話しの内容はボタンの色別で区別します。色々な日々のことを書き加えていきますのでよろしくね!
勤務時間
「いつ仕事なのか分からない。」とよく言われます。看護婦は皆が休みをとる訳にはいかないので、交代制をとっています。病院によってシステムは様々ですが、主に2交代制と3交代制と呼ばれるものが主流です。
わたしの病院は3交代制をとっています。その名の通り一日に看護婦が3回交代するというもので、簡単に説明すると8時間仕事して次の人と交代するということです。それがローテーションでぐるぐるまわっているのですが、規則的にまわっている訳ではないので、仕事が終わってその8時間後に又仕事があったりします。そういう時はちょっとキツイですね。
同じ病棟に勤務していても、このシフトの巡りでしばらく顔を見ない人もいます。「久しぶりー。一緒に仕事なんて何日ぶり?」って会話を聞くと、患者さんは不思議な顔をしますが、こんなからくりがあることを知らないからでしょうね。
焦げてる
耳鼻科に時々、気道熱傷で、入院される方がいます。 気道熱傷というのは、呼吸をするとき空気が通る道がやけどをする事です。 どうしてその様な場所がやけどをするのでしょう? 原因は?というと実は火災なのです。 小学校の避難訓練で学びましたね、「火事の時は姿勢を低くして口にハンカチを当てて逃げましょう」って。 覚えていますか? “火よりも煙の方が恐い。”
まぁ。そんな風にせっかく覚えても、実際に目の前に炎がメラメラしていたら頭の中が真っ白になってしまいますよね。 仕方がないことです。 運悪くハッとしたときに熱い煙を吸ってしまった結果、気道をやけどしてしまうのです。(肺までやけどをすると、命に関わります。笑い事ではすみません。皆さん気をつけて下さいね。ちなみに、忘れてしまった方は各地域の防災センターという所で丁寧に教えてくれます←余談)
やけどをすると腫れてきますね。気道も同じです。 ただ、気道が腫れると厄介なことに、空気の通り道が塞がってしまいます。 その結果、呼吸困難が起こるのです。
さて、ここでお話しする笑える話しは特に命に別状ない方々、呼吸困難が起こらないように治療と様子観察をするために入院した人たちのお話です。
たいてい救急車で火災現場もしくは負傷現場からやってくるのですが、格好がおや?と思ってしまうものだったりします。片一方だけ靴下をはき、もう片足にはシャワーキャップを付けてきたり様々。 命辛々逃げてくるのですから、必死に着るもの履くもの身につけるものを何でもあさってくる気持ちはよく解ります。 しかし、救急車は、乗せてくるだけで送ってくれないのです。親戚に連絡がつけばいいのですが、電話が家に通じない(火災のため)連絡がつかないときは、大変です。
1,2日様子を見るために入院しましょう、ということになるとお部屋に案内することになるのですが、無事に退院された後のベットは焦げかすがいっぱいで、シーツが真っ黒。 そう、頭や体毛が焦げていて、その焦げた毛が落ちるんですね。 退院していった後のベットを片づけながら、思わず看護婦同士目で会話してしまいます。 「焦げてるよ、シーツ…」
通り魔
ここ最近、通り魔が話題になっていますね。物騒な世の中です。
私の所にも緊急で入院がありました。
まだ20歳のかわいい女の子です。見ず知らずの人に、白昼にもかかわらずナイフで首と顔をスッパリと切られてしまいました。
何とも悲惨な事件です。どこに向けて良いのか分からない怒りと、自分の身にも起こりかねないという恐怖感がこみ上げるばかりです。
幸い急所をはずれていたため、出血による障害も少なく、形成のドクターによる丁寧な手術できれいに縫合できました。
鋭いナイフによる傷のため、きっと見た目では分からない位にきれいになることでしょう。
しかし、心の傷はなかなか癒える物ではありません。「精神的に何もないと良いね。」といった私たちの願いも難しいでしょうか。
その子は人がたくさん居るところは恐くて、看護婦や家族が一緒でないと歩けなくなっていました。
それはそうです。大人だからとか何だとか関係なく、いきなり襲いかかられることはものすごい恐怖だったに違いありません。
思えば私も以前、メスでスッパリ手を切ってしまったことがありましたが、しばらくはメスを見る度に指を切ったときの感覚と生暖かい血液の感触が鮮明によみがえり、身震いがしてメスを手にすることができなくなってしまったことがありました。私の場合は彼女とは比べようもない程小さな傷です。彼女の心の傷が癒えるには相当な時間が掛かることでしょう。
心療内科のドクター曰く、精神的な恐怖発作は問題ないそうです。時間を見極めながら、療養のステップアップをすることに注意し経過を見ましょうとのことでした。
ここで重要なのは家族の支援です。しかし、事件が起こって日が浅く両親も気が立っているため、他の人より点滴が遅れたといったちょっとしたことで彼女の前で医療者に文句をつけたり、自分でできるであろうことを何でもやってあげたりしています。
これは、かえって彼女には逆効果です。
必要なのは暖かく見守ってそばに居てあげること。人には心も体も自然に治ろうとする力がありますから、必要なときに手をさしのべるだけで、そばで安心感を与えてあげたいものです。
両親についても、ショックが大きいことですから、少し時間が必要なのでしょう。
彼女と周りを取りまく人々の心が、障害なく癒えるように願っています。
御対面!
時々、耳に虫が入ったといって来る人がいます。 割と良くありますね、そういうときは懐中電灯で耳を照らすと、足や羽が引っかかっていなければ大体、出てきます。
ある時、「寝ていたら耳に虫が入ってきた。」といって一人暮らしの男性が夜、救急に来ました。 救急には大きなテレビがあります。 細くて小さなカメラの映像が、その画面に映し出されるのです。 ドクターは耳にそのカメラをソロソロと入れながら「何が入ってしまったのだろう」とモニターを見ていました。
すると黒くて大きな何かに当たったのです。 「あった、あった、」と、カメラを引いて見ると、大きな画面いっぱいにゴキブリの顔が…。 「ぎゃぁーっ!」ドクター絶叫。 「俺、初めてゴキブリと目が合っちゃったよ、気持ち悪ー。」と、思い出してはブルブル。
ゴキブリが耳に入ってしまった本人は、「わざわざ僕の耳に入ってきたんだから、縁起物だよ。持ってかえって良いですか?」と検体ビンに入ったミニゴキブリを大事そうに持ち帰りました。
すっぽんぽん
看護婦は夜、患者さんの様子を見に、懐中電灯を片手に病棟全体を見回ります。これは、ラウンドと呼ばれ、夜11時と深夜の1時と3時に行います。「夜中に見回るのって、よく恐くないねー」とOLの友人に言われますが、はっきり言って恐いですよ。何が恐いって、幽霊が出るとかそういうのではありません。人間が一番恐いのです。
時々、いらっしゃるんですよ、すっぽんぽんでお休みになる方が…。布団をかぶってくれれば分からないのですが、そういう人に限って布団をかぶらずに大の字になって寝ているのです。(男性、女性どちらも) カーテンを開け、懐中電灯を当てたとき、固まってしまいます。でも、看護婦さんなので(と、自分に言い聞かせ)とりあえず「かぜを引きますよ」と言って布団を掛ける様に促すのですが、次の時には又、大の字になっています。恥ずかしくないのだろうか、もちろん部屋は鍵がかからないし大部屋なのに。
カーテンを開ける瞬間、一体向こうで何が起こっているのか分からないから恐ろしい。
耳鼻科ナースの特徴
診療科によって、看護婦もそれぞれ特徴があります。耳鼻科に関しては、まず声が大きい、そしてオーバーアクションだということです。分かりやすく言葉を伝えるのはとても大切であり、聞き取りにくいことで日常会話をさけている人に会話の楽しさを伝えることができるからです。子供で言えば会話を積極的に行う(聞く)ことで学習することにつながります。
簡単な手話を折り込むこともありますし、キューサインという手話までいかない子供の日常サインを使うこともあります。
でも、白衣を着ていないとできないことって多いのですよ。私は普段ではあまり大きな声は出しませんから。白衣を着ていると無意識に声が大きくなって、身振り手振りで話しているのが不思議です。
吹き矢の自由研究
子供が針を飲み込み、救急車で運び込まれました。レントゲンで、はっきりとまち針が写っています。胃に落ちていれば問題ないのですが(うんちとなって出てきます。5寸釘でも大丈夫。)厄介なことに引っかかっていましたので、緊急手術となりました。
手術は無事終了し、子供もすぐに元気になりました。「どうして針なんか飲んじゃったの?」と、よく聞くと、恥ずかしそうに「吹き矢の自由研究をしていたんだ。ストローに針を入れて吹こうと思ったんだけど、息を吸ったら針まで吸っちゃった。」だって。
その後、「研究はどうしたの?」と聞くと、「やっぱり吹き矢の研究を発表することにした。」とのこと。研究結果は吹き矢を吸うと手術をしなければ取れない、結論は吹き矢は吸うものではない、だそうです。
あぁ確かに、身をもって貴重な体験をしたのだからみんなにも注意するように言ってね、と思いながら、学校の先生の反応を想像すると思わず吹き出してしまったのでした。さて、どう評価をするのでしょうか?頭をかかえてしまいますね。
ベットに横になってよ(整体師)
患者さんに整体院をされている方がいました。 ある時、検温にうかがうと「君の骨盤は曲がっている!それでは体を悪くするぞ!ちょっとベットに横になってよ。」と強引に引っ張られベットへ。
二人部屋で向かいに他の患者さんもいたので、変なことはされないだろうと思いつつ、端から見たら白衣でベットに横になっているなんて…マニアにはたまらないだろうなぁなんて考えながら、されるままに。「手はこっち、足はこうして、はい、すってーはいてー。」 …ゴキゴキッ!!すっごい骨の音。思わず折れちゃったかと思いました。「ほら、どう?」と手をとられ起きあがると、あーらスッキリ、体が軽いじゃないですか。
このことを同僚に話すと、何バカなことやってるのよ!と言われてしまいましたが、数日後…その子もゴキゴキされていました。それからその患者さんが退院するまで「整体院いってくるー」といえば“検温ついでに整体をされてくる”っていうことになっていました。そんな時期、一番役得だったのは、何人もゴキゴキされているのを見ていた向かいの患者さんだ、と、私は思えてならないのです。
男か女か?
救急で入院になった患者さんは、見た目はまるっきり女性なのですが、保険証では男性。めずらしいことではないけれど、さて入院となると女性部屋か、男性部屋に入れるか…。部屋では着替えだとか睡眠だとか、体を拭いたりもするのでどうしようかと悩んだあげく結局は「男部屋に入っては不自然だ」ということで、一泊だけでしたが女性部屋で過ごし、他の誰にも気付かれることなく退院していったそうです。
不潔です!
普通、“不潔”というと「汚い」というイメージがありますが、病院では手でさわっただけものも“不潔”とされます。要するに無菌のものは“清潔”で、見た目はいっしょでも菌が付いたと思われるものはすべて“不潔”とされるのです。
病院はこの清潔、不潔にはとても厳しく、場所にも“清潔区域”と“不潔区域”に分けられている程です。ナースも細菌レベルでものを見ているので、よく「○○先生、不潔です!」とか言ったりしますが、決して○○先生が汚いと言っている訳ではありません。
勘違いしないでくださいね、ナースが「不潔よ!」と言ったときは細菌レベルでのことなのだから。