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フォトエッセイ

No.022 【書評】秋の夜長に
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久方ぶりですが、書評です。
我ながらここのところ読んでいるものが歴史物に偏ってしまっているのが傷ですが。
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★★★★★・・・大絶賛!絶対にお勧め!
★★★★ ・・・読んで損無し!
★★★  ・・・暇つぶしに
★★   ・・・もう一歩
★    ・・・くだらん!
無印   ・・・時間の無駄
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・「楽毅(1〜4)」宮城谷昌光 新潮文庫
★★

三国志の名参謀・諸葛孔明が幼少時より憧れた中国の宰相の人生。
確かに戦争や政治の能力が高いということはわかるのだが、結局運命に翻弄されて主(あるじ)を変えてゆくところは、日本人の「忠誠の美」に反するところもありいただけない。
史実を元にしているため止むを得ないことであるが、今ひとつラストシーンにも華がない。
作者・宮城谷氏の歴史観および文献調査発掘に対する真摯な態度に★2つ。

・「日本の秘密兵器(海軍編)」
★★★

以外に知らない旧日本軍の兵器技術の数々。
「酸素魚雷」「回天」「秋水」・・・あなたはいくつ知っていますか?
もちろんこれらは人殺しに使用された(敵にとっても見方にとっても)兵器であるため、手放しでは褒め称えられないが、これらの技術が戦後の日本の復活に大きく寄与した事実も否定できない。
この点を含めて戦後日本の経済発展との関係を盛り込んでもらいたかった、と思うのは贅沢であろうか。
別冊に(陸軍編)もあるがこちらの方がおもしろいであろう。

・「峠(上・下)」司馬遼太郎 新潮文庫
★★★

名作「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」の間に書かれた作品。
主人公は河井継之介という全国的にはほとんど無名に近い長岡藩の家老。
司馬僚太郎渾身の1作であり、いつもながらその文章・物語の運び方には心酔させられる。
しかし、この物語のラストシーンには賛否両論あるであろう。
否定してしまえば主人公の選定を誤ったということになり、物語の根底を否定してしまうことにつながるのであるが。
読んですぐはこの主人公にものすごく共感したのであるが、しばらくするとものすごく腹が立ってきた。
理由を詳しく述べるとネタばれになるので、語れないのが少し悔しい。

・「バトルロワイヤル(上・下)」高見広春 幻冬社文庫
★★★★

今回唯一のフィクション。
映画化もされもう読んでいる人も多いと思うが、このたび文庫化。
暴力シーン多く、理不尽なストーリーなので良識ある方には絶対に勧めませんが、このストーリー展開に耐えられる方は一気に最後まで読まされてしまうのは必至。
余談であるが映画の中で坂持金発をビートたけしではなく、おそらく当初イメージどおりの武田鉄也がやっていたら、今頃「3年B組金八先生」は今後違ったイメージのドラマとして人々の記憶に残ることになったであろう(「こら!カトー!」などと言って、チョークのかわりにナイフが加藤に突き刺さる)。

・「ローマ人の物語(1〜7)」塩野七見 新潮文庫
★★★★★

前述の第2次世界大戦史と同様に、以外に知らないローマ人の物語。
ローマの成り立ちを時系列で追ってゆくと、これまで見えなかったローマ人のルーツが明らかになると同時に、古代の人々の知恵が現代人に決して劣らないという事実を発見できるであろう。
「戦争というものを通すとその国がよく見える」と筆者自身語っている通り、ローマ戦史の記述も詳しい。
ハンニバルとローマ人たちの攻防戦は必読!
これでローマに興味を持った方はギボン「ローマ衰亡史」へ進むべし。
戦史に触発されローマ人になりきりたい方はMicrosoft「エイジ・オブ・エンパイア」(PC Game)をプレイしよう。

漫画はないのか!という人のために・・・
・「ブラックジャックによろしく(現在第2巻まで)」佐藤秀峰 講談社KC
★★★★★

近いうちにきっとドラマになるだろう。
「ブラックジャック」とはまさに手塚治虫の「ブラックジャック」のことを意味している。
そのタイトルから分かるように、これは医者の話である。
「1日平均労働時間16時間」
「月給3万8千円」
研修医の現実を前に現在の日本の医療実態と理想の間で苦悩する主人公。
熱い!久しぶりに熱い作品に出会えた。
第3巻は2002年10月発売。

・「機動戦士ガンダム THE ORIGIN(現在第2巻まで)」安彦良和 角川コミックスエース
★★★★

言うまでもなくあのガンダムのキャラクターデザイナーが描く漫画。
「エヴァ」同様単なるアニメの焼き直しかと思いきや、面白いことにザクなどマシンの書き込みにひと工夫してある。
ストーリーはこれまでのところアニメと同じ。
今後の展開への期待に+★ひとつ。

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