[トップページ][平成21年一覧][070.14 報道と政治宣伝]

■■ Japan On the Globe(587)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

            Media Watch: TBSの懲りない面々
    
                             なぜ偏向報道・捏造報道が繰り返
                            えされるのか?
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■1.「TBSは今日、死んだに等しいと思います」■

    「TBSは今日、死んだに等しいと思います」 平成8(1996)
    年3月25日、『筑紫哲也NEWS23』でニュース・キャス
    ター筑紫哲也氏はこう言い切った。

     事の発端は、平成元(1989)年、マスコミがオウム真理教によ
    る事件を報道し始めたときだった。TBSもオウム取材に出か
    け、10月26日に教祖・麻原彰晃にインタビューしたが、そ
    の際に「どんな放送を出すつもりか」と聞かれ、オウム問題を
    マスコミに働きかけていた坂本堤弁護士のインタビューも合わ
    せて放送する、と答えた。「そのビデオ・テープを見せろ」と
    要求されると、受け入れる返答をしてしまう。

     その日のうちに、オウム幹部3人がTBSのオフィスに押し
    かけてきた。彼らは坂本弁護士のインタビュー・テープを見て、
    教団と麻原個人を誹謗する内容だとして、抗議。TBS側は翌
    日に予定されていた放送の中止まで約束してしまった。そのう
    え、「教団の圧力に負けて放送を中止したのではなく、自らの
    判断で中止したことにするので、放送前のビデオを見たことは
    公言しないように」との要請までした。

     数日後、坂本弁護士が「オウム真理教被害者の会」の結成総
    会を開くと、オウム幹部は活動をやめるよう恫喝したが、決裂。
    麻原は坂本弁護士の殺害を命じ、11月4日、幹部6人が自宅
    を襲って一家全員を殺害し、遺体を各地に隠した。坂本弁護士
    一家は「行方不明」とされ、被害者の会は情報提供を呼びかけ
    たが、TBSはテープを見せた件を隠し続けた。そのために警
    察の捜査は難航した。

■2.「殺人電波」■

     平成7(1995)年、オウムは地下鉄サリン事件で死者19名、
    重軽傷者6千名以上という無差別テロを起こした。麻原以下オ
    ウム幹部等が逮捕され、その一人が、坂本弁護士のインタビュ
    ー・テープを見ていたことを供述した。

     TBSは半年ほどもそれを否定し続けたが、供述が公開され
    る前日に、磯崎洋三社長(当時)が前言を撤回する記者会見を
    行った。筑紫氏が「TBSは今日、死んだに等しいと思います」
    と語ったのは、その晩だった。

     もしTBSが坂本弁護士のインタビューを放映していたら、
    麻原は殺害を命じなかったかも知れない。警察がすぐにオウム
    を容疑者として狙いをつけるからだ。あるいは坂本弁護士が行
    方不明になった後、すぐに事実を公表していれば、この手がか
    りからオウムに警察の追求の手が入り、地下鉄サリン事件は防
    げた可能性が高い。

     TBSは「殺人電波」などと世論から厳しい批判を浴び、磯
    崎社長も辞任した。しかし、10年後に、麻原の死刑が確定す
    ると、後継団体を組織した元オウム幹部を再び『イブニング・
    ニュース』に生出演させて現教団の安全性をアピールさせるな
    ど、一向に反省した様子はない。

     TBSは「死んだ」のではなく、「死んだふり」をしただけ
    のようだ。
    
■3.対中援助交渉のたびに「南京大虐殺」報道■

    「TBSは今日、死んだに等しいと思います」と言った筑紫哲
    也氏自身が、そう偉そうなことを言える経歴ではない。

     昭和59(1984)年、『朝日ジャーナル』誌編集長だった筑紫
    氏は、本多勝一氏の「南京への道」の連載を始めた。これが
    「南京大虐殺」という中国の対日外交カードとなる。この年の
    日本輸出入銀行からの対中直接借款はゼロだったが、翌年には
    1千億円以上の巨額援助が開始されている。

     筑紫氏はその後TBSに移籍して、「NEWS23」の編集
    キャスターとなり、平成6(1994)年『従軍日記は語る』という
    特集を始める。この時も、対中ODA(政府開発援助)更新の
    大事な時に当たっていた。

     番組では南京戦に従軍した東史郎という人物を登場させ、語
    らせた。[1,p45]

        (ナレーションが東氏の日記を読み上げる)
         どこからか、一人の支那人(放送ママ)が引っ張られて
        きた。彼を袋の中に入れ自動車のガソリンをかけ火をつけ
        ようというのである。彼は袋の中で暴れ、泣き、怒鳴った。

        (東氏)
         ガソリンぶっかけて、ガソリンというのをね、たった一
        リッターかけても、ブワッと広がるんです。ボーッと飛び
        上がりおった。飛び上がって、転がるわけね。・・・

        「おい、そんなに熱ければ、冷たくしてやろうか」と言う
        と、手りゅう弾を2発、袋の紐に結びつけて沼の中へほう
        りこんだ。

     この時、東氏の戦友がこんな残虐行為は実行不可能であり、
    名誉毀損だと東氏を訴えて、裁判が進行中だった。番組では被
    告の東氏に3分語らせたのに、原告側には11秒しか話をさせ
    ず、ナレーションは「裁判の行方が注目される」と結んだ。

     この裁判では、原告側が「支那人を入れガソリンをかけた」
    という当時の郵便袋を再現して、大人では片脚しか入らないこ
    とを実証した。その結果、高裁判決では「物理的に不可能であ
    る」と判決文に明記された。

     高裁でも最高裁でも、東氏側は敗訴したが、『NEWS23』
    にとって、この程度のことは「カエルの面になんとか」なのか、
    報道していない。[1,p48]

     こうした筑紫氏の働きもあってか、中国は平成8(1996)年か
    らの3年間で、5800億円ものODAを得たのである。

■4.捏造報道■

     もっとたちの悪いのは発言を捏造しての報道である。平成
    15(2003)年10月28日、石原慎太郎東京都知事が「救う会
    (北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)東
    京」において基調講演を行った。その中で日韓併合問題を取り
    上げて、次のように発言した。

         私は日韓併合を100%正当化するつもりはない。

     11月2日朝に放送されたTBSの報道番組『サンデーモー
    ニング』では、

        「日韓併合正当化」石原知事がまた問題発言

    とのタイトルをつけて石原知事の顔写真を流し、

         私は日韓併合の歴史を100%正当化するつもりだ

    とのテロップを挿入した。音声でも「正当化するつもりはない」
    とはっきり言っているのを、「正当化するつもり」まで流し、
    「は」の部分を潰して聞き取りにくくし、「ない」の部分はカッ
    ト。意図的な捏造としか考えられない操作をした。

     ご丁寧にも、番組では、これに対する在日青年団会長やら朝
    鮮総連幹部の反発の声をVTRで流し、『コリア・レポート』
    編集長でかつて「拉致は未確認」などと否定していた辺真一氏
    に石原批判のコメントを語らせている。韓国・北朝鮮寄りの立
    場を隠そうともせず、「公平性・中立性」を求めた放送法の精
    神など一顧だにしない。

     石原知事側は「主要全国紙への謝罪分掲載」と「このような
    報道を行った経緯を検証する番組の放送」を求めたが、TBS
    側は「単なる放送事故」として拒否。都知事側は「名誉毀損」
    としてTBSを告訴し、TBS側が和解金を支払うことで解決
    した。

■5.米議員の発言を「誤訳」!?■

     先の「死んだふり」同様、こうした失敗をしてもなかなか懲
    りないのがTBSである。平成18(2006)年6月にも、米国議
    会下院国際関係委員長のヘンリー・ハイド議員の次の発言を誤
    訳した。

         私は日本の首相が(靖国)神社を訪れるべきではないと
        は強く思っていません。

     英文によくある二重否定で、要は「靖国参拝に反対しない」
    という意味である。それを『NEWS23』は、次のような訳
    文にして、テロップを画面に流した。

         私は日本の首相が靖国神社に行くべきでないと強く思っ
        ています。

     まるで反対の意味となる。石原発言のねじ曲げとまったく同
    じ手法である。

     意図的としか考えられない捏造報道を3年間に2度も行うと
    は、TBSの報道姿勢に疑いを持たざるを得ない。
    
■6.高度な心理学手法を駆使■

     セリフをねじ曲げる、といった幼稚な手法に、TBSをバカ
    にしてはいけない。もっと高度な手段も使えるのだ。

     その一つが、視聴者が気がつかないほどの瞬間的な映像を流
    すなどして、潜在意識に刺激を与えるサブリミナル手法である。
    たとえば、映画の中に砂漠のシーンを瞬間的に何度も挿入して、
    観客が知らないうちに喉の渇きを覚え、コーラの売り上げを増
    やす、という事例がある。

     平成7(1995)年5月7日と14日に放映された『報道特集』
    でオウム真理教を取り上げた際、通常の映像の中に麻原教祖の
    肖像などをサブリミナル的に挿入していたことが発覚した。

     郵政省が事実調査に乗り出し、TBSの常務と広報部長が全
    面的に陳謝し、「担当者は短いカットを組み合わせて効果を上
    げる演出手法と考えていた」と説明した。

     そして自社の就業規則に基づき、報道局長、『報道特集』プ
    ロデューサー、サブリミナル手法を使ったディレクター3人を
    3か月の減俸処分とした。郵政省はTBS専務を呼び、「放送
    に対する国民の信頼を著しく損なうものであり、放送の公共性
    と社会的影響力にかんがみ極めて遺憾」として再発防止の徹底
    を求めた。

■7.安倍晋三氏と731部隊を結びつける■

     ところが、TBSはこれだけ郵政省に厳重注意されても、懲
    りない。今度は平成18(2006)年7月21日に放映されたニュ
    ース番組『イブニング・ファイブ』で、旧日本軍731部隊に
    関する特集の冒頭、内容とは全く関係のない安倍晋三官房長官
    (当時)の顔写真を3秒ほど映し出した。

     カメラがTBS社内にある小道具部屋を伝って電話取材中の
    記者に迫る途中、小道具の一角におかれていた安倍氏の写真パ
    ネルが写されるという、きわめて不自然なカメラワークだった。
    しかも、安倍氏の顔写真が画面に映っているちょうどその時に、
    記者が「ゲリラ活動」という声をあげ、そのテロップが重ねら
    れた。

     ある証言によれば、安倍氏の写真パネルは、わざわざ撮影前
    に別の場所から持ち込まれたものだという。[1,p12]

     安倍氏の写真と細菌兵器研究を行った731部隊を心理的に
    結びつける「プライミング効果」と呼ばれる手法である。安倍
    氏を狙い撃ちにした意図的な操作として、他のマスコミも騒い
    で、大騒ぎとなった。TBS幹部は「意図的ではなく、安倍氏
    を陥れるという意識はなかった」「チャックしきれなかった」
    などと懸命の言い訳をした。総務省も調査を開始し、井上社長
    に厳重注意を行った。

■8.なぜTBSは懲りないのか?■

     こうして繰り返されるTBSの問題報道を俯瞰してみると、
    どうしてこれほど世論や裁判や行政に叩かれながらも、一向に
    懲りずに同じような問題を起こし続けるのか、不思議に思う。

     不正な偏向報道をしてまで中国、北朝鮮、韓国を支援しよう
    とする確信犯による行為なのか、はたまた視聴率狙いのために
    は手段を選ばないという社内の雰囲気があるのか。

     いずれにせよ、TBSが一向に懲りないのは、日本社会のバッ
    シングが足りないからだろう。TBSの偽装報道は、食べ残し
    料理の使い回しで廃業に追い込まれた船場吉兆、売れ残り材料
    を使って営業停止処分にされた赤福などに比較しうる、視聴者
    に対する裏切り行為である。

     船場吉兆や赤福に対する社会的バッシングに比べれば、TB
    Sの受けた制裁はあまりにも軽い。それは我々日本人が食品の
    安全性ほどには、マスコミの信頼性を問わないという姿勢から
    来ているのではないか。

     自由民主主義社会において国民が正しい判断を下すためには、
    信頼できる報道機関の存在が不可欠である。TBSの懲りない
    偏向報道、虚偽報道の歴史は、この点での我が国の弱点を物語っ
    ている。

■9.「懲りない面々」の懲らしめ方■

     しかし、この問題に対して我々にはどのような手段がありう
    るのか。新聞ならば、不買運動という形で、偏向報道への社会
    的制裁を加えることができる。しかしNHK以外のテレビ放送
    は、視聴料をとらないので、直接的な不買運動はできない。

     手段がないことはない。ヒントとなる事例がある。平成17
    (2005)年6月、三菱自動車・三菱ふそうがリコール隠しを行い、
    両社の車が全国で炎上事故を起こしている事がマスコミに連日、
    取り上げられていた。しかし、『NEWS23』は、これらの
    事故のほとんどを報道しなかった。三菱グループが『NEWS
    23』の有力スポンサーの一つであったことが原因とされてい
    る。

     どうにも懲りない面々もスポンサー企業だけは怖いようだ。
    それなら偏向報道、捏造報道がなされたら、その番組のスポン
    サー企業への不買運動を起こし、その企業を通じて、偏向報道、
    捏造報道に対する圧力をかけてはどうだろうか。

     TBSの中にも、正確な報道を志している真っ当な人々も少
    なくないはずだ。そういう人々を応援するためにも、スポンサ
    ー企業を通じて、「懲りない面々」を懲らしめる必要がある。
                                            (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(451) 筑紫哲也の描く異界
    筑紫哲也のNEWS23の描く世界は、なぜこんなに 他のメディア
   とは異なっているのか?

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 『TBS「報道テロ」全記録』★★、晋遊舎MOOK、H19

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「TBSの懲りない面々」に寄せられたおたより

                              「社内バリスタ1年目」さんより
     毎日新聞のWebサイトでヘンタイ記事を英語で配信していた
    件では、

        JOG Wing No.1465 毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる
        

    電話突撃の意味で使われる「電凸」が、200社以上の広告主
    に対して行われ、多数の広告主が出稿を取りやめました。

    この件については、まとめサイトがあり、  
    「何をすればいいの?」には方法が説明されています。
    
     当時の広告主の対応状況は今でも閲覧できます。
    
     また、CNETの「毎日新聞社内で何が起きているのか(上)」
    では、電凸が引き起こしたすさまじい破壊力という小見出しで
    その実状が書かれています。

     今後、テレビでおかしな報道をしたら、Youtubeやニコニコ
    動画等の動画サイトに投稿され、こうした電凸が起こり、広告
    主が広告の出稿を控える状況になると思います。

     特に不況の今、消費者の反感を買うくらいなら、経費削減を
    兼ねてさっさと出稿を取りやめる広告主が多く出てくる事でしょ
    う。

                                                 豊さんより
     最近気になったのは麻生総理の訪米についてアメリカ人にイ
    ンタビュー(と言うほど長いものではないが)して日本の総理
    の名前を知っているかと質問し、知らないと答えると如何に麻
    生総理のプレゼンスが低いかを得々と報道していました。これ
    は悪意のある報道と言うべきで報道機関としては慎むべき態度
    だと考えます。(小生は必ずしも麻生総理を支持している訳で
    はありませんが)

     考えてみれば、町の一般の人にインタビューした結果と称し
    て報道しているものもどのインタビューを放映するかは局の判
    断であり、仮に10人が賛成し2人が反対してもその2人のイ
    ンタビューだけを流せばあたかも世の中のみんなが反対してい
    るような誤った印象を耐えることが出来ます。世論は政治を左
    右する訳で、世論の形成に重要な役割を果たしているテレビが
    恣意的な情報操作をしていては大変なことになります。

     テレビ局は報道の自由だの公正だのと言いますが、テレビ局
    といえども一営利企業であり、しかもその報道内容については
    外部から審査することは出来ない仕組みになっています。仮に
    誤った報道や故意に捻じ曲げた報道をしてもその結果について
    の責任を問われることはありません。世の中にこれだけ大きな
    影響力を持ちながら誰からも掣肘されず、責任を負わないこと
    は良く考えでみると恐ろしいことです。

     かつてTBSの幹部が自民党政権を下野させたのは我々の報
    道のお陰だと言う意味の発言をして物議をかもしたことがあり
    ましが。このときのTBSの幹部には誤った全能感や使命感が
    あったように思われます。報道とは自らの信念とは異なった意
    見でも公平に報道する義務があり、世論を操作して政治に介入
    しようと言うような姿勢は持つべきではありません。                         

■ 編集長・伊勢雅臣より

     偏向した報道に対しては、世論が掣肘を加えるのが、自由民
    主主義社会の原則でしょう。 

© 平成20年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.