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                 シドニー沖での日豪慰霊祭

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1325 ■ H19.08.13 ■ 8,916 部 ■■■■■■■


     昨平成18(2006)年11月、オーストラリアのシドニー北部
    沿岸の海底で、日本の特殊潜行艇が発見された。昭和17
    (1942)年5月31日、連合軍の拠点だったシドニー湾で攻撃作
    戦のため潜水艦から出撃した特殊潜航艇3隻の1つで、豪海軍
    艦船に魚雷攻撃し21人を死亡させた後、行方不明になってい
    たものだ。他の2艇は攻撃前に防御ネットに引っ掛かって自爆、
    沈没し、戦争中に豪海軍によって引き揚げられていた。

     身の危険を顧みずに敵軍港に潜入するという日本海軍軍人の
    勇気は、豪海軍に感銘を与え、戦時中に引き上げられた2隻に
    搭乗していた松尾敬宇大尉以下4人は、海軍葬の礼をもって弔
    われた。戦時中に敵国軍人を顕彰する豪海軍の精神もまた武人
    らしい。[a]

     昨年、見つかった3隻目の特殊潜行艇の海軍軍人の慰霊祭が、
    このたびシドニーで行われ、日本から遺族が参加した。この様
    子を産経新聞は次のように伝えている。[1]

         シドニー湾の海底で昨年11月に約64年ぶりに発見さ
        れた旧日本海軍の特殊潜航艇に乗っていた日本海軍軍人2
        人の慰霊祭が6日、シドニーの豪海軍基地などで行われた。
        出席した遺族らは、潜航艇の魚雷攻撃で死者を出した豪海
        軍の生存者らと和解の握手を交わした。この後、日本の遺
        族らは豪海軍の艦上から海に向かって祈りをささげた。
        ・・・

        「兄貴のおかげで学校に行かせてもらい、無事に世の中を
        渡っています」

         洋上慰霊祭で、潜航艇の艇長だった伴勝久少佐=当時
        (23)=の弟、伴和友さん(74)は、そう心に念じな
        がら海に花輪を投じた。乗員だった芦辺守特務少尉=当時
        (24)=のめい、竹本ひろみさん(46)は、波間に地
        元・和歌山県の清酒を献じた。

         艇を引き揚げる計画はないが、豪政府は遺族らのため海
        底の艇を撮影したビデオ映像を上映し、現場の砂を贈った。

         これに先立ち豪海軍基地で行われた陸上慰霊祭には、潜
        航艇の魚雷攻撃を受けた豪艦船の生存者らも出席。日本の
        遺族と「友情と平和」の握手を交わした。

     祖国のために一命を捧げる、という武人の精神伝統に立てば、
    かつての旧敵も互いの敢闘を讃え合い、そこから和解に至るこ
    とができる。

     日本の武士道精神と欧米の騎士道精神とは、この点で互いに
    理解尊敬し合うことができるのである。厄介なのは、こうした
    武人の精神伝統を持たない国々との交際である。

■リンク■
a. JOG(153) 海ゆかば〜慰霊が開く思いやりの心
    慰霊とは、死者のなした自己犠牲という最高の思いやりを生
   者が受け止め、継承する儀式である。 

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
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1. 産経新聞「65年経て日豪、和解の祈り シドニー沖 特殊潜
   航艇の2勇士慰霊祭」、H19.08.07、東京朝刊、3頁 
 

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