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●出撃!
たかぼーやらPulickerは何時に起きたか知りませんが、 私は朝6:00起床でした。その後7:12にバスで技科大発。 豊橋駅からJRで浜松駅まで行って、合流であります。 切符を往復で買ったので、学割証が1枚無駄になってしまいました。 まぁ良いか。年間10枚まで貰えるし。 |
●帝都・東京
東京着の後、まずは山手線で秋葉原へ。 私達3人は、高校修学旅行時の日本橋・大須と合わせて、 日本三大電気街巡礼完全制覇を成し遂げたわけですが、 日本橋及び大須と比べて、非常に歩き辛くてげんなり。 土曜日ってのもあるかも知れませんが。 中央通りを歩いてみた感じでは、他の二電気街と比較して、 どうもジャンク屋が少ないような気が。 あと、そっち系の人間の人口比が高かったです。多分。 雰囲気で判断。(ぉ 1時間半程度という時間の制限もあって、収穫は全くなし。 モロ星人のストラップに一寸心惹かれましたが、 結局買いませんでした。 |
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●Qute潜入
ビルに入って扉が開くまでかなり緊張して居たわけですが、 入ってみて想像とのギャップにびっくり。 なんじゃこりゃぁぁ。(笑 私はもっと白っぽい風景(?)を想像していたんですが、 なんっちゅーか、会社と言うよりは、どっちかと言えば 一人(二人?)暮らしの大学生の部屋みたいでした。 #いや、私も大学生なんですけど。 お陰で、リラックスした気分でお話を聞くことができました。 机の上には2台のノートパソコンと数台のWS。 その他にもiMacとか、数台のマシンが置いてありました。 本棚には 「C Magazine」や 「はじめての486」、そして竹本泉のマンガが(笑 園田さんのノートパソコンに繋がってたキーボードは、 ぷらっとホーム製「FKB5879」、 俗に言う「カーソル付きHHK」。 流石。 |
●WonderWitch起動!
で、WonderWitch(開発中)を見せて貰ったわけですが。 まず、WonderSwanの電源スイッチを探しました。(笑 ロクに触ったことがないのですよ。>WS ランチャーのリストには「ps」や「ls」等見慣れた名前が。 その他にも、BSDのモノを片手間で2日で移植したという 「snake」なんかも弄らせて貰いました。 「高校の時、授業中に、話も聞かずにrogueとか やってたんですよ〜」とか、「ピコピコしたゲーム」の話も少々。 「なんだかUNIXっぽいですね」と言ったら、 「UNIXじゃなくて、*FreyaOS*です」とのこと(笑 で、ランチャーというか、OSの上の皮の方ですが、 ファイル転送時に進行状況表示バーが出てきたり、 表示形式が、用途に応じて何パターンかあったり、 しっかりプルダウンメニューみたいなモノも出せて、 なかなかGUIしてました。 暫くして佐藤さんが、 「printf()動かねぇ〜」とデバッグに苦しみ始めました(苦笑 |
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●そして核心へ……
その後、WS&WW及びFreyaのポイントについて、 いくつか教えていただきました。
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●考察
ここでいくつか思ったことを。 コンパイラは、LSI-C 86 for WonderWitchとTurbo C 2.0が同梱されてくるわけですが、 処理系の癖として、LSI-Cはサイズ、 Turbo Cは速度の方に強く最適化されます。 (あくまでも、MS-DOS上で、DOS用バイナリを吐かせたときの話ですが) コンパイルはTurbo Cの方が高速なので、上手く使い分けるのが良いでしょう。 あと、この2つの処理系では、浮動小数点の扱いが多少違うハズなので注意かも。 (どの辺が違うかは、私の日記を参照) 詳しい話はまだ出来ませんが、 OSとしてのFreyaOSの技術的な水準はかなり高いです。 佐藤さん曰く「安すぎる、苦労に見合ってない」(笑 ゲーム開発者ならずとも、プログラマなら一度は見ておくべきかも。 |
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●ちょっと難しい話
お話の中でインパクトが強かったのは、 佐藤さんの「ポケコンのゲーム」の話。 「学生の頃に、ポケコンでゲームを作ったのよ。「 面白いゲームとは創造主にさえ未知の喜びを与えてくれるものだ」 (富樫義博「レベルE」)という台詞を思い出させてくれました。 ハードウェアの制限が有れば有る程燃え上がる、 プログラマ魂のなせる技というか。 「で、384KB全部プログラムで埋めろって言ったって、これが「WonderSwan、WonderWitchが一つのテーゼになる」という 言葉の意味なんじゃないでしょうか。 「nethack」はグラフィックやサウンドを一切使っていないけれど、 「不思議のダンジョン」に自由度で勝っている。 「弟切草」の中核はテキストとプログラミングされた画面エフェクト、 それとちょっとしたサウンドだけなのに、 システムがそれを面白くしている。 そもそも、囲碁、将棋、リバーシ、麻雀なんかは、 サウンドもグラフィックも全然関係ないのに、 あんなに面白いのは何故なんだろう? ゲームの面白さとデータ容量に相関性はあるのか?という話。 この辺については、多くの場所で議論が交わされいるでしょうから 省きますが、この議論にWS、WWが一石を投じるのは確かでしょう。 また、この辺の事に関しては、 「 コスティキャンのゲーム論」 という文書を一度読むことをお奨めします。 読みやすい文章で、ゲームという概念の基本が良く判ります。 ちなみに、ゲームのサイズという話ですが、 FC「MOTHER」(任天堂) がちょうど384KB位です。 「容量が小さいのなら、プログラムを圧縮して、つまり、「DIET」を自分で組んでしまえ、ということなんですが、 実は、こういうことをするのにもってこいな機能(?)が、 FreyaOSには付いています。 これもまだ詳しくは言えませんが、はっきり言って面白いです。 |
●ユーザー同士の交流について
「ユーザーの交流サイト、例えば「バンやろ」で言えば 「メンバー募集」みたいなのは、 どういう風にしていくんでしょうか」という私の質問に、 「ん〜、それが一番心配なんだよね〜」と園田さん。 「やっぱり、せっかくユーザーがゲーム作ってとのこと。 二人が「せっかくだから、君らがやってよ〜」みたいな目で こっちを見ていたのは気のせい?(苦笑 |
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●「WonderSwan」というハード
そして、どちらが言っていたか忘れましたが、 WSのハード的な魅力について。 「それにしても、これ(WS)が5000円で買えちゃう、ちなみに、1.5Vの単3電池(マンガン)は、 新品の状態での起電力(電圧)が1.6V位で、 暫く使ってるとこれが0.8V位まで落ちてきます。 この状態でもWSは普通に動き続けています。 最近のCPUの駆動電圧が大体2V強ですから、これだけでも、 WSというハードの技術的水準の高さが判ると思います。 「スペックは10年くらい前のマシンと同じで、昔のデモコーダが、80286の16MHzで、60FPSで、 影付きポリゴンをどうやって表示するか、試行錯誤していた頃の コードを流用したりするのが必然になるというか。 このハードの上でDEMOを作ってみると言うのも面白いかも。 |
●奇術師に不可能はない
「このハードで出来ることは、いろいろとお話を聞いている中で、 お二人が一番自信を持っていたのが、この「自由度」でした。 まさに 「奇術師に不可能はない」という、 ヒソカ(富樫義博「HUNTER×HUNTER」)の台詞通り。 とにかくハード、OSの両方を、とことんまで弄り倒すことが可能です。 喩えるなら「WonderWitchは、広大で肥沃な未開拓地である」 といったところでしょうか。 やろうと思えば、そこを畑にすることも、ビルを建てることも、 50万都市を造ってマリオの銅像を建てることだってできるわけです。 期待はまず裏切られないと思います。入手してから驚いて下さい。 |
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●しなきゃいけないこと
「これを使って、俺達が普通に思いつくような事をやっても、別に、WonderWitchで作るのは、ゲームじゃなきゃならない訳じゃない。 スケジューラや表計算ソフトやエディタを作って、 WSをPDAにしたって構わないわけです。 とにかく、私達がしなきゃいけないことってのは、これを使って、 凄いモノを作り上げて、「容量だけで中身はすかすか」なゲームを 作ってるようなメーカーをぶっ叩いて、 この業界をもう一度浄化する、って事ではないでしょうか。 見かけ倒しではなくて、純粋にゲームとして面白いか、という所で 勝負する事が必然になってくる携帯ゲーム機の世界なら、 私達にも勝ち目は充分あるわけです。 「 この世を本当にましなモノにできる」、つまりそう言う事。 |
●この男たち、職人につき
お二人の話を聞いていて思ったのが、 やっぱり「職人」だな〜って事です。 とっても良い仕事をして、その仕事に自信を持っていて、 その仕事が実力に裏打ちされたもので、とっても格好いい。 「インディーズバンドみたい」ってのは、まぁ、 その風貌から(笑)ってのもあるんですが、 やっぱり、周りに迎合されるだけのモノじゃなくて、 自分の信念っていうベースがしっかり確立されてて、 その上で仕事をしてるって言うか。 ん〜、なんっちゅーか「漢」って感じです。 |
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●開発者じゃない人たちへ
私が「WonderWitch発売」の話を聞いて思い出したのが、 PC-98X1用のフリーウェアで遊んでた頃の事。 その頃は、私もまだパソコンを弄り初めて少し経った位で、 プログラミングなんか出来るわけもない、ほぼ完全な素人でした。 やっとパソコンを買って貰ったくらいのその頃、 Niftyからゲームを見つけてきて、それで遊んでたんです。 で、ちゃちな作りのゲームばかりなのに、面白いのが沢山あって、 新しく面白いモノを発見したときに、もの凄い嬉しさがあったんです。 玉石混合なのは確かだけど、その中には確実に「玉」があって、 それを探す楽しみが、市販ゲームにはないものとして有ったわけです。 要は、ゲームをするまでが宝探しゲーム、みたいなもので。 ゲーム開発をする/しないに関わらない、市販ゲームにはない WonderWitchの楽しみ方ってのは、多分この辺に有るんじゃないでしょうか。 開発者とプレイヤー、形は違えど、どちらの側から見ても、 「探求」とか「探索」とかいったものがそこにあるわけです。 |
●まだ開発者じゃないけど、開発者になりたい人たちへ
(「開発者じゃない人たちへ」から続けて読んでね) で、見つけてきたゲームをプレイしていて、暫くすると、 「〜だったらいいのになぁ」という不満みたいなモノが、 やっているゲームに対して出てくると思うんです。 それこそ、見栄えが悪いとか、音楽がつまんないとか。 (私の要求水準はあまり高くなかったので、これはなかったのですが(苦笑) そう思ったら、その作者に連絡を取ってみて下さい。 E-mailでも、掲示板でも、方法は何でも構いません。 その時、もしかしたら、「じゃぁ、どこをどうしたらいいか教えてよ」とか、 「作曲できる? 出来るんなら、作ってくれると嬉しいな」とか、 そういう返事が返ってくるかも知れません。 そうなったら、そこがソフト開発への入り口です。 ソフト開発と言うけれど、最初から、なにも自分だけで、全部一人で 作る必要はありません。 料理を作るのと同じで、まずは誰かの、簡単なお手伝いから始めて。 暫くしたら、隠し味は何か、教えて貰ったり出来るかも知れません。 #それこそ「ソースを見て」学べるかも、って事です:-) さらに暫くすると、自分の手でこのゲームを弄ってみたい、 プログラムに自分で手を加えて、もっと面白いモノにしたい、 そう考えるようになるかも知れません。 プログラムの勉強、C言語を「Hello, World!」から始めたりするのは、 そのときで構わないんです。 むしろ、必要性が生じた、こういうときの方が勉強がはかどるのは 間違いないと思います。 そして、その後、自分が本当に何か作りたいと思ったとき…… もしかしたら、すばらしい道がその先に続いているかも知れません。 |
●もう開発者な人たちへ
もう開発者な人たち、WonderSwanでゲーム作ってやろうと、 手に唾して待ってる人たちにお願いがあります。 どうか、そのゲームのソースコードを、 出来る限り人目に付くところに置いて貰いたいのです。 あなた達の中にも、雑誌に載ってたBASICのゲームをせっせと打ち込んで、 そこから現在に至っている人が居るんじゃないでしょうか。 これからプログラムを勉強して、何かやりたい、と思う人にとって、 ゲームのソースというのは、K&Rにも負けない教科書の一つなのです。 WonderWitchが開いてくれた、ゲーム開発者になる道を、 もっともっと広くする、そのお手伝いをして貰いたいのです。 それから、もう一つお願いが有りまして。 このゲーム業界に、バザール方式の開発モデルを持ち込んで頂きたいのです。 商用ソフトの世界でMicrosoftを 脅かした(そして一部では打ち負かしている)、 その力を持ち込めば、きっと何かが変わる、その原動力になるはずです。 是非「伽藍とバザール」 を読んでいただきたい。 ついでに、暇があるなら(無くてもなるべく)、 「ノウアスフィアの開墾」 「魔法のおなべ」 こっちも読んでいただきたい。 #「Netscape (もしくはmozilla)はダメだったじゃん」と思った方へ。 #あれはオープンソースにする事じゃなくて、Netscapeがマズかったんです。 #「対象がブラウザだった」って辺りが特に。 #詳しくは 「ハロウィーン文書」 にちょっと出てます。 この力を持ってすれば、きっと何か大きいことが出来る。 それだけじゃなくて、現在の、いわば悪い意味でLawfulなこの業界を、 良い意味での(しっかりとした「淘汰」がある)Chaoticな状態にできる。 ゲームの内容自体は勿論、流通構造とか、それこそ開発形態とか、 そういったいろいろなモノまでを、「淘汰によって自然と良いモノになる世界」に、 もしかしたら出来るんじゃないかと思うんです。 上のESRの名文(そして山形氏の名訳:-))を読んでみて、「悪くない」と思った方、 「ソースを公開する」だけで良いんです。 もしかしたら、誰かがバグを取ってくれるかも知れないし、 もしかしたら、誰かが開発を手伝ってくれるかも知れないし、 もしかしたら、誰かが洗練されたテクニックを伝授してくれるかも知れません。 「自分のソースは汚いから……」と尻込みしている方、 私が言うのも何ですが、それはまず絶対に損です。 「ソースが汚い」なら、直さなきゃならない。 それを直す機会ってのは、なかなかやってこないと思うんです。 ソースを公開するってのは、その機会を増やすことだと思うんです。 きっと、自分自身の技術向上に役立つと思います。 どうかご協力お願いします。 |
●最後に
さて、このWonderWitchの発売まで後1ヶ月半?と言ったところ。 パラダイムシフトの波は、もうすぐそこまで来ています。 その後のパラダイムを作っていくのは、きっと私達自身なのです。 |
●IDLE TALK: 閑話休題
あまりに有意義なお話を聞きまくってしまったために、 豊橋駅から豊橋技科大へ出る最終バスの時間に 間に合わなくなってしまい、 結局たかぼー邸に泊まっていったのでした。 PC-9821Ra266、KENWOODのコンポ(KENWOOD派>私)、 SC-88Pro、SC-8850、MU2000が並ぶ様は圧巻。 たかぼーはキーボードで「ためいき」弾き出すし。 Key.弾ける人って羨ましいです。 ちなみに彼の家には、「野菜生活」(カゴメ)が 常備されているようです(笑 その後、今まで一度もやったことがなかった PS版「ToHeart」をプレイ。 あかりを狙って雅史エンド。無惨(爆 どうやら、別で追いかけなきゃならない娘が、 1人から2人に増えたらしいですな。 せっかくだから、PS本体ごと帰りに強奪してきました。 途中、名豊ミュージックにてPsychesia「GO!」を入手。 やっぱり、浜松のショップには多く置いてあるようです。 最終的に、4:00PM技科大着。その後1:00AMまで、 化学の宿題(翌月曜日提出)に追われていたのでした(笑 |
●ちなみに
「WonderWitch」に関しての記事が、 「C Magazine」 '00 7月19日号〜に載るそうです。 この雑誌は高いので有名(たしか\1500)なんですが(苦笑)、 本屋で見つけたら見てみて下さい。 |