きらめき高校の校庭に立つ古木。卒業の日にこの樹の下で女の子からの告白で生まれた恋人たちは永遠に幸せな関係になれると言われています。
この伝説はときめきメモリアルというゲームの中核を成す物で、伝説の樹を中心にときメモというゲームの世界観は構築されています。
“伝説”という言葉の持つ響きもロマンチックですよね。この伝説の存在がキャラクターの魅力に加えてときめきメモリアルというゲームの核をなしていると私は考えています。
この伝説はきらめき高校の生徒たちの間でかなり広く流布されているもののようです。しかしそれだけ有名な伝説だとすれば、卒業式の日には伝説にあやかろうとする女生徒たち、また机の中から手紙を見つけた男子生徒たちでごった返すという事態になってもおかしくありません。
もし伝説の樹の下で沢山の女の子が心に想う相手が来るのを待っていたとすれば、また男の子の方も机の中にあった無記名の手紙のみを頼りに伝説の樹の下へ駆けつけたとすれば、一体自分が誰からの手紙で呼び出されたのかよく判らない、という事態になりかねませんよね。(^_^;)
しかしゲームのエンディングでは、伝説の樹の下で主人公は女の子とたった二人きりで告白を受けることになってます。これは何故なのか? 何故他のカップルは来ないのでしょう?
これについては“二人の世界に浸り切っているから他のカップルは目に入らない”とか、“他にも沢山伝説の樹があるんじゃないか”みたいなこじつけもありますが、私は私独自の解釈を持っています。
それは伝説の樹自身が永遠に幸せな関係になるに値するカップルを選んでいるのではないか? という解釈です。
伝説の樹に宿っている精霊のような存在を想定しているのですが、精霊はある種の結界のようなものを作り出し、卒業式の日には伝説の樹に選ばれた特定のカップル以外は樹には近づけなくなります。そして選ばれたカップルは伝説の樹の下で結ばれて、伝説の樹に宿る精霊はずっと彼らが幸せな関係でいられるように彼らを見守り続けます。
しかし選ばれなかったカップルは卒業式の日、“伝説の樹の下での告白”という思考にたどり着けないままその日を終えてしまうのです。で、その夜、家に帰ってからか、もしかするとその後数日経ってからかも知れませんが、伝説の樹の下で告白しようと思ってたのになんで私は告白しなかったのだろう……”と、不思議に思って首を傾げるのです。
単なる象徴的な存在として伝説の樹を考えるのもそれはそれでいいのですが、やはり伝説には永遠に幸せな関係を作り出すだけ特別な超自然的なの力を持っていて欲しい、とか思ってしまうのは私がファンタジーの好きな人間だからでしょうか。樹に神や精霊が宿るというシチュエーションは正にファンタジーですよね。
あくまでこれは私が勝手にでっちあげた設定なのですが、伝説に照らし合わせると結構いい線行ってるんじゃないかなぁ、とか自分では思ってます。
もう一つ伝説の樹に関してですが、かつてサターン版のときめきメモリアルが発売される時、“自分から告白出来る”という新機能が話題になってました。
これについては賛否両論ありましたが、確かに伝説の樹の下で告白されるとプレイヤーの意向に関係なく主人公はほいほいと女の子からの告白を受け入れてしまいます。これに違和感を感じていた人は結構多かったようです。その違和感を払拭出来るならこれはこれで面白いのじゃないか、という意見もあったようです。
蓋を開けてみるとサターン版の新機能は自分から告白出来るというだけで、伝説の樹の下での告白を断ることは出来なかったようで、発売前の予想とはちょっと違っていましたが……。
しかしそれでも“伝説の樹の下で女の子からの告白で生まれた恋人たちは永遠に幸せになれる”という伝説を考えると自分から告白するというのは、間接的にであれ伝説をないがしろにしている、とも取れますよね。
そうなると自分の存在をないがしろにされた伝説の樹は、怒れるたたり神になってそのカップルに呪いをかける……、なんてことになったらそれはそれで面白いんじゃないかなぁ、なんて当時は冗談で言ってたりしましたが……。(^_^;)
勿論、伝説の力など借りずに自分自身の力で幸せを作り上げて行きたいと思うならそれはそれでよいんですよ。唯、ときメモというゲームの世界観を考えるとサターン版の新機能は余計なお世話じゃなかったかなぁ、という気がしたのでした。