎちゃん、まだ早いんじゃないの?」 「へーきへーき、もうこぉんなに濡れてるし、そんなにきつくないよ、ほら。」  言葉に合わせてレイの身体の中に細い物が入り込み、うねる。遠慮を知らない愛撫におののきながらも、少しづつ甘美な感覚で身体の緊張を溶かしていく。 「ふうっ!…う…くふぅ!」 「レーイちゃん、すぐ気持ち良くしてあげる…」  耳元でうさぎが囁くと、腰に手が添えられ、何か固くて生暖かい物が濡れそぼった花びらを探るように滑る。  次の瞬間、それはレイの身体の中へ勢い良く押し込まれた。 「ううううっ!」  許容量を越えた快感に身体が激しく跳ね、四肢がこわばったように突っ張る。女性としての本能が入ってきた何かを反射的に捉え、奥へと引き込んでいく。 「やっ…すっ…凄ぉいっ!…レイちゃん…の…吸いついてくるよぉ…」  吸い込み撫で回す感触に我慢できずに、うさぎは激しく腰を使い始める。 「はっ、はっ、はぁっ、はっ、んくっ…はぁ…」  荒い息使いに合わせて挿出を繰り返すうさぎ。レイの身体はいつの間にか痛みをも心地よい刺激として受け入れ、無理矢理な動きに身体を揺さぶられながら、次第に身体の動きを合わせて受け入れるようになってくる。 「そんなに激しくしちゃ駄目よ、うさぎちゃん。レイちゃんが痛いでしょ?」  亜美の声にもうさぎの動きが緩む気配はない。 「うさぎっ!レイはお前だけの物じゃないのよ!いい加減にしなさいっ!」 「ひっ!」  見かねたちびうさの怒声に、うさぎは悲鳴を上げてレイの身体から離れる。 「まったくもう…目を離すとすぐこうなるんだから…さあ亜美、今度はお前の番よ。」  周囲に漂う花の香りが一段と濃くなる。湿度が高いせいか、それとも感覚が鋭くなったからかは分からないが、今のレイは周囲の動きが空気の流れだけでおぼろげに理解できる。 「レイちゃん、身体の向きを変えるから気をつけて…」  亜美の言葉と共にレイの身体が一度横にされ、抱きかかえられるようにして座った姿勢にされる。 「レイちゃん…綺麗よ…」  柔らかい亜美の唇が身体のあちこちに感じられる。うさぎよりもずっとソフトな愛撫を続ける亜美に、レイも少しづつリラックスしてくる。 「くふ…うんっ…ふむぅ…」 「ここはどうかしら…感じる?」  今まで花びらをさすっていた指が後ろの方に回され、同じ動きを始める。レイ自身が信じられなかった事に、こちらへの愛撫の方が大きな刺激をもたらした。 「んぐっ!…くふぅ…んむっ!」 「レイちゃんってお尻のほうが感じるのね…じゃあ、私はこっちで愛してあげる…」  言いながら、うさぎの時よりも幾分細目の−と言っても感覚的にだが−何かがレイの蕾へとゆっくりと差し込まれる。 「んぐううっ!ううっ!んんっ!」  口に詰め込まれたボールを噛みながら、レイは引き裂かれる痛みに被虐的な喜びを感じる。 「ああ…凄く…締まるぅ…」  あくまでも優しい亜美の動きは、それでもレイに計り知れないほどの快感をもたらす。見えないはずの視界に次第に白い光が満ち、不自由な身体が震える。 「亜美ちゃん、あたしも入れていい?」 「いいわよっ…うさぎちゃんっ…一緒にぃ…」  自分の身体の中で二本の固い物がぶつかり、お互いに違うペースで擦り立てる。 「んうううっ!…」  既にぎりぎりまで高まってきていたレイは、うさぎが入ってきたのと同時に頭の中で何かが弾けるのを感じながら極まった。音を立てて失禁するレイをうさぎと亜美は前後から抱きしめる。 「おもらししちゃうなんて…レイ、お前は本当に雌犬ね…」  ちびうさが楽しそうに言う声がレイにはひどく遠くに聞こえる。 「うさぎ、亜美、満足してないでしょ?好きなだけレイを使ってもいいわよ。レイだってもっと調教されたいはずだから…ね?」  再開された二人の動きに気が遠くなるのを感じながら、レイは力の無い頷きを返した。