最新稽古


21日(日)

大手ビールメーカー輸入のワンコイン動物銘柄チリワイン赤

 安ワイン道場久々のチャレンジ企画。
   大手ビールメーカーが輸入しているワンコイン&動物アイコンのチリワインはどれを買うべきか?
まずは赤から。

 いやね、いつも週に4本くらいいろんなワインと稽古しているわけですが、 最近はどうしても購入先をネットに頼りがち。そして、普通一般の方からすればあまり馴染みの無い銘柄と稽古しがち。 でも、このサイトは「安ワイン道場」です。 『高いワインを飲んで「美味ぇ~」とか言うのは他所様のブログなどに任せておけばよい。 安ワイン道場は「安ワインがどうなのか」伝えるべきだ』 との内なる声が聞こえて来て、勝手にこの企画を敢行することと相成りました。

 この手の比較、雑誌や情報サイトみたいなところでも記事化されたりしていますが、 インポーターに気を遣っているのか「みんな違ってみんな良い」みたいな結果が多いし、 所詮グラス一杯での比較だろうから、どうもグッと来ないんですな。 そこは「完全独立系」の安ワイン道場ですから、どこにも忖度することなく丸一本飲んで真っ正直に結果を出したいと思います。

 ルールとしては、3本同時に開けて、ブラインドではなくオープンで比較。 まずはワイン単体で飲んで詳細を捉え、次に本日のメニューであるニンニクの効いた鶏唐揚げ、揚げナスとトマトのサラダに合わせます。 そして、当然1日で3本は飲みきれないんで、キャップを戻してセラー(=ほぼ冷蔵庫野菜室の温度)に立てて3日後再稽古、とします。

 それではスタート。最初は品種の比較から。 各銘柄とも別の品種のものもありますが、今回は一番ベーシックだと思われるラインナップで揃えました。

銘柄品種備考
サンタカベルネ・ソーヴィニョン、シラー
アルパカカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー
プードゥカベルネ・ソーヴィニョン、シラーズカベルネ・ソーヴィニョン51%/シラーズ49%

 いずれもカベルネ・ソーヴィニョンをベースにしているところは同じですが、 アルパカが一般的なボルドー・ブレンドであるのに対し、 サンタとプードゥはシラー(シラーズも同じ)を加えている点が違います。 また、プードゥは丁寧に比率まで書かれているのはポイント高いですね。 それも51%対49%、合併した会社の出資比率のようです。

 生産年、原産地呼称、アルコール度数、添加物の違いがコレ。

銘柄生産年原産地呼称アルコール度数添加物
サンタ2017Valle Central13%酸化防止剤(亜硫酸塩)
アルパカ2016Valle Central13%酸化防止剤(亜硫酸塩)
プードゥN.V.(記載無し)12.5%酸化防止剤(亜硫酸塩)

 ヴィンテージは揃えたかったんだけど揃いませんでした・・・ってかN.V.があるんで無理ですね。 産地はサンタとアルパカはちゃんとD.O.表記あり。こちらの情報に関してはプードゥがイマイチな感じがありますな。 添加物はどれも同じで亜硫酸塩のみのようです(白は違います)。

 裏ラベルの説明を見ていきますと・・・

銘柄説明
サンタボリュームのある熟した果実味と、飲みごたえのある程よいタンニンが特長。素直で飲み飽きない味わいです。
アルパカチリの名門サンタ・ヘレナ社がお届けする高品質ワイン「アルパカ」。熟したブラックチェリーの果実味とまろやかな口当たりのワインです。
プードゥプードゥは南米チリに生息する世界で最も小さな鹿。その可愛い鹿がモチーフのこのワインは、チリの名門コンチャ・イ・トロ社がお届けする、ほどよい渋みと豊かなコクを楽しめるワインです。

 サンタはテイスティングノートだけ、アルパカはそれに造り手情報が加わって、プードゥはさらにアイコン動物の説明も書かれています。 テイスティングノートに関しては、個人的には出来るだけ「なるほど~そう例えるのかぁ」を知りたいんで、 なるべく具体的に書かれているのが好きです。なので、この中ではアルパカが一番良いように感じます。

 さていよいよ抜栓。まずは色の比較から。

ワンコイン・ワイン比較 色

 色の濃さは左のサンタが明らかに濃く青く、アルパカとプードゥは非常に似ているけどアルパカの方が若干濃いかな、ってくらい。 このあたりはヴィンテージの影響が大きいのかもだなぁ。 やっぱりヴィンテージは揃えたかったなぁ。

 主観を排して客観的に比較する、という意味では、既定厚の容器に入れて規定量の光を当ててパラメータ設定を固定したカメラで撮影、 RGBの情報をデジタルに取得すれば可能になるけど、いかんせんそんなシステム一般向けには市販されていないので導入できていません。 「このワインの色」っつって#RRGGBBで表示できればいいんだけどなぁ。今後の課題です。

 それにしても、年齢が上がるとエッジにグラデーションが見える、っていうのはいったいどういう理屈なんですかね? (この3本でも右にいくほどそれが見えます)。液体なんだから、色は一様なはずなのにね。

 比較の最後は当道場のコア・コンピタンス、糖度とpHを測定します。 主観によらない客観評価、この試みはどこもやってないんじゃないかな? ちなみにpH測定器は校正していないんで絶対値はアレですが、 数値の再現性はあるので相対差には意味があるはずです。

銘柄糖度pH
サンタ7.63.4
アルパカ7.93.2
プードゥ8.03.1

 サンタが一番甘くも酸っぱくも無く、プードゥが一番甘酸っぱい、という結果になりました。 だとしても大きくは違わないんですな。サンタはちょっと異質ですが、アルパカとプードゥなんて誤差範囲かもです。 果たしてこの数値が下記の主観評価でも同じなのか、自分でも興味津々であります。

 客観的な比較は以上。各ワインの紹介と主観比較の部分は、以下にいつものフォーマットで記載します。

Santa by Santa Carolina Cabernet Sauvignon / Syrah 2017
名称Santa by Santa Carolina Cabernet Sauvignon / Syrah 2017
サンタ・バイ・サンタ・カロリーナ カベルネ・ソーヴィニョン/シラー 2017
生産者Viña Santa Carolina
ビーニャ・サンタ・カロリーナ
価格527円
購入店マルエツ天王町店

 トップバッターは、サントリーワインインターナショナルが輸入しているサンタ(・バイ・サンタ・カロリーナ)。 この銘柄だけは以前稽古経験があって、2年ちょっと前に2014年産と稽古、 1年ちょっと前には別品種と稽古しています。 ラベルの左肩には"2015 NEW WORLD WINERY OF THE YEAR (Wine Enthusiast)"と書かれたステッカーが貼られています。

 グラスに注いだ状態での色は、決して濃くはないけど薄くも無い、青みを感じる紫色です。 香りのボリュームはかなり控えめだけど、 ちゃんとカベルネ・ソーヴィニョンらしいベリーっぽさとかピーマンっぽさを感じます。 香りにシラーの影響はあまり無いかな?もちろん樽の要素も無いですね。 味は・・・軽いなぁ。渋味がややざらついて、酸味はそこそこあるけど甘味は弱いというバランス。 あくまで想像ですが、機械で収穫して未熟果も茎も葉っぱも一緒に醸造しました!って感じでしょうか。

 師範代の一言評価は「渋い」でした。 とはいえワンコインだからね。少なくとも「ちゃんとワインになっている」とは言えます。 どこかのカンガルーみたいに変な甘ったるさが無いのは好印象とも言えます。 ただ、これを「ボリュームのある熟した果実味」と表現するのはいかがなものかと。 謳い文句としてポジティブに表現すれば、『ブドウをそのままほおばったような素直な果実味』でしょうか。 若い感じでもあり、もしかすると時間が経てば開く可能性があるので、3日後の向上に期待しましょう。

点数68点
Alpaca Cabernet Sauvignon / Merlot 2016
名称Alpaca Cabernet Sauvignon / Merlot 2016
アルパカ カベルネ・ソーヴィニョン/メルロー 2016
生産者Santa Helena
サンタ・ヘレナ
価格486円
購入店スーパー マルセン

 2番バッターがアサヒビールが輸入しているアルパカ、造り手はサンタ・ヘレナ社。 スーパーなんかでの遭遇率を考えると、今回の3本の中では一番シェアが高いと思うんだけど、 なんと道場初登場です。 ちなみにエプロンみたいな紙が掛けてあって、「極旨ワイン グランプリ 第3位(『一個人』1,500円以下の赤・白 2013年11月号掲載)」 らしいです・・・ってか「極旨ワイン」て。賞のタイトルがインフレしてますなぁ。

 色は、前のサンタより1年古いからか、わずかに赤紫色がかっていて、エッジにもグラデーションが見えます。 香りにちょっとビックリです。ちゃんとしたワインの香りがします。裏ラベルに書かれている通り、なるほどブラックチェリーの香りかも。 あと、師範の嗅覚に間違いが無ければ、オーク樽っぽい香りも感じます。 これは、樽熟したんじゃなくて「樽香が付く工程を経た」のかも知れません。 そして味ですが、これがやっぱり軽いのね。前のサンタより更に軽い。甘酸っぱくて渋味が弱くて、飲んでる感じがしないくらいです。 ただ、これくらい軽い方が一般的な日本の食卓には合わせやすいのかも知れません。

 師範代の一言評価は「軽い」です。 でも、このワインが日本で受けるのは十分に理解できますし、これはこれでアリだと思います。 軽いビールが得意なアサヒがゆえの軽いワイン、と考えると、なんだかインポーターの個性が出ているようで面白いですな。

点数70点
Pudu Cabernet Sauvignon / Shiraz N.V.
名称Pudu Cabernet Sauvignon / Shiraz N.V.
プードゥ カベルネ・ソーヴィニョン/シラーズ (ヴィンテージ無し)
生産者Viña Concha y Toro
ビーニャ・コンチャ・イ・トロ
価格539円
購入店マルエツ天王町店

 ラストバッターが、メルシャン(今はキリンビールの子会社)が輸入しているプードゥ。 この銘柄も道場初登場です。サンタやアルパカみたく「ナニナニ賞をとりました!」の記載は無いけど、 ラベルにエンボス加工がしてあったりして、他の2本よりちょっと高級な感じを受ける外観です。 図らずも今週末は金土日と続けてコンチャ・イ・トロ社関連のワインを開けることになりました。

 色は、前のアルパカより更に顕著にエッジにグラデーション、一番端はレンガ色くらいになっています。 ヴィンテージの表記は無いけど、少なくとも2016年、それにリザーブワインを加えたという感じでしょうか。 香りもね、なんかいい感じに熟成したボルドーみたいな雰囲気なんですよ。 カシスリキュールのような果実香にマジックインキっぽい香り。ボリュームもそこそこあって、「これが500円!?」な香りです。 で、味わいはやっぱり軽い(笑)。香りが立派なだけに味わいとの落差が大きいわけですが、 バランス的にはアルパカ同様甘酸っぱい感じなんで、「軽い=頼りない」では無かったりします。

 師範代の一言評価は「酸っぱい」・・・辛口だな、この人は。 それは置いといて、やっぱりチリのワインメーカーとしては最大手の面目躍如というか、 どことなく高級ワインの片鱗を彷彿させるような造りが上手いと思います。 これってもしかすると、産地も限定せずヴィンテージも限定しないメリットなのかも知れません。 そうすることによってブレンドの選択肢が広がりますからね。 コンチャ・イ・トロみたいな大手の戦略としては正解なような気がします。

点数72点
ワンコイン・ワイン比較

 結果、初日の時点で優劣を付けるとしたら僅差でプードゥに軍配です。 でも、どれもちゃんとワインだし、絶対間違えないくらいそれぞれ違うし、それなりにイケます。 雑誌の評価の歯切れが悪いのも仕方ないかも、そしてヘタな金賞ボルドーなんかよりはずっと良いかも、です。 「このクラスで十分」と感じるご家庭があっても全く不思議はない、ということと、 香りに関してはテクニックで演出することが出来るみたい、ということに気付いたのが新たな収穫ですね。

 ・・・という感じで本日のミッションは終了。それぞれに半分近く残ってますから、3日後の水曜日に再稽古します。 また、白に関しても近日稽古予定。乞うご期待であります。

以降の今月分へ