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■■ Japan On the Globe(477)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■ Common Sense: 「戦後体制からの脱却」を進める安倍首相 〜 平成18年の国際派日本人 外交、教育、防衛と、安倍政権は「戦後体制 からの脱却」を着々と進めている。 ■転送歓迎■ H18.12.24 ■ 34,955 Copies ■ 2,333,041 Views■ ■1.着々と進む「戦後体制からの脱却」■ 郵政民営化に反対して離党した「造反組」議員の復党問題で、 安倍首相に対する支持率が、発足直後の64パーセントから 47%に急落した、と伝えられている。安倍首相はこの問題を 中川秀直・自民党幹事長に一任したのだが、世論調査では、こ の問題に対して首相が指導力を「発揮したとは思わない」との 回答が67パーセントに達した。その後も、タウン・ミーティ ングでのやらせ質問や、政府税制調査会・本間正明会長の官舎 入居問題などで、逆風が強まっている。 しかし、マスコミがこれらの問題に騒いでいる間に、今国会 に提出された21法案はすべて成立した。その中には約60年 ぶりの教育基本法改正、防衛庁の「省」昇格の重要法案が含ま れていた。安倍内閣の掲げる「戦後体制からの脱却」は、内閣 発足わずか3ヶ月で大きな第一歩を記したと言える。 「戦後体制」と言えば、その代表は共産党や社民党、民主党左 派などの左翼政党、そして朝日新聞やTBSに代表される一部 の左翼的マスコミである。これら「戦後体制」を代表してきた 勢力が、「戦後体制の脱却」を掲げる安倍政権を目の敵にして きたのも、けだし当然であろう。 今回はこれら一部マスコミや野党と戦いつつ「戦後体制の 脱却」を進める安倍政権の足跡を追ってみよう。 ■2.安倍憎しの「ゲリラ活動!?」■ 朝日新聞やTBSは、従来から何とか安倍政権の誕生を阻止 しようと、異様な熱意を燃やしてきた。 朝日は昨年1月12日、NHKが4年も前に放送した従軍慰 安婦に関する番組で、中川昭・経産相(当時)と安倍・内閣官 房副長官(同)が圧力をかけて番組を改変させたと報じた。 NHKは7時のニュースで「朝日の虚偽報道」と反撃し、中 川・安倍両氏も「事実無根」と訂正・謝罪を要求した。朝日は 何ら根拠を示せず、窮地に陥った[a]。朝日はその後も頬被り を続けているが、この失敗以来、いよいよ安倍憎しの情を募ら せたようだ。 安倍氏が小泉前首相の後継として注目を集めると、朝日は対 抗馬・福田康夫氏に6月20日付け社説で『福田さん、決断の 時だ』と決起を促した。7月5日、福田氏が正式に出馬しない と表明すると、23日付け社説では『安倍氏独創でいいのか』 と歯ぎしり。「福田がダメなら小沢だ」とばかり、9月11日、 民主代表選の前日に小沢ビジョンをスクープし、夕刊一面トッ プで『民主、格差是正を全面、保守取り込み狙う』と派手に持 ち上げた。 しかし朝日の怨念空しく、安倍首相が誕生すると、9月21 日社説では『不安一杯の船出』、同27日付社説では『果たし てどこへゆく』と、不安をかき立てた。しかし、新首相への世 論支持率64パーセントという逆風の中では、「負け犬の遠吠 え」に過ぎなかった。 一方、TBSはテレビならではのイメージ戦略で安倍氏を攻 撃した。7月21日の「イブニング・ファイブ」では、満洲で の731部隊による細菌戦計画の番組中、何の関係もない安倍 氏の顔を大写しにして、「ゲリラ活動!?」のテロップを流し た。 安倍氏が不快感を示し、総務省も調査に入ると、TBSは 「偶然」と謝罪したが、報道局長の事前チェックも入るはずの 報道番組に、こんな「ミス」が見逃されるはずもない。安倍氏 の祖父、岸信介元総理が満洲国の官僚だったことから、731 部隊との関係を示唆し、安倍氏のイメージダウンを図ろうとい う卑劣な戦術だった。公共の電波を使うマスコミ機関が、ここ までやるのは、無法な「ゲリラ活動!?」としか言いようがな い。[1,p61] ■3.「侵略戦争」村山談話の継承と空洞化■ 一方、国会内では野党が、安倍首相に歴史観に関する集中質 問を続けた。なんとか安倍首相から問題発言を引き出して、足 下を掬(すく)おうという魂胆だろう。 まず10月3日、共産党の志位和夫議員が平成7(1995)年の 村山談話について、「国策を誤り、戦争への道を歩んだという 認識を共有するのかどうか」と問い糾した。首相は村山談話を 継承する、としつつも、こう付け加えた。 一方、先ほど申し上げましたように、政治家の発言は政 治的、外交的な意味を持つものであることから、歴史の分 析について政治家が語ることについては、やはり謙虚であ るべきだと考えております。 さらに社民党の福島みずほ議員が、翌4日の参院本会議で同 様な質問を繰り返すと、 侵略戦争という概念については国際法上確立したものと して定義されていない・・・ 村山談話を継承しつつも、「侵略戦争」の国際法上の定義は なされていない、歴史について語ることは政治家は「謙虚」に なるべき、と談話の内容自体を空洞化させる発言を行った。 ■4.「従軍慰安婦」河野談話の継承と空洞化■ さらに10月6日、志位議員が旧日本軍が「従軍慰安婦」の 強制連行に関わったという河野談話について質問すると、首相 は、それを継承すると答えつつも、 いわゆる狭義の強制性と広義の強制性があるであろう。 つまり、家に乗り込んでいって強引に連れていったのか、 また、そうではなくて、これは自分としては行きたくない けれどもそういう環境の中にあった、結果としてそういう ことになったことについての関連があったということがい わば広義の強制性ではないか。・・・ 今に至っても、この狭義の強制性については事実を裏づ けるものは出てきていなかったのではないか。 また、私が議論をいたしましたときには、吉田清治とい う人だったでしょうか、いわゆる慰安婦狩りをしたという 人物がいて、この人がいろいろなところに話を書いていた のでありますが、この人は実は全く関係ない人物だったと いうことが後日わかったということもあったわけでありま して、そういう点等を私は指摘したのでございます。 ここでも河野談話を継承すると言いつつも、「家に乗り込ん でいって強引に連れていった」というような「狭義の強制」は 事実として否定している。 ■5.安倍首相の尻尾をつかめなかった野党■ 村山談話や河野談話は政府として公式に出してしまったもの だから、それをいきなりひっくり返したら、それこそ一部マス コミや野党が鬼の首をとったように大騒ぎし、そうなれば中韓 も首相を迎えるわけにはいかなくなったであろう。 そこで、安倍首相は、両談話を継承するとしつつも、「侵略 戦争」の定義が確立していない、とか、強制と言っても狭義の ものではない、として、実質的に空洞化を図ったのである。 この巧妙なアプローチに、野党は安倍首相の尻尾を掴むこと ができずに、集中攻撃も不発に終わった。 その後、下村博文官房副長官が講演の中で、個人的見解とし つつも、河野談話について「もう少し事実関係をよく研究し、 時間をかけ客観的に科学的な知識を収集して考えるべきだ」と 述べた。 現実主義的なアプローチの中で、時間をかけて粘り強く自ら の信念を貫くのが安倍流のようだ。今後も村山談話や河野談話 の見直しを徐々に進めることを期待したい。これも「戦後体制 からの脱却」の重要な一歩である。 ■6.靖国に「行くか行かないか、は言わない」■ 政権誕生から2週間も経たないうちに、安倍首相は10月8 日に中国を訪問し、翌9日には韓国を訪れた。 「靖国参拝をやめない限り、中韓は首脳会談に応じない」とい うのが、一部マスコミの決まり文句だったが、安倍首相は「靖 国神社に参拝したか、しなかったか、するか、しないかについ て申し上げない」という態度で押し通した。それでも中韓が訪 問を受け入れたことで、この一部マスコミの決まり文句は誤っ ていた事が明白になった。 靖国に関しては小泉前首相が最後まで折れなかったことで、 中韓はこれ以上、靖国を外交カードにすることをあきらめたわ けで、その機を逃さずに利用した安倍首相の政治的判断が奏功 したのである。 これを一部マスコミは「曖昧戦術」と批判するが、「曖昧」 で悪いことはない。もともと「一国の首相が戦没者の追悼をす るのを、他国がとやかく言うこと自体がおかしい」と言うのが 日本側の主張なのであって、安倍首相が参拝について曖昧にし たまま、中韓が首脳会談を受け入れた、ということで、日本側 が主張を押し通した形となったわけである。 ■7.「曖昧」にしておくことが、双方の政治的利益に適う■ 中国側は胡錦濤国家主席、呉邦国全人代委員長、温家宝総理 とトップが会談に応じた。会談後の記者会見では、冒頭から靖 国参拝に関する質問があったが、安倍首相はこう答えている。 靖国神社の参拝については、私の考えを説明した。そし てまた、私が靖国神社に参拝したかしなかったか、するか しないかについて申し上げない、それは外交的、政治問題 化している以上、それは申し上げることはない、というこ とについて言及した。その上で、双方が政治的困難を克服 し、両国の健全な発展を促進するとの観点から、適切に対 処する旨述べた。私のこのような説明に対して、先方の理 解は得られたものと、このように思う。 中国側の要望も「政治的障碍を取り除いて欲しい」というこ とで、さすがに「靖国参拝をやめよ」などとは言っていない。 「政治的障害」にさえならなければ、靖国参拝について、行っ てもよいとも、いけないとも言わない。こちらも「曖昧戦術」 なのである。 現時点では「曖昧」にしておくことが、双方の政治的利益に 適うわけで、「一国の首相が戦没者の追悼に行くことを、他国 がとやかく言うこと自体がおかしい」という国際常識にようや く立ち戻ったわけである。 来年の靖国参拝については、首相自身の胸算用にかかってい るが、現実的な対応をしながらも原則を貫く安倍流に期待した い。 ■8.外交における「戦後体制の脱却」■ 靖国問題以外については、中韓に対して安倍首相が明確な主 張をしている点を見落としてはならない。中国側との会談の後 の日中共同プレス発表では、こう公表されている。 日本側は、戦後60年余、一貫して平和国家として歩ん できたこと、そして引き続き平和国家として歩み続けてい くことを強調した。中国側は、これを積極的に評価した。 首相は記者会見において、北朝鮮問題、拉致問題、東シナ海 資源開発問題などについても、首相から考えを説き、中国側か ら理解が示された、と述べている。従来、日中間の最大の問題 とされていた歴史問題は、「歴史を直視し、未来に向かい」、 および「日中有識者による歴史共同研究を年内に立ち上げる」 という2点だけで片付けられている。 日中関係の正常化を必要としていたのはむしろ中国側であり、 小泉前首相への靖国批判で上げた拳の下ろし所を探っていた中 国が、首相交替という機会に素早く乗ったのである。中国の 「君子豹変」に、日本の一部マスコミは2階に上がったまま梯 子をはずされた形となった。 一方、韓国との首脳会談では、「豹変」しない盧武鉉大統領 が、冒頭の40分以上も、慰安婦、歴史教科書、靖国神社に替 わる国立追悼施設など、従来通りの主張を繰り返したが、安倍 首相は一切取り合わず、そうした歴史認識を文書に表そうとし た韓国側の要求を拒否した。かくて韓国とは共同の文書発表す ら行われないという異例の事態となった。 いずれにせよ、首相就任直後の電撃的な中韓訪問は、その内 容においても、従来の歴史問題への謝罪から始まる戦後の対中 韓外交を完全に脱皮し、主張する外交に転換した、という点で 画期的なものであった。これは外交面における「戦後体制から の脱却」であった。 ■9.着々と進む「戦後体制の脱却」■ 12月15日、改正教育基本法が成立。日教組は国会前のデ モ行進などで組合員約1万5千人を動員した。平日の授業も放 り出しての教員のデモで、支出総額3億円というから、ただ事 ではない。 日教組がこれだけしゃかりきになるのも理由がある。従来法 の「不当な支配に服することなく」という文言を、日教組は文 部科学省や教育委員会の施策や指導に反対する根拠としてきた のだが、今回「教育は、、、この法律及び他の法律の定めると ころにより行われるべきものであり」と追加されて、法律に基 づく教育行政は「不当な支配」に当たらない、と明記された。 これでようやく教育が法の支配のもとに行われることとなっ た。この当たり前のことが戦後60年も放置されてきたわけで ある。 さらに安倍首相は12月19日夜の記者会見で、憲法改正に ついて「歴史的な大作業だが、私の在任中に何とか成し遂げた い」と明言した。その改正手続きを定める国民投票法案に関し ては、来年の通常国会で成立を目指す考えを示した。 そもそも憲法改正には国民投票が必要だと現行憲法には書い てあるが、その投票のための法律すら戦後60年間も制定され ずに来ていたのは、どう見ても異常である。 外交、教育、防衛、そして最終的には憲法へと、占領軍が残 した「戦後体制」の脱却に、安倍政権は着々と取り組んでいる。 来年の進展に期待したい。 (文責:伊勢雅臣) ■リンク■ a. JOG(401) 北風と朝日 ある朝日新聞記者が北朝鮮擁護のために でっちあげ記事を書 いたという重大疑惑。 b. JOG(339) 安倍晋三 〜 この国を守る決意 政治家は「国民の生命と財産を守る」という ことを常に忘れ てはいけないと心に刻みました。 ■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け) →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。 1. 西村幸佑他『「反日マスコミ」の真実』★★、オークラ出版、H18 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ■「「戦後体制からの脱却」を進める安倍首相」に寄せられたおたより ネコノミストさんより 安倍首相については、「格差容認」の経済方針だけが目に付 いて、支持できませんでした。(そもそも、公共財の提供を通 じて、富を効率的かつ公平に再分配するのが政府の役割ではな いか。その役割を放棄して、日本経済が良くなるものか、と) しかし、本号を通じて、外交についてはかつての過ちを覆す に十分の辣腕を揮っていることを知りました。脱戦後体制につ いては、頑張ってもらいたいと思います。 それにしても、マスコミは安倍首相の快挙を、全く伝えよう としていませんね。反論することすら、焦点を当てる結果にな ることを、彼らなりに学んでいるのでしょうか・・・ ■ 編集長・伊勢雅臣より マスコミは「支持率急降下」などと囃し立てていますが、登 場直後の70%が異常で、下がっても50%近くというのは、 退陣前の小泉内閣と同水準です。ちなみに小泉内閣の在任中の 平均支持率は50%で、わずか8ヶ月で退陣した細川内閣に次 いで戦後第2位です。でも、安倍首相には国民の人気取りなど に気をとられず、国家百年の計のもと、「戦後体制からの脱却」 を着々と進めていただきたいと思います。© 平成18年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.