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■■ Japan On the Globe(422)■■ 国際派日本人養成講座 ■■■

             Common Sense: 靖国問題8つの常識

                      靖国問題で守らなければならないのは、
                     日本人の歴史と死生観である。
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■1.靖国問題の幕引き■

     10月17日、靖国神社の秋季例大祭に小泉首相が参拝し、
    中国・韓国からの批判が再燃したが、従来と比べてだいぶトー
    ンダウンしている。岡崎久彦元駐タイ大使は、参拝直後にこう
    語っているが、事態はほぼ氏の予測通りに推移している。

         もう少し重く、公式参拝、または公式参拝に近い形でも、
        日中関係、日韓関係に言葉による批判以上の実害はないと
        いう点では同じだと思う。・・・

         言葉以上に何ができるかというと、若干の無害な交流の
        停止くらいはあるかもしれないが、大衆デモは到底できな
        いと思う。そうであるなら、今後は毎年、参拝しても日中
        関係、日韓関係に言葉の批判以上の実害はなくなることが
        確定するはずだ。小泉首相でなくても誰でも参拝できる状
        況になるだろう。それが確定し、靖国問題の幕引きになれ
        ば、小泉首相の功績になるだろう。[1]

     靖国参拝が中韓に実害を与えているわけではなく、単なる外
    交カードとして使っているだけなので、カードが無力である事
    が分かれば、この問題は自然に消滅する。しかし、外交問題と
    してはそれで良いが、靖国問題の根底には日本国民が歴史と文
    化の常識を喪失している、という重大な問題が横たわっている。

     この点を、超速シリーズ50万部突破の超人気予備校講師・
    竹内睦泰氏が『日本・中国・韓国の歴史と問題点80』で説い
    ている。氏がベストセラー受験参考書で見せた「超速」の語り
    口と、「誇りのもてる日本史を伝えたい」という志が結合して、
    およそ中韓との歴史・外交問題に関しては、この薄い一冊で用
    が足りてしまうという本が出来上がった。[2]

     本号では、特に靖国参拝に関する8つの常識を紹介したい。

■2.常識その1:靖国参拝批判は世界で3カ国のみ■

     第一の常識は、靖国参拝を公式に非難している国は、中国、
    韓国、北朝鮮の「反日3兄弟」だけだという点である。

         実際のところ、「靖国神社参拝」に反対しているのは、
        世界でたった3カ国にすぎません。マスコミの「諸外国の
        反発」という書き方が国民を惑わせているのです。

         外国の要人が靖国神社に参拝するのは珍しいことではあ
        りません。それどころかむしろその数は多いといえます。

        「A級戦犯」合祀後に、靖国神社に参拝した要人がいる国
        は、世界で30数カ国に上ります。ロシアのエリツィン元
        大統領(1990年参拝)をはじめとして、チベットのダライ
        ・ラマ14世など、異教徒の方も参拝しています。

        「アジア諸国は靖国神社参拝に反対」と報道されています
        が、2005年にインドネシアのユドヨノ大統領は「国のため
        に戦った兵士をお参りするのは当然のことだと思う」と安
        倍晋三自民党元幹事長に語っています。[2,p36]

     このユドヨノ大統領の言葉が国際常識である。

■3.常識その2:国際社会は「A級戦犯」にはこだわっていない■

     中韓の批判は靖国神社には「A級戦犯」が祀られている、と
    いう所にあるが、今時「A級戦犯」を云々しているのも中韓だ
    けである。

    「A級戦犯」の一人に重光葵がいる。東条内閣で外務大臣を務
    めたが、それ以前は駐ソ大使として張鼓峰事件の処理などを巡っ
    てソ連外務省と激しいやりとりをし、東京裁判ではソ連が重光
    の起訴を最も強硬に要求したと言われている。

     東京裁判で禁固7年の判決を受けて服役。昭和26(1951)年
    に出獄後、昭和29(1954)年からの第一次鳩山一郎内閣では外
    務大臣を務め、昭和31(1956)年の日本の国連加盟の際には、
    外相として国連総会での演説も行っている。

    「A級戦犯」が服役後、外務大臣となり、国連で演説した、と
    いう一事を持ってしても、国際社会が「A級戦犯」などにこだ
    わっていない事は明らかである。

     そもそも近代の法理論から言えば、「刑は執行した時点で終
    了。死者を裁く法はない!」のである。[2,p50]

■4.常識その3:法なくして裁かれた「A級戦犯」■

    「A級戦犯」というと本当の犯罪者のように考えてしまうが、
    これは誤りである。A級とは「平和に関する罪」ということで、
    通常の捕虜虐待、民間人殺害などの戦争犯罪とは異なる。しか
    し、平和の罪とは何かを定めた法律などは、なかった。[a]

         近代法には「どのような行為が犯罪であり、その犯罪に
        どのような刑罰が加えられるかはあらかじめ法律によって
        明確に定められていなければならない」という「罪刑法定
        主義」と呼ばれる原則があります。[2,p26]

     たとえば、スピード制限表示のない道路をあなたが走ってい
    ていて、急に警察官に止められ、罰金を取られたとする。「こ
    の道路はスピード制限がないじゃないか」と抗議をして、警察
    官が「制限はないが、今のスピードはあきらかに交通安全を脅
    かすもので、罰金ものだ」と答えたら、誰でもおかしいと思う
    だろう。スピード違反で罰金をとるには、制限速度は50キロ
    で、10キロ超過したら5万円の罰金、などという法があらか
    じめなければならない、というのが「罪刑法定主義」である。

     ちなみにサンフランシスコ講和会議でメキシコ代表は次のよ
    うに東京裁判そのものに同意しない旨の発言を行っている。[b]

         われわれは、できることなら、本条項[講和条約第11条]
        が、連合国の戦争犯罪裁判の結果を正当化しつづけること
        を避けたかった。あの裁判の結果は、法の諸原則と必ずし
        も調和せず、特に法なければ罪なく、法なければ罰なしと
        いう近代文明の最も重要な原則、世界の全文明諸国の刑法
        典に採用されている原則と調和しないと、われわれは信ず
        る。

■5.常識その4:国内法上、「A級戦犯」は存在しない■

     さらに日本の国内法上は、「戦犯」は存在しない。

         一部のマスコミは、1951年のサンフランシスコ平和条約
        において日本が「東京裁判」を認めたかのように報道して
        いるようですが、これは間違っています。[2,p32]

     条約第11条には東京裁判や連合国での「戦争犯罪法廷の裁
    判を受諾し、・・・これらの法廷が課した刑を執行するものと
    する」とある。

     しかしこの「裁判を受諾し」というのは日本語原文のみの表
    現であり、英語原文では受諾したのは"Judgements"、すなわち
    「判決」である。仏語、スペイン語原文でも同様の表現になっ
    ている。これは日本政府が判決にしたがって、刑の執行を継続
    することであり、「裁判」全体、すなわちそのプロセスや判決
    理由についてまで同意したという意味ではない。[b]

     昭和27年4月28日に平和条約が発効し、日本が独立を恢
    復すると、昭和30年にかけて、遺族援護法が成立し、敵国の
    戦争裁判で刑死、獄死した人々の遺族にも、遺族年金や弔慰金
    が支給されるようになった。

     その中心となったのは、堤テルヨという社会党の衆議院議員
    であった。堤議員は衆議院厚生委員会で「その英霊は靖国神社
    の中にさえも入れてもらえない」と遺族の嘆きを訴えた。堤議
    員の活躍が大きく貢献して、「占領中の敵国による軍事裁判で
    有罪と判決された人も、国内法的には罪人と見なさない」、と
    いう判断基準を含んだ法改正が与野党をあげて全会一致で可決
    された。[c]

     本年11月25日にも、民主党の野田佳彦国対委員長が質問
    主意書で、

         極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約
        第十一条ならびにそれに基づいて行われた衆参合わせ四回
        に及ぶ国会決議と関係諸国の対応によって、A級・B級
        ・C級すべての「戦犯」の名誉は法的に回復されている。
        すなわち、「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人で
        はないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理
        由に内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する論理はすでに
        破綻していると解釈できる。

    と述べ、これに対する政府答弁書でも「国内法上は戦犯は存在
    しない」と確認されている。[d]

■6.常識その5:分祀しても、神様は増えるだけ■

     中韓の批判を避けるために、「A級戦犯」を分祀(ぶんし)
    すべきだ、という主張があるが、これは神道を理解していない
    説だ。

         祭神が新しい神社に祀られたとしても、元の神社にもしっ
        かりと残るのが分祀。分祀すればするほど、東条英機が神
        様として増幅していきます。つまり、近隣諸国に配慮しよ
        うとしても、逆の結果を引き起こすことにしかならないわ
        けです。

         ちなみに、完全に引っ越すことは遷座(せんざ)といい
        ますが、これもあくまで靖国神社が引っ越すだけで祭神は
        変わりません。第一、政教分離を唱えるのなら、政治家が
        宗教法人に意見をするべきではないでしょう。これは単な
        る政治の宗教介入であって、分祀を唱えている政治家こそ
        が、政教分離に反していることになります。[2,p48]

■7.常識その6:靖国参拝は政教分離の原則に抵触しない■

     政教分離の原則から、首相の靖国参拝に反対する議論がある。

        ベストセラーになった『靖国問題』の著者・東京大学教授
        の高橋哲哉氏は「政経分離の原則からいえば、A級戦犯に
        関係なく首相が靖国に参拝することが問題だと思います」
        と語っているが、アメリカの作った憲法に込められた「幻
        想」である政教分離をもって、日本人が日本の神社に参拝
        するのを否定するのはおかしいと思います。

         アメリカ大統領は聖書に手を置いて宣誓します。英国女
        王はイギリス国教会の長です。政教分離を唱えるのなら、
        まずは憲法を押しつけたアメリカ・イギリスに疑問をなげ
        かけるべきでしょう。[2,p23]

     ちなみに以下に述べる「無宗教の国立追悼施設の建立」に関
    して、次のような注釈がある。

         よくモデルとしてアメリカのアーリントン墓地が挙げら
        れるが、これは無宗教ではなく、多宗教である。キリスト
        教、ユダヤ教、仏教、イスラム教、さらには天理教や金光
        教、生長の家の墓まである。[2,p46]

     アーリントン国立墓地は約6万人の戦死軍人と無名戦死者お
    よび政府高官が埋葬されており、その入り口には、

        Our Nations Most Sacrid Shrine
        我が国でもっとも崇高な廟

     とある。まさしく靖国神社と同じである。そこにアメリカ大
    統領が参拝しても、「政教分離の原則に反する」などとは誰も
    言わない。これが国際常識である。

■8.常識その7:国立追悼施設でも「A級戦犯」を除外できない■
  
         朝日新聞の社説が、「無宗教の国立追悼施設の建立」を
        主張しています。

         この提案は、靖国問題反対派が唱える対応策の一つ。靖
        国神社をつくって、「A級戦犯以外の英霊」を追悼すべき
        だという論です。[2,p46]

     しかし、政府が国立の追悼施設を作って「A級戦犯」をはず
    すためには、すでに述べた「国内法的には罪人と見なさない」
    という法律が障害になる。罪人でないので、他の戦死者と分け
    て、追悼からはずす事はできない。

     追悼からはずすためには、やはり「A級戦犯」は罪人である、
    という法を今更ながら、作りなおさねばならない。4千万人も
    の署名を集め、国会が全会一致で作った法律を、中韓が批判す
    るから、という理由だけで変更するのだろうか? それでは民
    主政治とは言えないだろう。

     さらに、それは国際法的にも批判されている東京裁判を、我
    が国が認めることになるのである。

■9.常識その8:靖国には全世界の戦没者を祀る鎮霊社がある■
    
         靖国の境内には「鎮霊社」という神社があります。

         あまり知られていませんが、ここでは国籍を問わず全世
        界のすべての戦没者を祀っています。つまり靖国神社とは、
        戦争によって命を奪われた人すべての魂を鎮めるために建
        てられた社なのです。

         戦争の悲惨さを知り、そして戦争の悲しみを一番知って
        いるからこそ、靖国神社は敷地内に鎮霊社を祀っています。
        これこそ、平和を希求している靖国神社の懐の深さであり、
        そこでは、死ねばみな「神」とされます。

         その「神」に「A級」だの「B級」だのという、人間世
        界での基準をあてはめること自体がおかしいのです。
        [1,p51]

     こういう美しい日本人の死生観を守るためにも、中韓の「死
    者に鞭打つ」文化の干渉を許してはならないのである。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(039) 国際法を犠牲にした東京裁判
    人類史上最初の核兵器の使用に対し、東京裁判が目をつぶっ
   てしまった事が、現在の国際社会の無法状態の根源ではなかっ
   たか? 
b. JOG(206) サンフランシスコ講和条約
    「和解と信頼の講和」に基づき、日本は戦後処理に誠実に取
   り組み、再び国際社会に迎えられた。
c. JOG(202) 靖国神社の緑陰
    「安らかな国家」の実現こそが、靖国神社に祀られる250
   万柱近くの英霊の願いであろう。
d. JOG Wing No.1056 国内法上は戦犯は存在しない
   

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 産経新聞「小泉首相、靖国参拝 『ひとから言われる問題じゃ
   ない』」H17.10.18
2. 竹内 睦泰『これだけは知っておきたい日本・中国・韓国の歴史と問題点80』
  ★★★、ブックマン社、H17
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「靖国問題8つの常識」に寄せられたおたより

                                           「正之さん」より
     「靖国問題8つの常識」のその1.に、「靖国参拝」を批判
    しているのは世界中でたった3ケ国だけ、つまり中国、韓国、
    北朝鮮だけという解説があります。しかし、僭越ながらもう一
    カ国あります!それはこの『日本』です!日本というよりは、
    『一部の日本人』と言う方か適切かも知れません。

     例えば、河野洋平氏や加藤紘一氏に代表される自民党の政治
    家たち、宮沢喜一氏などもそれに和する政治家と言えましょう。
    それから、公明党幹部等々の政治家たち!それから朝日新聞に
    代表されるマスコミ!等々です。

     彼らが何故に、下記された常識から逸脱したのか?彼らに確
    固たる国家観や歴史観が欠如していることが考えられますが、
    もう一つの可能性としては、中国、韓国、若しくは北朝鮮に丸
    め込まれ、抱き込まれている可能性も否定は出来ません。

     わが国の情報戦力を早急に整備する必要性はこのことからも
    焦眉の急の課題となります。

                                     「かなにゃん」さんより
    >「A級戦犯」というと本当の犯罪者のように考えてしまうが、
    > これは誤りである。A級とは「平和に関する罪」ということ
 
     という部分にびっくりしてWikipediaを調べてみたら、その
    通りでした。アルファベットは罪の軽重を示すものではなかっ
    たのですね。

     この一事だけでも、私と同様誤解している日本人はたくさん
    いるでしょう。社会科できっちり教えてほしいと思いました。

■ 編集長・伊勢雅臣より

    「常識」が通用しないのは、その事によって利益を得ている一
    派がいるからでしょう。それが国外か、国内かを問わず。

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