喉頭腫瘍

a,症状
 喉頭の症状は、腫瘍の大きさと発生部位によって異なる。
 声門癌は早期から嗄声をおこし、進行性ですべての保存的治療を行っても改善しないことがある。
 声門上癌は初期には特異症状が無く、咽喉頭異常感症との判別が難しく、発見が遅れることが多い。一般的に喉の違和感,喀痰,軽い頭痛,喉頭のしみる感じなどの訴えが多い。
 声門下癌は初期には無症状で、声帯に浸潤すると嗄声を起こす。
 いずれの部位に発生した癌も、拡大して内窩を狭めると喘鳴や呼吸困難を起こす。腫瘍からの出血による血痰や、軟骨膜への浸潤による疼痛、嚥下痛も、進行した状態の症状としてあげられる。

b,治療
 癌の進行程度、すなわちTNM分類によって治療方針を決める。
 M(遠隔転移)が無い場合は根本的な治療を考える。(RTとOpe)
 これに補助的に化学療法と免疫療法を加える場合もある。

看護のポイント

#1 ≪RT時≫
  嗄声の状態に十分気をつけながら行う。
  RT照射部位の皮膚の保護、清潔方法の指導.
   ≪喉頭摘出≫
  ラリンゴのあと確定診断がついたあと、RT,Chemoの効果が見られない場合行われる。
  手術患者の看護。

#2 Ope前
  発声機能を永久に喪失する事を念頭に置いて時間をかけ、確実なオリエンテーションを行う。
  食道発声などの説明を行い希望を持たせる。
  疾患および治療法について統一した説明を行う。
  手術に対する説明は時間をかけ患者の反応を確かめながら進める。
  術後の音声喪失に対しコミュニケーション方法のシュミレーションを行い不安を軽減させていく。
  術後の経管栄養(創部回復の促進と誤嚥防止、創部離解の防止のため)と、気管カニューレ挿入(呼吸管理と出血や分泌物の流入防止のため行う)は、不安のないように説明していく。
  呼吸法法、四肢の運動の練習を行い術後は苦痛の軽減につながることを説明する。(深呼吸,腹式呼吸)
  床上排泄訓練、術後の安静体位をシュミレーションする。
  リカバリールームの見学を行い術後の状態の理解を得る。

#3 Ope直後
  バイタルサインのチェック、各ルート,ドレーン類の把握と管理。
  出血、分泌物、喀痰の量と性状の観察。
  気管カニューレの管理。出血の流れ込みがないか注意しDrの指示にてカフのAirチェックを行う。
  呼吸状態の観察を行う。肺音聴取し、深呼吸,腹式呼吸を促す。必要時酸素吸入。
  ウルトラソニックネブライザーの使用により肺合併症を防ぐ。
  状態により鎮痛剤、鎮静剤の与薬をDrの指示にて行う。
  砂嚢、小枕、バスタオルなどを用いて頭頸部固定を確実にする。

#4 Ope後(1〜5日目)
  創部の観察
  バイタルサインのチェック、全身状態の観察
  創部、気管カニューレのガーゼ汚染に注意し二次感染の予防に努める。
  気管カニューレからの吸引、口腔内分泌物の吸引により、肺合併症の予防。
  補液,抗生物質、その他の薬剤の確実な与薬。
  ナースコール、ホワイトボードのセッティング。
  術後体位の制限による背部痛,肩こり,四肢倦怠感などに、湿布,マッサージ,体位変換をしていく。
  NGチューブは閉塞とし、悪心,嘔吐の状態により開放する。
  経管栄養開始直後は腹部症状(胃部不快,腸グルなど)の観察につとめる。また注入速度、温度の管理を行う。

#5 Ope後
  頸部は伸展禁とし、左右の運動の制限もする。(状態により解除していく)
  リークや誤嚥が無ければ水分より徐々に嚥下訓練を行い、流動食から常食へと移行していく。
  気管カニューレが抜去され、永久気管孔となる。(この管理への指導)
  食道発声、人工喉頭などにより社会復帰をしている患者との交流などで意欲を持たせる。
  食道発声のための会への紹介。


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