勝沼ワイン巡り 2019

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フジッコワイナリー

フジッコワイナリー

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 午後最初の見学先はフジッコワイナリー。「フジッコのお豆さん」で有名な食品メーカーの100%子会社ですね。 道場でもフジッコの昆布の佃煮はほぼ常備していて、朝食のお供とさせて頂いております。

 ワイナリーの場所は、勝沼の中心からちょっと南に行ったあたり。 このあたりでは比較的大規模なワイナリーということになるのかな? 観光バスも停められるような大きな駐車場があります。

フジッコワイナリー 醸造用タンク

 醸造設備もかなり大規模です。写真にあるずらりと並んだ醸造用のステンレスタンクは、今年の春に導入されたピカピカの新品。 これまでは15tタンクを主に使っていたけど今回導入したのは6tタンク、「その方が小回りか効くから」とのことです。 また、この醸造用タンク以外にもサーマルタンクというものがあって、それで瓶詰前に-3℃に冷却することで酒石を落とすのだとか。 ワインに詳しい人は酒石なんて入ってても問題ないと知っているんだけど、 やっぱり広く一般の顧客を相手にする場合はそういうところにも気を遣うんですね。

 大手ならではの品質へのこだわりは樽にもあって、ここでは年10樽くらいを更新しているんだけどその発注先は5社に分けているそう。 理由はリスクヘッジらしいです。何かの理由でワインが全滅とか避けたいでしょうからね。 また『人間の菌は強いので、樽には絶対触らないでくださいね』と言われました。 見学者も多い分だけ、そういうところにも気を遣わざるを得ないんですね。

 醸造設備から熟成用セラーと見学した後、最後は瓶詰とラベリング工程のマシンの見学。 師範もこれまでいろいろワイナリー見学をしてきましたが、この手のマシンが稼働しているのを見たことがありません。 こういう稼働率の低い設備を保有せざるを得ないのが、日本ワインの価格を押し上げているんじゃないかなぁ。

フジッコワイナリー 試飲

 見学の後は試飲です。無料のものは小さなプラカップで、それとは別にグラスで有料試飲もできます。 『観光バスも受け入れるような試飲ですので、甘口のものも沢山出ています。』という説明が印象的だったな。 やっぱり未だに日本のワインに対する一般的なイメージは「甘口」のものなんですね ・・・というわけで、無料試飲の中から「辛口」のものをピックアップして。

クラノオト Koshu 2018
 微発泡のワインのようですが、試飲のボトルは底にちょっとだけ残った状態だったので、本来どの程度のガスがあるのか判りませんでした。 甲州種らしく後味にしっかりした苦味を感じます。
フジクレール 甲州シュール・リー "東渓" 2017
 コンクールで毎年賞を取っているワインみたいです。そういうワインを税別1,700円(かつワイナリーの期間限定で10%off)で出せるのは大手の強みですね。 個人的にはややストイック過ぎる感じがしたのと、甲州はすでに前の奥野田ワイナリーで買っていたんで、安いけど見送りました。
フジクレール ルージュ N.V.
 ん~、日本ワインの安い赤だなぁ、という感じ。やっぱり凝縮感が足りません。税別1,300円のお値段は立派だと思うんだけど、 このクラスの品質がもう少し上がってくれないと・・・という気がします。
フジクレール マスカット・ベーリーA 樽熟成 2017
 お値段税別2,000円、ここになるとグッと品質が上がります。 マスカット・ベーリーAの風味が苦手な人にはアレですが、師範は好きなのでこれを買いました。

 師範もモノ造り企業に勤める人間のハシクレなので、このワイナリーの品質に関するこだわりは非常に納得が行くものでした。 でもやっぱりそれがコストを押し上げる要因にもなっているだろうな。難しい問題ですね。


麻屋葡萄酒

麻屋葡萄酒

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 午後の見学二軒目は、勝沼の中心部からちょっと西よりにある麻屋葡萄酒。 昨年ワイン散歩をした時に訪問した中央葡萄酒(グレイスワイン)の真向かいにあります。

 創業は大正時代の1921年、今回訪問した中では2番目に歴史が長い(一番は最初の菱山中央醸造)ワイナリーです。 まずは建物の裏手にある、試験的にいろいろな品種が植えられている畑から案内して頂きました。

麻屋葡萄酒 地下カーヴ  畑には、列ごとに違う品種、珍しいところではサンジョヴェーゼなんかも植えられていました。 だいたい植えて3~5年は収穫せず、その後20年~50年くらいが樹の寿命なようです。 気が長い、というか将来を見越して植えていく必要があるんですね。

 植え方に関しても、この畑は棚栽培ですが、新しい畑は垣根栽培のところもあるそうです。 どう使い分けているのかお聞きしたところ、『既に棚になっているところはそのまま使い、新しい畑は垣根にしたりする』とのこと。 コストの問題もあるんでしょうけど、歴史を大切にしている部分もあるんでしょうね。

 畑の後は醸造設備、そして地下のカーヴ(熟成庫)の見学です。 カーヴには、1978年の甲州が一升瓶に入れられてずらりと並んでいました(右写真)。 サントリーの登美の丘ワイナリーにも古いワインが結構ありましたけど、 ここまで古いものが大量にあるのは初めて見ました。歴史の長さと、当時のオーナーの先見性を感じますね。 このワインがいったいどういうものか、大変興味があったわけで・・・

麻屋葡萄酒 濃厚古酒  ・・・というわけで試飲です。ここも基本的な銘柄の無料試飲と、上級銘柄の有料試飲に分かれています。 無料の方でもテイスティング・グラスが使えるのはありがたいですね。

麻屋ももいろスパークリング2018
 マスカット・ベーリーAが使われたスパークリング、醸造はシャルマー方式のようですね。 悪くないけど2,000円超だとちょっと考えます。
勝沼甲州シュールリー 2016 / 2017
 2ヴィンテージ同時に出されていて、比較して飲むことが出来ました。 どちらかは結構甘さがあって、どちらかはとても辛口だったような・・・って覚えて無いのかい!
麻屋甲州 特別限定醸造 シュールリー 2016
 これは、上の2本と比べると明らかにボディに厚みがあり、確かに「特別限定醸造」感がありましたよ。 これで税込み1,944円はお買い得です。
生き生き山梨 赤
 フジッコワイナリーの例同様、こういったボトムクラスのワインが良くなることが日本ワインの課題だと思います。
ASAYA 狭東 メルロ&ベーリーA 2018
 ちゃんとメルローとマスカット・ベーリーAの個性は感じられ、これで税込み1,944円は良心的だと思うのですが、 やっぱりインパクトに欠けるんだよなぁ。
濃厚古酒 有料300円(左写真)
 カーヴで気になった、1978年の甲州をベースに、ブランデーを添加した甘味果実酒です。 お値段1本2,500円、とても良心的だと思いゲットしました。でもどんなタイミングで開けるかが難しいな。 同じヴィンテージの人とかがいれば良いけどね。

 オーナー自らが説明してくれて、テイスティング・グラスが使える無料試飲があって、それでも基本的に見学は無料。 それが今回我々のために特別に、ってんじゃなくて、 サイトによれば予約すれば誰でも対応して頂けるみたい。 サービス精神旺盛過ぎですよ。

麻屋葡萄酒 メルローの赤ちゃん

 ワイナリー裏の畑ですくすく成長中のメルローの赤ちゃん。美味しいワインになるんだよ~


三養醸造

三養醸造

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 最後に訪問したワイナリーが、今回唯一甲州市ではなく山梨市牧丘町にある三養醸造、勝沼からだとかなり北へ行った山際に位置しています。

 ワイナリーの外観は、全く酒屋です。 というのも、かなり以前は一升瓶ワインを造るような醸造所だったんだけど、一旦そこは廃業して酒屋に転換、 その後酒屋も上手くいかなくなってワイン醸造が復活、という複雑な経緯を経ているとのことです。

三養醸造 テイスティングルーム

 ここでは、畑や醸造設備の見学はなく、いきなりテイスティング・ルームに案内されました。 それも、これまでみたいな立ち飲みスタイルのテイスティングではなくて、テーブルと椅子、そしてきちんとしたグラスが用意された本格的なヤツです。 そうなると、こちらも背筋がピン!っと伸びる・・・のが普通だと思うのですが、オーナーの山田氏の説明が飄々とした楽しいものなので、 なんだかリラックスできます。

 そんな変わり者の天才肌の山田氏の説明によれば、 このワイナリーの年間生産量は約8,000本、ほとんどが自社畑のブドウを使っているそうです。 栽培に関する特徴的な部分として、ボルドー液は一切使わないそう。 ボルドー液を使うと菌は一斉に退治出来るらしいんですが、どうしても土が固くなるので、 畑を代々維持していくためにはボルドー液は使いたくないとのことでした。 また、醸造に関しては、甲州種などではかなり一般的なシュールリー製法は採らず、その分スキン・コンタクトを長くしているそう。 シュールリーにすると香りが飛ぶ、というような理由だったと思います。

 では、せっかくなんでテイスティングした1本1本、ちょっと詳しめに書いていきます。

三養醸造 デラウェア

Koshu N.V.(2017 & 2018)
 2017年のワインと2018年のワインが使われているのでノンヴィンテージ。 お値段は1,700円とのこと。 ここまで甲州はいろいろとテイスティングして来ているんですが、 造り方の異なるヴィンテージを混ぜることで、複雑さが出ていたような気がします。 また、アルコール度数は12.8%と日本ワインにしては高め。理由は「補糖しすぎた」とのことです。なんとも正直。

Delaware 2017 (左写真)
 ブドウの産地は笛吹市境川産が70%/勝沼産が30%。 ヴィンテージは2017年で単一ですが、早摘みしたものと遅摘みしたものが使われているそうで、 早摘みからは酸味/遅摘みからは香りを引き出したとのこと。 飲んでみると酸味シッカリで、いわゆる「薄ら甘いデラウェア」とは全く性質が異なります。 こちらのお値段は1,800円、在庫が沢山あるのでこれが売れて欲しいらしいです(笑)

三養醸造 シャルドネ

Chardonnay N.V.(2017 & 2018) (左写真)
 こちらも前の甲州同様、2017年産と2018年産のミックス。自社圃場のシャルドネ100%だそう。 熟成は樽が25%、ステンレスが75%とのこと。お値段は2,000円です。 まだ固い印象のあるシャルドネ、というか勝沼のシャルドネってどれも甲州種に近いイメージがありますね。 もう少し時間が経つと香りも味もまとまって来るのかな?

Nigori Koshu 2017
 お値段1,700円。なぜ「にごり甲州」を造ったかと言えば、『面白いと思ったから』だそう(笑)。 濁りがあるから旨味が強いような印象を受けましたが、『濁りなんてフィルタで濾過すれば簡単に取れちゃう』そうです。 目からの入る情報も印象を左右するんですねぇ。

三養醸造 ルージュ

Rouge N.V. (左写真)
 お値段1,800円。 品種は、マスカット・ベーリーAが50%、それ以外はカベルネ・ソーヴィニョン、甲斐ノワール、メルローとお聞きしたと思いますが、 後で裏ラベルを撮った写真を見返すと「欧州系黒ブドウを主体に造りました」と書かれています。 マスカット・ベーリーAって欧州系なんですかね?聞き間違えたかな?

Muscat Bailey A N.V.
 お値段1,700円。面白いことに、裏ラベルには「2018年20% ***」と書かれた跡があるのですが、 それを修正テープで隠してあります。『書いちゃいけないらしいので』とのこと。 消費者としてはそういう情報も書いてあった方が嬉しいんだけど、良く判らん決まり事ですね。 ちなみに『今飲んでも美味しくないので10月まで待って』とのこと。 でももう売っちゃうんですね~(笑)

三養醸造 ヤマソーヴィニオン

Yama Sauvignon 2017 (左写真)
 お値段こちらも1,700円。ヤマ・ソーヴィニオンとは、日本の品種である山ブドウとカベルネ・ソーヴィニョンの交配品種です。 独特の荒っぽい香りとド紫な色合い。大変個性的ではあるのですが、山田氏曰く『この品種で感動するようなワインは造れない』とのこと。 でもトライはするわけですね。

Merlot N.V.
 お値段はちょっと上がって2,400円。前のマスカット・ベーリーA同様、修正テープでヴィンテージの情報が消されています。 牧丘町の自社圃場の早摘みしたメルローを使ったそうなので、色はメルローにしてはかなり薄めです。 それでもアルコール度数は13%あるのは、こちらも補糖の影響だそう。正直な方ですね。

三養醸造 ネコ・ルージュ

Neko Rouge N.V. (左写真)
 最後にプラスαで出して頂いたのが、この「猫ルージュ」。 品種はメルロー85%/ピノ・ノワール15%、メルローは複数年のヴィンテージ&樽熟期間の違うものが使われていて、ピノ・ノワールの樽熟は2年だそうです。 そしてこれがビックリ仰天の香りの華やかさでした。メルローとピノを混ぜるとこうなるのね。 でも、昨今ピノ・ノワールの買い入れ価格が上昇しているとのことで、このセパージュでのワインはこの年が最初で最後とのことです。 とても個性的で美味しく、かつ珍しいワインだったので、お値段3,000円(税込み3,240円)は道場の稽古範囲を逸脱してしまいますが、 思わず買ってしまいました。

三養醸造 テイスティングしたワインたち

 結局、なんだかんだでテイスティングさせて戴いたワインは9種類。 それも、ほとんどが今日我々のために開けて頂いたものみたいで、 なんかとても申し訳ないっす(通常のテイスティングは3種くらいだそうです)。

 三養醸造で山田氏が造るワイン、生産量が少ないので見かけることも少ないとは思いますが、 1,000円台とは思えないクオリティでどれも美味しゅうございました。なので見かけたら「買い!」です。

 以上でワイナリー訪問は終了。でもこの後に怒涛の懇親会&ワイン会が待っておりました。 書くのは超大変ですが、次の更新を乞うご期待です。

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最新稽古


17日(月)

Goiya Shiraz Pinotage 2017 [Namaqua Wines]
名称Gôiya Shiraz Pinotage 2017
ゴヤ シラーズ ピノタージュ 2017
生産者Namaqua Wines
ナマクア・ワインズ
価格950円
購入店アフリカー

 本日師範は勤務先をお休みさせて頂いており、朝から「勝沼ワイン巡り 2019」の執筆活動にいそしんでおりました。 ワイナリー巡り、それ自体はとても楽しいんだけど、後で書くのが大変なんだなぁ。もちろん、誰に頼まれたわけでも無く好きで勝手に書いているんだけどね。

 そんな「一日中ワインのことを考えている」一日だったこと、そして「個人的ハッピーマンデー法」を適用して、月曜日だけどワインを飲むことに。 選んだのは南アフリカ産の赤。品種はシラーズとピノタージュ、3桁円のお手軽ワインです。

 ちなみに料理は、鶏手羽元のグリル焼き(カレー味とガーリック味)、回鍋肉(TopValuの合わせ調味料を使ってみました)、レタスととトマトのサラダ。 もちろん調理担当は勤務先を休んでいる師範であります。

 リーデルのボルドータイプ(ヴィノム)にそこそこの量注いでも向こうが透けるので、それほど色は濃くなさそうです。 でも粘性の高さは結構感じます。 香りは、なるほどシラーズなスパイシーさ。 もちろんベースはベリー系の果実香なんですが、シラーズ&南アフリカの共演で白コショウっぽいスパイス感をしっかり感じます。 味わいは、渋味控えめでかなり甘さを感じます。数値を計ると糖度は8.4もあるのでかなり「甘口」な赤ですね。

 いわゆる「飲みやすい」と言われるワインだと思いますね。 裏ラベルには『程よい渋みと柔らかくなめらかな味わい』と書かれていて、確かにその通りだと思います。 甘いのが苦手な漢気溢れる層にはウケないかもで、甘さにあまり抵抗のない師範にもちょっと過剰な甘さに感じますが、 一般ウケはしそうなワインだと思いますよ。この時期特に冷やしめで飲むことをお薦めします。

点数70点
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