ようこそ ノシロ語の ホームページ 10号へ

              
平成12年 (2000)  8月 25日 (補訂、令和 5年 (2023)  8月 30




    今号は、
動詞 助動詞 準動詞 についてご説明します。 ノシロ文法 V 3.2は 旧文法を
   改良した最新版です。 特に準動詞 には改良した個所が沢山ありますので、
最新ノシロ文法
   を学習するには、
テキストではなくこの
ホームページ 9 〜 14号をご利用下さい。
     ★ 当10号を A4紙に印刷すると約24頁になります。




1) 動 詞  どうし


1−1. 動詞の種類

ノシロ語では動詞を以下のように 7種に大別する (暗記不要。 ホームページ14号 「国際標準単語」 で再説します)。

1.  身体動作を表す動詞 (動作動詞)   () 口、目、耳、鼻、手足、体が動く。英文HPでは bodily verb  とし、vb と略記。
2.  状況観察を表す動詞
3.  判断、分類、記憶、思考、構想
4.  行為、行動、達成
5.  道具、制度、他者の使用や利用
6.  感情表現
7.  自然現象

最初の 「身体動作を表す動詞」(動作動詞) だけが固有の部首を持つ。 それ以外の6種の動詞は原則として他の品詞
(例えば名詞や形容詞) から派生させて作るので、動詞固有の部首ではなく、元の品詞の部首 (つまり名詞や形容詞の
部首) を引き継ぐことになる。

動作動詞の部首と、その部首を持つ単語の例を下表に示します (詳しくはホームページ14号の 2)動詞 をご覧下さい)。
動作動詞であることを示す部首は語尾が U で終わる。 この U は子音の後に付くので、ウ ではなく ウー と伸ばす
例えば、KU クー、GU グー、FyU フュー, QU チュー のごとく発音する。

   部首と意味             動作動詞 (国際標準単語) の例
KU, GU, SU, CU, RU
 (以上は 口 の動き)
KU (クー 飲食する)、KUI (クーイ 食べる)、KUD (クードゥ 飲む)
SU (スー 口で呼吸する)、SUTO (スート 口で息を出す)
CU  (ツー 歌う)、CUK (ツーク 口ずさむ)
RU (ルー 話す、言う)、RULA (大声で話す)、RUNE (告げる、告知する)
BU, MU, YU
 (目の動き)
BU (ブー 涙を流す)、BUK(ブーク 泣く)
MU (ムー 見る)、MUI (ムーイ 観察する)
YU (ユー 読む)、YUR (ユール 精読する)
FyU, PyU (耳) PyU (ピュー 聞く)、PyUL (ピュール 盗み聞く、盗聴する)、
PyUMI (ピューミ 噂に聞く)
ByU, MyU (鼻) ByUn (ビューン 匂いをかぐ)
MyUn (ミューン 鼻をかむ)、MyUZn (いびきをかく)
TU, DU, NU, FU, PU
 (手や腕)
TUV (トゥーヴ 持つ)、TUKI (トゥーキ 保持する)、TUSK (奪い合う)
DUG (ドゥーグ 握る)、DUP (指でつまむ)
NUR (ヌール 合掌する)、NUSA (敬礼する)
PU (プー 放つ)、PUS (送る)、PURO (投げる)
JU, QU, RyU  (足) JU (ジュー ひざを曲げる)、JUI (ジューイ 椅子に座る)
QU (チュー 立っている)、QUS (チュース 立つ、立ち上がる)
RyU (リュー 歩く)、RyUR (リュール 走る
)
KyU, GyU, XU
 (頭、顔、首)
KyUBA (頭突きする)、KyUKA (キューカ 散髪する)、KyUR (キュール 整髪する)、
GyU (ギュー 笑う)、GyUP (顔をしかめる)、
XUP (シュープ 首を下へまげて 「はい」 の返事をする)
TyU, DyU, NyU
 (体の動き)
TyU (テュー 寄りかかる)、TyUA (テューア 体当りする)
DyUMI (泳ぐ)、DyUC (デューツ 潜る)、DyULO (浮く、浮かぶ)
NyU (ニュー 横になる)、NyUA (ニューア 仰向けに寝る)

 () 「頭突きする」 は動作動詞だが、「考える」 は動作動詞としない。
     GU、FU、FyU  は当分の間、部首として使わない(紛らわしいので)。


目的語を必要とする動作 (思考、感情等も) を表す語を 他動詞 といい、目的語なしに自己完結する動詞を 自動詞
という。 例えば、「見る」 や [送る」 や 「思う」 は、動作の対象となる目的語を必要とするから他動詞である。
これに対して、「泳ぐ」 や 「眠る」 や 「死ぬ」 は、目的語なしに自己完結するから自動詞である。

英語の be動詞 (is,  are) にあたるものは、RI (〜である) と RIZ (存在する、居る)で、どちらもノシロ文法の骨格
を成す基本単語。 英語の be動詞は 「〜である」 も 「存在する」 も表すが、ノシロ語は RI と RIZ を使い分ける。

存在文 (例えば、There are many churches in the nation. ) も 所在文 (The church is on the hilltop. ) も RIZ 
で表す。 所在場所を強調したいときは、その場所の前に 「強調」 の VI や VII を置くか、VII  と -VII  で挟む。

  () 実在論で、差異による存在確認を示すときは、一般用の RIZ よりも EQUZ  を使う方が良い。


1−2. 動詞の原形 (原形 は 現在形 と 同形)

動詞が文の中で使われる場合は、時制、進行、態、に応じて動詞の語尾に一定の助詞を付け加える。 助詞を付ける
前の動詞を 「動詞の原形」 という。 原形と現在形は常に同形である。 使用頻度の高い動詞 の原形を下表に示す。

 (注1) 下表に於いて、Basic (B) は基本単語 (ノシロ文法と一体化した最重要単語)、Friendship (F) は友好単語、
   ISW は 国際標準単語の意。 友好単語は、国際標準単語に横滑りさせた一部の語を除き、廃止されました。

 (注2)  * が付いた語は元々友好単語であるものを国際標準単語に横滑りさせて使ってきたのだが、全く同じ
  意味の国際標準単語が作られた場合は、2010年からは横滑りさせた語を成るべく使わず、国際標準単語を使う
  ようにする。 例えば、「生む」 という意味の BBIE (ブビエ、vt.) という友好単語は 2010 年以降は成るべく使わ
  ないで、新たに作った国際標準単語である IBAA (イバー、vt.) や NyUDEL (ニューデル、vb. 動作動詞) を使う。
  同様にして、「〜になる」 という意の BIIKE (ビーケ、vi.) という友好単語についても使用を控え、国際標準単語の
  EQKAZ (エチュカズ、vi.) を使う。 国際標準単語を探すのが面倒だったり、見付からない場合は、国際的に広く
  通用する英単語 (他の言語でも構わないが英語が無難だろう) をどんどん流用して構わない。 但し、ノシロ文法と
  一体化した 基本単語 (英語なら人称代名詞、疑問詞、前置詞、接続詞、助動詞等) を他の言語で置き換える
  ことはできない)。

  日本語     国際標準単語      種別       英語(参考)  
 である、です  RI   リ  Basic   vi. be/is/are
 存在する  RIZ   リズ  Basic  vi. exist
 から成る、〜で出来ている  RIKOn  リコン  Basic  vi. consist
 生まれる  IBAAZ   イバーズ  ISW  vi. be born
 生まれる  NyUKA
(vb: bodily verb) 
 ISW  vi. be born
* 生まれる * MADELI  ISW / Friendship  vi. be born
 生む  IBAAS   イバース  ISW   vt. bear/deliver 
 生む  NyUDEL (vb)
 ニューデル
 ISW  vt. bear/deliver
* 生む * BBIE  ISW / F / B  vt. bear/deliver
 〜になる  EQKAZ  エチュカズ  ISW   vi. become
* 〜になる * BIIKE   ISW/ F / B  vi. become
 来る  ITAM   イタム  ISW  vi. come
 続ける  UKOAS  ウコアス  ISW   vt. continue
 死ぬ  IBDEZ    イブデズ  ISW   vi. die
 嫌う  IWGES    イウゲス  ISW   vt. dislike
 嫌う  DE-APLIS  デアプリス  ISW  vt. dislike 
* 嫌う   * DELAIK  ISW / F  vt. dislike
 飲む  KUD (vb)   クードゥ  ISW   vt. drink
 食べる  KUI (vb)   クーイ  ISW   vt. eat
 〜する  DU    ドゥー  Basic   vi./vt. do
 飲食する  KU (vb)   クー  ISW  vt. eat & drink
 得る  UYAKS   ウヤクス  ISW   vt. get
 〜される、〜してもらう  GH    グフ  Basic  vt. get/have (受身、使役) 
* 得る * ER   ISW/F   vt. get/obtain 
 与える  APIS   アピス  ISW  vt. give
 行く  ITU   イトゥー  ISW   vi. go
 持つ、所有する  TUV (vb)  トゥーウ゛  ISW  vt. have (hold/get/own)
 〜させる(使役)  BLE   ブレ  Basic  vt. have (causative)
 〜させる(丁寧な使役)  BLU   ブルー  Basic  vt. have
(polite causative)
 聞く  PyU (vb)  ピュー  ISW  vt. hear
 招待する  ELVIS   エルヴィス  ISW   vt. invite
 笑う  GyU (vb)  ギュー  ISW   vi. laugh
 〜させておく(黙示の承認)  LEEN   レーヌ  Basic  vt. let (silent approval)
 好く、好む  APLIS  アプリス  ISW  vt. like
* 好く、好む * LAIK  ISW / F  vt. like
 愛する  APLOS  アプロス  ISW  vt. love
 作る  EKAMS  エカムス  ISW  vt. make 
 置く  PUC (vb)  プーツ  ISW  vt. put
 置く、設置する、設定する  DUY (vb)   ドゥーユ  ISW  vt. put (set up)
 受け取る  TURE (vb)  トゥーレ  ISW  vt. receive
 走る  RyUR (vb)  リュール  ISW  vi. run
 言う  RU (vb)   ルー  ISW  vt. say
* 言う * DIIR   ISW / F   vt. say
 見る  MU (vb)  ムー  ISW  vt. see
 〜に見える、に思われる  URUZ   ウルーズ  ISW  vt. seem
* 〜に見える、に思われる * MEEZ  ISW / F / B  vt. seem
 〜に見える  URAZ   ウラズ  ISW  vt. look
 送る  PUS (vb)  プース  ISW   vi. send
 座る  JUE (vb)   ジューエ  ISW  vi. sit
 立つ  MyUS (vb)  ミュース  ISW  vt. stand
 止まる、止める、やめる  ETOS   エトス  ISW   vt. stop
* 止まる、止める、やめる  * STOO  ISW/F  vt. stop
 取る  UYUS   ウユース  ISW   vt. take
* 取る  * TEIK  ISW / F  vt. take
 考える  INOGS  イノグス  ISW   vt. think
* 考える * XIAn  ISW / F  vt. think
 知る  URKS   ウルクス  ISW  vt. know
 歩く  RyU (vb)  リュー  ISW  vi. walk
 欲する、求める  IYAnS  イヤンス  ISW  vt. require/want
 欲する、求める  IYUS   イユース  ISW   vt. want/ask/request
 〜したい ( IYUS の丁寧形)  IYAA   イヤー  ISW   vt. would like to do
 望む  IYPES   イユペス  ISW   vt. hope 
 叶わないけれど望む  IYXS    イユシュス  ISW  vt. want the contrary to
     fact.  (英語の wish)
* 叶わないけれど望む  * LMIE   ISW / F  vt. want the contrary  to fact. 
* 欲する、〜したい(丁寧)  * YAA  ISW /F / B  vt. want (YAAJ の丁寧表現)
* 欲する、〜したい  * YAAJ  ISW / F / B  vt. want
 書く  NURI (vb)  ヌーリ  ISW  vt. write

 ( 付きの単語は、昔、国際友好単語 (Friendship Words) として作られ、後に国際標準単語 (ISW)
    に横滑りさせて使って来たもの。 が、今では同じ意味の純粋の国際標準単語 が作られているので、
    この方、つまり純粋の国際標準単語を使うようにしよう (例えば、「生まれる」 は 純粋の国際標準
    単語である IBAAZ や NyUKA を使い、友好単語の MADELI は使わないようにしよう)。


1−3. 時制、 進行、 態

以下のように、時制、進行、態、に応じて、動詞原形の語尾に特定の時制助詞を付けるが、不規則変化は一切ない。
ノシロ語では、動詞の原形 と 動詞の現在形 は同形である (下表で両者を同じ ピンク色 のセルに入れている)。


 時制 (過去、現在、未来)

過去を表すには動詞の原形に −T  を付け、現在を表すには何も付けずに原形をそのまま使い、未来を表すには
原形に −R  を付ける。 ノシロ語には、これ等の時制助詞を表す特定の記号 (ホームページの 4号 「ノシロ文字」
を参照) があって、過去を示す記号は タ  と読み、未来を示す記号は レ と読むことになっている (ノシロ記号を
使う場合はハイフン不要)。 このホームページではノシロ記号を用いず、 −T や −R というローマ字を用いるが、
その読み方はノシロ記号の読み方に合わせて夫々 タ、 レ と読むことにする (−TA や −RE と書かなくても
夫々 タ、 レ
と読む)。 − は読まない。 例として、RI (〜です、is/are)、 RIZ (有る、居る、exist)、DU (する、do)、
GyU (笑う、laugh)、KU (飲食する、eat and drink = have )、TUV (持つ、have ) という六つの動詞を選び、これ等
に時制助詞を付けてみよう。    ()  動詞原形 と 現在形 は常に同形です。

    動詞原形        過去形       現在形             未来形
RI   [ri]
     リ
RI-T  リタ
    〜であった
RI  リ
   〜である
RI-R  リレ
     〜であろう
RIZ  [riz]
     リズ
RIZ-T リズタ
    存在した、居た
RIZ  リズ 
   存在する、居る
RIZ-R  リズレ
  存在するだろう、居るだろ
DU  [du:]
    ドゥー
DU-T ドゥータ
     した
DU  ドゥー
    する
DU-R  ドゥーレ
     するだろう
GyU [gyu:]
       ギユー  
GyU-T ギュータ
     笑った
GyU ギュー
    笑う
GyU-R ギューレ
     笑うだろう
KU [ku:]
        クー
KU-T  クータ
     飲食した
KU  クー
    飲食する
KU-R  クーレ
     飲食するだろう
TUV  [tu:v]
        トゥーヴ
TUV-T  トゥーヴタ
     持った 
TUV トゥーヴ
    持つ
TUV-R  トゥーヴレ
     持つだろう

) RI−T  で、リトゥ ではなく リタ と読む。RI−R も リル ではなく リレ と読む。 綴りどおりに読まない
 のはノシロ語では極めて珍しいが、これはノシロの助詞を表すノシロ独自の記号の読み方に合わせているため。 
 もし解り難ければ、慣れるまで −T を −TA、−R を −RE と書いても構わない。 こう書けばつづりと読みが
 一致する。 尚、KUI は食べる (eat) だけで、飲みもの (drinks、お茶やジュースや酒) は無いことを言うための
 余り使われることのない動詞。 尚、TUV は英語の have に相当するので、持つ、所有する、保持する意だが、
 食べるという意味では使わないことにしよう (食べる、は上記の KU を使う)。 DU は普通の動詞だけでなく、
 代動詞としても使われる(但し、後者の場合は文意がはっきり分かるようにすべき)。


 進行

進行を表すには、動詞の後に −In イン を付ける。 時制助詞が付いている場合は、時制助詞の後に  In を
付けて、−TIn タイン 又は −RIn レイン とする。 時制助詞  -T  と In の間に  -  は不要 (つまり -T-In 
とせず -TIn で良い)。 尚、ハイフン -  は読まない。 尚、日本語のアスペクトもこの -In で表すので、ノシロの
進行形は英語のそれより守備範囲が少し広い。


例: EKAMS (エカムス、作る、make) に  In  を付けて EKAMS-In (エカムスイン、作っている)、 TIn を付けて
    EKAMS-TIn (エカムスタイン、作っていた)、 RIn を付けて EKAMS-RIn (エカムスレイン、作っているだろう)。
    MU (ムー、見る、see) に In  を付けて MU-In (ムーイン、見ている)、 TIn を付けて 
    MU-TIn (ムータイン、見ていた)、 RIn を付けて MU-RIn (ムーレイン、見るだろう) となる。

例文: 彼人達 (かのひとたち) はテニスをしている (現在進行形)。

1類: FEN  InSTE-O  AMLS-In。   フェヌ インステオ アムルスイン
2類: FEN  AMLS-In  InSTE-O.   フェヌ アムルスイン インステオ

<注> FEN (フェヌ they) は FE (フェ the person) の複数形。 主語だが人称代名詞なので −W を付けない。 
    人称代名詞と疑問詞は数が少なくて覚えやすいのでいちいち −W を付けない。 性を明示したい場合は、
    MAFEN マフェヌ (彼等 かれら)、DAFEN ダフェヌ (彼女等 かのじょら) とする。 InSTE はテニス、AMLS
    は 〜を楽しむ、遊ぶの意。 InSTE  と  AMLS  に英単語の tennis と  play をあてると以下のようになる
    (基本単語の FEN や 文法事項の -O  や  -In  の使用は必須で、これ等まで英単語に置き換えては駄目)。

    1類:  FEN tennis-O play-In. 
    2類:  FEN play-In tennis-O. 


  たい

「甲 が 乙 に対して 〜 する」 という表現形式を能動態というのに対し、「乙 は 甲によって〜 される」 という表し方を 受動態
という。 能動態を受動態にするには、主語と目的語を置き換えて(つまり 甲 と 乙 を置き換え)、他動詞の後に −ZE ゼ  を
付ける。 もし、他動詞に時制助詞 T タ や R レ が付くときは時制助詞の後に付けて、−TZE タゼ や −RZE レゼ 
とする。 英語のように be動詞 と一組にすることはない(即ち RI は無関係)。 尚、「〜によって」 (英語の by や with) は、
修飾詞の AY アユ (2類は、AYL アユル) を使う。

例: EKAMS-ZE (エカムスゼ、作られる)、EKAMS-TZE (エカムスタゼ、作られた)、 EKAMS-RZE (エカムスレゼ、作られるだろう)
     EKAMS-InZE (エカムスインゼ、作られている)、EKAMS-TInZE (エカムスタインゼ、作られていた)、EKAMS-RInZE
    (エカムスレインゼ、将来作られているだろう) 

受け身を表すにはもう一つ別の方法がある。 受け身動詞 GH グフ を使うもので、英語の get (have) + O + done に当たる。
GH は get や have に相当し、大抵は、自分の持ちもの(目的語 -O ) が他人によってどうにかされる、という文だが、
使役の意味まで併せ持つ文も表現できる。 又、自分自身が他者にどうにかされる(例えば、理解される) という文も表現できる。

先ずは、標準的な 「他動詞−ZE ゼ」 の例文を学び、その後に GH グフ を使う例文を見よう。

  () 態の解説は少し長くなりまーす。


 他動詞−ZE という形で受け身を表す 

例文: 鳩 (はと) は、からすに殺されるだろう (未来形の受動態)。

1類: BAAP-W BAAKRO AY AnRU-RZE。    バープワ バークロ アユ アンルーレゼ
2類: BAAP-W AnRU-RZE AYL BAAKRO.    バープワ アンルーレゼ アユル バークロ

<注> 能動態は 「からすは鳩を殺すだろう」 である。 BAAP は鳩、 BAAKRO  はからす。 BAA は鳥類
    を意味する部首である。 AnRU は殺す(人を殺すなら InPIS、殺人はInPI)。 AY (2類は AYL) は
    〜によって (英語の by や with)。

例文: あなたの子供が不良に虐められていた (過去進行形の受動態)。

1類: MEI BOQIL-W EUUT AY AnRBIS-TInZE。   メイ ボチルワ エウートゥ アユ アンルビスタインゼ
2類: MEI  BOQIL-W AnRBIS-TInZE AYL  EUUT.      メイ ボチルワ アンルビスタインゼ アユル エウートゥ

<注> 能動態は 「不良があなたの子供を虐めていた」 である。 MEI は人称代名詞  ME  の所有形 (英語のYour)。 
    BOQIL は子供、 EUUT は不良、 AnRBIS は虐める。  -TInZE の読み方は、タインゼ。 慣れるまでは 
    -TAInZE と書いてもよい。 - は読まない。 尚、日本語や英単語を流用すれば以下のようになる。

       1類: MEI 子供-W 不良 AY 虐める-TInZE。     メイ コドモワ フリョウ アユ イジメルタインゼ
     2類: MEI  child-W bully-TInZE AYL  bad guy.     メイ チャイルドワ ビューリータインゼ アユル バッド ガイ

例文: この家は丹下氏によって作られる。

1類 : TO  BIIUS-W  MR, Tange  AY  EKAMS-ZE。   ト ビーウスワ マール タンゲ アユ エカムスゼ 
2類 : TO  BIIUS-W  EKAMS-ZE  AYL  MR, Tange.   ト ビーウスワ エカムスゼ アユル マール タンゲ 

<注> TO は 「この」 (英語なら this )、 BIIUS は「家」。 MR, Tange は丹下氏。 MR,  は男性の苗字に付ける
     敬称で マール と読む (英語の Mr. に相当)。 女性に付ける敬称は DS,  で ダース と読む (英語の
     Ms. に相当)。 ノシロ語には英語の Miss. に当たる語はない。


 ここで、 間接受け身 と 直接受け身 について少し学んでおこう。

SOOV (2類は SVOO) 型の文 (正確には、SOV (2類は SVO) 型の能動文) を受け身形に直す場合、
間接目的語 O を主語にする 「間接受け身文」 と、直接目的語 O を主語にする 「直接受け身文」 が可能である。

その違いを見てみよう。

「友人は私に本を与えた。」(英文は My friend gave me a book. ) という能動文では、「私」 が間接目的語 Oで、
「本」 が直接目的語 O である。 先ず、間接目的語の 「私」 (SE) を主語にする 「間接受け身文」 を見てみよう。

1類: SE  SEI  友人 AY  BEEK-O APIS-TZE。   私は 私の 友人 によって 本を 与えられた。
2類: SE  APIS-TZE  BEEK-O  AYL  SEI  friend.        I  was  given  a  book  by  my  friend.

<注> SE  私は、SEI  私の。 AY アユ (2類は AYL) は修飾詞で 〜によって (英語の by )。 BEEK ベーク 本。
    APIS アピス 与える (give)。 APIS-TZE アピスタゼ 受動態過去で、与えられた (was given) の意。

続いて、直接目的語の 「BEEK」 を主語とする 「直接受け身文」 は、以下のようになる。

1類: BEEK-W  SEI  友人 AY  SE-O  APIS-TZE。   本は 私の 友人によって 私に 与えられた。
2類: BEEK-W  APIS-TZE  SE-O  AYL  SEI  friend.    A  book  was  given  me  by  my  friend.

<注> 1類の 「SEI  友人 AY」(私の友人によって) は、 SE-O の前に置いたが、APIST-ZE  の直前に
    置くことも可。 更に、文頭に置くこともできる。 文頭置きの場合は文全体を修飾することになるので、
    必ず 「SEI  友人 AY 」 の直後に 「,」 を付けておく。 強調するには VI  や  VII  を使う。

日本語も英語も間接受け身の方が多いから、ノシロ語もそうなると思われるが、それは間接受け身の方が正しい文で、
直接受け身は悪文、又は劣った文ということにはならない。 尚、ノシロ語には冠詞や定冠詞はありません。

以上で、間接受け身 と 直接受け身 の話は終わり。


 続いて、SOCV (2類は SVOC) 型の文で、動詞 V が 知覚動詞 の場合と、使役動詞 の場合を見ておこう
  (実際には余り書かれないと思うが)。

以下は 「聞く」 という 知覚動詞 (聞く、見る等) を含む能動文である。

例文: 私は彼女が歌っているのを聞いた(能動文)。 

1類: SE  DAFE  歌う-In  聞く-T。
2類: SE  listen-T  DAFE  sing-In.

これを 受け身文 にすると、

例文: 彼女は歌っているのを、私によって聞かれた。

1類:  DAFE  歌う-In  SE  AY 聞く-TZE。
2類: DAFE  listen-TZE  sing-In  AYL  SE.

<注> 「SE  AY」 は、私によって。 2類は 「AYL  SE」 となり by me の意。

次は動詞 「歌う」 が 「歌」 という目的語を持つ能動文。

例文:  私は彼女が歌を歌っているのを聞いた(能動文)。 

1類: SE DAFE  song-O  sing-In  聞く-T。
2類: SE  listen-T  DAFE  sing-In  song-O.

<注> song の後の -O を落とすことはできない。

これを 受け身文 にすると、

例文: 彼女は歌を歌っているのを私に聞かれた。

1類: DAFE  song-O  sing-In  SE  AY  聞く-TZE。 
2類: DAFE  listen-TZE  sing-In  song-O  AYL  SE.


 続いて、使役動詞 (〜させる意の動詞で英語の have や make に相当) BLE  ブレ を含む文。

例文: 先生は生徒に勉強させた(能動文)。

1類: 先生-W  生徒 勉強する BLE-T。
2類: Teacher-W  BLE-T  student  study.
        (S)       (V)    (O)      (C)

これを 受け身文 にすると、

例文: 生徒は先生に勉強させられた。 

1類: 生徒-W 先生 AY  勉強する BLE-TZE。
2類: Student-W  BLE-TZE  study  AYL  teacher.

<注> 1類で、「先生 AY」 を  BLE-TZE  の直前に置くことも可能。

続いて、数学という目的語を含む能動文。

例文: 先生は生徒に数学を勉強させた(能動文)。 

1類: 例文: 先生-W  生徒  数学-O  勉強する BLE-T。 
2類: Teacher-W  BLE-T  student  study  mathematics-O.
       (S)      (V)      (O)    (C)

<注> math は study の目的語なので、目的語を示すための -O は落とせない。


これを 受け身文 にすると、

例文: 生徒は先生によって数学を勉強させられた。 

1類: 生徒-W  先生 AY  数学-O  勉強する BLE-TZE。
2類: Student-W  BLE-TZE  study  mathematics-O  AYL  teacher.

<注> 1類で、「先生 AY」 を  BLE-TZE  の直前に置くことも可。

以上で、知覚動詞を含む文と、使役動詞を含む文の受け身形は終わり。


続いて、人の誕生 を表す文を見よう。 「私は何処そこで生まれた」 という文は受け身で書かれることが多いと思う。

 人の誕生

例文: 私は東京で生まれた (過去受動態)。

1類: SE 東京 AT IBAAS-TZE。    セ トーキョー アトゥ イバースタゼ
2類: SE IBAAS-TZE ATL Tokyo.    セ イバースタゼ アトゥル トーキョー

<注>
英語では、人は自分の意思で生まれて来るのではなく両親によって誕生させられるのだから、上の例文の
    ように他動詞の受動態表現が普通だが、ノシロ語ではどちらの表現も可能 とする、つまり、他動詞 IBAAS
    を使って受動態  IBAAS-TZE  としても、自動詞 IBAAZ を使って (この場合は IBAAZ-T) もよい。 生んで
    くれた両親を表記する場合は、他動詞の IBAAS  と、所属や所有を表す修飾詞 UB ウブ (2類は UBL) を
    組み合わせる。 自動詞 IBAAZ  を使う場合は、起源や元を表す修飾詞 IM イム  (2類は IML)  と組み合
    わせることが多くなるだろう。 しかし、「新しい時代が生まれた」 のような文では起源や元を示す言葉が全
    く無いから IBAAZ-T とだけ書けばよく、IM ( IM) は不要。 他動詞 IBAAS と同じ意味の他動詞 NyUDEL
    ニューデル (生む、の意) は動作動詞なので、生物学や医学の本ではこの NyUDEL の方が良いだろう。 
    -TZE  は  -TAZE と書いてもよい。 どちらも タゼ  と読む。 尚、AT (2類は ATL) は、場所 (〜で) を表す
    修飾詞。 1類の修飾詞の語尾に L を付けると直ちに 2類の修飾詞になる。 英、仏語等から単語を流用
    する場合は小文字で書く。 但し、固有名詞は最初の文字だけ大文字にする。 日本語や中国語には小文
    字は無いので、 東京 のようにそのまま書く。

     上の文に英単語 Tokyo、bear を当てて書き直してみよう (以下)。

     1類: SE  Tokyo  AT  bear-TZE。    (日本語を使って、SE  東京 AT 生む-TZE。 でも勿論良い)
               2類: SE  bear-TZA  ATL  Tokyo.

     <注> 誕生表現については 「ホームページ15号」 も参照してください。


 少し変わった文

以下の文は、他動詞を使って上で学んだ受動態 (他動詞+ZE) で書くことも出来るし、自動詞を使うこともできる。
自動詞を使う場合は勿論、受動態とは無関係になる。

例文: 水は、水素と酸素で、構成される。

先ず、「構成する」 意の他動詞 IPKOMS  イプコムス を使うと、

1類: 水-W  水素 OnD  酸素  AJ  IPKOMS-ZE。
2類: Water-W  IPKOMS-ZE  AJL  hydrogen  OnD  Oxygen. 


 <注> IPKOMS は 「構成する」 意の他動詞。 この文には行為者はいないから行為者を表す修飾詞
    AY (2類は AYL) の出番はなく、代わりに成分や構成要素を表す修飾詞 AJ (AJL)  が使われる。

「〜から成る」、「〜から出来ている」 意の 準コピュラ動詞 RIKOn  リコン (自動詞) を使えば、

1類: 水-W  水素 OnD 酸素  AJ RIKOn。
2類: 水-W  RIKOn  AJL  hydrogen  OnD  oxygen.


 <注> RIKOn は英語なら consist (vi)  である。 AJ/AJL があるために、「成分」 とか 「構成要素」 の
    感じがはっきり出る。 もし、AJ/AJL  を使わないなら、以下のように 「補語」 を示す -E  を入れ
    る入れるべきだが、やはり上の文 (つまり RIKOn  と  AJ/AJL  の組み合わせ) の方が良い。

    1類: 水-W  水素 OnD 酸素-E RIKOn。
    2類: 水-W  RIKOn  hydrogen  OnD  oxygen-E.


    <注> RIKOn  の代わりに、コピュラ動詞の RI  を使って以下のように書いても意味は
        通りそうだが(上で例文を見てきていることもあって)、 RI は本来 「〜である」
        つまり = の意味であり、構成成分という意味まで持たせるのは無理だろう。

         1類: 水-W  水素 OnD 酸素 RI。   (悪文) 
         2類: 水-W  RI  hydrogen  OnD  oxygen.  


例文: 私の家族は、父、母、姉、そして私の4人で構成される (4人から成る)。

他動詞 IPKOMS  を使うと、

1類: SEI  家族-W  父、 母、 姉、 OnD  SE UK  4  REn  AJ  IPKOMS-ZE。
2類: SEI  family-W  IPKOMS-ZE  AJL  4  REn  UKL  father,  mother,  sister,  OnD  SE.


自動詞  RIKOn  なら、

1類: SEI  family-W  父、 母、 姉、 OnD  私 UK  4 REn AJ  RIKOn.
2類: SEI  family-W  RIKOn  AJL  4  REn-E  UKL  father,  mother,  OnD  SE.

 <注> UK/UKL  は同格の修飾詞。 これを省略するなら代わりに  , で区切らなければならない。
    AJ/AJL  は省略しない。

例文: チーズは牛乳で出来ている。

「作る」 意の他動詞 EKAMS (英語の make) を使って

1類: チーズ-W  牛乳 AJ  EKAMS-ZE。
2類: Cheese-W  EKAMS-ZE  AJL  milk.
     (Cheese is made from milk.)

 <注> 原料が何であるかを示すより、元の牛乳がチーズに変わるという表現にしたいときは、
    AJ (AJL) の代わりに、「〜から」 (英語の from) 意の修飾詞 IM (IML、英語の from) 
    を使うことになるが、使い分けが面倒なら AJ/AJL で通してもOK(実質的に同意)。

自動詞 RIKOn を使って以下のように書いても良い。

1類: チーズ-W  牛乳  AJ RIKOn。
2類: Cheese-W  RIKOn  AJL  milk.


他動詞+ZE による受け身表現は以上で終わり。 続いて、受け身動詞 GH グフ を学びましょう。


 受け身動詞 GH グフ

受け身動詞  GH グフ を使う表現を見よう。 これは英語の get + O + done (過去分詞) 又は、
have + O + done に相当するもので、自分の物が他者の悪意や自然災害などで予期せぬ扱いをされる、
場合に多く使う表現だが、そうしたネガティブな意味を持たない普通の場合にも勿論使う。 又、自分の 「物」 で
はなく 「自分自身」 について言うこともできる。 日本語では、迷惑受け身 や 間接受け身 となる場合が多い。

例文: 私はカメラを強奪された。

1類:  SE  camera 強奪する-ZE  GH-T。    私はカメラを強奪された。
          (S)(O)    (C)   (V)
2類:  SE  GH-T  camera  rob-ZE.      I had my camera robbed.
    (S)(V) (O) (C)

 <注> 英語では自分に落ち度がない場合は have を、自分にも落ち度があるときは get とするようだが (大修館の
    ジーニャス英和の丁寧なこと!)、ノシロはどちらの場合も GH とする。 この例は、SOCV (2類は SVOC) の
    文なので、 camera に −O を付けなくてよい。 尚、この文は先に学んだ、他動詞 + ZE の形にすること
    もできる(以下)。

     1類:  SEI  camera-W 強奪する-TZE。   私のカメラは強奪された。
     2類:  SEI  camera-W  rob-TZE.       My camera was robbed.

例文: 私はパスポートを更新してもらった。

1類: SE  passport  更新する-ZE  GH-T。
2類: SE  GH-T  passport  renew-ZE.

 <注> この場合は、他者の悪意などではなく自分で望んでいる。 即ち、この文は
    受け身と使役が半々だから、使役動詞 BLE  を使って書くこともできる。

例文: 明日、私は私の髪を刈ってもらう。

1類: 明日 SE  SEI 髪 刈る-ZE  GH-R。
2類: Tomorrow  SE  GH-R  SEI  hair cut-ZE.          I'll get my hair cut tomorrow.

 <注> この場合も、他者の悪意ではなく自分でそう望んでいる。 他人に散髪をしてもらう、
       つまり他人に自分の髪を刈らせるのだから、以下のように使役動詞 BLE を使って
    書くこともできる。 この場合は、刈る(cut) に ZE を付ける必要はなくなる代わりに、
    誰にやらせる (頼む) のか言う必要が生じる(絶対必要とまでは言えないが...)。
    ここでは、「彼(MAFE)」 にやってもらう、ことにすると、

     1類: 明日 SE  MAFE  SEI  髪-O 刈る  BLE-R。         (彼に私の髪を刈らせる) 
     2類: Tomorrow  SE  BLE-R  MAFE  SEI  hair-O cut.     I'll have him my hair cut tomorrow.

例文: 私は自分自身を理解してもらうことができたよ。

1類: SE  SEL  understand-ZE  GIMA  GH-T。
2類: SE  GIMA  GH-T  SEL  understand-ZE .

 <注> この場合は自分の持ち物というより自分自身が目的語。 GIMA は英語の can。
    SEL は再帰代名詞。 SOCV (SVOC) 文型中の O だから、SEL-O としなくてよい。

例文: あなたは雨に降られた。  (雨に降られちゃったんだね)

1: ME 雨降る-ZE  GH-T。
2: ME  GH-T  rain-ZE.          You got rained.   (You got caught in the rain.)

 <注> この文は、目的語がなく主語自身が動作の受け手である。 私は雨に降られた、とか
    私は若くして父に死なれた、のような文で、日本語では、所謂、不利益や迷惑の受け身に
    分類されるものだが、能動と受動の対称関係はないので、英語ではあまりしない表現である。
    故に英訳の You got rained.  は無理やりという感じで You got caught in the rain. の方が
    普通であるが、ノシロ語2類では上例のように書いてよい。


● まとめ

動詞/代動詞の DU ドゥー (英語の do に相当) を用いてこれまで学んだ、時制、進行、態、をまとめておこう。

 
) この表は、他動詞+ZE の受け身文にのみ適用されます (GH グフ を使う受け身文ではありません)。

       過去        現在         未来
進行形 DU−TIn  ドゥータイン
        していた
DU−In   ドゥーイン
         している
DU−RIn  ドゥーレイン
        しているだろう
受動態 DU−TZE   ドゥータゼ
         された
DU−ZE    ドゥーゼ
         される
DU−RZE   ドゥーレゼ
         されるだろう
進行受動態 DU−TInZE ドゥータインゼ
         されていた
DU−InZE ドゥーインゼ
         されている
DU−RInZE ドゥーレインゼ
        されているだろう

 () 時制、進行、態が三つ重なるときの順序は、制、行、 となる。 「じしんたい」 と覚えるか、
     過去と未来だけを取り上げて、「-TInZE タインゼ、-RInZE レインゼ」 と覚えましょう。 現在時制
     には時制表示がない(つまり何も付けない) ことに注意。



1−4. 動詞の位置


● 節の中の動詞が一つだけの場合

動詞の位置は、1類は文の最後に (SOV,  SOOV,  SOCV)、 2類では主語の後 (SVO,  SVOO,  SVOC) に来る。
命令文の場合は、主語 (大抵は ME メ あなた や MEN メヌ あなた達) が省略されるので、1類は文の最後に
動詞が来ることに変わりないが、 2類の場合、動詞は命令文であることを示す副詞  YO  ヨ の後に続くことになる。
尚、ノシロではどんな文を書くにも、主語と動詞を逆転させることはない。

例文: あなたはファイルを閉じる (平叙文)。

1類: ME  BEEL-O  EIIKLS-T。
2類: ME  EIIKLS-T  BEEL-O.

<注> BEEL はファイル、EIIKLS は閉じる。

例文: ファイルを閉じなさい (命令文)。

1類: YO  BEEL-O  EIIKLS。
2類: YO  EIIKLS  BEEL-O. 

<注> 命令文を作るには、元の平叙文から 主語である ME (あなた) や MEN (あなた達) を削除して、
    文頭に YO を置くだけ。


● 複数の動作がある場合

「食べたり飲んだり」 や 「行って (そこで) 眠る」 のように動詞が二つ並ぶ場合は、二つの動詞の間に構成詞 OnD 
オンドゥ や OZn オズン を置く。 OnD を省略しても混乱する恐れが無ければ省略して良いが、その場合は二つ
の動詞の間に句点 「、」 (2類は ,) を入れる。 並んでいる動詞の時制が総て過去なら、最後の動詞に時制助詞 −T
を付けるだけで良い。 未来の場合はこれをしない方が良いだろう。 OnD は、主に 「セット、一組」 を表すもので、
動作の前後が問題にならない場合に使う。 もし問題にされた場合は、同時 (又はほぼ同時) ということになる。 
前後をはっきりさせたい場合は、構成詞 OZn を使う。 OZn は、「それから、そうしてから、その後で」 の意。

例文: 私はそこへ行って眠った。

1類: SE BOIE ITU OnD EHyUZ-T。   セ ボイエ イトゥー オンドゥ エヒューズタ
2類: SE BOIE ITU OnD EHyUZ-T.       セ ボイエ イトゥー オンドゥ エヒューズタ
 
<注>  BOIE は、副詞で 「そこで、そこへ」。 「行く」 と 「眠る」 は過去のほぼ同じ時刻の出来事なので、
    ITU-T としなくて良い。 「行く」 と 「眠る」 の間に句点を入れれば、以下のように OnD を省略
   することもできる。

    1類: SE BOIE ITU、 EHyUZ-T。   セ ボイエ イトゥー エヒューズタ 
    2類: SE  BOIE ITU, EHyUZ-T.    セ ボイエ イトゥー エヒューズタ 

「行った」 のが先で、「眠った」 のが後だ、ということをはっきりさせたい場合は、以下の如く OZn オズン を使う。

1類: SE BOIE ITU-T OZn EHyUZ-T。
2類: SE BOIE ITU-T OZn EHyUZ-T.

1類: SE BOIE ITU、 OZn EHyUZ-T。
2類: SE BOIE ITU, OZn EHyUZ-T.

例文: 私は行って状況を調べる。

1類: SE ITU (OnD 又は OZn) ADSTI-O IMAAVS。
2類: SE ITU (OnD 又は OZn) IMAAVS ADSTI-O.

<注>  ADSTI は状況、 IMAAVS は調べる。

例文: 私は状況を調べて連絡するだろう。

1類: SE ADSTI-O IMAAVS OZn InFORS-R。
2類: SE IMAAVS ADSTI-O OZn InFORS-R.

<注> OZn は省略しない。 何故なら ADSTI-O という目的語があるので OZn を省略すると解り難くなる。
   「調べて連絡する」 と言うときに、動作の前後よりも二つの動作がセットになっていることを強調したい
    なら OZn より OnD の方が良い。


例文: 私はそれに (それのせいで) 驚いた。

1類: SE TE 
UE IHSAZ-T。
2類: SE IHSAZ-T 
UEL TE

<注>  UE ウエ は喜怒哀楽の原因を示すときの修飾詞 「〜のせいで、〜という原因で」。 語尾に L を付けると
   2類の修飾詞になる。 TE は人称代名詞 「それ」。 1類は、TE  UE が副詞句になって、動詞の IHSAZ-T
   を前から修飾し、2類は UEL TE (英語なら with it ) が副詞句になって、動詞 AHSAZ-T を後ろから修飾
   している。 修飾句 と 修飾節は 1類では前から、2類は 後ろから修飾する (修飾語だけは、1、2類とも
   前から修飾する)。 UE と結びついた TE は原形 (英語では目的格になるが) であることに注意。

以下のように驚きや喜怒哀楽を表す動詞の前に別の動詞があって、それが驚きや喜怒哀楽の原因である場合
は修飾詞を用いず以下のように表わすこともできる。

例文: 私はそれを見て驚いた。

1類: SE TE-O MU OnD (又は OZn) IHSAZ-T。
2類: SE MU TE-O OnD (又は OZn) IHSAZ-T.

<注>  MU は 「見る」。 この MU に  -M  を付けて動名詞にすれば、喜怒哀楽の原因を表す修飾詞 UE
    (2類は UEL) と組み合わせて以下の如く書ける。 意味は、それを見ることが
原因で 驚いた。

     1類: SE TE-O MU-M UE IHSAZ-T。
     2類: SE IHSAZ-T 
UEL MU-M TE-O


● 複数の動詞が掛け合わされる場合 (不定動詞 と 特定動詞 の組み合わせ)

「〜するように見える」 「思う」 「欲する」 のような、思考、願望、好き嫌いなどを表す動詞 (不定動詞と呼ぶ) は
何をするように見えるのか、何をしようと思うのか、何をしたいのか等を特定するための特定動詞を伴うのが普通
である。 特定動詞を伴う場合は、二つの動詞の間に < (1類) 又は > (2類) を置いて二つの動詞を結ん
でおく。 < や > の代わりに / (1類) や // (2類) を用いても良い。 < も、 > も [N](ン) と
発音することにする。 1類 と 2類では、不定動詞と特定動詞の並び方が になるので注意が必要。 不定動詞
の時制と特定動詞の時制が同じ場合は不定動詞の語尾にだけ時制に応じた語尾を付け、特定動詞は原形の
ままで良い。 二つの動詞の時制が違う場合は、その時制に応じて動詞の語尾に時制助詞を付ける。

例文: 私は学校に行きたい。

1類: SE AnXUL UT 
ITU < IYUS。     セ アンシュール ウトゥ イトゥー ン イユース
2類: SE 
IYUS > ITU UTL AnXUL.    セ イユース ン イトゥー ウトゥル アンシュール

<注> 1類は、 ITU  <  IYUS  という語順に、 2類は IYUS ITU  という逆の語順になることに注意。
    IYUS イユース は動詞 「〜したい、を欲する」 で英語の want に当たる。 IYUS  の丁寧表現は 
    IYAA  で英語の would like to (do) に相当。 尚、 IYAnS  は英語の require  で 「当然のこととして
    強く要求する」 場合に使う。 不定動詞は特定動詞のように使われることもある。 不定、特定という
    区別は初めから確定しているわけではない。  < と > の読み方は、どちらも 「ン」。


1−5. 注意を要する動詞  

LEEN (承認、放任)、 BLE (使役)、 BLU (丁寧な使役)、 IYX (叶わぬことや事実に反する事を望む)、他


● LEEN   レーヌ

LEEN レーヌ と BLE ブレ と BLU ブルー は、日本語ではどれも 「〜させる」 となるが、多くの場合、
意味が異なるので注意が必要。 LEEN は相手の意思や行動を承認するという意味 (英語の let ) になる。
例えば、「私は子供を学校に行かせる」 という文を LEEN を使って書けば、子供が学校へ行きたいという意思
を持ち、私が(親が)それを承認する、尊重するという意味である。 他方、 BLE ブレ と BLU ブルー は
使役動詞であり子供の意思にかかわらず私が行かせるという意味になる。 BLE は非常に守備範囲の広い
使役動詞。 BLU は BLE の丁寧表現で相手が目上の人や親のときに使う (民族、状況等によるだろう)。

例文: 私は子供を学校に行かせる (私は子供の意思を承認する、の意)。

1類: SE 子供 学校 UT 行く LEEN
2類: SE LEEN child go UTL school

尚、この文型は、SOCV ( 2類は SVOC ) 型であり、1、2類間で LEEN と下線部とが対称的になっている
(下線部分も、1類は修飾句の 「学校 UT 」 が動詞 「行く」 を前から修飾し、2類は修飾句  ’UTL school’
が動詞 ’go’ を後から修飾する) ので、それぞれ配列を逆にすれば直ちに相手側の語順になる。 尚、英語では、
子供 (child) を目的格にするが、ノシロ語は原形で用い、従って語尾に −O を付けない。 勿論、OC は意味
上の主語と述語の関係にあり、従って SOCV は実質的には S なのである。 原形は主格と同形
だが −W を付けないし、−O も付けない。 尚、LEEN と同じ意味を持つ動詞として ALyGAS アリュガス がある
(自由・放任を表す名詞 ALyGA の派生動詞)。

 () LEEN を含む命令文では、 YLE 〜 (読み方は ユレ 〜) という短縮形で済ますこともできる。
      YLE は YO と LEEN を一つにしたもので、この YLE を文頭に置くと、 あとは、1、2類共に 
      O と C の部分を YLE に続けて書くだけで済む。 O と C は、 SO C)V 文型 (2類は
      S(O C)) の中の O C であり、これは意味上は  だから、いちいち −O や −E 
      を付けなくてよい (付けても間違いではないが)。

     例えば、「あなたは子供を眠らせておきなさい」 (Let the baby sleep. = You let the child sleep.)
     は、普通の命令文では、                         S1 V1      O        C 

     1類: YO 子供 眠る LEEN。   <注> 命令文なので YO の後の ME は落とす。 子供は O、
          S1   (O    C)    V         眠るは C だが、−O や −E は付けなくてよい。

     2類: YO LEEN child sleep.  <注> 同上
          S1    V1       (O         C)

     となるが、 YLE を使う短縮形で以下のように表してもよい(特に会話ではお勧め)。

     1類: YLE 子供 眠る。   <注> 命令文なので主語 ME は書き出さない。 子供は O、眠るは C だが、
                          −O や −E を付けない。

     2類: YLE child sleep.  <注> 同上


     「あなたに(私から)質問させてください」 (Let me ask you. = You let me ask you.) も以下のようにどちらも可。

     1類: YO SE ME−O 質問する LEEN。  <注> 命令文なので YO の後の ME は落とす。 私は O、
                                    質問するは C だが、−O や −E は付けなくてよい。
                                    あなたに は、質問する の目的語なので −O を付ける。

     2類: YO LEEN SE ask ME−O.    <注> 同上

     1類: YLE SE ME−O 質問する。 
     2類: YLE SE ask ME−O. 


● BLE  ブレ 

さて、上の例文 「私は子供を学校に行かせる。」 を LEEN レーヌ ではなく、使役動詞の BLE ブレ を使って、

1類: SE 子供 学校 UT 行く BLE
2類: SE BLE child go UTL school

と書けば、子供の意思ではなく私の意思になる (下線部分を私の意思で実現させる、そうさせる、引き起こす)。
子供の意思は分からないが、私はとにかく子供を学校に行かせるという意味である。 尚、先に述べたように、
ノシロ語では、子供 (child) を目的格ではなく原形で表す。

もう少し例文を見ておこう。

例文: 彼人 (かのひと) は子供を学校に行かせたい。

1類: FE 子供 学校 UT 行く BLE < IYAnS
2類: FE IYAnS > BLE child go UTL school.

<注> IYAnS イヤンス は 不定動詞 「〜したい」 で、英語の require (強い要求) であり、 IYUS  より強い。

例文: 母は、長男に、次男に数学を教えさせたかった (母は長男が次男に数学を教えるのを望んだ)。

1類: 母−W 長男 次男−O 数学−O 教える BLE < IYAnS−T。
2類: Mother−W IYAnS−T > BLE 1DAI son teach 2DAI son−O mathematics−O.

<注> ノシロ語は、長男 (1DAI son) を目的格ではなく 原形 で表す(原形は主格と同形だが −W を
    付けないし、勿論 −O も付けない)。

例文: 何があなたを怒らせましたか?    (=なんで怒ってるの?)

1類: ? HA ME 怒る BLE−T。      エ ハ メ オコル ブレタ 
2類: ? HA BLE−T ME get angry.  エ ハ ブレタ メ ゲットゥ アングリー

<注> ? は疑問文の文頭に置き、エスク 又は単に エ と読む。 HA は疑問詞の主語で 「何が(は)」。
     疑問詞主語には要素助詞の −W は付けない(人称代名詞と同じ)。 疑問文については次のホーム
     ページ11号で詳しく学びます。

以下のような文も BLE で表現できる (娘を親の思い通りに育てた)。

例文: 両親は娘を医者にした。

1類: ILynT−W FEI ILyUTE UKyUMIST BLE−T. 
2類: ILyNt−W BLE−T FEI ILyUTE UKyUMIST. 

   <注> この例文は、「 〜 を − に育てる、 〜 を − にする」 意の他動詞 EKAMS で表現することも可能。


  () BLE を含む命令文は、 YBL 〜 (読み方は ユブル 〜) という 短縮形 で済ますこともできる。
      YBL は YO と BLE を一つにしたもので、この YBL を文頭に置くと、 あとは、1、2類共に 
      O と C の部分を YBL に続けて書くだけで済む。 O と C は、 S(O C)V 文型 (2類は
      S(O C)) 中の OC 即ち意味上は S なので、いちいち −O や −E を付けなくて
      よい (付けても間違いではないが)。

      例えば、 「私にそこへ行かせなさい」 (Let me go there. = You let me go there.) を普通の命令文として書くと

      1類: YO SE BOIE 行く BLE。   <注> 命令文なので YO の後の ME は書かない。
                                  SE に −O は不要、行く に −E は不要。
                                  BOIE ボイエ は、そこへ (ここに  なら TOA)。

      2類: YO BLE SE BOIE go.   <注> 同上

      となるが、短縮形YBLを使う) で以下のように書いてもよい(文が短くなる)。

      1類: YBL SE BOIE 行く。
      2類: YBL SE BOIE go. 

       <注> BOIE は 「そこへ、そこで」。 動詞を修飾しているので、1、2類とも動詞の前に置くのが原則。
           副詞句や副詞節なら、1類は前から、2類は後ろから動詞を修飾することになる。

     「彼にそこへ行かせなさい」 (Let him go there. = You let him go there.) も同様にして以下のいずれも可。

     1類: YO MAFE BOIE 行く BLE。
     2類: YO BLE MAFE BOIE go.

     1類: YBL MAFE BOIE 行く。
     2類: YBL MAFE BOIE go. 


● BLU  ブルー

BLU も使役だが BLE よりも丁寧になる。 親にものを買って頂く (買ってもらう、より丁寧) とか、先生に推薦状を
書いていただく (書いてもらう、より丁寧) という場合に、この BLU を使う。

例文: 私は両親に辞書を買って頂いた。

1類: SE 両親 辞書−O 買う BLU−T。
2類: SE BLU−T parents buy dictionary−O.

  <注> ホームページ12号で学ぶことだが、上の例文 (他の例文も) は、名詞節 「〜ということ」 を導く節理詞
     My ミュ を用いて以下のように書くこともできる。 但し、この場合は My が入るだけでなく、「両親」
     (parents) を原形から主格に直さなければならない、そして「両親」は人称代名詞でも疑問詞でもない
     から当然に −W を付け加える必要が生じて文が長くなってしまう。 というわけで、上の例文の方が
     以下の例文より良い。 尚、以下の例文では、 My に導かれる節が目的節なので My−O としても
     構わない。

     1類: SE (PA) 両親−W 辞書−O 買う My BLU−T。
     2類: SE BLU−T My parents−W buy dictionary−O.

     ( PA パ は節の区切りを明示するために入れる助詞で、 1類の場合は節の初めに置くことが多い。
        2類の助詞は PA ではなく ZA ザ だが、節の初めではなく最後に置くので、上例のように節の最後
       (dictionary) がそのまま文の終わりになっている場合は、 ZA は不要。 2類では、このような助詞を使う
        機会はないのではないかと思われるかも知れないが、関係節の終わりを明示する場合に多用される。 
        逆に 1類では関係節の終わりにこの助詞を使う必要は殆どない (直ちに後行詞が続くことが多いから)。


● GH  グフ 

既に 「態」 のところで学びました。 英語の使役 get や have にあたる。 英文法では、 get + O + done  や 
have + O + done のパターンで、受け身兼使役扱いされるが、ノシロ語では 「受け身動詞」 と呼ぶことにします。
GH 自身には -ZE は付きません。

使役動詞の BLE は自分 (主語) が他者を使ってやらせる、他者にしてもらう場合に使われる、この GH グフ は
「自分は望まないのに 〜されてしまう」 場合 も表現できる (どちらかと言うと、この場合の方が多い)。

例文: 私はカメラを盗まれた。

1類:  SE  camera  盗む-ZE GH-T。
2類:  SE  GH-T  camera  steal-ZE.     英語なら、I got my camera stolen.

  <注> S(OC)V、2類は SV(OC) の文型だから、camera に -O を付けなくてもよく、盗む-ZE  にも補語を
      示す -E  を付けなくてよい。 受動態を使うと、 私のカメラは盗まれた/My camera was stolen. だから、

             1類:  SEI  camera−W  盗まれる-TZE。
             2類:  SEI  camera-W steal-TZE.       となる。

例文: 彼人 (かのひと) は風邪で帽子を飛ばされた。

1類:  FE  hat  飛ばす-ZE  GH-T。
2類:  FE  GH-T  hat  blow-ZE.

     <注> 「彼人(かのひと)」 は人称代名詞3人称単数だが、性に言及しない表現。
      性に言及する必要があるなら、DAFE (彼) や MAFE (彼女) を使う。
       

● IYXS   イユシュス

IYXS は、英語の wish ........ would (could) do  で、 「彼がここに居たらなー」 (実は彼は別の処に居るので望んでも
今は実現しない)、 や  「私がカメラをもっていたらなー」 (うっかりしてカメラを家に忘れてきたので今は手元にない) の
ような、叶わぬことを望む 場合や、事実と反対の事を望む場合に用いる。 この意味は、動詞の IYAnS、 IYUS、 IYAA、
IYPES 等では表せない。 尚、 IYXS と同意の LMIE ルミエ は友好単語由来の標準単語なので、今後は、初めから
標準単語として作られた IYXS を使うようにしよう。  () IYX イユシュ は名詞で 「叶わぬ願い」。

例文: 私はカメラを持っていたらなー。    (絶景を前にして、家にカメラを置き忘れて来たことを後悔して言っている) 

1類: SE SE カメラ−O TUV My IYXS。
2類: SE IYXS My SE TUV camera−O.

この文は以下のように絞り込める。   () むしろ以下の方が締まった文になるので良い。

1類: SE カメラ−O TUV > IYXS。
2類: SE IYXS > TUV camera−O.

    ()  復習もかねて、欲する、望む、希望する、叶わないのに望む、という意味の動詞をまとめておこう。

           IYAnS  (require)          強く欲する (しばしば命令的で強い要求)
     IYUS  (request/want/ask)      欲する、望む (普通に使われる)
           IYAA  (would like to do)         IYUS の丁寧表現
           IYPES  (hope)           希望する
           IYXS  (wish)          叶わないけれど望む、事実や現実と反対の事を希望する

      ()  YAAJ (欲する)、YAA (YAAJ の丁寧形)、LMIE (不可能を望む) は友好単語由来なので、今後は使われなくなる。


● IKyUMIS  イキューミス

IKyUMIS は英語の pretend で、「〜する(である)ふりをする」 で、「行くふりをする」、「不在を装う」 等と
言うときに使う。  (注) IKyUMIS は静的、動的どちらもOKだが、 IKyPE は動的な擬態や演技を表す。

例文: 私は行くふりをする (実際は行かない)。

M1:  SE 行く < IKyUMIS。    セ イク ン イキューミス
M2:  SE IKyUMIS > go.   セ イキューミス ン ゴー 

又は、合成動詞を作って、

M1:  SE 行く−IKyUMIS。
M2:  SE go−IKyUMIS.

としても良いが、 「行く OnD IKyUMIS」 や 「行く OZn IKyUMIS」 は誤り。 これだと、「行って
何かするふりをする」 や 「行ってからそこで何かするふりをする」 になってしまう (意味もよく分からない)。

例文: 私は行ったふりをする (実際は行っていない)。

M1:  SE 行く−T < IKyUMIS。
M2:  SE IKyUMIS > go−T. 

又は、合成動詞にして

M1:  SE 行く−T−IKyUMIS。
M2:  SE go−T−IKyUMIS.

例文: 私は医者のふりをした。

M1: SE 医者 < IKyUMIS−T。
M2: SE IKyUMIS−T > medical doctor.

以下も正しいが、上例の方が短いので良い(RI は省略可)。

M1: SE 医者 RI < IKyUMIS−T。
M2: SE IKyUMIS−T > RI medical doctor.

例文: 我々は弱いふりをする (本当は弱くない)。

M1: SEN 弱い IKyUMIS。 
M2: SEN IKyUMIS weak. 


● URUZ  ウルーズ  「〜のように思われる」 で、英語の seem にあたる。 

「それは正しいように思われる」、「彼等は真剣に考えたようだ」 等と言うときに使う。


● URAZ  ウラズ  「〜のように見える」 で英語の look に相当。 

「彼の顔はいつもより赤く見える」、「あなたはとても悲しそうに見える」 等と言うときに使う。



1−6. 知覚動詞

英語には知覚動詞 (see,hear,feel 等) というのがあり、それらを用いるときは action を示す動詞の
方は原形不定詞にすることになっている。 ノシロでは知覚動詞だからといって特別なことはなく、普通の SOCV型
(2類は SVOC) のノシロ文を書くのと同じである。 具体的には、SOCV の文型において、 O の部分を原形
にし、 C に action を示す動詞 V を入れて、 S  (2類は S2 ) という文に
するだけである。 O は主格ではなく原形で表されるけれども S の役を果たすのである。 例文を見よう。

例文: 彼人達 (かのひとたち。性を示さない表現) は私がギターを弾くのを聞いた。

1類: FEN SE ギター−O 弾く PyU−T。
2類: FEN PyU−T SE play guitar−O.

  <注> FEN は人称代名詞 FE の複数形。 英語だと SE を目的格 me にするが、ノシロ語では
      原形 (主格と同形) にする。 ノシロには原形不定詞はなく、適切な時制を選んで動詞を書く。
      PyU ピュー は 「聞く」 (動作動詞)。

弾いている様子を言いたい場合は以下のように V を進行形にすれば良い。

例文: 彼人達は私がギターを弾いているのを聞いた。

1類: FEN SE ギター−O 弾く−In PyU−T。
2類: FEN PyU−T SE play−In guitar−O.

  <注> 「弾く」 は静的な、「弾いている」(進行形) だと動的な表現。 指が動いている感じが出る。


ところで、「彼人達は私がギターを弾くのを聞いた」 という文を、名詞節を導く節理詞
My (英語の that) を使って
以下のように書くと、「彼人達は、私はギターを弾くということを、(例えば私自身や誰か他の人から) 聞いた」 という
別の意味になってしまう。 知覚動詞の場合は注意が必要である。

1類: FEN SE ギター−O 弾く 
My PyU−T。      () My に導かれる名詞節に下線。
2類: FEN PyU−T 
My SE play guitar−O

一般に、S2 + 
My + V (2類は S1 + My + S ) 型のノシロ文から My を落とし、S を
原形にして、 S (2類は S) という文に変えても問題はまず起こらない。 しかし逆向きの転換、
つまり、 S (2類は S) を S + 
My + V (2類 S + My + S) に
する時は注意を要する。 先に学んだように、 BLE や LEEN を含む S  (2類は S
型のノシロ文を、 S2 + 
My + V (2類は S + My +  ) 型に直すことは一応出来る (長く
なるので勧めたくないが) が、「彼人達は私がギターを弾くのを聞いた」 という例文のように、知覚動詞を含む文では
別の意味に
なってしまう。 念の為、もう一つ見てみよう。

例文: 私は妹が踊っているのを見た。

1類: SE 妹 踊る−In MU−T。
2類: SE MU−T younger sister dance−In.

MU は「見る」 (動作動詞)。 このような文では、これを S2  + My + V (2類は S1 + My + S
型に変えても仕様がない。
 My があるので 「私は、妹が踊っているということを、見た」 というおかしな文になって
しまうからである。



1−7. 時制の調整

「時制の調整」 は、英語の 「時制の一致」 とは異なる。 ノシロでは、主語の動詞 V の時制が何であれ、
従属節の動詞 V が V より以前 (昔) に起こっている場合は V の時制を過去に、同時なら原形に、
後なら未来にする。    () 動詞の原形は動詞の現在形と同形。

例文: 私は、彼女が先生に既に電話したと、思った。

1類: SE DAFE 先生−O 電話する−T My 思う−T。
2類: SE think−T My DAFE call−up−T teacher−O.

   <注> 「電話した」 のが先、 「思った」 のが後。

例文: 私は、彼女が先生に電話すると、思った。

1類: SE DAFE 先生−O 電話する My 思う−T。
2類: SE think−T My DAFE call−up teacher−O.

   <注> 「電話する」 のと、 「思った」 のは同時、又は殆ど同時。

例文: 私は、彼女が先生に将来電話するだろうと、思った。

1類: SE DAFE EDyUn−O FOnS−R My INOGS−T。
2類: SE INOGS−T My DAFE FOnS−R EDyUn−O.

   <注> 「電話する」 のは将来(後)、 「思う」 のは今(先)。 EDyUn は「先生」、 FOnS は
        「電話する (英語の call-up )」 で FAATEL も可。 INOGS は「思う」。


1−8. 話法

直接話法と間接話法がある。 日本人はこの区別をあまりはっきりさせないが、ノシロ語では区別する。 直接話
法は、他人の発言をそのまま録音した会話を再生するように伝えるもので、1類は 「  」 で、 2類は ”  ”
で発言部分を囲む。 間接話法は普通、発言部分を明示しないが、必要に応じて、1類は 、・・・・、 のようにし、
2類は ’・・・・’ のようにすれば良いだろう。下線を引いても良い。

例文: 母は、「私はあなたを好きです」 と言った。

先ず直接話法から。

1類: ILyUD−W 「SE ME−O APLIS」 RU−T。
2類: ILyUD−W RU−T ”SE APLIS ME−O”.

  <注>  ILyUD は 「母」、 APLIS は 「好く」、 RU は 「言う」(動作動詞)。

次は間接話法の文である。

1類: ILyUD−W (PA) DAFE SE−O APLIS My RU−T。
2類: ILyUD−W RU−T My DAFE APLIS SE−O.

<注>  PA は文を読みやすくするための区切り助詞。 この文では2類の区切り助詞 ZA は不要。

例文: 彼女は、「水田氏が私に電話した」 と言った。

直接話法で書くと、

1類: DAFE 「MR.MIZUTA−W SE−O FAATELS−T」 RU−T。
2類: DAFE RU−T ”MR.MIZUTA−W FAATELS−T SE−O”.

となり、間接話法で書くと以下の如くなる。 FAATELS は 「電話する (英語の call up )」、RU は 「言う」。

1類: DAFE (PA) MR.MIZUTA−W DAFE−O FAATELS−T My RU−T。
2類: DAFE RU−T My MR.MIZUTA−W FAATELS−T DAFE−O.


1−9. 動作の完成度などを示す 副詞 と 助詞

動作の 完成度 を示す 副詞 や、 動作が続くことに対する 不満、不適切 を示す 助詞 を見ておこう。
GIVn と GIVLI は厳密に言えば助動詞だが、助動詞というのはそもそも動詞だけを修飾する副詞である。

● AOPALI + 動詞    完全に 〜 する (〜し切る)。 AOPALI は、「完全に」 (completely ) の意。
   アオパリ

● EXOLLI + 動詞     もれなく 〜 する。 EXOLLI は、「すっかり」、「全体に」 (throughly)。
   エショッリ

● UOPALI + 動詞     部分的に 〜 する。 UOPALI  は、「部分的に」 (partially)。
   ウオパリ            借りた金を 9割 だけ返済するような場合。 尚、余り使われないが、接頭語の PAX
                   (パシュ、部分的) から作る副詞 PAXLI でも良い ( PAXLI + 動詞 )。

● GIVn + 動詞       効果をあげないまま空しく 〜 する (in vain
   ギヴン              何度も広告したのに客から注文が全く無かった ( = 空しく広告を続けた) ような場合。

● GIVLI + 動詞       無駄に 〜 する (動作はちゃんと行ったが、それが相手に届かない)。
   キヴリ             (例: 彼は相手を蹴ったが、足が空を切って相手に当たらなかった = kick ではなく kick at


以下は、「放置助詞」 で、ある動作や状態がそのままになっていることに対する不満や失望があるとき動詞の後に置く。

● 動詞 + BBU        〜 しっぱなしにする、〜のままである (例: 彼は、水を出しっぱなしにしたまま、寝た。)
         ブブー
                   (注1)動詞の語尾が B で終わる場合は、しつこくなるので DDU (ドゥドゥー) とする。
           
                     (注2) BBU は、「その動作や状態が続くのは不適切だという気持ち」 を表したい場合
                   にだけ使う。 尚、動詞に 時制助詞 (-T, -R) や 態助詞 (-ZE) や 進行助詞 (-In) が
                   付いているときは、 BBU をそれ等の助詞の後に置かれる。 
                   例えば、「大木が倒れている」 は単なるアスペクトだから、倒れる-TIn で良いが、
                   「大木が倒れたままだ」 (役所等が早く撤去すべきという気持ちがある) の場合は、
                   倒れる-TIn BBU (タオレルタイン ブブー) の方が良い。 倒れて時間が経って
                   ないなら、倒れる-T BBU も可。




2) 助 動 詞  じょどうし

助動詞は動詞を専門に修飾する 副詞 のようなもので、動詞の前に置かれる。 ノシロ助動詞は総て GI  ギ で始まるが、
GI を部首とはしない。  ノシロの助動詞は全部で26語。

助動詞    読み方           意味       相当する英語
GIKA ギカ 〜してもよい (許可) may
GIKI ギキ 〜した方が良い (強い勧め) had better do
GIK ギク 〜するぞ (意思、決意) sure to do, will
GIKE ギケ 今にも〜しそう be about to do
GIKO ギコ 〜し終わったところ (完了) have done
GILA ギラ 〜したことがある (経験) have ever done
GILI ギリ 〜に違いない must
GILU ギルー ずっと〜している (継続) have done
GILE ギレ 喜んで〜する glad to do
GILO ギロ 思いきって〜する dare to do
GIMA ギマ 〜できる (可能) can
GIMI ギミ 〜すべき (義務、当然) should 
GIM ギム 〜せねばならない (強い義務) must
GIME ギメ 〜かも知れぬ may
GIMO ギモ 〜の筈 (当然に) naturally, necessarily
GINA ギナ 以前は逆だが
GINI ギニ 以前は中立だが
GISA ギサ 職業として〜する、いつも〜する as occupation
GISE ギセ 〜 しがち、傾向的に 〜 しやすい likely to do
GIVA ギヴァ いやいや 〜 する unwillingly do
GIVI ギヴィ 〜せざるを得ない can't help doing
GIVLI ギヴリ  動作が相手に及ばない   
GIVn  ギヴン  空しく〜する、結果を得られぬまま〜する do in vain 
GIVOI ギボイ  〜かも知れぬ (可能性大変低い)  might 
GIUD ギウドゥ  謙遜、丁寧 would
GITT ギットゥ 〜している (た)筈

GILU は現時点までの動作の継続を表す。過去の或る時点までの継続は動詞の時制を過去にする。
GILU を GIL としなかったのは、動詞と結び付く修飾詞 GI の2類 GIL と重なるのを防ぐためです。
GINA
 は、「(以前は嫌いだったが今は) 好きだ」、 「(以前は好きだったが今は) 嫌いだ」 のように逆転
する場合を表し、 GINI は、「以前は(好きでも嫌いでもなかったが今は) 好きだ」、「(以前は好きでも嫌い
でもなかったが今は) 嫌いだ」 という意味を表す場合に用いる。 時制は過去と現在だけでなく、現在と未来
でも構わない。 GISA は、形式的には行動表現であっても、「彼は大学で数学を教えている (つまり、彼は
数学の先生)」 のように職業や仕事や習慣を表す場合に使う。 GIVLI は行為が相手に効果を及ぼさない
場合、例えば、警棒を振るったが相手には当たらなかった場合や、蹴ったけれど相手に足が当たらなかった
場合や、ピストルを相手に向けて撃ったが弾は当たらなかったといった場合に使う。 GIVn は、目論んだ
結果を実現できぬまま 〜 した、 〜したが徒労に終わった、無駄に 〜 した、という場合。 GITT は帰結の
文中で用い、事実と反対のことを表す場合に使う。 GITT と GIMO については、この後もう少し学びます。


● 注意すべき助動詞  GITT ギットゥ  と  GIMO ギモ

GITT は、仮定の帰結文中の動詞の前に置いて、事実と逆のことを述べる場合に使う。

例文: もしそれが本当だったなら、私は彼女に手紙を書いた。

1類: TE 本当 RI-T EEF、 SE DAFE−O 手紙−O GITT 書く−T。
2類: EEFL TE RI-T true, SE GITT write−T DAFE−O letter−O.

<注> EEF (1類)、EEFL (2類)は、仮定を表す節理詞で 「もし〜ならば」。 それは本当ではなかった ので
    私は彼女に手紙を書かなかった、ということだが、ノシロ語には英語の仮定法過去や仮定法過去完了は
    ないので、内容の真偽によって仮定文 (条件文) を変える必要は無い。 しかし、手紙を書かなかった、と
    いうことははっきりさせる必要があり、それを帰結文中の GITT で表すのである。

例文: もしそれが本当なら、私は彼女に手紙を書く。

1類: TE 本当 RI EEF、 SE DAFE−O 手紙−O GITT 書く。
2類: EEFL TE RI true, SE GITT write DAFE−O letter−O.

<注> 本当だとは思っていない ので、手紙を書くつもりはない。 もし  GITT  を使わなければ、本当かどうか判断
    できず従って書くとも書かないとも決められない状態になる。

例文: もし将来それが本当なら、私は将来彼女に手紙を書くだろう。

1類: TE 本当 RI−R EEF、 SE DAFE−O 手紙−O GITT 書く−R。
2類: EEFL TE RI−R true, SE GITT write−R DAFE−O letter−O.

<注> 本当だとは思っていない ので、将来手紙を書くつもりはない。 もし GITT を使わなければ、本当かどうか
     分からない、従って、本当の場合のみ手紙を書き、本当でないなら(嘘なら)書かないということになる。

尚、「もし -- であったら、 〜 出来た筈だ」 (=実際は -- ではなかったので、〜 出来なかった) は、 GITT と GIMA 
を組み合わせる (GITT-MA と圧縮してよい)。 例えば、「あの時あなたが私を助けていたら、私はそれをやれた筈だ」
(助けてもらえなかったので、実際には私はやれなかった) は、以下のようになる。

1類: BOIT、 ME  SE-O  助ける-T  EEF  SE  TE-O  GITT-MA  DU-T。
2類: BOIT, SE  GITT-MA  DU-T  TE-O  EEFL  ME  help-T  SE-O.

自分を助けなかった相手を責めないように配慮したいときは、以下のように EEF (EEFL) 以下の条件文を落として
しまう手がある。 BOIT は 「あの時」。

1類: BOIT、 SE  TE-O  GITT-MA  DU-T。
2類: BOIT, SE  GITT-MA  DU-T  TE-O.


GIMO は、「仮定文のとおりなら 〜の筈」、「仮定文のとおりなら〜となるのが自然だ」 の意で、仮定文 (条件文)
の真偽を問題にしないので、GITT を使わない文と殆ど同意だが、GOMO を加えると、「当然のこととして 〜 する、
当然に 〜 となる」 という意味が強く出る(英語の necessarily/naturally のような感じが出る)。 例文を見よう。

例文: もしあなたが十分に勉強したなら、当然にあなたは試験に受かるでしょう (合格する筈だ)。

1類: ME 十分に 勉強する−T EEF、 ME 試験−O GIMO 合格する。
2類: EEFL ME fully study−T, ME GIMO pass test−O.

<注> 本当に十分勉強したか、しなかったのか分からないので GITT は使えない。 GIMO は使わなくて
    もよいことが多いが、上例のように使えば、 「当然のこととして合格する」 という意味を強調できる。
    では、もし十分に勉強したことを知っている場合はどう表現するか。 この場合は、そもそも仮定文にす
    ることがおかしい。 その場合は、理由を示す節理詞 IID (IIDL) を使って、「あなたは十分に勉強し
    たのだから、合格する」 とか 「十分に勉強したので合格するに違いない」 といった文になるだろう。
    もし、この例文に敢えて GITT を使うなら、その人は、勉強なんか全くしていないという事実を知って
    いて言うのであり、皮肉を言っているか、相手の将来を考えて諭すための発言をしていることになる。


● 助動詞の否定と、動詞の否定

助動詞の意味を否定するには助動詞の前に  NAI  ナイ  を置き、動詞の意味を否定するには動詞の前に
NAI を置く。
否定詞 NAI の位置によって意味が異なる。 以下の例で慣れておこう。

GILA       行く−T         行ったことがある。
NAI GILA  行く−T        行ったことがない。
GILA NAI  行く−T        行かなかったことがある。
NAI GILA  NAI 行く−T    行かなかったことはない。

GIME       行く          行くかも知れない。
NAI GIME   行く          行くかもしれない、ということはない。 絶対に行く。
GIME NAI   行く          行かないかも知れない。
NAI GIME  NAI 行く      行かないかも知れない、ということはない。絶対に行かない。

GIMA       行く             行ける。
NAI GIMA  行く            行けない。
GIMA NAI  行く            行かないことができる。行かないということが可能である。
NAI GIMA  NAI 行く       行かないことはできない。行かないということは可能ではない。

GIME GIMA       行く      行けるかも知れない。
GIME GIMA NAI  行く     行かないことが可能かも知れない。
GIME NAI GIMA  行く     行けないかも知れない。
NAI GIME GIMA  行く     行けるかも知れないということはない。絶対に行ける。

 () GIME GIMA は、 GIME_MA と書いてよい。 ギメマ と読む。 但し、上例のように
     NAI を GIMA に前置させる場合は、  _ で結んでしまうことは出来なくなる。




3) 準 動 詞  じゅんどうし

動詞の語尾に −M ム か −D ドゥ を付けて作る 動名詞、 及び −K ク  か −KE ケ を付けて作る
動形容詞 の二つが準動詞である。 動名詞は英語の動名詞と殆ど同じで、動形容詞は英語の分詞や関係詞に
近く、又、日本語の連体詞に似てもいる。

重要) 以前は、動副詞 (動詞の語尾に −AI、−BI、−CI を付ける) というのがあったが、これに代わる
     「動詞と結合する修飾詞」 を創作したため、平成23年末をもって動副詞 を廃止しました。 例文等で、
      動副詞を使っているものについては、順次修正していきます。


3−1. 動名詞  (動詞−M ム  及び  動詞−D ドゥ) 

動名詞は、動詞の後に (動詞に時制助詞、進行助詞、態助詞が付く時はこれ等の後に) −M ム、又は −D ドゥ 
を付けたもので、動詞−M は 「〜ということ」、 動詞−D は 「〜かどうか」 という意味になる。 動名詞は、動詞と
名詞の機能を併せ持つので、主語、補語、目的語になり、又、修飾詞と結び付いて修飾句 (即ち、形容詞句 又は
副詞句) にもなる。 ノシロの動名詞は英語の動名詞と殆ど同じである。 動名詞を使うと文を少し短くできることが
多い。 又、文のスタイルを少し変えて飽きを防ぐこともできる。 「見る」 という動作動詞 MU ムー を例にとり、
基本形、進行形等に応じて動名詞を作ったものを以下に示す。 否定形は動名詞の前に NAI ナイ を置く。


● 動詞−M 「〜ということ」

      過去動名詞    現在動名詞    未来動名詞
 基本形 MU−TM
 ムータム 
 見たこと
MU−M
 ムーム 
 見ること
MU−RM
 ムーレム 
 将来見ること
 進行形 MU−TInM
 ムータインム 
 見ていたこと
MU−InM
 ムーインム 
 見ていること
MU−RInM
 ムーレインム 
 将来見ていること
 受動態 MU−TZEM
 ムータゼム 
 見られたこと
MU−ZEM
 ムーゼム 
 見られること
MU−RZEM
 ムーレゼム 
 将来見られること
進行受動態 MU−TInZEM
 ムータインゼム 
 見られていたこと
MU−InZEM
 ムーインゼム 
 見られていること
MU−RInZEM
 ムーレインゼム 
 将来見られていること


● 動詞−D 「〜かどうか」

      過去動名詞     現在動名詞      未来動名詞
 基本形 MU−TD
 ムータドゥ 
 見たかどうか
MU−D
 ムードゥ
 見るかどうか
MU−RD
 ムーレドゥ
 将来見るかどうか
 進行形 MU−TInD
 ムータインドゥ 
 見ていたかどうか
MU−InD
 ムーインドゥ 
 見ているかどうか 
MU−RInD
 ムーレインドゥ 
 将来見ているかどうか
 受動態 MU−TZED
 ムータゼドゥ  
 見られたかどうか
MU−ZED
 ムーゼドゥ  
 見られるかどうか
MU−RZED
 ムーレゼドゥ  
 将来見られるかどうか
進行受動態 MU−TInZED
 ムータインゼドゥ 
 見られていたかどうか
MU−InZED
 ムーインゼドゥ 
 見られているかどうか
MU−RInZED
 ムーレインゼドゥ 
 将来見られているかどうか

) 動名詞を作るのは、 −M  と −D の二つだけ。


● 動名詞の使い方 

動名詞の元になる動詞が他動詞の場合は通常、目的語や補語を伴う。 目的語や補語は、1類では動名詞に
先行するが、 2類では動名詞の後に来る。 これは、1類の文型 SOV と、 2類の文型 SVO の違いを反映
するためである。 例文を見よう。

例文: 見ることは信じることである。

1類: MU−M−W ELBILS−M (RI)。     ムームワ エルビルスム (リ)
2類: MU−M−W (RI) ELBILS−M.     ムームワ (リ) エルビルスム

<注> MU は見る、 ELBILS は信じる。 百聞は一見にしかず。で、英語なら Seeing is believing.
    「見る」 と 「信じる」 という動詞が動名詞になり、夫々、主語、補語になっている。 このような
    簡単な文では、補語を示す要素助詞 −E は不要。 RI は省略可(SCV型の文で現在時制なので)。

例文: これ等の練習を完了することは重要だ。

1類: TON 練習−O 完了する−M−W 重要 (RI)。  トヌ レンシューオ カンリョウスルムワ ジューヨー (リ)
2類: Finish−M−W TON practice−O (RI) important.

<注> TON トヌ は TO 「これ (指示代名詞)、この (指示形容詞)」 の複数形。 ノシロ語では同じ単語が
    複数の品詞を掛け持ちするのは珍しい。 「完了する」 という動詞が動名詞になっている。 動詞として
    「練習」 という目的語を取りながら、名詞として主語にもなっている。 もし誰が練習するのか明示したい
    時は、人称代名詞の所有形を動名詞の前に置く。 例えば、MEI を、完了する−M−W の前に置けば、
    あなたが完了することが重要、という意味になる。 勿論、動名詞を使わずに節理詞 My ミュ で表す
    ことも出来る (この方が一般的)。 My は英語の接続詞 that 「〜ということ」  に相当。

例文: 彼女の夢は医者になることである。

1類: DAFEI 夢−W 医者−E EQKAZ−M (RI)。
2類: DAFEI dream−W (RI) EQKAZ−M doctor−E.

   <注> DAFEI ダフェイ は 「彼女の」。  EQKAZ エチュカズ は自動詞 「〜になる」 で、英語の become。

例文: 私は走ることで体重を減らした。

1類: SE 走る−M AY 体重−O 減らす−T。
2類: SE reduce−T weight−O AYL run−M.

<注> 動詞 「走る」 が動名詞になり、「〜により」 という意味の修飾詞 AY (2類は AYL) と結び付いて修飾句
    (この場合は副詞句) になり、動詞 「減らす−T」 を前から修飾している (2類は AYL run−M が、
    動詞 reduce−T を最後尾から修飾)。 1類では、修飾語(句、節) は被修飾語の直前に置くのが原則
    で、 2類では、修飾語は直前、修飾句と修飾節は直後に置くのが原則である。 しかし、動詞が目的語や
    補語を取るときは、修飾語 (句、節) は成るべく動詞と目的語の関係を分断しないように配置する。 当例
    で言えば、「SE 走る−M AY」 という修飾詞は、確かに動詞 「減らす−T」 を修飾しており、目的語や
    補語が無ければ当然にその側に置かれるべきものであるが、当例には目的語が有る。 こうした場合は、
    目的語 「体重−O」 と動詞 「減らす−T」 との結び付きを分断させずに上例のように 「走る−M」 を
    「体重−O」 の手前 (左側) に置く。2類も同様にして AYL run−M を weight−O の後ろに置く。

例文: 問題は行くかどうかである。

1類: 問題−W ITU−D (RI)。
2類: Point−W (RI) ITU−D.

    <注> ITU イトゥー は 「行く」。

例文: 行くかどうかが問題である。

1類: ITU−D−W 問題 (RI)。
2類: ITU−D−W (RI) question.

「行くか行かないか、それが問題である」 のような文では動名詞を使わずに以下のように書くことも出来る。

1類: ITU OA NAI、 TE 問題 (RI)。
2類: ITU OA NAI, TE  (RI) question.


尚、会話で頻繁に使われる以下のような表現は、動名詞よりも 動詞と結び付く修飾詞 CI ツィ (2類は CIL) を
使う方が簡単。 CI は英語の to不定詞 のようなもの。

例: あなたに会えて素晴らしい  (英語の Nice to see you!)

1類: ME−O 会う CI 素晴らしい (RI)。
2類: Nice CIL see ME−O 

上の例を動名詞を使って書くと、

1類: ME−O 会う−M−W 素晴らしい (RI)。
2類: See−M−W ME−O (RI) nice.

CI (CIL) を使う方が、短くなるのでお勧めである。

例: そのニュースを聞いて残念  (Sorry to hear the news.)

1類: BOI ニュース−O 聞く CI 残念。
2類: Sorry CIL hear BOI news−O.

となり、CI (CIL) を使う方が日本語、英語の語順に共に綺麗にフィットする。


● 動名詞構文

主語+動詞+節理詞+ ・・・ という構成から主語を省略し、更に動詞を動名詞にして、動名詞+節理詞 (又は
修飾詞) の形にしたものがノシロ語の動名詞構文で、英語の分詞構文のようなものであるが、節理詞 (又は
修飾詞) を残す点が英語とは異なる。 2類の分詞構文は、節理詞+主語+動詞 +・・・が、節理詞+動名詞+
・・・ となる。 動名詞には、進行形、受動態、及び両者が重なったものがあるので、動名詞構文もそのままこれ
等を引き継ぐ。 動詞を省略して以下に示す (−D については省略)。

      過去       現在       未来
基本形 −TM  タム −M  ム −RM  レム
進行形 −TInM タインム −InM インム −RInM レインム
受動態 −TZEM タゼム −ZEM ゼム −RZEM レゼム
進行受動態 −TInZEM タインゼム −InZEM インゼム −RInZEM レインゼム


気象について語る場合を除き、省略された主語は、主節の主語と同じでなければならない。 英語の分詞構文は
接続詞 (ノシロでは節理詞) まで省略してしまうが、ノシロでは混乱を避けるため節理詞を省略しない。 動名詞
構文は、文全体をほんの少しだけ短くする効果がある。 否定は、動名詞の前に  NAI ナイ  を置く。

例文: 書類を送った後で、その女子学生は誤りに気づいた。

1類: 書類−O 送る−TM AAF、 BOI 女子学生−W 誤り−O 気付く−T。 
2類: AAFL send-TM documents-O BOI girl student-W recall-T mistake-O.

<注> AAF アーフ (2類は AAFL)は、節理詞で 「〜の後で」。 書類を送った人と、誤りに気付いた人は
    同一人物でなければならない( = 彼女)。 そうでないと動名詞構文にはできない。

例文: そちらの(あなたの)事情は良く知らないが、我々は確かに完全な商品を送った。

1類: MEI 事情−O NAI 知る−M UUS、 SEN 確かに 完全な 商品−O 贈る−T。
2類: UUSL NAI know-M MEI situation-O, SEN send-T certainly perfect product-O.

   <注> UUS ウース (2類は UUSL) は、節理詞 「〜だけれども」。



3−2. 動形容詞 (動詞−K ク、 動詞−KE ケ) 

動形容詞は、動詞をベースにして作られる形容詞で、動詞−K と 動詞−KE の二種類ある。 前者は日本語の
連体修飾形の様なもので、後者は SCV (2類は SVC) 型や SOCV (2類は SVOC) 型の文中の C、即ち
形容詞の叙述用法となるもの。

  () 動詞−KE のタイプは Version 2.7 で初めて導入されました (平28.09.01)。


● 先ず、 動詞−K ク   から見よう。

このタイプの動形容詞は、動詞の語尾に  −K ク  を付けて、動詞の機能を保ちながら同時に形容詞として名詞や
代名詞を修飾できるようにしたもので、英語の分詞、関係詞に似ており、又、日本語の連体修飾形にも似ていて、
 「〜するところの」 又は 「〜する」 という意味になる。 

動詞−K の動詞は、自動詞でも他動詞でもよい。 動詞−K に修飾される名詞 (代名詞) は、人や物だけでなく、
時、場所、理由 等も可能。  動形容詞と先に学んだ動名詞の違いは、動名詞が主語、補語、目的語になるのに対し、
動形容詞はあくまで修飾語や修飾句にしかならない、ということ。 

IMS イムス (尋ねる) という動詞を例にして動形容詞の変化を見てみよう。 

  () このタイプ (動詞−K) の動形容詞は、後で学ぶ節理詞 Ky キュ と同様にとても便利な機能語
      なので例文を見ながら少し丁寧に学びます。

        過去          現在          未来
基本形  IMS−TK
 イムスタク
 尋ねたところの
 IMS−K
 イムスク
 尋ねるところの
 IMS−RK
 イムスレク
 将来尋ねるところの
進行形  IMS−TInK
 イムスタインク
 尋ねていたところの
 IMS−InK
 イムスインク
 尋ねているところの
 IMS−RInK
 イムスレインク
 将来尋ねているところの
受動態  IMS−TZEK
 イムスタゼク
 尋ねられたところの
 IMS−ZEK
 イムスゼク
 尋ねられるところの
 IMS−RZEK
 イムスレゼク
 将来尋ねられるところの
進行態  IMS−TInZEK
 イムスタインゼク
 尋ねられていたところの
 IMS−InZEK
 イムスインゼク
 尋ねられているところの
 IMS−RInZEK
 イムスレインゼク
 将来尋ねられているところの


動名詞の説明ではやらなかったが、文法の復習をかねて、動形容詞が目的語や補語を伴わずに単なる形容詞の
ように用いられている場合と、目的語や補語を伴う場合に分けて例文を見てみよう。


<< 動形容詞が目的語や補語を伴わない場合 >>

この場合の動形容詞は、形容詞と同じである。 つまり修飾句でも修飾節でもなく、修飾語である。 従い、1、2類
ともに動形容詞は、被修飾語である名詞や代名詞の前に置かれる。 即ち、1、2類共に 「動詞−K 名詞」 という
順になる。 以下で、ピンク色の部分が動形容詞。

例文: 今、 尋ねる (尋ねるところの人) が立ち上がる。 () 動形容詞はピンク色、修飾される名詞は太字。

1類: 今、 IMS−K REn−W 立ち上がる。
2類: Now, IMS−K REn−W stand up.

<注> IMS は「尋ねる」。 REn レン は 「人」。  「尋ねる」 は他動詞だが他の多くの動詞と同様、状況に
    より目的語を明示せずに自動詞のように使うこともできる。 ここでの使い方がそれである。

例文: 尋ねない人は去った。

1類: NAI IMS−K REn−W 去る−T。      ナイ アスクク レンワ サルタ 
2類: NAI IMS−K REn−W leave−T.   ナイ アスクク レンワ リーヴタ 

<注> NAI ナイ は否定語。 動形容詞の IMS−K を否定している。

例文: 尋ねられる人は米陸軍の将校です。

1類: IMS−ZEK REn−W 米陸軍 UB 将校 (RI)。
2類: IMS−ZEK REn−W (RI) officer UBL U.S. Army.

<注> UB は修飾詞で 「〜の」。 UBL は、ずばり英語の of 。 これを、 米軍’Z 将校 と書いても良いし、単に
    米軍将校 としても良い。 2類も、 U.S.Army’Z officer でも U.S.Army officer でも良い。

例文: 泳いだ人は手を挙げよ。

1類: YO 
泳ぐ−TK JE 手−O EOPS。 
2類: YO 
swim−TK JE EOPS hand. 

<注> 「泳ぐ」 は自動詞だから目的語は取らない。 この命令文の主語は ME ではなく、JE なので、この 
    JE を省略しない (省略するのは ME の場合だけ)。 人称代名詞や疑問詞が主語になるときは −W 
    を付けない。  EOPS は 「上げる」。


<< 動形容詞が目的語や補語を伴う場合 >>

動形容詞の位置は、以下に示すように、1類 と 2類 で逆になるので注意が必要。 目的語の位置も逆になるが、
これは 1類の SOV という語順と、2類の SVO という語順の違いそのものである。 又、目的語は修飾句 (ここ
では形容詞句) の中にあるので、目的語に付ける要素詞は -O  オ ではなく  -OL  オル になる ( -L  と書いて
よい、読み方も -L でオル)。   

1類: 
目的語 (補語) +動形容詞名詞      () 修飾節に下線、非修飾語は太字。
2類:  名詞動形容詞 + 目的語 (補語)


例文: 私は、牧氏に質問していた警察官に、電話させた。 

1類:  SE MR.牧−L IMKES−TInK 警察官 電話する BLE−T。
2類: SE BLE−T policeman IMKES−TInK MR.Maki−L call.

<注> IMKES は 「質問する」 で、 IMS よりやや形式ばった語。 「質問する(ところの)」 という動形容詞が
    「牧氏」 という目的語を伴っている。 「牧氏」 は修飾句中の目的語なので −O ではなく −L を付ける。 
    BLE ブレ は、使役動詞 「〜させる」 で、英語なら have。 尚、英語では、行動させられる人 (ここでは
    警察官 police) は目的格になるが、ノシロ語は原形 (主格と同形) にする。

例文: 私は、彼女に、牧氏に質問していた警察官に、電話させた。 

     () 私が、彼女を使う (彼女に警察官に電話をさせる)。

1類:  SE DAFE MR.牧−L IMKES−TInK 警察官−O 電話する BLE−T。
2類: SE BLE−T DAFE call policeman−O IMKES−TInK MR.Maki−L

<注> これは SOCV (2類は SVOC ) の文型。 私によって電話させられるのは彼女なので、DAFE は原形
    にする (つまり DAFE−O としない)。 このように K を付けて作る動形容詞は英語の関係代名詞主格
    と似ているが、ノシロには関係代名詞の所有格用法や目的格用法にあたるものはない。 それ等は
    形容詞節を導く節理詞が担う (ホームページ12号 で学びます)。


● 続いて、動詞−KE ケ を見よう。

こちらは、 SCV (2類では SVC) や SOCV (2類は SVOC) 型の文中の C 即ち叙述用法の形容詞の如く使われる。
自己完結するもので、名詞を修飾することもない。 使用頻度は、動詞−K より低く、以下の例文を見るだけで十分です。

例文: おー、老人は怪我をしているぞ (怪我をしている状態だ)。

M1: OO !  BOLDn-W  IGyUZ-TKE  (RI)。   ... SCV文型かつ現在時制だから RI は省略可。
M2: OO !  BOLDn-W  (RI)  IGyUZ-TKE.
    Oh !   old man    is  injured.

 <注> OO オー  = 「 おー」 (驚きを表す自然詞)、  BOLDn = 老人、 IGyUZ = 怪我をする。

例文: 老人は怪我をしている状態で発見された。

M1: BOLDn-W  IGyUZ-TKE  MUFA-TZE。  ... SVC文型
M2: BOLDn-W  MUFA-TZE  IGyUZ-TKE.
    Old man     was found   wounded.

 <注> BOLDn = 老人、 IGyUZ = 怪我をする、 MUFA = 発見する。
     SCV の C が、動形容詞の叙述用法 (動詞-KE)) となっている。 ほぼ形容詞と考えてよい。

以下の二つの文は SOCV (2類は SVOC) 型だが、C は動詞をベースにしたものではなく、名詞や形容詞そのもの
なので、動形容詞は用いられない。

例文: 警察はその女性を遺体で発見した。

M1: AnPOLI-W  BOI  IRDAT  IBDE_DI  MUFA-T。  ... SOCV文型。 C (IBDE_DI) は名詞
M2: AnPOLI-W  MUFA-T  BOI  IRDAT  IBDE_DI.   ... SVOC文型。

 <注> IRDAT = 婦人、 IBDE_DI イブデディ = 遺体 (IBDE 死 と BODI 体 の合成語)。
    合成語を作るには、二番目の語の部首 (ここでは BO) を落とし、アンダーバー _
    繋ぐ。 SOCV  (2類は SVOC)  の文では、 IRDAT-O としたり、 IBDE_DI-E とする
    必要なし。 勿論、-O や -E を付けても間違いではないが、ノシロ語に慣れて来たら
    省略した方が文が引き締まるので良い(ホームページ9号 4−5 を参照)。

例文: 警察は犯人を生きたまま捕まえた。     <注> C (AUUL) は形容詞

M1: AnPOLI-W  InPRIMAA  AUUL  TUK-T。   ・ ・ ・  SOCV文型
M2: AnPOLI-W  TUK-T  InPRIMAA  AUUL.   ・ ・ ・  SVOC文型

 <注> AnPOLI = 警察、 InPRIMAA = 犯人、 AUUK = 生きている、 TUK = 捕まえる。
     SOCV  (2類は SVOC) の文では  O  と  C  の部分に  -O  や  -E  を付けなくて
     よい、つまり、 InPLIMAA-O や AUUL-E  としなくてよい。 但し、付けても間違い
     ではない(ホームページ9号 4−5 を参照)。

以下の例文はいろいろに書くことができるが、動形容詞より進行形を使う方が簡単です (ノシロの進行形は、
動作の進行だけでなく、アスペクトまで表現可能)。

例文: 老人が歩道で横になっている (急に具合が悪くなったか、疲れて休んでいるのか ?)。

M1: BOLDn-W  RyU_ST  AT  NyU-In。   ... NyU-In と進行形で表す
M2: BOLDn-W  NyU-In  ATL  RyU_ST.

敢えて動形容詞にすると以下。

M1: BOLDn-W  RyU_ST  AT  NyU-InKE  (RI)。   ... 叙述用法
M2: BOLDn-W  (RI)  NyUFO-TKE  ATL  RyU_ST.

例文: 誰かが歩道で倒れている (心臓発作、車に轢かれた、暴力団同士の喧嘩 ?)。

M1: JE  RyU_ST  AT  NyUFO-In。   ... NyUFO-In と進行形で表す
M2: JE  NyUFO-In  ATL  RyU_ST.

敢えて、動形容詞にすれば以下のようになる。

M1: JE  RyU_ST  AT  NyUFO-TKE  (RI)。
M2: JE  (RI)  NyUFO-TKE  ATL  RyU_ST.

  <注> JE = 誰か、 RyU_ST = 歩道、 ByUFO = 倒れる


ところで、英語の不定詞の形容詞用法 (〜す、〜すべき) は、ノシロでは今学んだばかりの動形容詞 (〜する、
〜するところの) で表す。 「べき」 の意味を特に表したいときは、助動詞の GIMI (すべき) や GIKI (する方が良い)
を動詞の前に置く。 因みに、英語の不定詞の名詞用法 (〜すること) は、ノシロでは動名詞で表される。
又、英語の不定詞の形容詞用法 (〜するための) と 副詞用法 (〜するために) は、ノシロ語では大抵の場合、
「動詞と結び付く修飾詞 DI/DIL」 を使う。 下表にまとめておこう。

英語 ノシロ語 (1、2類)
 英語の不定詞の名詞用法
 〜ということ

 例:  to see
   (見ること)
 ノシロ語では、動名詞 (動詞 + M) を使う。
 〜ということ

 M1: 見る-M (見ること)
 M2: see-M (見ること)
 不定詞の形容詞用法
 〜する、〜すべき

 例: book to buy
  (買う本、買うべき本)
 主に動形容詞 (動詞 + K) を使う。
 〜する、  〜すべき

 M1: 買う-K  本 (買う本)
 M2: buy-K  book (買う本)

 M1: GIMI  買う-K  本 (買うべき本)
 M2: GIMI  buy-K  book (買うべき本)
 不定詞の形容詞用法
 〜するための

 例: knife to cut
  (切るためのナイフ)
 動詞と結び付く修飾詞 DI/DIL を使う。
  〜するための

 M1: 切る DI ナイフ (切るためのナイフ)
 M2: knife  DIL  cut  (切るためのナイフ)
 不定詞の副詞用法
 〜するために

 例: work to live
  (生きるために働く)
 動詞と結び付く修飾詞 DI/DIL を使う。
 〜するために

 M1: 生きる DI  働く (生きるために働く)
 M2: work  DIL  live  (生きるために働く)

 (注1) 大抵の場合、助動詞 GIMI を入れなくても良い。
 (注2) 動形容詞がそれ一語で完結する場合は、形容詞と同様に名詞の前に置かれる (1、2類共)。
 (注3) 修飾詞 (DI や DIL) の位置は、1類と 2類で逆になる。 ホームページ12で学ぶので心配無用。



ここで、英語の 「疑問詞と不定詞がセットになった文」 は、ノシロでどう表されるのかざっと見ておこう。

英語、日本語 ノシロ語 (1類) 注 意 
 I don't know what to do.
私は何をするか知らない。

(to do は to不定詞の形容詞用法、〜すべき)
 SE HA-O DU-M-O NAI URKS。 又は、

 SE DU-K HA-O NAI URKS。
 (SE GIMI DU-K HA-O URKS。)
DU-M は動名詞で URKS (知る) の目的語になっている。下の例文 DU-K は動形容詞で、〜するところの。べきの意を特に示したいときは、DU の前に助動詞 GIMI (すべき) や GIKI (する方が良い) を置く。この動形容詞 DU-K は1語で完結しているから HA-O の前に置かれる。
 I don't know which book to buy.
私はどちらの本を買うのか知らない。

(これも不定詞の形容詞用法、買うべき)
 SE HINA BEEK-O UYBS-M-O NAI URKS。

 又は、SE UYBS-K HINA BEEK-O NAI URKS。
HINA どちらの。BEEK 本。UYBS 買う。UYBS-M は動名詞。これが URKS の目的語になっている。下の例文のUYBS-K は動形容詞。 UYBS-K は1語で完結しているので HINA BEEK-O の前に置く。
 Tell me when to stop.
何時止まるのか言いなさい。
 YO HELI  ETOS-M-O RU。 又は、
 YO RU ETOS-K HE-O。
命令文。HELI  いつ。ETOS 止まる。ETOS-M は動名詞 (止まること) で、これが RU (言う) の目的語になっている。
 Tell me where to go.
何処へ行くのか言いなさい。
 YO HOLI  ITU-M-O RU。 命令文。HOLI どこへ。ITU 行く。ITU-M は動名詞 (行くこと) で、これが RU の目的語になっている。 
 You didn't know how much to drink.
あなたはどれほど飲むのか知らなかった。
 ME Hy MUQ KUD-M-O NAI URKS-T。 Hy MUQ どれほど (HANA MUQ も可)。
KUD 飲む。KUD-M は動名詞で URKS の目的語になっている。過去時制なので、URKS には -T が付く。
 You didn't know how to spell the word.
あなたはその単語をどう綴るか知らなかった。
 ME BOI ALWAD-O HyELI ALSPES-M-O NAI   URKS-T。 BOI その。ALWAD 単語。HyELI どのよう に (HyE も可)。ALSPES 綴る。ALSPES-M は動名詞で、これが URKS の目的語になっている。

  () ノシロ語には英語の不定詞の名詞用法に相当するものはない。ノシロでは動名詞で処理する。



● まとめ (最新ノシロ文法 Version 3.2 ・・・ 令5年5月8日)

以下は、三つの準動詞 (-M, -D, -K) に対応する三つの節理詞を表にしたものです (ついでに修飾詞も中央の
縦二列に並べてみました)。 修飾詞や節理詞はこの後勉強して行くので今は分からなくても心配ご無用です。
最新の改正は、BI と CI の交換、EB と EC の交換、及び EEB と EEC の交換です (Version 3.2 令5. 5. 8 )

        準動詞

  (平23年末 BI, CI, AI を廃止)
    修飾詞 (動詞 と結合)
(平24.03.01  AI を DI に変更)
(平29.09.20  GI を追加)
(令5.5.8  BI と CI の意味を交換)
     修飾詞 (名詞 と結合)

  (03.01 EA と ED の意味交換)
         節理詞

  (03.01 EEA と EED の意味交換)
−M  動名詞 ということ    My  名詞節    ということ
−D   動名詞 かどうか    Dy   名詞節     かどうか
−K   動形容詞 するところの    Ky   形容詞節  するところの
−KE  動形容詞 (叙述用法)       
   EA 形容詞句  の時の
    副詞句   の時に
 EEA  形容詞節  〜する時の
     副詞節    〜する時に
−BI(平成23年末廃止  BI 副詞句  〜するには、〜して  EB  副詞句  〜には、〜して  EEB   副詞節  〜するには
−CI(平成23年末廃止  CI 形容詞句 〜する程の
   副詞句    〜する程に
 EC  形容詞句 〜程の
    副詞句   〜程に
 EEC  形容詞節 〜する程の
     副詞節   〜する程に
−AI(平成23年末廃止  DI 形容詞句  〜するための
     副詞句   〜するために
 ED 形容詞句  〜を求める
     副詞句   〜を求めて
 EED 形容詞節   〜するための
      副詞節   〜するために
 FI 形容詞句 もし 〜 と
                 仮定しての
   副詞句    もし 〜 ならば
 EF 形容詞句 もし〜ならばの
    副詞句    もし〜ならば
 EEF 副詞節     もし 〜 ならば
   GI  FI の兄弟語だが GI は
   排他的。英語の only if,  iff 
 EG 形容詞句 もし〜ならばの
    副詞句   もし〜ならば
 EEG 副詞節     もし 〜 ならば
 JI 形容詞句   〜 しながらの          副詞句    〜 しながら  EJ 形容詞句 〜の行為中の
    副詞句   〜の行為中に 
 EEJ 副詞節  〜しながら、しつつ
  (参考: PLP 副詞節  〜すると
   --する)



 ホームページ 10号 はこれで終りです。 長時間読んで頂いて有難うございます。 次の11号では、
 形容詞、副詞、比較、助詞、疑問詞を ご案内する予定です。 友人と会った時は、 FIINA フィーナ 
 又は ALOO アロー を忘れずに!  水田扇太郎