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                沖縄タイムスと「バカの壁」

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1409 ■ H20.03.03 ■ 9,589 部 ■■■■■■■

     国際派日本人養成講座537号「何を目指すか、沖縄タイムス」
    [a]を書いている途中に、現在、問題となっている米兵の暴行
    事件を同紙がどう扱っているか、調べてみた。紙数の関係で
    「講座」本文には取り上げられなかったが、「なるほど沖縄タ
    イムスとは、こういう新聞か」と驚かされた記事があったので、
    ここで紹介したい。

     3月1日付け朝刊1面のコラム欄「大弦小弦」の一文である。
    まず、謝罪に訪れたライス長官と福田首相の会見シーンの描写
    から始まる。

         ライス米国務長官が先日来日し米兵暴行事件について
        「極めて遺憾であり申し訳ない」と謝罪した。事前に報じ
        られた範囲の表現にとどまり、目新しさはない。

         驚いたのは、福田首相との会談で足を組み右足を伸ばし
        て座るライス長官の写真だった。対照的に首相は両足をそ
        ろえ、ひざの上で指を組んでいる。二十八日付の本紙朝刊
        一面、「極めて遺憾」という見出しと写真がしっくりこな
        い。

    「両足をそろえ、ひざの上で指を組んでいる」首相のきまじめ
    な姿勢に対して、「足を組み右足を伸ばして座るライス長官」
    の写真が、「極めて遺憾」という見出しと「しっくりこない」
    と個人的な感想を述べる。

          ちょうど朝刊編集の作業をしている最中に見つけたの
         で、担当デスクにそのことを進言した。するとデスクは
         眉間にしわを寄せ「二人とも笑っている写真しかないか
         ら送り直してもらったんだ」とさらに渋い顔。

     これでは、ライス長官は尊大に足を組み、笑ってばかりいた
    ような印象を受ける。

     結びはこうだ。

         十数年前のこと、地方の市長選では珍しく候補者座談会
        を開いた。翌日一面の両雄が握手を交わす写真に、ある陣
        営は大喜び。「うちの候補が背も高くて堂々と写っている」
        というわけで討論の内容は二の次だ。

         それほど写真は印象を左右する。ライス長官のしぐさは
        アメリカ人の、あるいは個人の「スタイル」なのか。そう
        理解しようとしてもまだスッキリしない。意識的にそうし
        たのか、無意識に日米関係が表れた瞬間だったのか…。

     会談の途中にライス長官が足を組んだ時もあったろう。アメ
    リカ人ならよくある事だ。そして首脳どうしが会うのだから、
    お互いに笑顔を交わすのも外交として当然であろう。

    「討論の内容は二の次だ」というのは、このコラムも同様で、
    会談の内容は二の次どころかまったく触れずに、ライス長官が
    「足を組み、笑っていた」という一瞬の情景だけから、「無意
    識に日米関係が表れた瞬間だったのか」とまで、驚くべき深読
    みをして見せる。

     おそらくこのコラム氏の頭の中には、「米国が軍事的に日本
    を利用している日米関係」という固定観念で凝り固まっている
    のだろう。その固定観念を通して見れば、ライス長官の足組は、
    ただちに「日米関係が表れた瞬間」と反射的に解釈できるのだ。
    ここには論理も何もない。単なる個人的印象だけの世界である。

     養老孟司氏のベストセラー『バカの壁』では、次のような一
    節がある。

         自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断
        してしまっている。ここに壁が存在しています。これも一
        種の「バカの壁」です。 

     このコラム氏に、中国の脅威だとか、それに対する日米同盟
    の重要性など説いても、そんな「自分が知りたくないことにつ
    いては自主的に情報を遮断」してしまうだろう。

     新聞は、我々誰もが持つ「バカの壁」を打ち破るために、多
    面的な情報を提供するという社会的使命を持つ。それを始めか
    ら「情報を遮断」して、特定の偏った情報しか流さないのでは、
    報道機関というより政治的宣伝機関である。

     こういうコラムを第一面に堂々と掲げる沖縄タイムスは、や
    はり「過激派、新左翼の機関誌」なのだな、と思われた。

■参考■
1. 沖縄タイムス、H20.3.1、「大弦小弦」

■リンク■
a. JOG(537) 何を目指すか、沖縄タイムス
    反日意識を煽り、米軍の撤退を要求する、その先にあるもの
   は? 

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