2009/12/24
後発白内障でしばらく本が読めませんでした。22日に手術をしてきました。
2009/12/24
16日に赤十字病院に行きました。やはり後発白内障でした。手術日を22日にしてもらい手術 をしました。レーザーによる水晶体の後側を取り除きます。痛みはありませんが、手術後は瞳孔が 開いていてまともに見えませんでした。翌日、綺麗に見えて新聞も楽に読めるようになりました。 しばらく本も読めなかったのですが一安心です。
2009/12/11
右の眼が見えなくなってきました。だんだん悪くなってきたのでしょうが、この一ヶ月、特に字を 読むのが苦痛になってきています。朝、新聞が読みづらくなってきて気がつきました。本も新聞も 読めなくなってきているので、これでは仕事にならないので、かかりつけの眼科で相談しました。 診察の結果、後発白内障の疑いがあるということです。去年3月に白内障の手術して貰った高松赤 十字病院の先生に紹介状を書いて貰いました。病院から予約をして貰って取れたのが16日なので、 会社を休んで行くことにしました。後発白内障ならレーザー治療で比較的簡単に視力が戻るそうで すが・・・。
2009/03/09
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2006/03/24(閑話休題・韓国ドラマ2・映画)
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2005/09/13(閑話休題・韓国ドラマ)
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最近のお勧め本
桐野夏生「柔らかな頬」
読み返したい本
篠田節子「神鳥−イビス」
夢枕獏の「東天の獅子 天の巻・嘉納流柔術」全4巻を読みました。古流柔術の達人達から講道館の四天王、
嘉納流の創設、大東流の武田と関係等色々と柔術の世界が描かれています。全4巻あわせてやっと1冊分、
これに10年かかったということです。地の巻にあと10年では読み切れそうにありません。
荻原浩の「ママの狙撃銃」を読みました。主婦がスパイナー、とくればコメディかと思って読み始めると、なん
と重いこと。少女時代アメリカの祖父に育てられ射撃や身の守り方について10年以上教わってきた彼女が、祖
父の死後日本に戻ってきます。その祖父の裏の仕事は暗殺者でした。彼が死の床についたとき、少女は彼の最後
を安らかに過ごせるように、彼の過去の仕事の証言者を暗殺する仕事を引き受けます。この暗殺で得た金で日本
での生活ができました。平凡な夫と2人の子供と暮らす彼女に「暗殺」の依頼が入ります。彼女は分解して隠し
持っていた狙撃銃を取り出します。あとは金で人を殺す殺人者の話です。子供のいじめ問題もでてきますが、そ
れも銃で解決します。後味の悪い本でした。
まきのえりの「ラブファイト 聖母少女」を読みました。美貌で英才、喧嘩も抜群に強い彼女に守られ、そのせい
で他の男子生徒にいじめられ続けた高校生が、彼女から解放されるためにボクシングを始めます。彼女も彼のボ
クシングジムに入り、スーパーガールのできあがりです。彼と彼女のラブストーリーと、彼らを取り巻く人々の
物語で、上下2巻でしたが一気に読み終わりました。背景描写の少ない文章で、時に誰の台詞か迷うことがあり
ました。又、ボクシングを精進して強くなっていく二人ですが、途中からスーパーマンとスーパーガールに変身
していきます。あまりにも非現実的な強さになっていくので、この小説がSFかファンタジーのジャンルに入る
ものだと気づきました。映画になっていて昨年末公開されているので、ビデオがでたら借りて観てみようと思っ
ています。
海堂尊の「螺鈿迷宮」を読みました。この本は「ナイチンゲールの沈黙」と一緒に購入しました。主人公は不運
続きの留年を繰り返す、怠惰な医学生が、幼なじみの新聞記者からある病院への潜入依頼を受けてはじまります。
舞台は今までのシリーズ同様の街。作者の文体は軽快でコミカルではあるのですが、内容は現代医療から単に経
済的理由からスポイルされつつある終末期医療と死亡時解剖という重いテーマです。
海堂尊の「ナイチンゲールの沈黙」を読みました。「チーム・バチスタの栄光」の病院、登場人物設定のシリーズ(?)
の2作目です。愚痴内科の先生と厚生労働省の型破りの役人に、新たに型破りキャリアが加わり、 コメディタッチに
話は進みますが、小児内科の眼球摘出手術を待つ少年の父親が殺されてからは異様な世界に入っていきます。歌声を
聞くと映像が浮かび上がるというのは井上夢人の「オルファクトグラム」の世界ですね。
バローズの「火星シリーズ」を読んでいますが、合間に「P.S.アイラブユー」を読みました。ひろ子さんが映画
に行って次回上映作品のパンフレットを貰ってきていて、その紹介内容が面白そうだったので原作を買ってきて読み
ました。やはり翻訳物は文章に魅力がありません。翻訳者の責任なのか、原文の感性が私と合わないのか・・・。ス
トーリー自体は面白く読めるのですが、読後感に余韻が残りません。
文章に飢えて、篠田節子の「聖域」を買ってきて読みました。未完の原稿を見つけた編集者の著者探しの話です。文
中に小説がある、ある意味非常に難しい設定ですが、最後まで一気に読ませてくれます。
エドガー・ライス・バローズの「火星シリーズ」全11巻がアマゾンで合本4冊の復校版で出ていたので購入し
ました。このシリーズは高校時代に読んだのですか、なんか今になっても時々思い出す本でした。何の気なしに
検索したらヒットしたのでつい注文をしてしまいました。届いた本は3冊分を一冊にした分厚い文庫本で、活字
も今の文庫本に比べて少し小さいような気がします。土日に読み始めました。40年前に読んだ本ですが、読ん
でいると不思議なことに思ったより内容が記憶に残っています。翻訳も多少古いような感じですが、冒険活劇で
気楽に楽しめます。
この3月4日と7日に手術をしました。この1年ほど右目の視力が極端に落ちてきて、矯正視力で0.1が見えなく
なりました。本を読むのもままならず、感想文をパソコンで記述するのも苦痛でした。仕事に支障を来すようになっ
ていたので1月のはじめに近所の眼科で調べてもらいました。結果は老眼ではなく「白内障」とのこと。私の場合、
その病院では手術ができないということで日赤の眼科に紹介状を書いてくれました。会社を休んで、1日かがりで
検査をしてもらい、手術の日取りも決めました。2月の初旬に会社の事務所の引っ越しがあるので3月にしてもらい
ました。以下、手術やその後の経緯です。
2008/03/08
白内障の手術が両目とも終わりました。4日の右目は11時半から30分間の手術でしたが、前2時間1O分おきに瞳孔が開く目薬を差し続けなければなりません。手術が終わって点滴をしつつ2時間の処置室で安静が終わって帰宅となります。手術は眩しい光のなかで幻想的に行われました。昨日の左目の手術は午後1時半からでした。今回は2回目なので多少ゆとりがでて、手術前の血圧は若干下がっていました。また、手術の内容も落ち着いて観ることができました。途中、出血を何度も洗い流す様子や、最後にレンズの挿入して位置の調整をして傷口を塞いでいる様子も眩しい視界のなか分かりました。
今日、土曜日ですが眼帯が取れました。これで左右とも眼鏡なしで生活ができるようになりました。後、視力が落ち着いたら免許証用に眼鏡を造ろうと思っています。小学校2年から眼鏡をかけ始めて50年、矯正視力も0.8以上でたことがなかったのが、レンズを眼に埋め込む手術によって1.2まででるようになりました。恐るべし現代医学。
昨日、左目の検査と視力検査をしました。左右とも順調とのこと。矯正視力は左目も1.0まででるようになっていました。一段落したらしく次回は約1ヶ月後の4月7日の検診になりました。
会社も久しぶりで、仕事がきちんと溜まっていてくれました。9日の午前中、出勤して片づけをしていたので少しは助かりました。
眼鏡なしの生活には、なかなか慣れません。今までと物の大きさが随分違って見えるので、つまずいたりぶつかったりします。2,3ヶ月で視力も落ち着くということなので、それまでには現在の状況に慣れるということも含まれるのでしょう。
乃南アサの「駆けこみ交番」を読みました。「ボクの町」(2002/04/25)の続編になります。
今回は前回の実習での交番勤務ではなく正式の交番勤務での出来事が短編式に綴られます。
彼のファンになった老人達「とどろきセブン」との交流のなか色々と事件が起こります。楽
しく気楽に読めます。
三浦しをんの「風が強く吹いている」を読みました。大学の近くのボロアパートに住む
10人が箱根駅伝を目指す話です。9人の独自キャラクターの住人に10人目の入居者が加わり、
10人のうち7人がそれまで陸上競技に縁の無かったメンバーで駅伝に挑みます。足の故障を持
つリーダーのもと1年後の駅伝を目指して過酷で厳しい練習が始まります。何のために走るのか
・・・。長距離ランナーに求められるものは「速く」ではなく「強く」ならなければならない・
・・。こういうスポーツ根性もの?的な小説は、なんか久しぶりに読んだ気がします。
小杉健治の「父からの手紙」を読みました。子ども達を溺愛する父が母と離婚して家を出てい
きました。行方知れずの父から毎年誕生日に姉と弟のもとに手紙が届きます。10年後、家族
同然の親子の工場を救うため結婚する事になった姉の婚約者が殺害されます。そして姉の結婚
に強く反対していた弟が容疑者になります。同時進行で義姉の為に刑事を殺害し9年の刑を終
えて出所した男の物語が進みます。姉弟と彼の話が父の失踪と繋がっていきます。一気に読ま
せますが、読後がやるせなくなりました。
綾辻行人の「最後の記憶」を読みました。このような内容が「ホラー小説」のジャンルになる
らしいです。若年性の認知症、それも記憶が無くなって行くにつれて頭髪が白髪になっていく
特殊な病にかかった母。彼女の記憶は最近のものから順序よく消失していっています。その彼
女に最後に残るのは幼い頃の閃光のもとバッタの飛び交う音のなか惨殺されていく子ども達の
記憶・・・。最後まで残るのはその恐怖の記憶のみ。彼は彼女の姿を目の当たりにして遺伝に
よる発症の恐怖で精神が追いつめられていきます。又、彼の幼い頃の記憶との関係は何なのか
・・・。
吉村達也の「心の旅」を読みました。山奥の問題児矯正施設に入れられた彼女は、ある日突然
自殺しようとしている女性の心に時間と空間を超えて入り込みます。風呂場で手首を切ったと
ころで元の身体に戻ってきます。次は難病で死の床に付いている少年の心に・・・・。そして
次は・・。この心の旅に何か意味があるのか・・。心からの「言葉」の大切さを伝えようとす
る物語です。割と短く短時間で読めましたが楽しめました。
志水辰夫の「行きずりの街」を読みました。91年のミステリー大賞受賞作で日本冒険小説協
会大賞受賞作ということで期待して読みました。高校を卒業するのを待って教え子と結婚した
ことでスキャンダルにされ学校を辞めることになった教師の話です。郷里に一緒に帰ることが
出来ず分かれた二人が、郷里で始めた予備校の生徒が東京で行方不明になり、探しに上京して
再会します。10数年前のスキャンダルの意味は・・・。前回読んだ「そのときは彼によろし
く」と正反対の感じの文体と誇張された感情の表現で私には多少違和感の感じる本でした。
市川拓司の「そのときは彼によろしく」を読みました。
ゴミ捨て場を秘密基地にして結びついた14歳の2人の少年と1人の少女。その15年後、少年
時代の夢をかなえてアクアプラントのショップを営む彼のもとに、アルバイト募集の張り紙に応
じて女性がやってきます。彼女が何者かも知らずショップ内での住み込みで雇うことになりまし
た。翌日、彼女が外国の映画祭でも助演女優賞を受賞したこともある有名なモデルだということ
を知ります。彼と彼女の会話、心の動き、そして2ヶ月前に結婚紹介所で知り合った女性とのデ
ートの様子等が軽快にユーモラスに書かれていきます。彼の80過ぎのユニークな父親の存在が
後半からクローズアップされていきます。2日間で2回読み返してしまいました。
朔立木の「死亡推定時刻」を読みました。地方大手土建会社社長の中学生の1人娘が誘拐されます。
身代金が要求され母親が刑事の運転する車で運びます。犯人の指示に従い指定場所を移動していき
ます。そして高速道路のトンネルを抜けたところで下の河原に落とすようにメールが彼女の携帯に
届きます。警察は犯人逮捕が困難とみて、母親に身代金の投下をさせずに通過してしまいます。翌
日、少女の絞殺死体が発見されます。身代金を渡さなかったために殺されたのか、それとも誘拐直
後に殺されたのか・・・・。偶然、少女を発見した青年はカバンから数千円の現金を抜き取り逃げ
て帰ります。ここから「冤罪作成過程」が克明に描かれていきます。一章読むたびに気が滅入り中
断してしまいました。後半、死刑が言い渡された青年の控訴を引き受けた若手弁護士の弁護行動に
移り一気に最後まで読みました。しかしながら・・・。
宮部みゆきの「名もなき毒」を読みました。知らずに大企業の会長の娘婿になった人の良い彼は、
会長の結婚の条件の一つ「社内報編集室」勤務しています。その編集室に採用したアルバイトが
問題女で、どうしようもなくて解雇します。しかし彼女の反撃は執拗で異常さを呈します。彼は
会長の指示で解決をまかされます。彼は同様なトラブルに巻き込まれた彼女の前の職場の社長を
訪問し、彼から元警察官の調査員を紹介されます。その調査員の住んでいる公営住宅を訪問した
彼は、その頃発生した連続毒殺事件の被害者の孫娘と出会います。解雇した女性とのトラブル、
そして、ついお節介を焼いた女子高校生の為に連続毒殺事件に関わっていきます。連続殺人に使
われた「青酸カリ」。そして・・心の中の毒の名は・・。この作家の文章は好きです。この作品
には前作があるようなのでそちらも読んでみようと思いました。
三崎亜記の「となり町戦争」を読みました。第17回小説すばる新人賞受賞作品で今月文庫化さ
れました。彼は町の広報誌でとなり町との開戦のお知らせを知ります。通勤途上の道路や皆の
生活にも変化らしいことはありません。ある日、広報の町民人口のお知らせに「戦死者」の数
が載っているのを発見します。そして町役場から「敵情偵察」の任務の辞令をもらい訳の分か
らないまま通勤途上の道路状況の報告を続けます。偵察任務も役場の戦争担当の女性との偽装
結婚による敵地での潜入偵察になります。戦争の実感は敵側の町の査察からの逃亡、協力者の
銃殺による死により重くのし掛かってきます。最初はユーモア小説のイメージでしたが読後は
暗澹たる気持ちにさせられます。
荻原浩の「四度目の氷河期」を読みました。田舎町に母親と住む少年の幼稚園から高校生まで
の物語です。少年は周りの普通の子供達と変わっていました。体つきや髪や目の色が違ってい
たので父親のいない特別な子だと噂されていました。彼は幼稚園の頃から外を走る衝動にから
れ異常な行動をとっていました。彼が、そんなみんなとは違う自分の父親を知りました。それ
は「アイスマン」。氷河期の生き残り「クロマニヨン人」。小学生の彼は「クロマニヨン人」
として生きる訓練に没頭します。そんな彼と仲良くなったのが父親の暴力を受け続ける少女で
す。彼らの成長と愛、そして母との愛が時にはコミカルな文章で読ませます。
伊藤たかみの「雪の華」を読みました。芥川賞作家ということではずれは無いだろうと中島美嘉
の歌と同じタイトルというだけの理由で買ってしまいました。読み始めのプロローグではまって
しまいました。クリスマスの日、交通事故で横たわる女子高校生。静かなシーンで携帯電話をわ
ずかに動く手でたぐり寄せ、架けた相手に話そうとするのですが・・・。本編は3年後の話
です。主人公は「共感覚」という特殊な能力を持ち、人の固有の「形」を視覚にとらえることが
できます。ある日、交通事故で死んだ彼女と同じ「形」を街中で視ます。追いかけると、かつて
彼女とつきあっていた親友と口論している女性にたどり着きます。同一のものは無いはずの「形」、
雪の華の「形」。彼ら3人は亡くなった彼女のことを調べ始めます。切ない哀しい人たちの物語です。
西田俊也の「love history」を読みました。天文台に勤める彼女は10歳年下のカメラマンと翌
日結婚式を挙げます。その前に過去の恋の清算の為に、捨てずに置いていた思い出の品々を処分
する事にしました。捨てに行く途中で雪のため事故に遭います。彼女は過去の恋人達のもとに音
楽をキーワードに次々とタイムスリップしていきます。彼女の恋人達の真の姿、そして切望する
変えたい過去。そして、彼女を捜し求める現在の彼。過去は変わり、現在も変わるのか?この作
品はシリーズになったそうです。
乙一の「暗いところで待ち合わせ」を読みました。この作家の作品は初めてでしたが良い作品でし
た。映画化されるようです。父を亡くし1人で暗闇に住む盲目の彼女の家に、となりの駅のホーム
での殺人事件の容疑者が密かに隠れ住みます。彼は居間の窓際のテレビの横に息を潜めて座ってい
ます。彼の存在に気が付いた彼女は危害を恐れ黙っています。彼女の孤独な生活の心の模様と彼の
事件にいたる原因の心の孤独が彼たちの生活を継続させます。その異常な生活の様子が二人称で描
かれていきます。そして、何故、彼は居続けるのか?しかも、音を殺し彼女と同じ居間に・・。
彼と彼女の心の触れあいは何ともいえない読書感を与えてくれます。
東野圭吾の「手紙」を読みました。兄弟二人の物語です。二人の生活は腰を痛めて仕事を失って
いた兄が弟の進学の為に泥棒に入っ
た家で老女に見つかったことで終わりました。主人公は強盗殺人犯の弟としての人生が始まりま
す。なんとか高校は卒業できましたが家賃滞納で住居も追われます。最低の生活のなか、殺人犯
の弟には希望を持とうとすることさえ許されない現実を知ります。友達と共に目指した夢も、愛
する人も失います。かくして就職した先でも事実が知れて倉庫へ配置転換させられます。そんな
彼のもとには服役直後から毎月欠かさず兄から手紙が届きます。手紙に書かれているのは刑務所
の様子と弟の事。次第に弟の兄に対する心が変化していきます。犯罪者の家族は犯罪者と連帯し
て罪を償わなければならないのか?救いはないのか?・・・重たくて嫌な作品ですね。兄からの
最後の手紙には涙が流れます。
篠田節子の「マエストロ」 を読みました。彼女の初期作品の「変身」の文庫化に際しての改題作
品とのこと。宝石会社をスポンサーとして演奏する美貌のヴァイオリニストが主人公です。彼女
のヴァイオリンの調子が悪くなり楽器商の好意よせる担当より勧められた名修理工を訪ねます。
修理の間貸与されたヴァイオリンは修理工の彼が彼女のために作成したものでした。すばらしい
音色を奏でるにも関わらず道具の素性にこだわる彼女は自分の未熟さを指摘されたと感じ、怒り
を覚えヴァイオリンを返します。その後、彼女が教え子に斡旋したヴァイオリンから事件は起こ
り、彼女は破滅の道へ転がり落ちていきます。その罠と真意。破滅と再生。ラスト数ペー
ジは何度も何度も読み返しました。
東野圭吾の「赤い指」を読みました。直木賞受賞後の第一作ということで新聞の広告にも載って
いたとおもいます。彼が妻の異様な電話で帰宅すると庭には少女の死体がありました。中学生の
息子が殺したのです。息子を庇おうとする母親。同居する認知証の母。彼の選択した方法とは・
・。母子家庭に育ち元警察官の叔父の庇護の元で育ち刑事になった青年が事件にあたります。相
棒になったのが叔父の息子の名刑事。その従兄弟は死を前にした父と何故か会おうとしません。
家族、親子の繋がりと愛情の物語です。「赤い指」の意味するものは親の愛。
新聞の広告をみて、つい買ってしまいました。スペインの作家カルロス・ルイス サフォンの「風の影」上下巻を読みました。ある夏のまだ薄暗い早朝に、主人公の少年はバルセロナで本屋を営む父に
連れられて「本の墓場」に連れて行かれます。そこで手にした一冊の本「風の影」。彼はその本に魅
了されます。その本の作者の著書は謎の人物により買い集められ次々と燃やされていっていました。
少年の本になった一冊を求めて顔のない作中の「死神」の名を持つ人物が接触してきます。少年は、
その本に隠された謎を追い作者の人生を調べていきます。約10年間の少年の成長と本の作者の謎
の運命がいつしか交差していきます。上下2巻と思わせない一気に読める本でした。
野沢尚の「砦なき者」を読みました。この作品は「破線のマリス」の続編にあたるようです。テレビ
曲の登場人物も同じ顔ぶれです。前回の主人公の助手を務めた報道番組のディレクターが中心に話が
進みます。構成は4部に分かれ、1部は「私は殺される。殺された後名前と住所等を知らせる。」と
の女性からの電話があってから犯人逮捕までのスリリングな話し。2部は幼児誘拐の容疑者との単独
インタビューに隠された目的とその悲しい話。3部、4部が、その両報道をみていた青年の恐るべき
計画のもと連続殺人事件が進行していきます。テレビを悪意の道具として自分を若者達の教祖的存在
へと変えていきます。前作同様「報道」とはなにか?を問いつめていきます。
亡国のイージス」等の著者、福井晴敏の処女作「川の深さは」を読みました。この作品は
江戸川乱歩賞最終候補になった作品に加筆・修正したものです。その時の受賞作は以前ご紹介
した野沢尚の「破線のマリス」とのこと。その日暮らしの元マル暴の刑事だった40過ぎの警
備員のところに傷ついた若者とその彼女が転がり込んできます。傷の治療をしてやり成り行き
でかくまってしまいます。特殊訓練を受けた和製ランボーのような若者の任務は「彼女を守る」
こと。 彼らの逃亡の背景に新興宗教団体のテロ事件、その陰にある国家的陰謀、北朝鮮・・と
おきまりのパターンの物語があります。雑誌に載っていた心理テスト「あなたの前に川があり
ます。その深さはどのくらいだと思いますか?」この答えが彼らを結びつける心。テンポよく
文章も説明調であるにもかかわらず読みやすく一気に読めました。
「四日間の奇蹟」の著者、浅倉卓弥の「君の名残を」を読みました。現代から幼いときから剣道
を鍛錬していた「友恵」「武蔵」、友恵の親友の弟「志郎」の3人の若者が何者かの意志により8
00年の昔、平安時代、源平の戦乱の前夜というべき時代に送り込まれます。名前がキーワードで
す。彼らは各々がその時代の歴史上では重大な役割を果たす人物達と出会います。彼らの知識の通
りに歴史が動くのであれば、その結末の悲劇は避けられません。運命に逆らうことは出来るのでし
ょうか?「時」「運命」の意味は何なのか?彼らのこの時代の歴史上での役割は一体何なのか?壮
大なスケールで描かれる切ない切ない物語です。
「このミステリーがすごい! 」大賞受賞作、柳原慧の「パーフェクト・プラン」を読みました。
代理母として産んだ子供が虐待されていることを知った彼女は、その子を連れ去ります。それを知
った元愛人とその仲間達。その子の父親は投資顧問会社の社長。彼らは子供を家に帰し相場に失敗
した相場師の発案で完全犯罪を計画します。帯に紹介された「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」
計画です。彼らの動きの裏でうごめく天才クラッカー。ユーモラスにそしてスリリングに物語は進
みます。一気に読めます。
荻原浩の「神様からひと言」を読みました。大手広告代理店を喧嘩で
辞めて再就職したのが「お客様の声は、神様のひと言」という社訓のある中堅の食品会社でした。広告
代理店出身者として雇われたのですが新製品のネーミング会議で早速トラブルを起こします。異動された
先はリストラ対象者が放り込まれる「お客様相談室」。退職を考えますが彼女に逃げられ折半していた部
屋代に困って仕方なく勤めます。ゴキブリ並の生命力を持つ先輩の指導で苦情係りとして成長していきま
す。相談室の個性ある同僚達とのやりとりや様々なクレーム処理を披露してくれます。やくざとの対応も
滑稽、痛快で面白かったのです。笑いながらもサラリーマンの悲哀も考えさせられる本でした。
ダン・ブラウンの「ダビンチ・コード」上下2巻を読みました。今年映画化され5月に公開予定とのこと。ルーブル美術館の館長がされ、その異様な死体とダイイングメッセージ。その謎
を解くため呼ばれた宗教象徴学者は現場で本人の知らぬままに容疑者として取り調べを受けま
す。そこに現れた被害者の孫娘で警察の暗号解読者に助けられ逃亡します。ダイイングメッセー
ジの暗号解読をおこなうと次の暗号に連鎖的に繋がっていきます。暗号の行き着く先は、キリ
スト教を根底から覆すというの聖杯の在処。そして、殺された人物は聖杯を守り続ける秘密結
社の総長でした。警察と祖父殺害の首謀者の手先から逃れつつ暗号解読の連鎖で舞台はパリか
らイギリスへと移っていきます。まさに映画向けの作品でしょう。
海堂尊の「チーム・バチスタの栄光」を読みました。第4回「このミステリーがすごい!」
大賞受賞作品です。心臓の肥大患者への心臓移植の代替手術として心臓の変性部位を切り取り
縫合して正常の大きさにするバチスタ手術。その心臓外科の選抜されたチームが輝かしい成功
を続けていました。ある術中死をきっかけに大人の手術中の死亡が3例連続して発生します。
その原因調査に病院長から特命を受けた愚痴外来といわれる不定愁訴外来の万年講師の医師。
そして、厚生労働省のおかしな役人が調査に加わり「医療ミス」か「殺人」かチームの調査
を行っていきます。読書後に「患者の死」の重さと文章のギャップに違和感が残りますが、
一気に読めます。
薬丸岳の「天使のナイフ」を読みました。第51回江戸川乱歩賞受賞作品です。産まれたばかりの赤ん坊
のベビーベットに覆い被さるように殺害されていた20歳の妻。犯人は3人の13歳の少年達でした。一
人でその娘を育てる主人公の少年達への許し難い感情が中心に話はすすみます。4年後、その少年の1人
が彼の経営する店の近所で殺されます。容疑はかつて「彼らを殺してやりたい!」とテレビで言い放った
彼にかかってきます。遠く住む少年達に何故妻は殺されたのか?疑問が次から次と出てきます。最初に殺
された少年の言っていた「本当の贖罪」の意味は何なのか?一気に読めます。
昨年9月に紹介した作品以降の視聴済みドラマです。
「ごめん、愛してる」全16話。見終わりました。お勧め作品です。
「ガラスの華」全20話。評価の分かれる作品です。カットシーンが多いのかもしれません。
「私の名前はキム・サムスン」全16話。たくましい女性パティシエのお話。ラブコメですね。
「パリの恋人」全20話。これも有名な作品です。良かったです。
「ラブストーリー・イン・ハーバード」全16話。「屋根部屋のネコ」のキム・レウォン主演。
「チャングムの誓い(大長今)」全54話。長いドラマでした。日本語吹き替え版。
「チェオクの剣(茶母)」全16話。これも日本語吹き替え版。韓国語で見直してみたい作品です。
「威風堂々な彼女」全17話。笑ったり泣いたりと忙しく飽きさせないドラマでした。
「バリでの出来事」全20話。これまた有名なドラマですが・・・。
観た韓国映画です。
「ブラザーフット」「殺人の追憶」「純愛中毒」「クリスマスに雪が降れば」「八月のクリスマス」
「ホワイト・バレンタイン」「永遠の片思い」「イルマーレ」「彼女を信じないで下さい」「同い歳の家庭教師」「愛と、死を見つめて」「僕の彼女を紹介します」「マイ・リトル・ブライド」「バンジージャンプする」
坂東眞砂子の「死国」を読みました。題名は以前から知っていて自宅の本棚にあったのですが、やっ
と読みました。四国八十八ヶ所に関しての伝承等がメインテーマです。幼い頃一家で住んでいた家の
処分をまかされ、都会生活に疲れた彼女が20年ぶりに故郷の高知の田舎町へ帰ってきました。会い
たいと思っていた幼いときの友人は18年前に事故で亡くなっていました。彼女の家を訪ねると彼女
の母親が八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に回ると死者がよみがえるという「逆打ち」を行っ
た事を知ります。幼友達とのやりとり、初恋の彼との再開で恋が芽生えと話はすすんでいきます。そ
して封印が解かれ死者と生者が共に住む「死国」が・・・。
野沢尚の「深紅」を読みました。この本についても評価が分かれています。第1章修学旅行のホテル
から呼び戻された少女。彼女の父母と幼い二人の弟は霊安室で息絶えていました。家族の頭部は打ち
砕かれた無惨な姿になっていました。この遺体との面会までの4時間と葬儀のシーンが描かれていま
す。第2章は一家殺害の犯人の上申書です。何故、残虐な犯罪に至ったのか心情を綴っています。こ
の前半と、その後の彼女が大学生になってからの後半で構成されています。殺人犯に自分と同じ歳の
娘がいることを知り彼女と接触しようと試みます。二人が出会ってから結末までの彼女の心の描写に
感情移入できない人には駄作かもしれません。私は後半の方が素直に読めラストに余韻を感じました。
北島行徳の「バケツ」を読みました。気の小ささを克服しようとボディビルでマッチョになったので
すが、相変わらず神経性の下痢に悩まされている主人公の話です。叔父の会社をやめて養護学校に勤
めだした彼は、知的障害をもつ「バケツ」というあだ名の少年と出会います。養護学校を卒業した少
年は姉の元に引き取られますが一緒に住めなくなり彼の元に来ます。彼との生活を中心に物語は進み
ます。かれとの生活のため日焼けサロン、無認可保育所、介護保険対象外の老人向けのサービスと事
業を広げていきます。この3つの仕事を舞台に一話完結風に話が進みます。彼を支えてくれた先輩の
女性とのやり取りを交えて各々の話しが心に残ります。(主人公とバケツにはモデルがいるそうです。)
荻原浩の「あの日にドライブ」を読みました。エリート銀行マンの主人公は部下をかばった一言で退
職することになりました。公認会計士を目指し勉強を始めますが合格するまでとタクシーの運転手に
なります。毎日の過酷なノルマに円形脱毛症にもなり勉強も手が着かず疲れ果てて寝るだけの生活が
繰り返されていきます。ある日、お客の行き先が昔自分が学生時代に住んでいた町でした。かつての
アパートも残っていました。「もし、あのとき・・」と人生の分岐点を考え始めた彼に同窓会の案内
が届きます。かつての学生時代の彼女は離婚して実家に帰っています。タクシードライバーとしての
彼の成長と家族への思い・・・。歳のせいかしみじみ考えさせられました。
高野和明の「グレイヴディッガー」を読みました。悪人として生きてきた主人公は、少女達の夢を利
用した詐欺の片棒を担いだことで自分自身の生き方を変え善行を行うべく骨髄ドナー登録をしました。
ある少女と適合することが分かり入院しようとして友人宅へ立ち寄ります。そこには無惨な死体があ
り、突如3人組に襲われます。その遺体の殺され方の意味するものは何なのか。襲ってきた彼らは何
者なのか。つぎつぎと残虐な殺人が起きていきます。彼を容疑者として追跡する警察、謎の男達・・
彼は病院にたどり着けるのか?一気に読んで下さい。
東野圭吾の「容疑者xの献身」を読みました。高校の数学教師の彼の隣に住む母娘が殺人を犯します。
母親は水商売を止め彼が毎日買っている近くの弁当屋に勤めていました。ある日、彼女の別れた亭主
が執拗に捜し求め彼女の部屋までやってきたのです。いざこざの後、突発的に娘とともにその元亭主
を殺害してしまいます。彼女を密かに思っていた隣人である彼は彼女たちを助けようと申し出ます。
彼が作り上げた証拠、アリバイで彼女たちを守ることができるのでしょうか。事件を捜査する刑事と
その友人の物理学者は彼と同じ大学の卒業生でした。彼たちの攻防の行方は・・・。一気に読んで下
さい。
東野圭吾の「宿命」を読みました。
ある大会社の新社長が昼休みのジョギングの途中で寄った墓参りの墓地で殺害されます。
殺害に使用されたボウガンがつい先日無くなった会社の創業者のコレクションでした。その一族の当主
は家業を継ぐことなく医者の道に進んでいました。捜査担当になった彼は、父の病気の為医師の道をあ
きらめ、愛する彼女とも別れ警察官になりました。彼にとってその当主は小学校から高校生活まで何か
と感情的にぶつかる宿敵のような存在でした。捜査で再開したのは彼だけではなく、彼の妻となってい
た深く愛し合ったかつて彼女でした。殺人のトリックとは別なタイトルの「宿命」の意味する意外性を
もつ作品です。「変身」へ続くテーマの作品です。
恩田陸の「ねじの回転」を読みました。時間を遡ることが出来る技術が確立された時、人
類は何を望むのか。国連の主導の元、歴史の改編が行われるようになりました。聖なる暗殺隊が各
時代に送られ歴史を改編していきます。その歴史のひずみの結果、人類滅亡への病気が蔓延します。
この危機を乗り越える為、歴史の修正を行う(歴史の正史への確定)作業が行われていきます。
その舞台の一つ、日本の2・26事件です。その修正に選ばれた3名、安藤輝三大尉、栗原安秀中尉、
石原莞爾大佐。純粋なSFです。一気に読ませます。
恩田陸の「ライオンハート」を読みました。時を超え空間を超え幾度となく巡り会う二人の話
です。相手を夢に何度も見て恋いこがれて、そして出会います。「世界が金色に弾けるような喜
びを」感じるその出会いはあまりに短く切ない別れが待っています。「覚えていてね、私のこと
を…」と「E」to「E」へ送るとの刺繍のついたハンカチを渡します。5つの出会いの連作短
編という形ではありますが全体で1編のメロドラマ的ラブストーリーを描いています。読み始め
の感動が最後に静かな余韻を残して終わります。蛇足ですが、本の裏表紙の紹介を読んで私の読み
返したい本で紹介しているケン・グリムウッド「リプレイ」を思い出しました。
荻原浩の「コールドゲーム」を読みました。彼の高校での野球生活は地区大会のコールドゲー
ムで終わりました。高校生活最後の夏休みの出来事です。彼の中学時代の同級生が次々と何者
かに襲われていきます。最初は軽いタッチではじまった物語。彼と友人達は、犯人は当時のい
じめの犠牲者だった少年だと断定します。彼を捕まえるべく防衛隊を結成します。被害は彼へ
のいじめの程度によって変わり、ついに殺人に至ります。彼をいじめた者達は殺された同級生
の葬儀の日に急遽同窓会を開催して対策を錬ります。いじめられた少年は変貌し殺人マシーン
と化してしまったのか?いじめの報復・・・。殺意。やりきれない気分になりました。
高野和明の「13階段」を読みました。第47回江戸川乱歩賞受賞作品です。居酒屋で絡まれて
相手を死なせた青年が傷害致死で服役し仮出所します。彼にその服役していた刑務所の刑務官
が訪ねてきます。ある死刑囚の冤罪をはらす仕事の依頼を受けたので一緒にして欲しいという
ことでした。その死刑囚は強盗殺人の罪で刑の執行が間近に迫っています。彼は、事件直後の
事故で記憶を失っていました。罪の記憶が無いので改悛の情もないので減刑の余地が無く死刑
が確定したのです。刑の執行間近によみがえってきた記憶は「今と同じ様な死の恐怖を抱きな
がら階段を登った」ということだけです。この「階段」という手がかりだけで彼の冤罪をはら
さなければなりません。謎の依頼者。真犯人はいるのか?死刑執行を止めることが出来るのか?
読み始めると中断することができない本です。
東野圭吾の「時生(トキオ)」
を読みました。妻の遺伝性の難病を発症し、意識不明で最後の時を迎える一人息子
を見守る主人公。彼は20数年前、23歳の頃出会った少年の話を妻に語り初めるところから物
語が始まります。そのころ、彼は定職にも就かず自分の感情にまかせて生きていました。最初の
出会いのシーンはほんのりとして顔がゆるみます。彼と少年は彼の生い立ち、養父母、実の母に
ついての話と平行して、失踪した恋人探しの話になります。彼と少年のやりとりや行動とともに
彼のかたくなな母に対する気持ちも変化していきます。彼が妻と出会う頃、少年は消えます。約
2ヶ月間の話、ラストが切ないです。
岡嶋二人の「99%の誘拐」
を読みました。第10回吉川英治文学新人賞受賞作品です。
又、「この文庫がすごい!2005年版」で第1位ということで買ってみました。作品自体は10数
年前の発表作とのこと。末期癌に冒された父親がつづった7年前の5歳の息子の誘拐事件。その
20年後に起こる完全犯罪の誘拐事件が起こります。犯人は最初から分かっていて誘拐の方法がコ
ンピューターを駆使したものです。書かれたのが10数年前なのでパソコンや通信技術も大分変
わってきていますが、発想がユニークでテンポもよく一気に読んでしまいました。
ひろ子さんが韓国ドラマにはまってしまい図書館の本が廻ってこなくなりました。娘もはまって
いて録画したDVDがまわり廻っています。私は無視していたのですが、ついを暇つぶしにみた
のが「ガラスの靴」全40話。なんと、それからこの数ヶ月でみたドラマ視聴のべ時間は195
時間に及びます。観た作品はつぎの通りです。
「ガラスの靴」全40話。ついついのめり込んでみたビデオ。交通事故、離別、記憶喪失、
白血病・・・韓国ドラマを知りました。
「ジュリエットの男」全17話。これはGyaoで観ました。痛快でした。
「いつか楽園で」全18話。ラブコメ、かな?最後がちょっと・・・。
「屋根部屋のネコ」全16話。これは私のお気に入り。ラストが好きです。お勧め作品。
「マイラブパッチィ」全10話。10話では消化不足。
「Happy Together」全16話。ハッピーエンドで良かったです。
「サンドゥ学校に行こう」全16話。これもお勧め。歌手のピ主演。ラストは・・・・??。
「1%の奇跡」全26話。完全なラブコメ。まったくストレスなしに観れます。
「冬のソナタ」全20話。韓流ブームの原点をやっとみました。説明略。
「秋の童話」全16話。四季シリーズ第一作。画像も美しく、やはり名作なのでしょう。ラストまで辛い・・・。
以上、195時間・・・・。現在視聴中作品は
「ごめん、愛してる」全16話の4話迄。「ガラスの靴」で出演していたソ・ジソプに戻ってきましたね。これはすごい作品!・・の予感です。
野沢尚の「破線のマリス」
を読みました。第43回江戸川乱歩賞受賞作品です。テレビ報
道番組の高視聴率を取る5分間の事件検証コーナーの映像編集を手がけているフリーの女性編集
者が主人公です。コーナーの放映ぎりぎり迄編集を行い、彼女の独特の切り口で映像は編集され
ていきます。そこには、彼女の意図的な悪意(タイトルの「破線のマリス」)も組み込まれてい
きます。ある郵政省官僚から彼女にの汚職と弁護士殺人の内部告発のテープが渡されます。彼女
は捏造テープとは思わず、独断と偏見による映像を作り上げ、その映像は全国に放映されます。
ある官僚の警察取り調べを終え、警察署を出たときの不自然な笑い顔がモザイクもかけずに流さ
れます。その官僚の家庭崩壊、左遷、自己崩壊が彼女への抗議に向けられていきます。彼女の私
生活がビデオに映され送られてきます。彼女に捏造テープを渡した男の殺害事件。彼女は自分が
追い込んだ男の仕業と思い込みます。知らぬ間に映される恐怖、映す側の心・・・。映像とは何
か、報道とは何かと色々考えさせられました。
野沢尚の「魔笛」を読みました。ある宗教団体の教祖の死刑判決が出た直後、渋谷で無
差別爆弾
テロが発生します。小説の語り手はこの女性です。彼女の自己崩壊と自己完結に一人の刑事が係
わります。彼の妻は殺人犯として刑務所に入っているという特異設定になっています。次々と爆
弾テロを起こす彼女は、公安が教団に送り込んだ人物でした。彼女を抹殺しようとする公団幹部
との三つどもえの戦いです。前半は説明が永くて読みづらかったですが、物語が進むにつれて面
白くなってきました。沖縄出身の公安の彼女に何が起こったのか、彼女の少女時代をも含め、自
己崩壊の人生が語られ、何故、刑事は殺人犯の女と獄中結婚したのか、彼の心の動き、結婚した
彼女の人生、といろいろ読ませてくれました。
川上弘美の「センセイの鞄」を読みました。第37回谷崎潤一郎賞受賞作品です。40前独
身女性と、彼女の高校時代の国語の先生のお話です。当然、先生は60代後半だと思われます。あ
る日、いつもの居酒屋で再開した二人は、その居酒屋の飲み友達(?)になりました。二人の居酒
屋から外へ出たつき合いが各章として独立しています。各章のエピソードがユニークな「センセイ」
の言動と彼女の心の動きか、なんか現実離れをした感覚を起こさせます。終わりに近づき歳の離
れた二人の「恋愛を前提にしたおつき合い」が始まり、そして終わります。余韻を残す作品です。
東野圭吾の「変身」を読みました。ごく普通の、あえていうなら内向的な純情素朴の主人
公は、ある日拳銃強盗事件に巻き込まれます。撃たれそうになった少女をかばい頭部に銃弾を受
けます。彼に対して損傷した脳の部分に対して世界初の他人の脳の一部移植が行われます。奇跡的
に命を取りとめ意識も戻ります。記憶も問題なく戻るのですが彼は徐々に変化していきます。「電
気信号回路の一部部品」の移植が彼の考え方や感情を変えていきます。彼は、「ドナーは一体どん
な人間だったのか?」と変化していく人格に抵抗するように探し求めていきます。自分が自分とし
て存在するということはどういうことなのか、色々考えさせられました。
恩田陸の「月の裏側」を読みました。基本設定自体は外国ものでみたような気がします。
堀を巡らせた田舎町で起こる不思議な話しです。退職した恩師が住むその町に招かれ聴かされた
事件は、3人の失踪事件、しばらくして失踪期間の記憶が欠落して戻ってくるという奇妙事件で
す。3人を取材した記者、里帰りした恩師の娘の4人の謎を調べていく内に驚くべき事が進行し
つつあるのが分かってきます。ある日、この4名を残して町の人間を初め生き物の全てが消えま
す。残された恐怖、いずれ戻って来るであろう彼らは何者になっているのでしょう。4人の個々
の人物の思いが交互に述べられ話は結末を迎えます。題名とは関係のない話の様ですがその意味
を考えると意味深ですね。
浅倉卓弥の「四日間の奇跡」を読みました。第1回『このミステリーがすごい!』大賞の
金賞の作品です。若きピアニストが留学先で事件に巻き込まれ一人の少女を救うことで自らのピ
アニストの道が閉ざされます。その少女の両親はその事件で亡くなり、彼女を彼の家が引き取り
ます。彼女は脳に障害を持っていましたが天才的な音楽的才能がありました。彼はピアノを教え、
彼女の将来のため二人で各地にピアノ演奏の為に廻ります。二人は、ある脳障害の家族で生活で
きる施設に演奏に行きます。彼らを招いたのは高校時代の後輩で彼に思いを寄せる女性でした。
その施設で起きる「四日間の奇跡」の話です。「人生とは」「死とは」「愛とは」感動の中に読
む者に問いかけてきます。今年、映画化されるようです。
荻原浩の「噂」を読みました。市場操作を口コミで行う(W・O・Mワード・オブ・マ
ウス)事にした企画会社と広告代理店。企画会社の女社長が渋谷にたむろする女子高生達を集め
モニターにします。彼女たちに植え付けられた噂の種は「この香水をつけていないとレインマン
に襲われ足首を切り取られる」というものでした。噂は広がり現実に事件は起こります。妻を交
通事故でなくした、女子高生をもつ刑事が所轄書として捜査の一員になります。相棒は本庁の女
刑事。事件は連続殺人事件となり捜査は困難を増していきます。刑事達は被害者達のたむろして
いた渋谷に・・・。最後の最後が「きもさぶ」です。
奥田英朗の第131回直木賞受賞作品「空中ブランコ」を読みました。何につけビタミ
ン注射を打つのが好きな精神科医と、そこに訪れる患者達の5つの話です。相手にうまくジャン
プが出来なくなった空中ブランコ乗り、尖端恐怖症に陥ったやくざ、義父のカツラを公衆の面前
ではがしたくてたまらなくなった医学部講師、1塁送球がコントロール出来なくなったプロ野球
の3塁手、自分の精魂込めた小説が認められずワンパターンの恋愛小説を書いている嘔吐神経症
の女流作家。患者の症状をみるだけで読みたくなる作品ですね。笑い転げながら一気に読みまし
た。
野沢尚の「呼人(よひと)」を読みました。12歳のまま成長の止まった少年と彼の友人
達の成長の物語です。数年後との章に別れていますが、その間の時代の説明がされています。そ
の時代解説も少年の感覚の理解で分かりやすく述べられていています。彼の実の母の姿が彼の
友人達の物語の中に見えてきます。育ての親(母の妹)夫婦との暖かい家庭のなかで成長の止ま
った彼は自分の運命と向き合う時がやってきます。彼の一人取り残されていく寂しさ、悲しさの
心の苦悩と、その原因である母探しの物語でもあります。思い続けた小学生時代の彼女との淡き
恋物語がラストの切ない感動となります。
雫井脩介の「虚貌」を読みました。21年前の運送会社社長一家殺人事件。夫婦は惨殺、長
女は半身不随(事後自殺)、長男は上半身大やけどをおわされる。犯人は解雇された3名の元社員
と知り合いの少年の4名。事件は仲間から主犯格にされた男が無期懲役から21年で仮釈放をされ
てから始まる。次々と元の仲間が殺されていき残された指紋はその男のもの。癌で余命幾ばくもな
い刑事が事件を知り事件捜査に加えて貰う。刑事のタレントの娘と少年のその後。行方不明の被害
者の長男。ストーリーは盛りだくさんの人間模様を描きますが物語のキーワードはタイトルどおり
「顔」です。最後があやふやであまり気に入りませんが楽しく読むことができました。
続けて、荻原浩の「明日の記憶」を読みました。今まで読んだ彼の作品は全体にユーモアが
あり、話が盛り上がっていきラストに感動、という読者にとっては気楽に楽しめるものでした。こ
の作品は、どんどん恐怖がつのってきて、やりきれない悲しみがのしかかってきます。50歳にな
ったばかりの娘の結婚式を控えた広告代理店の営業部長が主人公です。物忘れがひどくなり、体調
もおかしくなって診てもらった大学病院の診断は「若年生アルツハイマー」。こぼれ落ちる記憶と
の必死の闘い。娘の結婚式まではと屈辱にも耐え会社に残ります。そんな彼の必死な思いの中なん
とか結婚式を終えることが出来ます。しかしながら、この病気は現代の医学では治りません。最後
は生きることも忘れて死んでいきます。妻の苦悩・・ラストシーンはあまりにも美しく涙なくして
は読めません。
荻原浩の「僕たちの戦争」を読みました。2001年9月のアルバイトも辞めてフリーター
からプータローになった19歳の健太はサーフィンをしているとき溺れ、1944年(昭和19年)
9月の海軍の飛行練習生の吾一は飛行訓練中に海に落ちます。二人は同時にタイムスリップして入れ
替わります。容姿、体格から筆跡もそっくりな二人の入れ替わった世界での物語です。現在と過去の
繋がりは何なのか、脱走兵として隊に連れ戻された健太を待ち受けていたのは終戦間近の情け容赦の
ない軍隊生活。死を覚悟で守ろうとした日本の現在の姿を知った吾一は健太の彼女ミナミを愛しはじ
め「生きたい」と望むようになります。物語はコミカルではあるのですが彼女を含む三人の運命は感
動的に進んでいき余韻を残して終わります。
真保裕一の「真夜中の神話」を読みました。研究に没頭し、夫と娘を失い失意の女性が主人
公です。研究室を辞めアニマル・セラピーを研究の世界でなんとか自分を保っていた彼女は、実施し
ている研究者に会うために乗った飛行機が墜落します。そこで、毎夜歌う少女の歌声で奇跡的に助か
ります。戻った彼女は「吸血鬼の村」から戻ったいものとして恐れられます。続く心臓に杭を打ち込
まれるという猟奇的殺人が続きます。又、彼女の周りに見え隠れする監視者達。物語は神秘の歌声の
少女を守るべく村に戻り危機を伝えようとする彼女の心の再生の物語となっていきます。ラストの少
女の言葉は感動敵です。
荻原浩の「なかよし小鳩組」を読みました。大手広告代理店を離婚を機に辞め、小さな会社
に勤めているコピーライターの話です。仕事がなく、やっと回ってきた仕事は、やくざの会社のCI
(コーポレントアイデンティティ)でした。幹部のインテリやくざに追い込まれて会社は仕事を引き
受ける羽目になります。TVコマーシャル、イベントの企画、マークの作成と、やくざとのやりとり
に恐怖する彼らの姿がコミカルに描かれています。丁度、その頃別れた妻が入院することになり娘
を預かることになります。娘に対して自分の仕事を胸が張っていえるように必死になっていきます。
最後は父娘の物語として完結します。面白くて切ない話でした。
荻原浩の「メリーゴーランド」を読みました。地方都市へUターンして市役所勤務をしている
彼の異動先が第3セクターのテーマパークの建て直し部署でした。部署に揃ったメンバーもユ
ニークな者達でした。徹底したお役所体質、事なかれ主義、前例重視というセクターの理事達
が相手です。民間では、即倒産体質です。現実にも税金がこのような形で使われているのは新
聞でよく見かけます。悪戦苦闘のはて成果が上がり始めた時、市長の交代・・・。切ないです
ね。でも、ユーモアありで楽しく読めました。ラストシーンも良かったです。
柄刀一の「ifの迷宮」を読みました。本屋で本格ミステリ小説、宮部みゆき大絶賛というあと
がきを読んで買ってしまいました。遺伝子がメインに話が進みます。殺され上半身を焼かれた
死者が殺人を犯すのか?10年後の未来の話ですが、出産前遺伝子診断が現実になってきた現
在では違和感はありませんでした。ストーリーとしては面白いのですが、人物像に感情移入が
できず感動はありませんでした。ミステリとしては楽しめると思います。
宮部みゆきの「今夜は眠れない」と「夢にも思わない」
を読みました。
本屋で「夢にも思わ
ない」を面白そうだと思って買おうとしたら「今夜は眠れない」の続編ということなので一
緒に購入しました。中学1年生のサッカー少年が頭脳明晰、将棋部の友人との探偵物語(?)
です。「今夜は眠れない」は、母が昔、若かりしころ助けてあげた相場師から5億円の遺産を
貰うことになり騒動は起こります。一家離散の危機、誘拐事件と最後までテンポよくすすみま
した。「夢にも思わない」は一転して、全作のある意味コミカルなストーリーと違いました。
恋心を持つ同級生の従姉妹の殺人事件。売春組織「会社」の存在、顧客リストを巡る次の殺人
事件。彼女を守りたいと思う心。前作だけでは少し物足りなかったのですが両方読んで満足し
ました。
雫井脩介の「犯人に告ぐ」を読みました。誘拐殺人の記者会見で感情的になり左遷され
た刑事が、連続殺人犯との対決のため古巣に戻ってきます。特別捜査官として捜査責任
者となりマスメディアであるテレビのニュース番組で公開捜査を行うことになります。
「劇場型捜査」が始まり多くの情報が寄せられてきます。そしてついに犯人からの手紙
が届きます。ライバルのニュース番組への情報漏洩者に対してかける罠の痛快さ。そし
て最後のテレビ出演の時の言葉「犯人よ、今夜は震えて眠れ!」・・ぞくぞくっとしま
すね。上下二段組の長編でしたが、読み出したらやめられなくなりました。面白かったで
す。
笹本稜平の「時の渚」を読みました。18回サントリーミステリー大賞&読者賞ダブル受
賞作品。ある夫婦殺人事件の巻き添えで妻と幼い子を失った元刑事の私立探偵の物語で
す。ある日、末期癌の老人から35年前に人に託した赤ん坊を捜して欲しいと依頼を受
けます。かすかな手がかりから人捜しが始まり多くの人を訪ねていきます。その頃、起
こった連続殺人事件の遺留品から発見されたDNAがかつての夫婦殺人事件と繋がって
いきます。「血」「親子の絆」とテーマが作者のきちんとした文体で綴られていき、最
後にただ一人の肉親である父の突然の死。涙なくしては読めない小説でした。
続けて奥田英朗の「邪魔」を読みました。2002年版「このミステリーがすごい!」
第2位、第4回大藪春彦賞受賞作品です。妊娠中の妻を7年前に交通事故で亡くした主人公
の刑事が同僚の刑事の素行調査中に親父狩り会います。この少年達を返り討ちに会わせた
ことからその刑事に張り込みが見つかり執拗な逆恨みが始まります。一方、この町へ移転
予定の会社の支店が放火にあいます。以前、地元暴力団ともめたことがあったことから警
察は面子からこの暴力団を締め付けていきます。しかしながら主人公の刑事は犯人として、
この支店の経理課長を疑います。この妻は地元スーパーでパートとして働き二人の子供達
と幸せに暮らしていました。この事件を発端に彼らの人生がだんだんと狂っていきます。
上下2冊の文庫本でしたが、飽きさせず読む者を引き込んでいきます。一気に読んでしま
いました。
奥田英朗のデビュー作「ウランバーナの森」を読みました。かつての大スター、
ジョンが妻の実家の軽井沢の別荘で過ごした一夏の物語です。ひどい便秘に悩み苦しむ
姿には思わず笑ってしまいました。妻の紹介で別荘近くの森の中の病院に通い始めます。
同時に襲ってくる悪夢。病院から帰りの霧の中の森で悪夢のもとの亡霊が現れてきます。
彼らと出会うことで一つ一つ悪夢から解き放たれていきます。「ウランバーナ」の意味
は何でしょう。割と短い小説ですが面白かったです。
テリー・ケイの「白い犬とワルツを」を読みました。本屋さんのお勧めのポップをみ
て購入しました。永年連れ添った奥さんに先立たれた老人と、当初は彼だけに見えた
真っ白い犬の話です。多くの子供達の愛に包まれながら、一人暮らしをしている彼に
寄り添う白い犬。彼のピンチを助け彼と共に暮らしだします。当初は信じていなかっ
た彼を愛する周りの人たちにも白い犬が見え始めます。彼は妻に結婚を申し込んだ思
い出の地へ連れ添って訪問します。この犬の正体は何なのでしょう。
桐野夏生の「残虐記」を読みました。失踪した女性小説家の書き残された原稿は何
を語っているのか。それは、25年前の少女誘拐監禁事件の被害者であった過去が綴られ
ていました。出所した加害者からの手紙が添えられていて、それが契機となり過去の真実が
語られていったのです。救出されてからの被害者の心の動きが痛々しく、彼女がその心の奥
のなかで描かれていったものを書きつづった小説が賞を貰うことになります。高校1年生の
謎の小説家の誕生です。監禁の実体は、真実は何だったのか誰にも分かりません。封印され
ていた真実の「残虐記」です。後味の悪い作品でした。
横山秀夫の「クライマーズ・ハイ」を読みました。1985年の御巣鷹山の日航機事
故の全権ディスクを任された地方新聞の記者の話です。同僚と谷川岳衝立岩に登るはずが事
故報道の修羅場の立たされます。「下りるために登る」と話していた同僚は歓楽街で倒れて
いました。新聞報道の現場の凄まじさの話しと交互に出てくる17年後の衝立岩への挑戦。
友の残した言葉の意味が理解されていきます。息子との間に横たわる溝の真実も友の息子と
の再挑戦の中で感動的に表現されています。事故の際、ダッチロールの間に必死に書かれた
遺書も記憶によみがえり涙を誘いました。
小川洋子の「博士の愛した数式」を読みました。「2004年度本屋大賞」受賞作です。
20数年前の交通事故で記憶が80分しか持てない数学博士と、彼の義理の姉の依頼により
彼の世話をするため雇われた主人公の家政婦とその子の三人の話です。毎朝、彼の家に行くたびに彼
の背広に付けられた多くのメモの中から自分のことを書いているメモを示して自己紹介をす
る事で一日が始まります。博士の数学を慈しみ愛する姿は感動的です。博士の子供に対する
溢れるような愛は心を温かくします。数学の持つロマン、美しさも教えてくれます。毎朝、
起きると自分のメモ「記憶は80分しか持てない」を目にする彼の悲しみを想像して胸を打
ちます。静かに余韻を残し情景を思い出させる本でした。
貫井徳郎の「神のふたつの貌」を読みました。新聞で単行本発売の広告が載っていたの
で早々購入しました。主人公は田舎の教会の牧師の子と産まれ、無痛覚症で痛みを知らない人物
です。人間が不幸な目にあったり不完全に創造されるのは神の意志なのか?この問いかけに「産
まれる前の神との契約」と教えられる。神の声は何故自分には聞こえないのだろうか?神の声を
求めて自問自答を繰り返し行き着く先は悲劇です。「人間の救い」の答えを求めてさまよう魂の
小説です。余韻が残ります。
貴志祐介の「硝子のハンマー」を読みました。12階建てビルの最上階の社長室で株式上場
を控えて休日出勤をしていた社長が撲殺されます。暗唱番号を入力のエレベーターに監視カ
メラ、1階入り口には警備員が配備された密室殺人事件です。一人続き部屋で仮眠をしてい
た専務が容疑者として逮捕されます。専務の弁護を引き受けた女弁護士が訪れたのは防犯コ
ンサルタントのもとでした。前半はセキュリティや殺害方法についての推理が色々な角度で
検討されていきます。仮説が次々崩れ去り再度忍び込んだ社長室で発見したものは・・・。
後半は犯人の人生描写になります。本格ミステリーです。
貫井徳郎の「さよならの代わりに」を読みました。アルバイトをしながら劇団の役
者をしている主人公の前に一人の美しい女性が現れます。劇団の俳優でもある主宰者のファ
ンだと言い、色々と劇団のことを聴いてきます。公演が始まり楽日に看板女優の控え室を見
張っていて欲しいという奇妙な依頼を引き受けます。しかし、その女優は殺害され劇団主宰
者に容疑がかかります。主人公とその謎の女性とのやりとりが楽しくて思わず笑ってしまい
ます。彼女との真犯人探しが始まります。彼女の正体と彼女への心の傾斜、ラストの切ない
別れは余韻を残します。
加納朋子の「ガラスの麒麟」を読みました。これも連作短編集で表題作は推理作家協会賞短編
部門受賞作品です。通り魔に殺される女子高校生のシーンから始まります。6編の短編が殺さ
れた高校生と彼女り友人とそのイラストレーターの父親、そして女子高校生達の心の理解者の
養護教諭を中心に展開されていきます。各編での事件が短編として生き、最終章(編)ですべ
てが繋がり長編作品として生まれ変わります。面白い構成だと思いました。一気に読めます。
横山秀夫の「影踏み」を読みました。寝静まった家に忍び入る泥棒が主人公の連作短編集です。
15年前、母親と無理心中した双子の弟が彼の中にいます。一人の女性を二人が愛し、結果兄
が選ばれ弟は二人の前から姿を消しました。犯罪者となって家族の前に戻ってきた弟、母は嘆
き家に火を放ち父も助けようとして焼け死にます。一人残された法学部の彼は法律を捨てて心
の中の弟と「泥棒」になります。何時までも待ち続ける彼女も絡んで色々な事件が起きていき
ます。読みやすく謎解きもあり面白く読めました。
ひさしぶりに読書。2004年板「このミステリーがすごい!」の1位、歌野 晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」を読みました。文体は読みやすくストーリーも主人公の軽快な性
格描写で一気に読めました。年寄りを騙し殺人まで犯す悪徳商法の会社の調査を頼まれた素人探
偵が主人公です。彼の恋が絡んで最後に繋がります。ミステリーとしてはオーソドックスな展開
だと想って読んでいたのですが最後に又やられてしまいます。後から、おかしいと想ってあちら
こちらの文章を読み直しましたが最初から意図的に細工がされていました。まぁ、読んでみて下
さい。
話題になった第130回芥川賞受賞作の金原ひとみさんの「蛇にピアス」と綿矢りささんの 「蹴りたい背中」
を読みました。純文学短編作品ということで時間がかからないので続けて
読みました。短編作品はもの足らずに終わるのであまり好きではありません。二人の作品とも主人
公の精神状態は私の歳では違和感と不安定感を感じて読んでいて落ち着かない感じでした。私の好
みでは「蹴りたい背中」のほうが続編を感じさせて読後感は良かったです。5年後の作品が読んでみ
たいですね。
不知火京介の第49回乱歩賞受賞作「マッチメイク」を読みました。プロレス団体の代表がセミフ
ァイナルで死亡。国会議員でもある彼の贈収賄事件も発覚。彼の死因は蛇毒による毒殺でした。新
人のレスラーの青年が主人公です。厳しい訓練の末残った、たった一人の同期と犯人探しが始まり
ます。プロレス団体の用心棒「門番」の後継者として選ばれた彼のトレーニングのシーンは納得も
のです。その純真な「門番」の先輩レスラーが謎の死を遂げます。ミステリーとしてよりもエン
ターテイメントとして楽しく読めました。
雫井脩介の「火の粉」を読みました。夫婦と子供3人を惨殺し、自らも襲撃を受けたように偽装
したとされる被告人の裁判の判決から物語りは始まります。結局、被告人の被害の状況から「無罪」
判決が下ります。判決を下した後、退官した裁判官の家族の自宅の隣に、その被告が引っ越してき
て・・・・サイコサスペンスの始まりです。 嫌な感じの話が延々と続きますが、最後には納得でき
ました。一気に読んだ方がよい作品です。
先日読んだ「転生」の作者、貫井徳郎のデビュー作「慟哭」を読みました。作者が25歳とはとう
てい思えない文章でした。「転生」の時も感じたのですが、きちんとした平易な読みやすい文章だ
と思ったのですが、この作品ではうまいと感じました。2つの話が交互に進行していきます。連続
幼女誘拐殺人事件を追うキャリアの刑事課長の捜査の話と、対になるように新興宗教にのめり込ん
でいく心の穴に苦しむ男の話です。話が交差していき最後に悲劇が待っています。もっと、この作
者の本を読んでみたいと思いました。
貫井徳郎の「転生」を読みました。心臓移植手術を受けた和泉(偶然にも又いずみ君でした)の
術後のリアルな夢の中の魅力的な女性への切ない恋、食事の好みの変化、絵の才能の発現。この心臓の
ドナーは彼女なのか・・。禁断のドナー探しが中心に物語は進んでいきます。心臓にドナーの記憶が残
っていると確信しながら実らぬ恋いに切なさを深めていきます。ドナー探しは意外な方向に進んでいき
ます。
伊坂幸太郎の「重力ピエロ」を読みました。昨年10/13に読んだ「オーディボンの祈り」の作者です。小説の
体裁は章が短く区切られ、各々に意味のあるタイトルが付けられています。軽快なテンポで一気に読ませ
ます。遺伝子技術会社に勤める兄の「和泉」、弟の「春」、そして癌で入院中の父の物語です。連続放火
事件と、その近くに描かれているスプレーによるグラフィティーアートとの関連の謎解きから・・・。面
白い作品です。
随分以前に読んだ本を、又間違えて買ってしまいました。宮部みゆきの「火車」です。93年、山本周五郎賞受賞作品です。サラ金苦、自己破産・・現在は10年前の状況と大分変わっていますが、社会
の暗部の苦悩する人物達の悲劇が、これでもかと書かれています。休職中の刑事が親戚の青年から消えた
婚約者を探して欲しいと頼まれて物語は謎を含みながら進みます。きれいさっぱり忘れてしまっていました。
打海文三のシリーズ3作目の「愛と悔恨のカーニバル」を読みました。前作「されど修羅ゆ
く君は」の13歳の主人公、姫子が今回19歳で登場します。第5回大藪賞受賞後の第1作だとい
うことです。残虐な連続猟奇殺人に巻き込まれた彼女と彼女を守ろうとする探偵達、恋する
彼の真実は・・・と壮絶なラストシーンに一気に進んでいきます。
打海分三の「時には懺悔を」と「されど修羅ゆく君は」
の二冊を続けて読みました。探偵
達の物語ですが「時には懺悔を」は設定等いまいちでしたが登場人物達の表現が面白かっ
たです。その次作で登場人物が引き継がれていた「されど修羅ゆく君は」は安心して気楽
に楽しむことができました。文章自体が少し癖があって、あれっ、と思って読み直す事が
多々ありましたが、それも味なのかもしれません。一冊目をさっと読み飛ばしてから二冊
目を読めば、それなりの雰囲気を楽しめると思います。あと、このシリーズの三作目も借
りているので来週までに読もうと思っています。
久しぶりの洋書です。テス・ガリットソンの「僕の心臓を盗まないで」を読みました。医療サス
ペンスで臓器移植に絡む非常に残酷な物語です。モスクワで体を売って生きる孤児とアメリカの
大病院で臓器移植に携わる美しく才能溢れる外科の研修医の二人を中心に話は進んでいきます。
孤児は仲間達と共にアメリカで里親に貰われるという希望を餌に連れられていきます。一方で
研修医は心臓移植を巡って追い込まれていきます。二人の運命の交差する時は・・。
横山秀夫の「半落ち」を読みました。この作品は「このミステリーがすごい!」と「週刊文
春ミステリーベスト10」に共に1位に選ばれたベストセラーです。病気の妻に対する嘱託
殺人、自首してきたのは実直な49歳の警察教官。取り調べに関して犯行後の2日間の空白
に関して頑なに口を閉ざしてしまう。「人間50年」の書の意味、そしてその2日間の空白
に警察官、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官と次々と障害に会いながら謎解きのバ
トンリレーが行われていきます。「男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。」
最後で涙が溢れてきます。一気に読みました。
伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」を読みました。第5回新潮ミステリー倶楽部賞受
賞作です。コンビニ強盗未遂で捕まった主人公が、パトカーから脱走して気がついたら見知らぬ
島に連れてこられていました。仙台近くの100年近くも鎖国している島です。そこには100
年以上生きていて喋る案山子がいるのですがある日殺されます。文章・構成という面であまり評
価はされていないようですが、面白い作品だと思いました。
白川道の「天国への階段」上下2巻を読みました。成功した若
手実業家の復讐劇、という始まりで読者に彼の孤独を印象づけます。ある殺人事件、25年
前の強盗殺人事件と結びつける刑事の執拗な捜査と物語はオーソドックスな手法で読むもの
を引きつけていきます。自分を裏切った彼女への切ない心は、その娘によって今も愛してい
ることを再確認します。そして殺された25年前の強盗殺人事件の犯人の息子の怒りと絶望
感。主人公を始め多くの人の心の哀しさが表現されています。涙無しには読めない本です。
東野圭吾の「パラレルワールド・ラブストーリー」を読みました。序章の切ないシーンから
話は始まります。記憶の違和感を感じ始めた主人公の自分探しの筋から、中学時代からの親
友との友情と彼女への愛の記憶がパラレルワールドの様に絡まってきます。その二つの世界
が結ばれたところの真実はあまりにも切ないものでした。余韻の残る作品です。
真保裕一の「繋がれた明日」を読みました。殺人を犯した主人公が刑を11ヶ月
残して仮釈放になっている間の物語です。殺人を犯した加害者の家族の苦悩の生活や被害
者の家族達の晴れることのない憎しみ、憎悪・・。読んでいて息苦しくなってきます。自
分の罪の深さを実感していく過程が救いのない辛さで重くのしかかってきます。人間再生
の物語なのでしょう。
井上夢人の「プラスティック」を読みました。ある主婦のワープロ奮闘日記から
物語が始まります。
その女性の殺害事件から、その日記のフロッピィを同じ階の男性が郵便受けに
発見します。興味から事件の真相への探索が開始され複雑な人物が次々と現れ物語の佳境
に入ります。ラストへの一ひねりがあり一気に読んでしまいました。全体的に読みやすい
作品です。
松尾由美の「スパイク」を読みました。一言で言うとSF恋愛小説です。散歩の
途中でスパイクという自分の飼い犬とそっくりな犬連れていた彼と知り合い物語は始まり
ます。次の待ち合わせの約束が破られ、彼が並行世界の住民だと分かり、事件に巻き込ま
れた異世界の彼を救うために奔走します。テンポ早く、さっと読めました。読後、もう少
し深く話を進めて欲しかったと感じました。
金城一紀の「GO」を読みました。第123回直木賞受賞作です。日本で生まれ育
った「韓国籍」の若者の恋愛小説で軽快なテンポとユーモラスな表現で、一気に読
ませてくれます。彼の家族関係も暖かさが感じられ父親の逞しさも非常に好感が持
てました。やはりハッピーエンド恋愛小説はほのぼのとしていいものですね。映画
にもなっているそうです。
貴志祐介の「天使の囀り」を読みました。連続3作品を読んだので作風が少し分か
ったような気がします。今回の作品はSFホラーということなのでしょう。人格の変貌の原因、
異様な連続自殺の発生、と話はミステリー風に進みますが人間の人格の形成の危うさを悲劇的
に語っています。最終的に救いのないストーリーなのに一気に読ませる本です。
貴志祐介の「黒い家」を今回はきちんと読み通しました。第4回日本ホラー小説大賞
受賞作です。前回読んだ「十三番目の人格(ペルソナ)ISOLA」より格段にホラー感がありま
した。生命保険会社保全担当の主人公が受けた電話「自殺でも保険金は貰えるか?」から物語
は始まります。段々と不気味さが増し最後の狂気ともいえる情景へと繋がっていきます。途中
段々深まる陰湿感に読むことを中断したのですが最後まで読めて良かったと思います。この作
品も映画化されていると聞きますが、あまり映像では見たくないですね。
貴志祐介の「十三番目の人格(ペルソナ)ISOLA」を読みました。映画化されたらし
いですね。ホラー作品ということなのですが特に恐怖小説という感じはしませんでし
た。エンパス(人の感情を読み取る能力)が多重人格者の少女に出会い物語ははじま
ります。心理学用語がたくさん出てきますが読みやすい文体でスムーズ読めます。こ
の人の「黒い家」は途中で嫌になって読むのを放棄しましたが再度読んでみよ
うと思いました。
土日で村上春樹の「海辺のカフカ」上下2巻を読みました。久しぶりに難
解小説を読んだような気持ちです。ギリシア神話、日本神話の世界観を感じました。
15歳の田村カフカ君の再生の物語、高松が舞台なのでこちらでは割と新聞等に取
り上げられていました。猫と話のできたナカタさんと同行するホシノさんのある種
コミカルな道中も並行して進み最後に一つになっていきます。読み返すと又違った
味のでる小説かもしれません。抽象的感覚世界が苦手な人には向かないかもしれま
せん。ある意味観念的SFですね。
恩田陸の「不安な童話」を読みました。25年前に刺殺された女流画家の生
まれ変わりか?とサスペンス仕立てで主人公の特殊能力と相まって話はテンポ良く進
んでいきます。脳裏に浮かぶ画像イメージの表現がゴシック体の活字と相まって印象
的でした。最後に主人公の姉までが組み込まれ全てが解決します。一気に読める本で
した。
最近映画が話題になっている梶尾真治の「黄泉がえり」を読みました。舞台が熊本と
いうことで情景を懐かしく思い出しながら読みました。内容的には感動SFものだと
はいいますが、その感動が分散されすぎていて大きな感動には繋がりませんでしたが
そこそこ楽しく読むことができました。映画はオリジナルキャラクターが主人公らし
いのでひと味違うと思います。しばらくしてビデオが出たら是非観ることにしましょう。
読書感想日記向きではありませんが、今映画になっている天願大介の「AIKI」
を本屋で見たので買って読んでみました。ストーリー、人物設定、感情表現ともに大衆娯
楽雑誌的な内容でした。大東流合気柔術六方会の岡本師範のビデオを観たことがあるので映
画の表現の仕方が想像できます。本の中の表現で面白かった言葉「あんたなかなか見る目が
あるわねえ。あの先生は本物よ。だってサラリーマンだもの。」意味深ですね。
真保裕一の「誘拐の果実」を読みました。図書館購入の最初の借りだしになってい
ました。先週読んだ「発火点」とは大違いでテンポが良くてついつい一気に読みました。上
下二段組のボリュームのある小説ではありましたが読書感は充実しています。病院の院長の
17歳の孫娘の誘拐の身代金は入院患者の「死亡」というユニークな事件。続いて起こる大
学生の誘拐事件と話は小気味よく進んでいきます。読書後も気持ちの良い本でした。
真保裕一の「発火点」を読みました。いゃあ、延々と自分の思考を述べていきます。
12歳の自分と21歳の自分が交互に描かれています。12歳の時に起こった父の殺害事件を
中心に話は進みます。若者のだらしなさ反省・懺悔が主人公の言葉で語られていきます。紹介
は「人生を変えた殺人。胸に迫る衝撃の真相。なぜ友の心に殺意の炎が燃え上がったのか?」
ということです。
北村薫「時と人シリーズ」三部作最終作の「リセット」を図書館から借りて読みまし
た。戦前・戦中の女学生の裕福な生活が描かれ、次の部では戦後の私達と同世代の小中学時代
の少年の生活が描かれていきます。とても懐かしく感じられました。一つの出来事から最終部
で一気に読ませます。輪廻転生のお話でありました。「リプレイ」と広瀬正の「マイナス0」
の雰囲気の世界です。
本多孝好の「ALONE TOGETHER」を読みました。サイコ・ミステリーというこ
とらしいですが特に意識はしませんでした。「人の心の深層の波長と同調できる能力」とい
う設定でそういうことになるのでしょうが、そこまで深いイメージは感じられませんでした。
人と人の触れ合いと心の動き・本音や言葉のやり取りを純粋に楽しめば良いと思います。
北村薫の「ターン」を読みました。随分前に彼の「スキップ」を読んでいたのですが、この作
品は彼の「時と人の三部作第2作」ということでスキップに続く作品でした。交通事故の時
点から1日前に繰り返し戻っていく・・という話です。ケン・グリムウッド「リプレイ」と
同じ様なシチュエーションですがほのぼのと主人公の魅力が伝わってきて最後の1行がまた
また感動の作品でした。解説では何度か読み返して欲しい、と書かれていたからではないの
ですが何か再読したくなる本です。今度は三部作最終作の「リセット」を読んでみようと思
います。
逢坂剛の「あでやかな落日」を読みました。この作品はファンによって評価が分かれて
います。私はあまり彼の作品は読んでいなかったので先入観はありませんでした。ハ
ードボイルド色は表面には現れませんがセリフのやり取りやストーリーの展開は充分
楽しんで読めました。ギターの世界や広告業界の話も興味深く読め、私としては満足
しました。
首藤瓜於の「脳男」第46回江戸川乱歩賞受賞作を読みました。連続爆破犯の共
犯として逮捕された「鈴木一郎」の精神鑑定を引き受けた女性精神科医が彼の過去を調
べていきます。彼が「感情の無い男」だと知ったとき話はスリリングに展開していきま
す。「感情」が知識・データを統合して人間を形作る・・・という文章も説得力があり
ます。一気に読め彼が主人公の続編を少々期待させるラストでした。
野沢尚の「リミット」を読みました。ある誘拐事件の捜査担当の一員になった女性刑事の物
語です。最近子持ちの女性刑事ものが増えていますね。この物語は誘拐犯が彼女の子供も
誘拐して、その担当している身代金の受け渡し役にされます。事件関係者に誘拐犯に通じ
る者がいるので彼女一人の子供の救出劇になります。追いつめながら母親としての執念の
心理描写はじわじわとその世界に引きずり込んで行きます。
井上夢人の「オルファクトグラム」を読みました。上下2段組の分厚い本でしたが非常に面
白く読めました。毎日新聞社紹介文章「危うく殺されそうになりながら、一命を取り留め
たミノル。ところが1ヶ月の昏睡から目覚めた彼は異常な能力を手にいれていた。犬並み
あるいはそれ以上の嗅覚。人間離れした嗅覚を手に入れた彼の前には全く違った世界が広
がっていた。」悲劇的な始まりから、臭覚の異常な世界を幻想的に描き出し、一種独特の
世界観の中で物語はどんどん進んでいきます。ボリュームを感じさせない一気に読ませる
本でした。
乃南アサの「鎖」を読みました。直木賞受賞作の「凍える牙」に続く女刑事の音道貴子が主人
公の長編第2作目です。かなり分厚い本でしたが窮地に陥った主人公の救出への緊迫した捜
査の進捗と孤立無援の心理状態の描写が息づまる緊張感を与え一気に読んでしまいました。
「極限状況のなかで誇りを失なわないヒロインもさることながら、彼女を救い出すために必
死の努力をする、以前コンビを組んだベテラン刑事が心に残る。女性たちよ、頼りになるの
は若者ではなく、本当はおじさんなのだ。」(2000年12月17日毎日新聞書評より抜粋)
第122回(平成11年下半期)直木賞候補作になった、真保裕一の初(?)のハードボイルド小説「ボーダーライン」を読みました。善と悪のボーダーラインを踏み込んで「生まれな
がらの犯罪者は存在するのか?」という問いかけ、と言う点よりも父親と息子の愛憎が印象的
でした。大手信販会社の私立探偵免許を持つアメリカ支部調査員という役どころも興味深かっ
たです。
キャサリン・ライアン・ハイド著の「ペイ・フォワード」を読みました。大分以前に映
画をみて良かったです。原作が文庫本になっているのを本屋で見付けて購入しました。大筋、映
画は忠実に描いていました。「世界を良くする為に・・」が主題ですが、「善意」という事につ
いて色々考えさせられる作品です。
真保裕一の「朽ちた樹々の枝の下で」を読みました。北海道上富良野の森でのある爆死事
件の真相を追う女性との出会いから謎解きが始まり森林での追跡劇に至る物語は一気に読
ませてくれました。
椎名誠の「アド・パード」を読みました。1990年代11回SF大賞受賞作の長編SFです。
高校時代1960年代のSFにのめり込んだ時代が懐かしく感じられました。国内外のSFを
心躍らせ何百冊と読み三島由紀夫の美しい文章に感動した時代です。大学時代は大学闘争時代
で読む本が一変しましたが、そのような高校時代を思い出しました。
乃南アサの「ボクの町」を読みました。失恋して警官になった若者の話です。コメディタッチ
で楽しく気楽に読めて最後の方はやはり盛り上がりがあって気持ちよく読み終えました。
乃南アサの「殺意・鬼哭」を読みました。この作品は人の好みで随分評価が変わると
思われる作品だと思います。心理描写が延々と続く独特の作品です。殺人の加害者の「殺意」
と被害者の死ぬ直前の3分間の心理描写の「鬼哭」の2作品を一冊にしています。私は一気に
読めましたが途中で飽きる人もいそうですね。
柴田よしきの「炎都」を読みました。痛快妖怪物語ということでエンターテイメント作品でし
た。ひろ子さんが図書館で借りてきていて返却日が27日ということで焦って読みました。
続編として「禍都」「遥都」が出ているそうです。確かに最後がちょっと、と思ってい
たのですが「パニック伝奇はちゃめちゃロマンSFシリーズ」ということなので納得しました。
この土日は読書です。柴田よしきの「RIKO−女神の永遠−」のシリーズの後の2巻を二日かけて読
みました。「聖母(マドンナ)の深き淵」と「月神(ダイアナ)の浅き夢」
です。やはりシリーズ
物は順番に読まなければ面白くないですね。人間関係がどんどん進展して行っています。後の2冊
は上下組のボリューム溢れる作品ですが一気に読ませます。色々な事が最後に収斂していく手法は
面白いですね。女性作家であるが故の女性心理の描写は見事です。ハードボイルド気味の展開と推
理小説の論理の組立も小気味良かったです。
吉村達也の「ゼームス坂から幽霊坂」を読みました。ジャンルはホラーになるそうですが
そんな感じでは無かったですね。「ひとりの男の後悔とと懺悔の物語」で「人間心理ドラマ」とも
書かれていました。文章・文体自体は私の好みではありませんでしたが非常にたくさんの作品を書
いている人ですね。シリーズ物の種類も多くよくこれだけの作品を書けるものだと感心しています。
作者のホームページもありました。
柴田よしきの横溝正史賞受賞作の「RIKO−女神の永遠−」を読みました。女性刑事物で楽しく読みました。女性心理の表現が良いと言われる作品でシリーズものになっています。現在3作ま
で発表されています。エンターティメントとして読めば楽しめます。
東野圭吾の「悪意」を読みました。NHKでドラマ化されたらしいのですが観ていませ
んでした。もし、ドラマを先に観ていたら本は読めないですね。このストーリーの展開は読んで
いる途中では到底想像できませんでした。本題の「悪意」の意味も私達凡人には身につまされる
ものです。テクニカルで面白い本でした。
中島望の「十四歳、ルシフェル」を読みました。70年代風SFと銘打っていて読んでい
ると平井和正の「ウルフガイシリーズ」
や「サイボーグブルース」
を思い出しまし
た。全体的に少しまとまりがないように感じられましたが結構楽しく読みました。最後の最後のシ
ーンの為だけのようなストーリーでした。続編が出るようになので、それを読んでからが本当の感
想になりそうです。
宮部みゆきの「蒲生邸事件」を読みました。タイムスリップの話でSF大賞受賞作です。
読み始めて広瀬正の「マイナス・ゼロ」
を思い出しました。この本も私のお気に入りで
三回も読み返しました。その度に新鮮な感動を覚えました。「蒲生邸事件」はラストあたりを
もっと書き込んでも良かったと感じましたが感動的な作品です。
「催眠」「千里眼」を凌ぐ企業ミステリとサイコサスペンスを結合させた巨編、と書
かれていた松岡圭祐の「バグ」を読みました。伝説の名作「水の通う回路」の大幅
に加筆の完全版ということです。エンターテイメントとして面白く一気に読みました。
ウィリアム・K・クルーガーの「凍りつく心臓」を読み終えました。1999年アンソニー
賞とバりー賞の最優秀処女長編賞をダブル受賞した作品です。自然の情景描写、登場人物の一人一人
の人物像の表現も丁寧に描かれています。最後まで一気に読ませてくれて切ない悲しみを残してくれ
ます。この主人公のシリーズが後2冊出ていますが翻訳はまだです。楽しみにしましょう。
真保裕一の「密告」と宮部みゆきの「R.P.G.」
を読みました。「密告」
は警察サスペンスものでスリリングで読み始めてすぐに引き込まれました。「R.P.G.」
は「模倣犯」を読んでいたので登場人物に親近感がありました。ただ、こちらは内容が殺人事
件と家族の愛憎で少し後味が悪かったです。
この土日でマイクル・コーディの「イエスの遺伝子」上下2巻を読みました。以前読んだ「クライム・ゼロ」のマイクル・コーディの処女作で数年前に日本でもベストセラーになった作品です。面白かったですね。娘を
思う父親の愛情は感動的でもありました。
デイナ・スタベノウの「白い殺意」を読みました。ケイト・シュガックのシリーズ第一弾と
いうことです。アラスカの大公園内での失踪事件を追います。大自然の描写が何ともいえな
い壮大さを表しています。この描写が先にできてから人物設定をした、ということなので当
然といえば当然かもしれません。
この土日の午後で宮部みゆきの「模倣犯」上下2巻を読み終えました。ひろ子さん
と母が先に読んでいたので夕食は、この本の書評・感想で盛り上がりました。確かに、長
丁場で尚かつ登場人物が多く描写も丁寧なので多少、本を読み慣れていない人にはしんど
いかもしれませんね。
徳島出張の電車の中で読もうと思って持っていった本が、読み始めて以前読んだことに
気付きました。結局2度読んでしまいました。小池真理子の「蠍のいる森」です。
「模倣犯」の続きを読もうかと迷ったのですが重すぎるので文庫本にしました。
マイクル・コーディの「クライム・ゼロ」を読みました。本文「暴力犯罪の90%以上は、犯人が
男性なのです。」から怖ろしい話が始まります。最近、ひろ子さんが図書館で借りてきたこの本よ
り話題が弾みます。夫婦で読んで話題が広がるお薦めの一冊です。
宮部みゆきの「ステップファーザー・ステップ」を読みました。いゃあ、面白い!声にだ
して笑ってしまいました。笑える小説を読んだのは久しぶりです。
阿由葉稜著「暗号 BACK-DOOR」を一気に読みました。「ハリウッド映画をも凌ぐスケール。
この新人は本当に凄い。」と書かれた帯を見て、つい買ってしまいました。エンターテイメン
ト溢れる面白い本でした。インターネットの世界の暗号化技術が題材ですのでコンピューター
用語・パソコン用語がすんなり入らない人には多少分かりづらいかもしれませんね。
久しぶりに紹介できる本を読みました。「孤独の歌声」天童荒太著(第6回日本推理サスペン
ス大賞受賞作)です。人間の孤独の本質とは何か?解説には「本書で描かれている孤独は、人間は最
初から孤独の中におり、そこから一歩も外に出ることはないのだという主張が窺えるのである。つまり
孤独とは絶対的な<存在>であるのだと。穿った見方かもしれないが、そのことはタイトルにも象徴さ
れている。つまり、孤独な歌声ではなく、孤独「の」歌声なのである。」関口苑生、とあります。一読
の価値はあると思います。
「極大射程」のスティーブン・ハンターの幻の処女作が翻訳出版されました。タイトルは「魔弾」です。処女作に作家のその後の作品の総てが込められる、と言われていますが面白かったです。
第二次世界大戦終末時期の暗殺用暗視スコープが出てきます。狙撃暗殺者とそれを追う者との物語で
400m先の暗闇の中から音のしない鉛玉が正確に飛んでくる・・・・・。怖いですねぇ。
「シックス・センス」の本を行き帰りの電車で読みました。訳者の後書き「シックス・セン
ス」は、そのアメリカ映画界においても、珍しいタイプの作品といえるだろう。本書を翻訳するにあ
たって、試写を見させていただいた時の衝撃は忘れられない。ホラー映画を観て泣くなんて、生まれ
て初めての経験だった。」酒井紀子、です。同感です。
乃南アサの「結婚詐欺師」上下2巻をやっとの事で読み終わりました。「凍える牙」
で直木賞受賞をした直後の第一作目だということです。いやはや・・・・。人間の心のひだ、
というものを感じさせられました。
「ゴサインタン−神の座−」篠田節子著(第10回山本周五郎賞受賞)を読み終わりま
した。淡々と語られる世界は、何とも言えない世界観です。後からじわっと効いてきます。
花村萬月著「皆月」(吉岡英治文学新人賞受賞作)を一気に読み終えました。面白いに
つきます。解説の阿刀田高氏はこの「皆月」に対して「よい小説は、よい。ジャンルを超え、
常識の尺度を超え、さらにどれだけの読者を獲得したか、という数の力にも圧倒されず、ただ、
ひたすらよい小説として実在している。この、ほとんど説明にもならない説明が一番適切であ
るような小説に私達は時折めぐりあうことがある。」と述べられ、この「皆月」はそんな実感
を抱かせてくれる名品だと言っています。
真保裕一著「奇跡の人」を読み終えました。1997年ミステリーベスト1に選んだ
北上次郎氏が「絶品である。真保裕一の渾身のの力作であることを信じて黙って読まれたい。」
と帯に書いていました。読み終わってしばらく涙が止まりませんでした。確かに「絶品」でした。
今日の読書は浅田次郎「地下鉄(メトロ)に乗って」です。読み終わってやるせない
辛い悲しみで堪りませんでした。(涙・涙・・・)
桐野夏生の「顔に降りかかる雨」(第39回江戸川乱歩賞受賞作)を読みました。
後書きより「本作は国産3F小説−女探偵ハードボイルドものを新たに切り開いた記念すべ
き作品である」
村野ミロ(主人公です)シリーズになっているようなので二作目も読みましょう。
昨晩、「ホワイトアウト」を読み終わりました。最後はやはり涙涙でした。この本の後書きの
最後に書いています。「本書はぜひとも二度読んでいただきたい。一度目はストーリーを追う
だけでもいい。二度目に、じっくりと一行一行を吟味しながら、行間の行を追いながら、声
に出して読んでみていただきたい。そうすると、必ずや新たな世界がひらけてくると、わたし
は思う。この作品は、それほどの傑作なのである。」
織田裕二主演、若松節朗監督2000年夏東宝系公開予定です。
真保裕一の「ホワイトアウト」を読み始めました。約半分ほど読んで、解説に書かれ
ていることを実感しています。解説の書き出し「何よりもまず文章がいい。こんなにも輝い
ている文章はそれほどあるものではない。」のとおり魅力的な文章と内容です。
今日の読書は乃乃南アサ「凍える牙」直木賞受賞作です。感動的な作品でした。特に後
半のクライマックス、感動のエピローグ。この人の作品はいつも文章のうまさと感情表現の
素直さには感心します。この新潮文庫12年2月1日発行(の−9−10)の安原氏の解説
も素晴らしいです。本屋で解説だけでも立ち読みをお勧めします。
2月に入りました。「山妣(やまはは)」読み終わりました。1部2部から3部に入っ
ての展開も素晴らしいです。お勧めの作品に入れておきましょう。
土日から読書に入りました。坂東眞砂子の「山妣(やまはは)」(山姥やまんば)で
直木賞受賞作上・下2巻を読み始めました。土曜日は二日酔い、日曜日は午後から子供達を
預かり一緒に遊びました。それでも、なんとか第1部・第2部を読み終わり下巻第3部に入
りました。物語も佳境に入ってきています。
スティーブン・ハンター「極大射程」上下2巻、読み終わって充分満足しました。ひ
ろ子さんも非常に気に入った作品だったので,あのところは!,このところは!と熱の入
った会話になりました。これは映画にすれば,すごい作品ができるなぁ,と思いながらカバ
ーをとって本箱へしまおうとしたら,書いているではありませんか!帯に・・・。「キアヌ
・リーヴス主演で映画製作迫る!」やったぁぁぁぁっっ。
乃南アサの「死んでも忘れない」を読みました。内容紹介は「どこにでもいそうな
3人家族は、新しい生命の誕生の喜びを分かち合うべく、幸せな生活を送っていたはずな
のに・・・。」です。最後まで一気に読めました。苦悩の中での父と息子の心の強さに感心し
ました。
さすが直木賞受賞だけはある読み応えのある文章でした。
東野圭吾「秘密」
何度も涙ぽろぽろ・・・。最後は、涙で文字が読めなくなりました。
ジョージ・C・チェスブロ「ボーン・マン」(文春文庫チ 2 1)
ケン・グリムウッド「リプレイ」(新潮文庫ク 14 1)