FIRE EMBLEM 外伝
提供者:えぬじぃ殿

ものがたり

──バレンシア大陸は、すべてふたつの顔をもっている。それは、大陸が二人の神によって造られたときに定められた運命だという。
 優しさと美しさをもって自然と共にあることを望む大地母神ミラ、そして、力と欲望のみが人類の生存の道と信ずる邪神ドーマ。このふたつの力は長い間、激しく争っていた。
 そして、長い戦いのあとに新しいかたちが生まれた。大陸は南と北にわかれ、北はドーマの支配下に、南はミラの支配下におかれるようになった。北は、騎士の国リゲル王国、南は、文化の国ソフィア王国。リゲルは大陸を守り、ソフィアは豊かな実りを与える。長い間ふたつの国はそれぞれの道を歩んでいた。
 しかし、ときは変化をもたらした。平和なときになれたソフィアの人々は、やがてミラの教えを忘れ、自然と共に生きることを忘れた。豊かな実りは分け与えられることなく捨て去られていき、凶作の続くリゲルでは飢えと苦しみのなかで、多くの人々が倒れていった。バレンシアの調和がくずれ始めた。
 助けを求めるリゲルの人々に与えられたのは、あざけりの笑いのみ。ソフィア王国の心ある者も、国王リマ4世の無関心な態度の前には、なすすべがなかった。
 ソフィアの仕打ちに怒り狂ったリゲル王ルドルフは、ドーマ神の命に従いミラを封印した。ふたつの王国は戦乱へと突入し、兵力のないソフィア王国は敗北の一途をたどるのみだった。ソフィアの人々は戦闘で荒れ果てたわが国を見てはじめて、自分たちの過ちに気づいたが、ときはすでに遅かった。
 ソフィア国のドゼー宰相はリゲルにねがえり、王家のものを暗殺し侵略の手引きを始めていた。今まさにソフィア城は、リゲルの手に落ちようとしていた……。

第一章
アルムの旅立ち

――バレンシア大陸の最南部に位置するラムの村
 ここラムの村にも戦乱の声は聴こえていた。村
に住む老騎士マイセンは、かつてはソフィア王国
の聖騎士としてならぶものなき勇者であった。し
かし数年前、リゲル王国への援助について腹黒い
宰相ドゼーと衝突し、城を追い出され、生まれ故
郷のラムの村に帰っていた。
 老騎士マイセンを祖父と信じる16歳の少年アル
ムは、彼の厳しい指導のもと剣の腕を上げ、今で
はマイセン卿を打ち負かすことがあるほどだった。
しかし、そんな明るくはつらつとしたアルムを見
るたびに、マイセンは嬉しさと同時に、言い様の
ない悲しみにおそわれるのだ。アルムはマイセン
の実の孫ではない。16年前に、理由あってある
男からあずかった子供なのだ……。

 ある日のこと、一人の男がラムの村を訪ねた。
ソフィア城を占拠しリゲル軍にねがえったドゼー
に対し、抵抗を続けている解放軍の兵士ルカだっ
た。ルカは、マイセンに解放軍に参加し、ドゼー
からソフィア城を取り戻すべく指揮をとって欲し
いと懇願した。しかし、年老いたマイセンには、
もうその力はなかった。涙ながらに訴えるルカを
みて、アルムは決心した。
「代わりに、僕が解放軍に参加します」
 村の若者、クリフ、グレイ、ロビンを仲間に
加えたアルムとルカはバレンシアの平和を取り戻
すべく、長い戦いの旅に出発した。





第二章
神官セリカ

 バレンシア大陸、東の
海に浮かぶ美しい島、ノ
ーヴァ。島の中心にある
ミラ教の修道院では、ノ
ーマ司祭と神官セリカが
最後の話し合いをしてい
た。大地母神ミラの力が
とだえてから、すでに2
年の月日がたち、日に日
に大地が荒れ果てていく
のを、ただ、黙ってみて
いるわけにはいかなかっ
た。セリカはミラの神殿
に行き、大地母神に何が
おきたのか、もし、神殿
が侵されているのならば、
自分たちの力をもって救
い出さなければと、決心
を固めていた。
「たとえどんなに困難な道
のりでも、きっとやり遂
げてみせます」
 ノーマ司祭は、たとえ
セリカの行く手にどれだ
けの危険が待ちかまえて
いようとも、彼女を止め
ることができないのを知
っていた。三人の仲間を
連れてセリカはノーヴァ
を出発した。いくつもの
島を経て、ソフィア城、
そして神殿をめざして聖
なる旅が始まった。

第三章
再会

 セリカがソフィア城に着いたとき、一人の若者
がソフィアをドゼーの魔の手から奪回したという、
奇跡のような出来事に城が沸き返っていた。その
若者をひとめ見て、セリカは我が目を疑った。そ
れは、あの、アルムだったのだ。

―――――――かつてラムの村のマイセンのもと
で、二人は兄弟のように育てられていた。しか
し、セリカがドゼーの暗殺の手を免れた、ソフィ
アのただ一人の王位継承者だったがために、ノー
ヴァの神殿に身を隠さなければならなくなったの
だ。
 事情を知らないアルムは、ある日突然自分の前
から姿を消したセリカが、こんな形で目の前に現
れたことに驚いた。運命によって再び巡り合った
二人だったが、ときの流れは二人の生き方を大き
く変えてしまっていた。リゲルとの戦いに自らを
かきたてるアルム、そしてミラの神殿に向かうセ
リカ。二人の進んで行く道は、またしても分かれ
道だった……。














注意:第一章の「・・・16年前に、理由あって・・・」の「理由」は「わけ」と読みます。

国王の勝手な評価

話が短くまとまっているとりあえずよくできました
小さい子にもわかりやすいうーん、どうでしょう
不自然さがない大変よくできました
迫力があり期待できる大変よくできました

国王の気になるポイント
 悪いのは教えを忘れたソフィアの方であって、ミラを封印しても何の解決にもならない。
 セリカとアルムは結局、兄弟のように育てられただけで兄弟ではないのね?


このストーリーを実感したので戻る。