管楽器奏者の歯のためのページ
歯磨きの話
・虫歯で治療をして冠をかぶせたりすると、形が変わってアンブシャーが崩れるかもしれない。
・歯槽膿漏で歯を支える骨が弱ると、マウスピースを安定して支えられなくなってしまう。
・歯槽膿漏で歯を支える骨が弱ると、歯が病的に動いてしまいアンブシャーが崩れるかもしれない。
・虫歯や歯槽膿漏で歯を失うと、入れ歯になってアンブシャーが崩れるかもしれない。
・虫歯や歯槽膿漏で噛む力が衰えると、口の周りの筋肉も衰えるかもしれない。
・歯を汚くしていると、楽器に入って、管内が汚れたりバルブが動かなくなったりして、楽器のコンディションが悪くなってしまう。
・虫歯、歯槽膿漏、プラークが原因で口臭がすると、音楽仲間に嫌われて、楽しく演奏が出来なくなるかもしれない。
歯を磨くのは、虫歯や歯槽膿漏の原因であるプラークを除去するためです。
プラーク(歯垢:しこう)とは
歯にネチョっとついたクリーム色の物がそうです。
食べかすではありません。唾液中に含まれる細菌が糖質をエサにネバネバとした物質を産生し、歯につき増殖していきます。この細菌のかたまりがプラークです。このプラーク中の細菌が糖質を酸に変え歯を溶かします。これが虫歯=齲蝕です。また、細菌はいろいろな毒素も産生し、歯肉に炎症を起こします。この炎症が進むと歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。細菌と戦う白血球の死骸がウミとなり、歯茎からウミが出ている状態から俗に歯槽膿漏と言いますが、正しい病名は歯周病です。
要は虫歯も歯槽膿漏もプラークが原因なのです。
プラークを落とすには歯ブラシで歯磨きをしっかりやらなければいけません。
口をゆすいだ位ではおちません。
唾液の細菌を殺してしまえばいいかというと、唾液には色々な種類の細菌がバランスをとって存在し(細菌叢といいます)これは人体を守る上で必要なので、口の中を殺菌するわけにはいかないのであります。
じゃあ砂糖をとらなければいいかというと、ご飯やパンなどに含まれる炭水化物は唾液で糖質に変化しますから、糖質の元になる栄養を取らないことは不可能です。
プラークはどこにつきやすいか
1.奥歯の咬む面の溝
2.歯と歯の間の面(隣接面)
3.歯と歯肉の間(歯頚部)
歯に食べかすやプラークがついても、食べ物に擦られたり、唾液が流れたり、頬・舌の運動によって自然に自浄作用が起こります(柔らかい物ばかり食べたり、唾液が極端に少なかったり、いつも口をあけていたりすると、自浄作用も上手くおきてくれないが)。
自浄作用がおきにくく、歯の磨きにくい部位に虫歯ができやすいのです。
また、歯周病は歯と歯肉の間の溝(=歯周ポケット)にプラークが付くことにより炎症が起こり進行していきます。
大人になってからは、歯周病の予防の方が大切ですから、特に歯と歯肉の間までキレイになるようにこころがけましょう。
歯磨き=ブラッシングの方法は?
いろいろなブラッッシングの方法がありますが、私は「スクラッビング法」をお勧めします(習得しやすく応用がききやすく、歯と歯肉の間がキレイになります)。
歯の面に垂直にブラシの毛をあて、歯列に平行に歯ブラシを小刻みに動かします(数mm幅の振動)。
この時、歯ブラシを少し歯に押しつけるようにし軽くシャカシャカいわせます(押しつけ過ぎてゴシゴシいってはいけません)。
1か所20〜30回動かしたら、歯ブラシを歯1本分だけ移動して同じようにシャカシャカします(ダブッテいる部分があるはず)。そしてまた歯ブラシを歯1本分だけ移動して.....。歯並びの端から端まで順序よく磨きます(磨き残しがないように)。
歯面に垂直にブラシの毛を当てます |
歯列に平行に動かします |
裏側も垂直に当てます 一番奥の歯も忘れずに |
前歯の裏側は歯ブラシを縦にします |
慣れるまでは鏡を見て、ブラシの端が歯と歯肉の間まで達しているか確認しながら磨きましょう(歯肉自体を磨くのではありません)。
ブラシが歯と歯肉の間まで当たってますか? |
凹んだりねじれている歯はブラシを縦にして歯の形に合わせて磨きます |
モデルは勤務先の衛生士さん |
この方法をマジメにやると5分くらいかかります。
キレイに磨くと、舌で歯をなめるとツルツルしているのがわかります!
人によっては、別の方法が望ましい場合もあります。歯肉が腫れていてマッサージが必要なときはローリング法(歯ブラシの柄を回転させる)、歯周病が進んで歯周ポケットが深い時はバス法(ブラシを斜め45度に当て毛先を歯周ポケットに入れる)など。また、歯肉が退縮(歯茎が下がって歯が長く見える)しているときは、歯間ブラシを併用したほうがいいでしょう。
いずれにしても歯周病の兆候のある人は、歯医者さんで見てもらい必要な治療と指導を受けましょう。
1日何回いつ磨くのか
1日3回毎食後磨くのが理想かもしれませんが、1日1回いつでもいいから時間をかけて丁寧に磨く(後の1〜2回は簡単でいいから)ことをお勧めします。テレビを見ながらとか、お風呂に入りながらとか。(寝ている間にプラークが増殖し細菌が活発になるので就寝前がいいんだろうけど。)
歯磨剤(歯磨き粉)は付けたほうがいいのか
プラークを取る分には歯磨剤がなくても大丈夫です。むしろ付け過ぎるとサッパリして磨いた気になって実際は磨き足りなかったり、長い間に歯がすり減ったりします。しかし、人によっては付けないと歯に着色(お茶やタバコなどの色)するので、たまに少しだけ付けたほうがいいかもしれません。
どのような歯ブラシがいいのか
ヘッド(=ブラシの部分)が長方形で小さめ、ハンドル(=柄)が真っ直ぐ、毛があまり硬くない物。
キチンと歯ブラシを歯に当てて磨くことの出来る人はシンプルな形のものがコントロールしやすいです。ヘッドの大きいもの、毛やハンドルの形が奇妙なものは、いい加減に磨いている人にはいいのかもしれませんが...。
毛先が広がったら新しい物に取り替えましょう。
私の最近のお気に入りは「BUTLER G.U.M#202M」
大抵のコンビニに置いてある。380円と少し高いけどお勧めです。ヘッドが小さめで先が丸めてあるので、奥まで磨きやすいし、ブラシの毛先が細く分かれていてプラークが効率良く取れ、しかも歯肉にやさしい。色がドピンクと青緑でブキミだけど...。
デンタルフロスもたまに使うといいです
薬局に売っています。40cmくらいに切り、左右の人さし指に巻き付けてピンと張り、歯の間に入れて出します。