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■■ Japan On the Globe(301) ■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

             Common Sense: 国際派日本人たちの息吹き

         その息吹に耳を傾けていると、日本の新たなる夜明けは
        遠くないという気がしてくる。
■■■■■ H15.07.13 ■■ 39,318 Copies ■■ 869,807 Views ■

■1.「どういう動機でこのメルマガを始めたのですか?」■

     お陰様で弊誌は先週、300号に到達した。創刊からはや5
    年10ヶ月。編集者兼執筆者一人の個人商店ながら、正月休み
    以外は一度も休刊していないのが自慢である。時には月曜から
    金曜日まで連夜の宴会責めにあったり、海外出張で土曜日、日
    曜日までつぶれて、ピンチに陥った事も再三であった。
    
     しかし4万人近い読者の中には、毎週日曜日朝に弊誌を読む
    事を習慣にされている読者もいらっしゃるであろうと思うと、
    自分の勝手な都合では休めないと意地でも頑張ってしまう。
    
     時折の講演の際にも、「どうしてこんなに続けられるのです
    か?」とか、「どういう動機でこのメールマガジンを始めたの
    ですか?」などという質問をよく受ける。
    
     今週は300号到達記念の一里塚として、弊誌創刊当時を振
    り返って、舞台裏をご紹介しよう。読者には、本講座の目的を
    解説したものとして参考になるかもしれない。

■2.創刊号300部■

     本講座の創刊号は平成9(1997)年9月6日。部数は300部
    だった。「まぐまぐ」から発行許可が出て、数日後に最初の号
    の発信作業をしたら、登録者数がいきなり300人にも達して
    いて驚いた事を今でも昨日の事のように覚えている。
    
     当時はメールマガジンが普及し始めた頃で、「まぐまぐ」が
    毎月のように「購読者○百万人突破」などと表示する威勢の良
    い時代だった。初めてメールマガジンなるものを知ったのは、
    そのわずか1,2週間前だったと思う。
    
     これは面白い、現代日本の若者たちに語りかける恰好の手段
    になるのではないか、と思って、申し込んでみたのである。ど
    れくらい続けられるのか、とか、何人くらいの読者を獲得でき
    るのか、というような事はほとんど考えなかった。やってみな
    いと分からない、とにかくやれるところまでやってみよう、と
    いう気持ちだった。
    
■3.子供たちの事を考えると■

     なぜ現代の若者に語りかけたいと思ったのか、定かに覚えて
    はいないが、今からその動機を再構成してみると、次のように
    はなはだ勝手な魂胆であった。
    
     私には二人の子供がいるが、当時はまだ長男が中学2年生、
    長女が小学4年生だった。この子供たちが大きくなった時に、
    日本はどんな国になっているのだろうか、とよく想像した。
    
     もともと政治力も軍事力もないまま、今の経済力が失われて、
    米中二大国の狭間で翻弄される一小国に転落してしまうのだろ
    うか。さらには経済ばかりでなく道徳や礼儀も忘れた野蛮な国
    になってしまうのだろうか、、、
    
     そんな斜陽の国で大人になると考えたら、無性に私の子供た
    ちが可哀想になった。多少の財産を残してやり、学歴をつけて
    やったとしても、そんな国に生きる人生は悲哀に満ちたもので
    はないか。落ちぶれた母国なぞ見捨ててアメリカのような新天
    地で生きるという生き方もあるだろうが、4年間そこで暮らし
    た私自身の経験からすれば、他人様の国で少数民族として肩身
    狭く暮らす生活は、これまた別の悲哀に満ちたものであろうと
    想像できた。
    
■4.自分勝手な魂胆■

     斜陽の一小国で大人になった子供たちは、こう思うのではな
    いか。日本をこんな惨めな国にしたのは、親の世代の責任だ、
    世界第2位の経済力という遺産を食いつぶし、政治も外交も防
    衛すらも放置して、教育や文化、道徳を崩壊させた。
    
     こんな風に言われたら、私は草場の陰でどのように子供たち
    に謝ったらよいのだろう。また立派な文化的・経済的遺産を残
    してくれたご先祖様にも顔向けできない。そう考えると、なん
    とかこの国が経済的繁栄を維持しつつ、政治力、防衛力、外交
    力を回復し、健全な教育、道徳、文化を誇りうる国家になるよ
    う力を尽くさねばならない。
    
     そのためには何をすれば良いか。国家百年の計は人にあり、
    と言う。子供たちの世代に、一人でも多くの立派な日本人が育
    てば、一緒に力を合わせて国を継承していけるだろう。私の子
    供たちがどれだけ役立つかははなはだ心もとないが、少なくと
    も同世代で立派な日本人が数多く育てば、国家は繁栄し、我が
    子供たちが幸福に暮らせる可能性はぐっと高まる。
    
     言わば自分の子供のために、他人様の子供をあてにした、い
    かにも自分勝手な魂胆から本講座を始めることにしたのである。
    
■5.「国際人」でなく「国際派日本人」■

     次なる問題は、将来のわが国を支える立派な国民とは、どの
    ような人間だろうか、という事である。世界はまさにグローバ
    ル化の一途をたどっている。他国とのつながりの中で様々な問
    題が生じ、またその解決にも他国と力を合わせていかなければ
    ならない。そうした中で日本の国益を守りうる人材が必要だ。

     そういう活躍ができるのは、英語は流暢でも日本の事は何も
    知らず、また国益の何たるかを考えようとしない無国籍な「国
    際人」であってはならない。
    
     本講座を始めてからいただいたお便りの中で、次のようなも
    のがあった。
    
         昨年夏に米国へ短期留学した際に、英語が上手く話せな
        いことよりも、話す内容、つまり、日本の事、国際問題、
        自分のアイデンティティについてしっかりと自分の言葉で
        語ることができなかったことに大変ショックを受けました。
        過去の歴史的事実について知らなさ過ぎる、今日本で世界
        で起こっていることを『自分の』生きている世界のことと
        してとらえ、自分の頭で考える、ということをしたい、と
        痛切に思いました。国際派日本人養成講座は、そんな私の
        想いに応えてくれるものです。
        
    「英語の問題ではなく、話す内容の問題だ」との一節には、ま
    さに我が意を得たりの感を持つ。
    
■6.「わが国」との一体感を持った■

     また将来の日本を支える国民は、日本を「わが国」と呼ぶ、
    ごく自然な一体感を持ち、その共同体と自分自身の幸福とが深
    い所ではつながっている、という感覚を持った人間であろう。
    「この国」が駄目になったら、別の国に移ればいいさ、などと
    考えるような人間では、共同体全体の繁栄と幸福のために何か
    をしようと考えてはくれない。

         左翼系の教師の教育を受けて育った私は自国に誇りを持
        つことが出来ませんでした。しかし、日本は酷い国だとは
        思いつつもどこか釈然としないものはありましが、国際派
        日本人養成講座を拝見してやっとハッキリしました。日本
        人として誇りを持って良いんだなと! しかし、だからと
        いって奢らず謙虚な気持ちで生きていきたいと思います。
        私の周りにも以前の私のような人々は沢山います。早く気
        付いて貰えるよう、微力ながらお手伝いできればと思いま
        す。

     このおたよりに見られるように、人間は自分の属する共同体
    を愛し、誇りを持つことができれば、幸せな気持ちになるので
    ある。そこからさらに共同体に感謝し、自分もなにがしかのお
    返しをしたいという人間らしい利他心が生まれてくる。
    
     こういう人が増えてくれば、共同体は繁栄し、その構成員も
    幸せになるチャンスが増えるのである。左翼的な自虐史観教育
    により、多くの子供たちがこういう自然な愛国心・公共心を育
    てる機会を奪われているのは、重大な人権侵害だと思う。

     以上をまとめれば、育てるべき次世代の国民とは、輻輳する
    国際社会の中で、わが国固有の歴史伝統を根っことしてオリジ
    ナリティのある提案のできる人間、そしてその過程で他国との
    調和を図りつつ、自らの国全体の繁栄と幸福を「我が事」とし
    て追求していける人間、である。そういう期待をこめて、「国
    際人」養成講座ではなく「国際派日本人」養成講座とした。

■7.国際派日本人に必要な良識と教養■

     したがって「国際派日本人」とは子供たちや外国人に対して
    自国の歴史や文化を愛情を込めて語り(日本語やカタコト英語
    でも良いから!)、自らの仕事やボランティア活動を通じて共
    同体の発展のために微力を尽くし、また選挙の際には国家や国
    際社会の抱える諸問題に関して自分自身の考えのもとに一票を
    投ずる人間である。
    
     このような「国際派日本人」を養成するには、どのようなカ
    リキュラムがふさわしいのだろう。国際政治は詳しいが日本の
    歴史や文化は何も知らない、とか、歴史はよく知っているが現
    代世界の諸問題には疎い、という象牙の塔の住人であってはな
    らない。もちろん各分野の専門家は必要だが、「立派な国民」
    が持つべき共通の基盤としての良識と教養があるはずだ。
    
     そのためにテーマは歴史、文化から現代社会まで、以下の六
    分野にわたって幅広く取り上げる事とした。

    ・ 地球史探訪・・・・我が国が近代世界の荒波をどう乗り越えて
       きたのか。「岩倉使節団〜サムライ達の地球一周」「孫文
       と日本の志士達」など。
    ・ 人物探訪・・・・我が国を築き、支えてきた先人たちの足跡を
       たどる。「上杉鷹山〜ケネディ大統領が尊敬した政治家」
       「二万人のユダヤ人を救った樋口少将」など。
    ・ 国柄探訪・・・・我が国の歴史伝統、文化。「日本の民主主義
       は輸入品か?」「復興への三万三千キロ〜昭和天皇の戦後
       ご巡幸」など。

    ・ Common Sense・・・・外交、安全保障、国家、教育に関する国
       際常識。「国際連合、三つの幻想」「学力崩壊が階級社会
       を招く」など。
    ・ The Globe Now・・・・国際社会の現状。「チベット・ホロコー
       スト五十年」「戦略なきマネー敗戦」など。
    ・ Media Watch・・・・偏向マスコミの実態。「自衛隊PKO〜世
       界の称賛、朝日の懸念」「『従軍慰安婦』問題〜日韓友好
       に打ち込まれた楔」など。

■8.中学生でも15分で読める文章を■

     上記の各分野で質の高い書籍や論文は数多くあるが、一般の
    大学生や若手社会人など「普通の青年」たちが気軽に読めるよ
    うなものはそれほど多くはない。分厚い本であったり、相当な
    予備知識を要求するものが多い。
    
     しかし、国民の良識とは本来、長期の専門教育が必要なもの
    ではないはずだ。義務教育を修了した程度の学力と、健全な精
    神があれば、誰でも身につけられるものでなければならない。
    
     そのために本講座は中学生にも理解できる平易な文章を目指
    し、かつ15分程度で読める分量とした。幸い、メール・マガ
    ジンとはこれにぴったりのメディアであった。だから、たまに
    中学生から感想メールをもらったり、本誌に読みがなを振って、
    小学校の歴史教材に使ったなどというお便りをいただくと本当
    に嬉しい。
    
     また本講座で取り上げたテーマに興味を持ち、参考文献とし
    て挙げられている書籍を読み出した、というお便りもしばしば
    いただくが、そういう所から国民的教養をベースとした専門家
    が育っていってくれれば有り難い。300号達成を機に、最近
    のお奨め図書リストを「JOG Booklist」としてホームページに
    まとめたので、参考にしていただければ幸いである。
     
■9.国際派日本人たちの息吹■

     こうして「国際派日本人養成講座」がスタートした。毎週毎
    週、悪戦苦闘しながら原稿用紙8枚ほどの記事を書き続け、い
    つの間にか300号。読者数は4万人近く、ホームページのア
    クセスは毎週6,7千件、累計は87万件に達した。
    
     毎週、何通か寄せられるお便りは何よりの励みとなる。「国
    際派日本人」というタイトルのせいか、海外在住の日本人から
    のお便りをよくいただく。ひとたび海外に出れば「日本とはど
    んな国か、日本人とはどんな民族か」と、かならず聞かれる。
    そこで初めて自分の国の事をまったく知らなかったのだな、と
    気がつく。そういう所に本講座を見つけると「干天の慈雨」
    という思いで読んでくれるようだ。たとえば、

    ・ アメリカに留学した女子高校生は戦前の人種差別に苦しめ
       られていた黒人たちにとって日本が希望の星だった事を紹
       介した号を英文レポートにまとめて、先生に誉められた。

    ・ ロシア留学中の大学院生は周囲のユダヤ人に、戦前の日本
       帝国のユダヤ人保護政策を語って感謝された。

    ・ カリフォルニアに留学中の学生は、知り合ったインドネシ
       ア人留学生が大戦中同地で軍政司令官だった今村均大将の
       ことを褒めていたのでびっくりしたが、本講座を読んでそ
       の理由が分かった。

     このようなお便りを数々いただくと、国際友好を深めるうえ
    でも自国の歴史や文化に関する教養は不可欠だとつくづく思う。
    そして有り難い事に我が国の歴史は心動かされる逸話に充ち満
    ちている。

     読者は大学生から三、四十代の社会人が中心だが、時には小
    中学生や七十代の年配の方からもお便りが寄せられる。「朝鮮
    殖産銀行の『一視同仁』経営」という号では、戦前の朝鮮で教
    師をしていた父親の苦労を偲ぶことができたという長文の感想
    をいただいた。大東亜戦争に出征したお年寄りの方からは、本
    講座を自分たちの思いを代弁してくれるものとして孫に転送し
    ている、とのお礼をいただく。先入観を取り払って素直な心で
    歴史に接すれば、世代を超えた自然な共感が生まれる。二通目
    に引用したお便りはその一例である。

     国際社会を横糸とすれば、自国の歴史伝統は縦糸であり、そ
    の交点に現在の自分がいる。祖国の歴史伝統に「日本人として
    誇りを持って」生き、現代の国際社会の課題を「『自分の』生
    きている世界のこととしてとらえ、自分の頭で考える」国際派
    日本人が今や世界のあちこちですくすくと育ちつつある。その
    息吹に耳を傾けていると、日本の新たなる夜明けは遠くない、
    という気がしてくる。
                                          (文責:伊勢雅臣)

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
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1. 伊勢雅臣、「国際派日本人養成講座 第5巻」★★★、エコー
   プロ、H15 (在庫切れ中)
   
   
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「国際派日本人たちの息吹き」について あきらさんより

     300号達成おめでとうございます。毎週楽しく拝読させて頂
    いております。
    
     現在中学一年の長女が小学生に入学したあたりから、この子
    達に何を教えたらよいのか悩みました。いろいろ悩んだ結果、
    日本人として生まれてよかった、と思えるものを心にもたせて
    やることではないかと考えました。それにはまず、自分自身の
    心を振り返らなければなりません。自分に確信がなければただ
    のお題目に過ぎなくなってしまいます。

     自分は日本人として生まれてよかったと思っているのか。こ
    れを知るには、日本の歴史、伝統、文化を学ばなければなりま
    せん。それには本講座が本当に助けとなってくれました。分量
    的にも適度だし、分野もちょうど私が知りたかったものと重な
    ります。本講座で紹介していただいた書籍も数多く購入し勉強
    させていただきました。結局、私自身は日本人として生まれて
    きた幸運を実感し、日本人としての誇りを確信しています。

     現在は、この思いをまず長女に伝えようと四苦八苦している
    ところです(笑)。学校では、日本人の誇りを教えてはくれま
    せんから、私が選んだ書籍を読ませております。今は分からな
    くても将来、「そういえば親父はこんなこと言ってたなぁ」と
    思い出し、勉強できる材料だけは残しておこうと思います。
    
■賢一さんより

     私は大学在学中から海外志向でしたが、幸いにして卒業後2
    年半で、はじめて南米のパラグアイに政府関係の業務で赴任し
    たのをはじめとして、その後ブラジルのアマゾン、民間に転じ
    て、フィリピン、インドネシアの森林伐採、中近東、アジア、
    さらに米国での建設プロジェクトなどに過ごして昨年リタイア
    しました。
    
     海外の現場では、現地の人々の考え方や生活環境に対する理
    解を第一に、しかも、ハイレベルからローレベルの人々との交
    流に生き甲斐を感じました。そして、私が日本で「日本」「日
    本人」についての教育を表層的にしか受けていないことに気が
    付くのにそんなに時間がかかりませんでした。それで、日本か
    ら様々な書籍を取り寄せてじっくり読書しながら、自分の「日
    本」「日本人」を確立すべく努力してきました。そして自分の
    「日本」「日本人」の原則と現地の人々の「その国」「その国
    の人々」の原則を理解し調和することによって濃密な交流が深
    まったと思います。

     一昨年、HPを検索しておりましたら、偶然このメルマガに
    アクセスすることができました。そして、毎週配信されるメル
    マガ、今までのメルマガを読みながら、私の在学中にこのよう
    な入門編があれば本当に良かったなと感じております。読者か
    らのメール紹介でも、私同様の感想を持たれている方が多いよ
    うですね。これから、社会に出る若い方々、そしてこれから国
    際社会に出られる若い方々が自分の「日本」「日本人」の確立
    のためにこのメルマガを端緒に自分の道を切り開いてゆかれる
    ことを希望します。

■ 編集長・伊勢雅臣より

     今週は多くの方々から励ましのお便りをいただきました。新
    たなエネルギーをいただいて、これからも頑張ります。

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