TVチューナー付PC(TVPC)の普及に従って、録画した映像ファイルがハードディスク(HDD)を圧迫し始めた人も多いのではないだろうか。 これまで扱ってきた文書ファイルや画像ファイルは、せいぜい大きくとも1ファイル数MB(FD数枚分)程度であったのだが、動画ファイルは1ファイル数十MB〜数GBに及ぶため当然の成り行きである。 昨今、いくらHDDの大容量化が進み価格が下がったとはいえども、1ファイル2GB近い動画データを保存してゆけばディスクに空きがなくなることは必至である。 ![]() ※昨今は保存しておきたい番組も増えた。 PCに取り込んだMPEG2ファイル:NHK「プロジェクトX」の1シーン。 この状態を避けるためには、 削除@こまめにファイルを削除・整理する 保存A外部メディアに退避・保存する Bファイル自体に圧縮をかける といった方法が挙げられる。 せっかく録画した動画データなのだから、よほどに保存価値のない映像以外は保存しておきたいもの。 とするとAかBを選択することになるがAの外部メディア(外部媒体)については、別稿に譲ることとする。 Bのファイル圧縮であるが、一般にデジタルビデオ(DV)で撮影した動画データについてはAVI形式(非圧縮ファイル、拡張子:avi)、TVチューナーなどで取り込んだデータについてはMPEG形式(圧縮ファイル、拡張子:mpg、m2p(※)MPEGと一口に言っても、 (A)ビデオCDに使用されるMPEG1 (B)DVDに使用されるMPEG2 (C)ネット配信に利用されるMPEG4 といった種類がある)であるのが一般的である。 しかしながら、これらの動画ファイルは圧縮ファイルであるMPEG2形式でも30分で2GBと巨大である。 いわんやAVI形式での保存は容量上困難である。 MPEG1形式はファイルサイズは小さいのであるが画質が劣り、MPEG2は画質は美しいがファイルサイズが巨大となるため、通常は画質及びファイルサイズのバランスの取れたMPEG4形式を使用することとなる。 現在このMPEG4形式の主流としてさらに (a)Divx形式(現在、最新版はVer5.02) (b)MS-MPEG4形式(現在、最新版はV3。ただしMicrosoftは配布を停止している) (c)Xvid形式 などがある。 一番圧縮率が高く、ファイルサイズの割には高画質になるので最も人気の高いのはDivx形式であるが、このファイル形式を使用して圧縮を行うためには専用サイトから専用のコーデックと呼ばれるものをダウンロードする必要がある。しかしながら、このコーデックは有料であり、無料で使用できるものもあるがネット接続のたびに広告が画面表示されるようになるアドウェアをインストールされるのが難点である。 従って、ここでは(b)MS-MPEG4を使用する。 このMS-MPEG4のコーデックは、バージョンにもよるがWindowsMediaPlayerに標準装備されているので、改めてインストールの必要もなく使いやすい。 Divx形式に比較してもその結果には遜色はないであろう。 (※)ソフト、チューナーによっては拡張子が異なっているものや、*.mpgとなっていてもファイル形式の違うものがあり読めないものもあるので注意。 AVI形式→MPEG2形式は市販ソフトなどで変換が出来るため、ここではMPEG2形式からMPEG4形式に変換する手順を説明する。 この変換についても市販ソフトが存在し、簡単な設定とボタンひとつで変換を行ってくれるものがあるようであるが、今回使用するソフトは全てフリーソフトである(ただしその分手順が面倒であるが一方でDVD→MPEG4やDV→MPEG4など応用が利く利点もある)。 使用するソフトは以下の通り。 @DVD2AVI A午後のこーだ(音声を圧縮する場合) BAviUtl 0.98d ※以上はすべてネット上で入手可能 簡単な手順は次のとおりである。 (1)まず用意したMPEG2ファイルを@を使用してd2v形式ファイルと音声データaup形式ファイルとに分割する。 (2)aupファイルをAを使用してMP3形式のWAVファイルに変換する。 (このステップは音声圧縮なしであれば不要) (3)出来上がったd2vファイルとWAVファイルをBに読み込み編集・フィルタ(ノイズ削除など)をかけて動画の圧縮にMPEG4を指定し変換 これで20分のMPEG2(1.7GB)のデータがMPEG4(260MB:640×480dpi)のデータに圧縮された。画面サイズを352×240dpiにしたり、画質をもう少し落とせば50MB程度(1枚のCD-Rに12話前後保存可能)までは落とせる。 出来上がりの画質や条件、マシンスペックにもよるが、(1)で数分、(2)で数分、(3)で再生時間の倍(30分の動画なら1時間)程度の時間を要する(Pentium4/1.6GHz、メモリ512MB)。 (3)の工程は凝れば凝るほど画質もよくなるようである。ここのところは「インターレス解除」「フィールドオーダー」「fps」など専門用語も多く、設定のノウハウもあまり出回ってはいないので、一般ユーザーは標準設定で問題があれば多少設定変更する程度で十分であろう。 こうして出来上がったファイルは、CD/DVD-Rなどに保存すれば省スペースで保管することが出来る。 ノートPCなどに入れて場所を選ばず見ることも可能である。 ただし、単にCD/DVDに”データ”として保存した場合は、DVDプレイヤーなどによる動画再生は出来ないので注意。DVDプレイヤーで見れるようにすると圧縮したファイルが元のサイズに戻るため、PCで見るということに特化できるのであれば”データ”で保存するほうがいいだろう。 |