ウォーターバー
フォトエッセイ

No.019 バリ島にて(その3)
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バリ島といえば照りつける太陽、波打つ海、海よりそよぐ浜風、その風にゆれる椰子の木、星の降りしきる夜空、島々を飾る花々、水平線に沈み行く夕陽など、美しいものを数え上げればきりがない。
まさに「楽園」と呼ぶにふさわしい。
その美しさは幾千万の言葉を紡いだところで十分に伝えるのは困難である。
「美しい!」の連呼はここまでにして、今回はバリ島の「食」にスポットを当ててみたいと思う。

バリ島の「食」と聞いて皆様は何を思い浮かべるであろうか。魚介類、香辛料、フルーツ、といったものが挙げられるであろうか。

今回口に出来た魚介類はロブスターと白身魚。
白身魚は焼き物として、また野菜と煮込んだカレーとして食することができた。
味は繊細なものではなく、大味(もっともこれは調理法に負うところが大きいように思うが)。
焼き物はパサパサしていて、正直美味いと膝を叩くほどのものではなかった。
美味かったのはカレーのほうである。
鯛のような舌ざわりと南国独特の香辛料の利いたカレーには、深い魚の旨みが溢れ出していて箸を止める暇もない。
勢いあまって極辛の唐辛子をまるごと食べてしまい死ぬ思いをしたほどである(^◇^;)。
ロブスターも身がぷりぷりしていて美味かった(こちらも調理次第か。カミサンの方は火が通り過ぎていて硬かった;)。
加えてバリ版「エビチリ」を食べたが、これはチリソースに魚醤だろうか、四川料理のエビチリとはまた違った美味さがあった。

島のどの地域でも牛を見かけることもあり、肉類も豊富のようだ。
味付けには基本的に香辛料を使用する。
市街のマーケットを見ても、唐辛子、香草、ペッパー、その他見慣れぬ香辛料が所狭しとものすごい量が売られている。
ベースはやはりインドネシア料理だ。
地理的要因から、中国やインドの影響をものすごく受けているように感じられる。
香辛料ということでは違うものではあるが、「バリコーヒー」の固有名詞を持つように、コーヒーがものすごく美味い。
あの十分にローストされた深みのある豆の味は、日常アメリカンコーヒーになれた喉にはいまさらながら新鮮でもある。

一方、色鮮やかで見た目も香りも楽しめるのはやはりフルーツであろう。
マンゴー、マンゴスチン、ドリアン、オレンジ(バリでは「ジュルッ」というらしい)、スイカ、メロン、パパイヤ、バナナ、etc..。
変り種として口に出来たのは、ナンカ、サラック、マルキッサ。
ナンカは「大きなフルーツ」とのことだが実物は見られず、いわゆる「房」をいくつか食べることが出来たが、とうもろこしの粒を巨大にしたような形でとても甘くジューシー。
サラックは別名「スネークフルーツ」と呼ばれ、りんごのような食感を持つがどことなく剥いた実はニンニクにも似ておりユニークだ。
マルキッサは見た感じがオレンジにも似ているが、実を割ると中に蛙の卵のような実が詰まっており、ぷちぷちとした種の食感が面白い。
甘く美味しいのだが、やはり見た目が蛙の卵というところにものすごく抵抗がある。

番外編で今回ヒットだったのは「スイカジュース」。
バリでは椰子の実よりもスイカ売りの姿を多く見かける。
「なぜスイカジュースというものが日本にはあまり存在しないか?」
これは我が家では長年の大きな疑問であった。
なぜあれほど水分をもった甘い食べ物はないのに、ファンタ(スイカ味)とか、スイカ100%ジュースとかが市販されているのを見かけないのか。
バリ島で飲むことが出来たこの「スイカジュース」がひとつの答えを出してくれた。
日本のスイカにはあたりはずれが多いのではないか。
甘いのもある一方で、スカスカでまずいスイカにあたることも多い。
バリ島のスイカジュースは「甘いスイカ」のみを絞っているような味で、スイカを「食べた」ような満足感が残る。
この甘いスイカジュースをつくるには、バリ島の恵まれた自然が必要なのであろう。


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