『伊達冠石(だてかんむりいし)について』

 この石は、阿武隈山地の西北端部の大蔵山(おおくらやま)というところに産出しその山の持ち主は、山田石材計画株式会社という会社です。

住所は、宮城県伊具郡丸森町大張大蔵字小倉10-1

  電話0224-75-2105 FAX0224-73-5125

詳しくは次の大蔵山工房のHPを見てください http://www.jet.ne.jp/~ookura/

 さて、伊達冠石は、世界中でこの大蔵山にしか産出せず、彫刻家の「イサム ノグチ」が使って有名になりました。山の中の地層の一部に柱状(高さ3M弱)にまた玉石状に埋もれています。通称「泥かむり」と言われ、回りはご覧のように赤茶けた粘土状(固いクッキー状)に覆われ、素焼きの様な感じです。色で分かるとおり鉄分が多く、石の回りに鉄錆びがこびりついたような状態のものもあります。

 石質は非常に硬く、割れ跡も鋭利で、磨くと灰黒色に輝き、微妙な紋様が表われます。 2〜3年たつと、太陽光線によって岩石柱に含まれている鉄分が酸化現象を起こし錆び色を帯びてきますが光沢は変わりません。

 外側の黄土色、内側の灰黒色と様々な景色があり味わい深いものです。

 伊達冠石のデータ:東北大学工学部資源工学科岩石力学研究室

比重:2.87 ショア硬度99 P波伝播速度5670m/sec 圧縮硬度180kg/平方センチ ヤング率6.48*10の5乗/平方センチ 引張強度180kg/平方センチ

 石材として採掘されたのは、1920年前後で、岩脈は地下10m、南北に2km、幅20m厚さ10m程度で良質な石材は中心部分です。

 大きいものでも、長さは3m弱で、それ以上の大きさは産出されないため、大きな彫刻やモニュメントの場合は、いくつか組み合わせて高さを出します。

 また、泥かむりと荒削り、磨きなどいろんな方法で、石の表情を出しますが、石の存在がなかなか強い為に、手の加え方を知らない人が削ると、どうしようもなくなってしまう傾向があります。

 蔦谷の彫刻「山の番人」では、長さ2.45mの天地を切り取り、上部にブロンズを差し込み、石自体には何の細工もしていません。近い山から産出する特徴ある石を使用し、国定公園という蔵王高原において、違和感なくそれでいて存在感のあるように、あえてその石に手を加えず、自然が持つ存在感で大自然と対比させてあります。

 現地で見ると分かりますが、とても自然に溶け込み、番人しての威厳があり、観光客からも好評です。

『副碑について』

 彫刻の前に、副碑として建立碑がありますが、同じ伊達冠石で、昔の職人が手割りしていたものを上面斜めにカットし、磨き上げ言葉を彫り込んだものです。同じ石でありながら、加工の内容によって表情は大きく変わりますが、素材の持つ波長は同じものです。

 設置は、山田石販の社長と、専属のように伊達冠石を加工している大蔵山工房の友人小関直子さんにお願いしました。

『副碑揮ごうについて』
 上部文面 

   蔵王の平安を守り

    「山の番人」

       ここに建立す

   平成8年10月

    上山市長 永 田 亀 昭

 

 正面は作品名

   山の番人

     1990        蔦谷 榮三筆