ランスシリーズ
発売メーカー アリスソフト


 私がランスシリーズに出会ったのは、初めてパソコンを購入してから暫くしてのことでした。パソコンを買った理由はMIDIをやってみたいとか、もっと良好な環境でパソコン通信をやりたいというのが主たる目的でしたが、パソコンで発売されている色々なゲームをやってみたい、というのも理由の一つでした。そのやってみたい、というゲームの中にHゲームも含まれていたことは言うまでもありません。(笑)
 そんな訳でランス以前にも『天使たちの午後2〜美奈子〜』『トワイライトゾーン2 なぎさの館』などのHゲームをプレイしてました。それらのゲームもなかなか面白かったのですが、更に面白そうないいHゲームはないかと物色していた訳です。
 パソコンショップで『ランス〜光をもとめて』というゲームを手に取ったのはたまたまだったのですが、パッケージの裏の簡単な説明の文章に興味を惹かれました。
 このゲームの主人公はヒーローでもなんでもなく、“鬼畜”である。その“鬼畜”という言葉に惹かれてしまいました。
 私の考えでは人間というものは心の中に“鬼畜”的な生き方をしてみたいという願望を潜在的に持っているのだと思うのです。
 基本的に人間社会というのは抑圧された社会ですよね。世の中には沢山の人間がいて、それぞれの人間が生活しやすくする為に社会のルールというものが作られ、それに縛られて生きています。
 それに対しランスというキャラは“女”と見ると、“やりたい!!”という言葉しか頭に浮かんでこないようなキャラです。基本的に社会の制約にあまり縛られずに自分の欲望に忠実に生きてます。勿論、現代社会でランスみたいな生き方をしてしまえば唯の犯罪者ですが、Hゲームの設定としてはこれって絶妙なものだったと思うのです。
 架空の世界で現実社会で満たされない思いを充足させたい。 それって誰にでもある気持ちだと思うんですよね。Hゲームだけでなく、普通のRPGでも映画でもアニメでもトレンディドラマの類でも、またスポーツに熱中する人たちもある意味で登場人物や選手などに自分の願望を重ねあわせているという面はあると思いますし、また自分の中で鬱屈したもののはけ口にしているという面もあると思うんです。
 Hゲームをプレイしているというと、世間的には色眼鏡で見られたりということもありますが、例えば中学生などの間で流行っている“イジメ”だとか、会社等でよくあるらしいセクハラなどの方法で、心の中の鬱屈を発散させるのと比べると遥かに健全なのではないかと私は思うのです。(半分、屁理屈ですけど。(^_^;))
 ランスには陰湿さはありません。明るくておおらかでそしてHで鬼畜な自由人なんですよね。そういう天衣無縫な生き方というのは、ある種の憧れを感じさせられるようなキャラではないかと思います。

 ランスに次ぐ重要なキャラとして登場するシイル。このキャラはランスシリーズを語る場合、絶対に外せないキャラです。1ではあまり活躍の場がありませんでしたが、2以降は重要なパートナーとしてランスと行動を共にします。しかし彼女の設定はなんとランスの奴隷……。シイルは絶対服従の魔法を掛けられてランスの言うことを聞くようにされてしまっていました。
 このシイルって女の子は実に素敵な女の子なんですね。姿形は少々ロリっぽくて抵抗を感じる向きもあるかも知れませんが、気持ちは優しい子ですし誰からも好かれます。料理もなかなか上手で(ランスにはいつもまずいと言っていじめられますが)、家庭的な一面もあります。
 ランスは本能に忠実なある意味で子供みたいなキャラクターですが、シイルはそんなランスを優しく包み込みます。絶対服従の魔法は3あたりから既に解けてしまっている感じですが、それでもランスから離れずにいるのはシイルの母性的な一面が垣間見られるように思うのです。
 奴隷としてであれ、ずっと一緒にいた訳ですから、ランスとシイルはお互いのことをよく知り尽くしています。シイルにしてみればランスっていう人物はなんだか放っておけない、自分がいなければどうしようもない本当の最低男になってしまうんじゃないか、というような危惧を持っているようにも思えます。ランスはとんでもない奴ではありますが、ある意味でとっても純真な心を持っているんですよね。だからこそシイルは母性本能をくすぐられて“自分がそばにいてあげなくてはならない”という使命感を持ってしまっているのかも知れません。そしてそれは愛情の発露でもあるのです。
 ランスも表向きはシイルに邪険にしますが、単に奴隷というだけではない、もっと別の感情を持ち始めていることを匂わせるようなエピソードも時折り挿入されます。自分にとってかけがえのない相手だということをランス自身も心の底では自覚し始めているのです。
 ランスは一応主人公ですが、シイルという最高のパートナーがいるからこそ、自由闊達に活躍出来るとも言える訳で、この二人の結び付き、絆の深さ、名コンビぶりというのはシリーズ全体を支えている重要な骨格と言えるでしょう。

 さてここからは各作品を個別に見て行こうと思いますが、まず『ランス〜光をもとめて〜』
 これは最初の作品だったこともあり、処理速度が非常に重いとか、レベルアップしたければ、わざわざモンスターを探しにいかねばならなかったりとか、ゲームシステムの点でいろいろこなれていない部分もありました。グラフィックも今から見ると稚拙に思えるところもあります。しかしHゲームで初めてアナログ16色のグラフィックを採用した作品だそうですし、シナリオやキャラクターにはきらりと光るものがあったように思います。
 そして私にとってはお気に入りのゲームとなりました。

 『ランス〜光をもとめて』の好評を受けて、第二作目『ランス2〜反逆の少女たち〜』は発売されました。この作品がランスシリーズの人気を決定づけたといってもよいでしょう。私個人としてもランスシリーズの中で一番好きな作品です。
 このランス2でその後のランスシリーズで重要な位置を占めることになる、キャラクターたちの多くが出揃ったという形になりました。
 四人の魔法使いの少女が師匠に反逆して戦った為、地下に陥没してしまったカスタムの町。ランスは市長から依頼を受けて、四人の魔法使いたちを倒す為にこの町へやってきます。
 四人の魔法使いは魔法の力を増幅させる指輪を持っていました。その為、ラギシスは呆気なく四人の少女たちに破れてしまったのでした。
 その魔法を増幅させる指輪は処女でないとはめていることは出来ません。処女を奪ってしまえば、指輪は自然に指から外れ、魔法の力も失われてしまいます。この設定にランスは大喜びします。
 この設定でランスの鬼畜な性格がゲームの中で重要な意味を帯びてきます。ランスの性格、そしてHゲームの特性を生かした実に秀逸な設定でした。
 四人の少女たち、マリア・カスタード、ミル・ヨークス、エレノア・ラン、魔想志津香もそれぞれ魅力的に描かれてますよね。そして悪者である筈の少女たちよりも、どうみてもランスの方が悪人に見えてしまうというのもなんとも……。(^_^;)
 ストーリーの方はどんでん返しがあって最後は魔法少女たちとランスがともに力を合わせて、更に大きな力を持つ真の敵と戦うことになります。

『ランス3〜リーザス陥落〜』ではヘルマンという新たな国が登場します。そして魔人たちという新しい敵が登場します。
『ランス4〜教団の遺産〜』では更に舞台は遠い過去の時代に作られた浮島に移り、そこに隠されたいにしえの超科学を巡っての争いになっていきます。
 1、2はどちらかというとランスという一人の英雄(?)の物語という感じでしたが、この3、4でランスシリーズの世界観が徐々に確立されていったと言ってよいでしょう。
 唯、ゲームとしては隠しイベントなどもいろいろあって結構奥が深かったですが、戦闘がタクティカルコンバットになって、めんどくさくなってしまったのはちょっとマイナスかなぁ。
 この3、4で確立されていった世界観は『鬼畜王ランス』に受け継がれていきます。(実はまだこれは途中までしかプレイしてません。(^_^;))
 このゲームの世界観自体は後から徐々に出来上がって行ったもののように見えますが、ランス1で既に来水美樹が登場していることを考えあわせると、かなり早い段階から、その骨格のようなものは出来ていたのかも知れません。

 ランスシリーズは基本はHゲームですが、Hだけでは終わらない、しっかりとしたシナリオと魅力的なキャラクター、それらのゲームとしての部分がきちんと作られているゲームです。例えHゲームではあってもやはり一番重要なのは、ゲームとして面白いか否かなんですよね。そのあたりがしっかり作られていたからこそ、ランスシリーズは人気アダルトゲームとして不動の地位を築くことが出来たのでしょう。


眠夢の独断評価
ランス 〜光をもとめて〜 ★★★
ランス2 〜反逆の少女たち〜 ★★★★★
ランス3 〜リーザス陥落〜 ★★★★
ランス4 〜教団の遺産〜 ★★★


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